日本共産党の小池晃政策委員長は十九日、厚生労働省の「医療制度構造改革試案」について次の談話を発表しました。
一、本日、厚生労働省は「医療制度構造改革試案」を発表した。その内容は、小泉内閣がこの四年間、社会保障の全分野にわたって強行してきた負担増・切りすて路線の矛先をふたたび医療にむけ、国民の命と健康に大きな災いをもたらし、新たな負担増という激烈な“痛み”を押しつけるものである。
一、「試案」は、七十五歳以上の全高齢者から年間七万円の保険料を徴収する改悪をはじめ、高齢者の保険料を「年金天引き」方式とすることや、長期入院患者の居住費・食費の全額自己負担化、高齢者の窓口負担増、高額療養費の負担上限の引き上げなど、負担増計画が目白押しとなっている。
かかった医療費の一定額までを保険対象外とし、患者負担に転嫁する「保険免責制度」導入も検討案として明記された。これは、風邪などの「軽い病気」は全額患者負担にする考え方に立った制度であり、「必要な治療はすべて保険で受けられる」という「国民皆保険」の根幹を崩す重大な改悪である。
政府は、「試案」をたたき台に制度改定案をまとめ、来年の法案提出をめざすというが、国民の命と健康をまもる制度を根底からつき崩す、こんな大改悪は到底認められない。
一、「試案」が、“GDP(国内総生産)に連動した医療費の総額管理”という財界などの主張と同じ土俵に乗り、経済指標にもとづく医療費の抑制目標をかかげたことも重大である。医療は、景気動向などに関係なく、必要とするすべての人に保障されるべきものである。日本の総医療費の対GDP比は、OECD(経済協力開発機構)加盟三十カ国中十七位という低い水準であり、“このままでは制度が破たんする”というのは事実をゆがめた脅しである。“医療費の伸びが経済成長を超えてはならない”という財界などの議論は、社会保障にたいする企業の税・保険料負担を減らすための方便にすぎない。
一、高齢化による医療費増を無理やり抑えこむ計画は、結局、患者の命と健康を脅かす結果をもたらさざるをえない。歳出・歳入の見直しで必要な財源を確保し、薬価や高額医療機器の実態にメスを入れ、予防・公衆衛生を充実させるなどの改革をおこなって、本当に持続可能な医療制度を確立することこそ、政府が果たすべき責任である。必要な医療を受けられなくして、医療費を節約しようとするだけの「試案」は、なんら「改革」の名に値しない。日本共産党は、新たな医療改悪計画を阻止するために力を尽くす。