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医療改悪 今後のたたかい
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―与党の採決強行に国民の批判が広がっています。
医療改悪法は、審議の中で与党議員からも「欠陥だ」との声が出るほど問題が噴出しました。それを数の力で押し切って成立させたことに心から怒りを覚えます。
小泉内閣の五年間は、社会保障改悪の連続でした。まず行ったのが健保本人三割負担。一昨年は年金改悪、昨年は介護保険改悪と障害者自立支援法の強行。そして、最後にまた医療改悪です。暮らしと命を破壊する小泉自公政権は許せません。
医療改悪法の問題点はいくつもあります。なかでも、高齢者、重症患者への大幅な負担増は深刻です。
七十五歳以上の後期高齢者医療制度を新たにつくり、すべての高齢者から保険料を徴収し、滞納者からは保険証を取り上げることまで法律化しました。こんな血も涙もないやり方があるでしょうか。しかも、診療報酬をカットして高齢者の「差別医療」を本格的に導入する。憲法違反の法律です。
療養病床の削減については、北海道の地方公聴会で与党推薦の公述人からも疑問が相次ぎました。七月からの診療報酬改定で、療養病床にいる人の約半数の追い出しを先行実施しようとしており、事態は切迫しています。
法案のもう一つの重大な柱である「混合診療」の拡大は、保険証で誰でもかかれるという日本の医療の土台を壊すものです。この全面解禁を求めているのは日米経済界であり、彼らのもうけのために国民皆保険制度を犠牲にするのは言語道断です。
これだけ問題のある法案をそのまま強行した政府・与党の責任は重大です。
―今後の運動が大事ですね。
法案成立を受け、たたかいは新たな局面に入りました。
まず、改悪法の撤回と負担増の中止を要求します。介護保険施設の食費・居住費の負担増で、すでに施設を退所する高齢者が出ており、こうした事態を病院にも広げることはストップさせなければなりません。
同時に改悪案は、中長期的な制度改悪の枠ぐみは決めているものの、これからの予算措置や診療報酬などの政策誘導で実行する「計画」が少なくありません。
混合診療の問題では、これからの保険外負担の拡大を許さず、保険で誰でもどんな病気でも診てもらえるという仕組みを充実させる取り組みが大事です。質疑の中で、川崎二郎厚労相は「必要な医療は保険適用する」と答えており、これを速やかに実行させなければなりません。
財務省は「次の医療改悪」を狙って、すでに風邪などの「軽い病気」は保険外にする保険免責制の導入を主張しています。また、薬局で売っている薬と似たような成分の薬は医療保険から外すことも検討しています。こうしたたくらみを一つひとつ打ち砕く必要があります。
高齢者医療制度は、二〇〇八年四月実施に向け、これから制度の詳細が決まります。六十五歳以上の障害者を含め、「手抜き医療」になると心配の声が上がっています。そうさせないためのたたかいがこれから始まります。
療養病床の削減は六年で二十三万床を削るというもので、矛盾だらけの「机上の計画」です。七月からの高齢者の追い出しを狙った診療報酬改定の撤回、再改定を緊急の課題として迫っていくとともに、地域に必要な病床を守りぬくたたかいを全国各地で広げましょう。
―今国会でさまざまな共同が広がりました。
医療改悪法で、一人も医療を受ける権利を奪われない、犠牲者を出さないという取り組みがいよいよ大事になっています。
医療改悪法案反対の共同の広がりは今後の運動の足場をつくりました。日本医師会も含む国民医療推進協議会が集めた改悪反対署名は千七百万人分に達しました。
私たちは、日本看護協会、日本薬剤師会、日本病院会、日本療養病床協会などと中央、地方で活発な意見交換を行い、どこでも共感が広がっています。
日本の医療を立て直すたたかいが、これから始まります。国民の命と健康を切り捨てる政治と正面から対決する大きな共同を広げていきましょう。
●保険のきく医療と、保険のきかない医療を組み合わせる「混合診療」の拡大
●療養病床の大削減
●後期高齢者医療制度の創設
●国保加入の65歳以上の高齢者の保険料を年金から天引き
●政府管掌健康保険の改変
(注)現役並み所得者=今年8月からは夫婦2人世帯で年収約520万円以上、単身世帯で同約380万円以上
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