厚労省は三十日、海外に住む被爆者が被爆者援護法に基づく各種手当や葬祭料の支給を在外公館で申請できるようにする政省令を決め、関係団体に通知しました。今年九月に福岡高裁で海外からの手当・葬祭料申請を認める判決が出たことを受けた対応です。
在外被爆者は韓国・朝鮮人被爆者はじめ海外に移住した日本人など約三千六百人。これまでは来日し都道府県知事を通じて申請手続きをしなければならず、高齢や病気で渡航困難な被爆者にとって在外での申請は切実な要望となっていました。
日本共産党、民主党、社民党の野党三党は通常国会と特別国会に共同で被爆者援護法改正案を提出。現行法に「在外被爆者に対する援護等」の章を新たに設けて在外被爆者に同法を適用し、国外からも被爆者健康手帳や各種手当などが申請できるよう求めていました。
法案提出者の一人である日本共産党の小池晃参院議員は十月二十五日の参院厚労委員会でこの問題を取り上げ、被爆者健康手帳交付の海外からの申請を認めるべきだと質問していました。
■手帳取得が課題
小池晃政策委員長・党被爆者問題対策委員会責任者の話 在外からの手当支給申請はわが党がかねてから要求してきたことで、一歩前進です。
手当を受け取るためには被爆者健康手帳の取得が必要で、来日して申請しなければならない課題が残っています。被爆者はどこにいても被爆者であるという立場から、野党の法案に盛り込んだように、海外でも手帳取得を可能にする改正をすべきです。