日本共産党国会議員団
2003 年 12 月 8 日
小泉総理の「補助金 1 兆円削減」方針にそって厚生労働省は生活保護費負担金と児童扶養手当給付費負担金について、現行 4 分の 3 の国庫負担比率を 3 分の 2 に引き下げる方針を打ち出した。その影響額は、生活保護費負担金で 1,681 億円、児童扶養手当給付費負担金で 284 億円にものぼる。
いまでも政府の生活保護費抑制・給付「適正化」方針により、多くの国民が申請すら拒否されるなど、生保を受給できない事態が生まれている。国がその責任を後退させ、国庫負担比率を引き下げて自治体に財政負担が押し付けられれば、権利侵害といえるこうした事態がいっそう深刻化することは明らかである。
また、2 日に開かれた厚生労働省の「生活保護制度のあり方に関する専門委員会」では、70 歳以上の生活保護受給者に支給される老齢加算を廃止する方向で大筋合意した。これは低所得高齢者の生活実態、低すぎる生活保護の給付水準の現状を無視したものであり、最低生活がさらに切り下げられるという深刻な事態になりかねない。母子加算の廃止が今後の検討課題とされたことも重大である。
そもそも生活保護制度は、憲法 25 条がうたう「健康で文化的な最低限度の生活」を国民に保障する最後のよりどころとしての制度である。また、第一義的に国が責任を負うべき制度であることは言うまでもない。今回の制度の改定案に、全国の自治体が強く反対しているのも当然である。
現在政府の経済失政が招いた長期不況のもと、低所得者の生活が困窮を極めている。政府においてはこうしたときだからこそ、生活保護制度の拡充こそはかるべきであり、憲法、生活保護法の精神に逆行する国庫負担の削減や給付水準の切り下げは絶対に許されるものではない。
以下要求する。
- 生活保護費負担金と児童扶養手当給付費負担金の国庫負担比率を引き下げないこと。
- 物価スライドを口実とした生活保護費などの引き下げはしないこと。
- 生活保護の老齢加算、母子加算を廃止しないこと。
厚生労働大臣 坂口 力 殿