小泉内閣の医療改悪法案が、保険のきかない医療を拡大し保険のきく医療とセットにした「保険外併用療養費」制度を新たに導入していることが、わかりました。「効率的な提供」の観点から、保険のきく範囲を大幅に縮小するとしており、必要な医療はすべて保険でおこなうという、公的保険の原則を土台から崩す危険があります。
現行の健康保険法第六三条二項は、保険給付に含まれない医療を定めています。現在は、入院時食費の「食事療養」と、差額ベッド代などの「選定療養」の二分野です。
ところが、今回の法案は、新たに、七十歳以上の長期入院者の食事・居住費を対象にした「生活療養」、「高度医療技術その他」を対象にした「評価療養」を加え、保険給付に含まれない医療を四分野に広げます。
また、健康保険法第八六条で定めている「特定療養費」を廃止し、「保険外併用療養費」を導入し、その対象に「選定療養」と「評価療養」をあげています。
このうち、「評価療養」について、法案は、「適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行う」としています。今回の改悪案は医療給付費を抑制することを大目的にしており、公的医療の大幅縮小につながるのは必至です。
高齢者の長期入院患者の「生活療養」では、「温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成」まで保険外にしています。
保険のきかない医療の拡大は、日本の財界と米政府が繰り返し要求してきたもので、それが法案に反映しています。
■公的医療土台崩す
日本共産党の小池晃参院議員の話 一部に限定されていた保険外負担の対象が、法律で「高度医療技術その他」となれば、混合診療が歯止めなく拡大する危険があります。診療報酬のマイナス改定による医療機関の収入減も、保険外負担徴収に拍車をかけるものです。公的医療保険制度を土台から崩す小泉「医療改革」法案の撤回を求めます。