赤旗2019年6月19日付
厚生労働省は18日の参院財政金融委員会で、年金を自動的に削減する「マクロ経済スライド」によって抑制の影響を大きく受ける基礎年金の給付水準が、最終的に3割低下することを認めました。(論戦ハイライト)
日本共産党の小池晃書記局長の追及に対し、同省の度山徹審議官は、年金を受け取る65歳時点の年金額が現役世代の手取り収入額に占める割合(所得代替率)が、基礎年金の場合、2043年度に26%となり、14年度の36・8%に比べて「およそ3割程度(の低下)になる」と答弁。小池氏は「年金だけでは暮らしていけない国民が間違いなく増える」として、マクロ経済スライドを廃止し、ただちに年金を底上げすべきだと求めました。
小池氏は、公的年金だけで老後資金がまかなえず月5・5万円不足するとした金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書について、同ワーキング・グループの委員もマクロ経済スライドにより今後は月々の赤字が10万円程度になる可能性を挙げていることを指摘。さらに、「国民年金の場合、今でも赤字は月5万円では済まない」として、マクロ経済スライドをやめ、低すぎる年金の底上げを求めました。
麻生太郎財務相は、報告書が「年金が全くだめなように受け取られる誤解を招いた」とし、受け取り拒否を正当化。小池氏が、世論調査では受け取り拒否に「納得できない」「適切でない」が多数だとし、麻生氏の対応が「不安解消になったか」とただすと、麻生氏は答えられず「(世論調査結果を)拝聴する」としました。
小池氏は「年金の深刻な状況をはっきり認め、これからの年金をどうするか国民に率直に訴えるのが為政者のとるべき態度だ。『受け取らない』『報告書を前提とした質問には答えない』は隠ぺいではないか」と批判しました。