○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
金融審議会市場ワーキング・グループ報告書を大臣は受け取らない、政府としてスタンスが違うからとおっしゃるわけですね。しかし、そもそもスタンスが同じだったら、審議会に諮問する意味がないと思うんですよ。政府と違った角度も含めて、現状を第三者の目でこれ分析して、あるべき政策方向を示す、これが審議会の目的じゃないんですか。スタンスが違うと言って、これはもう受け取らないと、それじゃ、審議会の人たち、やっていられないじゃないですか。
○国務大臣(麻生太郎君) これも度々、同様の御質問いただきましたんで、同様な答弁をさせていただくようで恐縮ですけれども、この報告書というものは、いろいろないい意味での指摘があるということも事実です、間違いなく。それも申し上げております。
しかし、この報告書をよく読むと、いかにもこの、何、公的年金だけでは生活費として月々五万円不足するかのように述べておられます。これが世間に著しい誤解とか不安とかいうことを与えるようなことになりましたから、これまでの政府のスタンスとは異なるということで、我々としては、こういった公的年金が老後の生活設計の柱ではないかのような話は、国民の皆様に広がったということは、これは間違いなくいかがなものかと思いますんで、それを一日も早く払拭するためには、これを置いておいたまま更に審議を重ねていくということになると更なる不安やら誤解やら招くことになりますんで、私どもとしてはこの報告書は受け取らないという対応をさせていただいたということであります。
○小池晃君 その五万五千円という数字が全く根拠のない数字であるというのならともかくなんですが、この五万五千円という数字は、先ほどからもあるように厚生労働省、その元は総務省の家計調査ですね。お配りしている資料の一枚目にワーキング・グループに厚労省が出した資料が出ているわけですが、ここには実収入と実支出の差は月五万五千円程度とここにはっきり書いてあるわけであります。厚労省の企業年金・個人年金課長も会議で、実収入と家計支出の差は月五万五千円程度と、今後、実収入の社会保障給付が低下することから、取り崩す金額が多くなるというふうに言っているわけですね。
厚労省にちょっと聞きますけれども、実収入と実支出の差、これは五万五千円。この差を見れば、この五万五千円不足していたという、そういう認識はもちろんお持ちだと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(度山徹君) 午前中も御質問があってお答えしておりますが、引退した後の高齢期の生活というのは、従来から多様な高齢期の生活に対する希望やニーズがある中で、公的年金でその全てを賄うという考え方ではなくて、公的年金を基本に置きながら、それに現役期に構築した資産を活用するもので営まれるものという考え方になっております。
このような考え方の下、家計調査のデータはよく使うデータなのでありますが、多様な希望やニーズが反映された支出について、公的年金に加えて五万円、月々貯蓄を活用することで言わば定期的な収入以上の支出を行っている、それが高齢者の引退された後の家計の実態だということで私どもこのデータを理解をしているところでございまして、そのような御説明をさせていただいているところであります。
○小池晃君 いや、だから、それは分かるんですよ。それ、ちゃんと報告書に書いてあるじゃないですか。
このワーキング・グループの報告書、今日二枚目の資料見てください、ここにはっきり書いてあるわけですね。高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額、先ほど何か赤字という言葉が間違っているというような御答弁ありましたけど、毎月の赤字額約五万円となっている、この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産により補填することになるとちゃんと書いてあるんですよ。だから、それは五万五千円不足分があるけれども、金融資産を取り崩して対応しているということはワーキング・グループ認めているわけでね。
大臣は、先日のあの参議院の決算委員会の私の質問に対して、高齢者の家計においては貯蓄や退職金を活用していることに触れていないと、触れていないというふうにこの問題、報告書の問題点指摘されていたんですけど、ちゃんと触れているじゃないですか。金融資産の活用についてちゃんと言及しているじゃないですか。何が問題なんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 度々これもお答えしていると思いますけれども、この公的年金、これ十ページの話だ、十ページの話でしょう、十ページの話ですよね、これはあたかも公的年金だけでは生活費として月々五万円足らないかのように述べていますが、ここのところが私どもとしては著しい誤解、不安を与えることになったんだと思っているということを申し上げております。
ですから、現実問題としては、こういう表現をしているところが問題なので、我々は国民の老後の所得の中心となるのも、公的年金については、これは老後の生活をある程度賄うものとして将来にわたり持続可能な制度を確保しておりますので、政府として、今後とも公的年金制度の持続性をしっかりと確保していくと同時に、この高齢、所得者を含めた低所得者の高齢者の方々へは、今年の十月からか、年間最大六万円の年金生活者支援給付金を支給するなど、いろいろさせていただいておりますけれども、いずれにしても、こういったようなことではないので、現実問題としては今厚生労働省の方が答えられたとおりだと思っております。
○小池晃君 あのね、微妙に違いますよ。微妙というか、かなり違いますよ。
要するに、厚生労働省は五万五千円不足したと書いている、違う、差額があると言っているけれども、そこは金融資産で補填するから不足というのは正確でないんだということを言ったわけですよ。ところが、金融審議会ワーキング・グループの報告書にはちゃんと金融資産で補填するって書いてあるんですよ。ということはですよ、これ問題ない記述じゃないですか。今は、何か五万五千円ということ自体に誤りがあるというように、これ違うことをおっしゃっている、大臣は。
これ、はっきり言って、きちんとこの問題について、もちろん私は、ワーキング・グループの報告書全体、肯定しませんよ。もう、投資をあおる、認知症の人にどんどん投資するみたいな、この結論自体は全く私は同意しませんが、しかし、少なくともここの記載に関して言えばですよ、この十ページの記載に関して言えば、ただ単に五万五千円欠けているというんじゃなくて、そこは金融資産で補填するってちゃんと丁寧に書いてあるじゃないですか。何が問題なんですかっていう話。
それから、問題の二千万円をめぐる記述、先ほども話題になりましたが、この二十一ページ、これも御覧いただきたいと思うんですが、これ何て書いてあるかというと、赤でアンダーライン一応振っておきましたが、夫六十五歳以上、妻六十歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約五万円であり、まだ二十年から三十年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で一千三百万円から二千万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入、支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なるとちゃんと書いてあるんですよ、これも。
大臣は先ほど質疑の中で、単純な議論には意味がないとおっしゃった。でも、これ、単純な議論じゃないですよ。単に平均値だけでは見れないと、個人差もあると、支出の状況、ライフスタイルによって違うと。極めて正確なこれ叙述じゃないですか。どこにこれ問題あるんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) これも度々申し上げておりますけれども、今申し上げて、今日は初めて、この前のは似たような質問をいただきましたので……(発言する者あり)トーンが同じだからいつも似たように聞こえるのかもしれませんけど。済みません。
私ども、私どもの感じでは、今の話は、少なくとも今これは書いてある話によってどういう不安が起きているかといえば、世の中は明らかに不足しているという話がわあっとずっと言っておりますから、それではいかにも年金というものが全く立ち行かなくなるような、年金が全然全く駄目なような感じに受け取られるような形の、不安をあおる、誤解を招いたというところが最大の問題と思っていますから、私どもはそういった考え方ではないということを申し上げてきているということであります。
○小池晃君 読み取った国民が悪いんですか、国民。責任転嫁ですよ。
ちゃんと、だって、私、ちょっと金融庁を擁護するつもりは更々ないけれども、いろいろと文句を言われているけど、ちゃんとそういったことについても、貯蓄で対応しますとか、平均値だけでは見れませんとか、個別の状況を見ているんですってちゃんと書いてあるのに、何でこれを、何かとんでもない、もう全く間違っているかのように言って受け取らないという対応はおかしいんじゃないですかと。
大臣、これ、自分の部下が作ったものにもっと誇りを持ちなさいよ。もっと誇りを持ってちゃんと堂々と、だから、誤解があるって言うんだったら、ちゃんと堂々と、誤解はここですって、国民の皆さん、ちゃんとここにこれは書いてありますというふうに説明すればいいじゃないですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 少なくとも、私どもはこういったような形が、いろんなことが書いてあるのは、度々申し上げておりますけど、これも、書いてある内容にいいところもありますし、正しいというところも、私ども賛成しているところもいっぱいございます。
しかし、その上で申し上げれば、今申し上げたような五万円の話と二千万円の話は、著しく誤解を与える結果になっている、不安をあおっているという状況は、我々としてはこれは看過すべきものではない、私どもはそう思っておりますので、少なくとも、こういった話によっていろんな形で不安をそのままどんどんどんどん増長して広まっていくような話は、これは方向としてはいかがなものかと思いますので、一旦きちんとした形でこれは対応させていただいた上で、この話はきちんとしておかないと、少なくともその点だけは、いかにも足りないかのような話だけがずっと話していってしまうというのは、更なる不安をあおるということになりますのは避けたいというのが一番のところです。
○小池晃君 更なる不安をあおるのは避けたいと。しかし、大臣の対応に世論はどう反応していますか。共同通信の世論調査では、麻生大臣の報告書受取拒否表明は問題だと、七一・三%です。毎日新聞では、受取拒否に納得できないが六八%です。産経でも七二・四%は適切でないです。
誤解を解くために、不安を解消するために受取を拒否したんだとおっしゃるけれども、受け取らないという対応がこれ不安や誤解を解消しましたか。現実見てください。今の世論を見たら、大臣の対応は国民の不安や誤解を解消するものになりましたか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今の段階で、私どもは、直ちに、そういう世論調査というものがどれくらい信頼性があるものかよく分かりませんけれども、私どもとしては、今のお答えはお答えとして拝聴させていただきます。
拝聴はさせていただきますけれども、私どもとしては、私の判断としてはが正確だと存じますが、私の判断としては、きちんとした対応として、これは今の段階で受け取った、更に上の金融審議会の方に上がって、総会で上がってきちんとした公文書を更に格付したような形になりますと、私どもとしては不安を更にあおるという結果に招くと、私どもはそう思って、私の判断でそのようにさせていただいたというように思っております。
○小池晃君 さすがに今度の対応が不安を解消した、誤解を解消したとは言えないわけですよ、大臣だって。これ実態として見れば、受け取らないという対応にみんな怒っているんですよ。この中身以前に、こういう財務省の対応、金融庁としての対応に、ここにみんな不信を持っているんですよ。
今後、年金の水準が下がっていくだろう、公的年金ではますます暮らしていけなくなるだろう、これは間違いない事実じゃないですか、ごまかしようのない。赤字と表現するかどうかというのはささいな問題ですよ。本質的な問題ではないですよ。高齢者の生活、平均値で測れない、そのとおりですよ。しかし、多くの高齢者が現実に既に年金だけでは暮らせない実態がある、これはもう紛れもない事実ですよ。やっぱりそういったことははっきり認めた上で、これからの年金をどうするんだということを国民に対して率直に訴えるというのが為政者として取るべき態度であって、これを、もう受け取らないからなかったことにすると。
大臣は、先ほど隠蔽するつもりはないとおっしゃった。しかし、本日、閣議決定、何やりましたか。正式な報告書として受け取らないので、報告書を前提としたお尋ねには答えませんと、そういう閣議決定をやっているんですよ、質問主意書に。結局、隠蔽じゃないですか、これ。こんな対応が国民は納得すると思いますか、大臣。
○国務大臣(麻生太郎君) 今の閣議決定のお話ですけれども、私どもはこれ隠蔽していないと思っておりますのは、少なくともこの種の話は、今まで、従来どおり、金融庁の中ではホームページにもきちんと載せておりますし、そういった意味では、別にその内容を隠しているつもりはありませんし、どこかの政党だかどこかの会社みたいに、きっちりなかったことにというのでもないですよ、私どもは、出ていますから、そのまま。隠してもおりませんし、取り消してもおりませんから、それはそれ自体として残っていますよ。
ただ、これを政府文書としてやるということはしないと申し上げております。
○小池晃君 自民党の国対委員長でしょう、なかったことにすると言ったのは。どこかの政党じゃないですよ。
結局、だって、答弁拒否しているじゃないですか、質問主意書には。何で、じゃ、これ答えないんですか。おかしいじゃないですか。大臣、今、ちゃんと明らかにしていると、ホームページにもあります。だったら、堂々と質問主意書に答弁すべきじゃないですか。これは受け取らなかったんだからお尋ねには答えることを差し控える、これおかしいじゃないですか。この閣議決定、撤回してください。
○国務大臣(麻生太郎君) 撤回するつもりはありませんし、今申し上げたように、受け取らないということになりました以上は、これは政府として金融制度審議会の、親の、審議会だよね、あれ、審議会、金融審議会のいわゆる総会において決定されることもないということだというふうに理解しておりますので、作業文書としてこれは残っているというのは事実でありますけれども、それを政府としての立場としてお答えすることはないと申し上げております。
○小池晃君 もうさんざん答弁しているじゃないですか。この今の記述について言っているじゃないですか。これね、こういうやり方は私は本当に逆効果だと思いますよ、不安と不信、誤解という点ではね。そのことを申し上げたいと思いますし、中身です、問題は。
今回の月五万五千円、二千万円貯金必要というのは、これ公的年金全体ですから、これは厚生年金も含むわけですね、国民年金もちろん含まれます。しかし、国民年金についていえば、現在の平均受給額は、事業年報を見ても月五万一千円ですね。ですから、明らかにもう赤字は月五万五千円じゃ済まないわけです、国民年金でいえば。
資料四枚目見ていただきたいんですが、マクロ経済スライドでこれからどうなっていくのか。自動的にこれどんどん削減されるわけで、五年前の財政検証の数字でいっても、これ二〇四三年まで基礎年金部分は削減が続きます。全体としては二割以上、この表にあるように、所得代替率でいうと六二・七%から五〇%まで下がるわけですから、二割低下する。しかも、マクロ経済スライドによる給付抑制の影響最も大きいのは緑の棒グラフの基礎年金部分です。基礎年金の給付水準が、抑制がより全体よりも掛かってまいります。
厚生労働省、聞きますが、確認ですが、マクロ経済スライドで基礎年金の給付水準は二〇四三年まで低下が続いていって、最終的には今の給付水準よりも三割低下するということでよろしいですね。
○政府参考人(度山徹君) 何で給付を測るかということはありますが、今資料にお示しのあるいわゆる現役の平均的な手取り収入に対する割合という意味でいうと、この表にありますとおり三六・八%から、ちょっとケースによっては微妙に異なりますが、二六・〇%に低下するということになります。
○小池晃君 だから素直に言ってほしいんだけど、三割、約三割、給付水準低下しますね。
○政府参考人(度山徹君) 済みません、算数弱いんでぱっと割り算できないんですが、その程度だと思います。(発言する者あり)
○委員長(中西健治君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(中西健治君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(度山徹君) 大変失礼いたしました。
済みません、にわかに正確な数字をお答えすることが難しいということで申し上げましたが、およそ三割程度になると考えられます。
○小池晃君 あのね、年金担当の審議官が算数に弱いからと、国民の皆さんが今、年金の水準がどうなるのか心配しているときに、国会の答弁で算数には弱いからと言って答える、これほど私、国民を愚弄した話ないと思いますよ。こんな厚生労働省に日本の年金任せておいていいんですか。これ、大問題じゃないですか、こういう答弁が出てくること自体がね、私そう思いますよ。
この金融審議会のワーキング・グループの議事録では、駒村康平委員、こう言っています。これは、六二・七%の所得代替率が、一九七四年生まれぐらいからは五二%、五〇%に下がると。六三%のものが五〇に下がるということは、年金の実質水準が二〇%下がるということだと。特に基礎年金については、対賃金比で三六・八%が二六%まで下がるということは三〇%実質年金が下がるということを意味していると。今のマクロ経済スライドを受けると、社会保障給付の十九万円は、恐らく十五万円ぐらいまで団塊ジュニア世代から先は下がっていくと。月々の赤字は五・五万円ではなくて、団塊ジュニアから先の世代は十万円ぐらいになってくるのではないか、こういうふうにおっしゃっている。
私、このとおりだと思うんですが、これ正確な指摘だと思いますが、厚労省、いかがですか。
○政府参考人(度山徹君) まず、マクロ経済スライドの調整は年金の名目額を下げない範囲で行う仕組みとなっておりますので、これにより年金の額が下がるということはございません。
その上で、人口構成が安定的であれば経済の成長の果実を年金水準にも反映できる、その結果所得代替率がキープできるということになるわけですが、人口構成が変化することに対応するために成長の果実の全てには年金を、に反映せずに、部分的にその人口構成の変化への対応に充てようとする、これがマクロ経済スライドの言わば設計思想ということであります。
御質問にあったような将来の年金水準の計算をされる方たくさんいらっしゃるわけですが、私の理解としては、これは成長の果実の一部を人口構成の変化への対応に充てるという、今申し上げましたマクロ経済スライドの設計思想を抜きにした、言わば静態的な計算になっているというふうに思っておりますので、年金の財政検証の前提とも異なりますし、私どもとしてはこのような計算で将来の年金水準を説明してはおりません。
○小池晃君 駒村康平さんというのは、年金審議会、厚生労働省の審議会にいっぱい出ている有識者ですよね、見識持っている方ですよ。その人が言っていることを頭から全く否定すると。ひどいですよね。これ、本当に、この金融審のメンバーにしても、年金審議会のメンバーにしても、こういう言われ方をしているようなところに、じゃ、出ていって意見言うかということになりますよ。本当に私あきれました。こういうことをはっきり認めないから年金不安というのは強まっているんじゃないですか。
大臣、私、このマクロ経済スライド続けていったら、基礎年金水準、本当にどんどん下がっていく。基礎的な生活、基礎的消費支出にはるかに及ばない、そういう水準になっていくんですよ。だから、駒村さん言っているように、これ、五万五千円の赤字が十万円ぐらいになるとおっしゃっている。そうすると、これ、三十年間になると、これ三千六百万円ですよ。その世代というのは、今四十一歳から若い人ですよ。まさに就職氷河期世代ですよ。その就職氷河期世代の人が三千六百万円の貯蓄をしようと思ったら、毎月十二万五千円ぐらい貯金しないとやっていけないんですよ。そんなことが今の若い世代にできるわけないじゃないですか。
こういう深刻な数字を抱えているんですよ、政府は。だったら、それをしっかり示して、堂々と国民に対して、こういう年金なんですと、このまま進んでいっていいんでしょうかということを正面から問うべきじゃないですか。
しかも、財政検証を出そうとしない。先ほどからも議論ありましたが、様々なオプションについての試算を行っているため出せないというわけですが、前回、五年前の財政検証のときもオプションやりました。マクロ経済スライドのフル適用、厚生年金の短時間労働者への適用、被保険者の期間の延長、こういうオプション試算もやって六月三日に公表したんですよ、五年前は。
ちょっと政務官に聞くわ、じゃ。この財政検証のオプション試算をやるから時間掛かっているという説明なんですけど、じゃ、その今後の制度改正に関わる部分を除いた、少なくとも今後の年金給付水準を示すために最低限必要なデータは、これはもうあるわけですよね、そろっているわけですよね。イエスかノーかで答えてください。
○大臣政務官(上野宏史君) 財政検証本体の結果について公表すべきというお話だと思ってよろしいですか。(発言する者あり)はい。
前回の二〇一四年財政検証におけるオプション試算、これは社会保障審議会の年金部会等においても改革の必要性や効果についての共通認識を形成する上で非常に重要な役割を果たしたというふうに評価をされています。このように、年金財政の現状と今後の見通しを理解をして、それに基づいて今後の制度改正の議論を進めるためには、財政検証本体だけではなくて、制度改正の議論に資するオプション試算も一体で示す必要があるというふうに考えています。
○小池晃君 いや、だから私が聞いたのは、オプション試算と一体だから時間が掛かると言うけれども、前回はオプション試算もやったけれど六月にちゃんと発表しましたよねと。じゃ、そのオプション試算の部分を除いた、言わば基本的な部分、法定財政検証の部分というか、法定財政検証の中にも制度改正は入ってくるのかもしれません、しかし、基本的な将来の年金の財政の見通しについての最低限必要な基本的なデータはそろっているはずでしょうと。これ、そろっていなかったら大問題ですよ、現時点で。当然そろっているでしょうということを聞いているんです。
○大臣政務官(上野宏史君) 先ほどもお答えをいたしました。制度改正の議論に資するオプション試算も一体で示す必要があるというふうに考えています。
さらに、財政検証本体とオプション試算の相互の数値の整合性の検証など、数値の点検作業を慎重に行う必要があることから、財政検証本体のみを先に出すということは困難であると考えています。
○小池晃君 現在のこの金融審議会のワーキング・グループの報告書も認めない、財政検証も出さない、選挙が終わるまでこのままいくんですか。大臣、これだけ年金の問題に国民の不安が高まっているときに、さっきはそれは厚労省の仕事だからとおっしゃったけど、副総理でしょう。内閣全体の副責任者でしょう、麻生さんは。だったらば、これだけ国民の中で年金に対する将来不安が高まっているんだったら、これは直ちにやっぱり発表すると、少なくとも選挙の前に出すと。
昨日、自民党の全国幹事長会議で安倍総理は、もう年金の財政は確固たるものであるというふうに言っているんですよ。だったら、堂々とこれやればいいじゃないですか。そういう指示を、これは財務大臣でも金融担当大臣でもいいんですけど、副総理としてやっぱりきちんと内閣に、政府にこれは求めるべきじゃないですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、この年金の問題というのが非常に大きな問題であるのは、これははっきりしておりますんで、これは厚生労働省としてもきちんとした対応をするべく今努力をされておられる最中なんだと思っておりますんで、私どもとしては、少なくともこの年金の話というのは、少なくとも年金制度というのは、現在の年金制度に変えさせていただいて、平成十六年度の改正でやらせていただいてきちんとしたものができ上がったと、私ども自身は基本的にそう思っております。
その上で、今いろんなものを足して計算をしているという最中でありますんで、それに少々時間が掛かるのは、なるべく早くするべきというのは、これは皆そう思った上でなおかつ時間が掛かっておるという実態でありますんで、これをなるべく早くやるようにということは、言えばいいというものじゃありませんので、きちんとした対応を目下厚生労働省でしているものだと思っております。
○小池晃君 やっぱりなるべく早くじゃ駄目でしょう。だって、参議院選挙という、これはもう期日が決まった国民の審判を仰ぐ選挙があるわけですよ。その中でやっぱりこの問題をちゃんと議論できる土台をつくるのは、私は政府の責任だというふうに思いますよ。
選挙までに出させると言ってください。
○国務大臣(麻生太郎君) 厚生労働省の中で真剣に議論をしていただく中で、選挙前にできるかできないかは、私の段階で申し上げる段階にはないと存じますが。
○小池晃君 こういう対応が不安をあおると、私はもう一回申し上げたいと思います。
そして、誤解を招くから、誤解を招くから報告書は受け取らないと言うけど、私は、はっきり言って、一番誤解を招いているのは百年安心だと思いますよ。今日だって大議論になっているじゃないですか、百年安心の意味をめぐって。みんな言うことが違うわけですよ。国民の多くは、やっぱり百年間安心して年金で暮らしていけるというふうに受け取っているんですよ。いや、そうではないんだと、これは年金の財政が維持できるんだというだけの話なんです、ということなんですというふうに説明するわけでしょう。
大臣、やっぱり百年安心という言い方はもうやめた方がいいんじゃないですか。麻生さん、百年安心という言葉こそが私は金融庁の報告書なんかよりよっぽど不安をあおっていると、誤解を招いていると思いますよ。もう百年安心という言い方は政府としてはやめるというふうにしてくださいよ。どうですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 百年安心というネーミングが気に入らぬという話ですね、今のお話は。百年年金、年金という名前はもう少し別の名前にした方がええと。どういう名前が御希望なんだか分からないので、私もちょっとお答えのしようがないんですが。
少なくとも、百年の年金という、安心とかいう言葉がいろいろと誤解を招いているというようなお話だと思いますが、私どもは、少なくとも平成十六年度の改正というものによって現役世代の負担が、平成十六年以前のものですと、先ほども申し上げましたように、少なくとも今までのやり方は、給付額を決めた上で必要な負担水準を決定するというやり方では少子高齢化の時代に合わないということで、いろいろ御議論をいただいて、まずは負担を固定して、その範囲内に収まるように給付水準を決定するという方式に変えさせていただいたのが平成十六年ですよね。そのときに百年というものの話が出てきたんだと、私の記憶ではそうなんですけれども、そういったものに合わせてやらさせていただいたんだと思いますが、そのときにマクロ経済スライド等々のものをいろいろやらせていただいたというのは御存じのとおりであります。
少なからず、現役世代の平均の年間手取りというものの約五〇%以上を収入で確保すると、その上で、私どもとしては五年ごとに財政検証も加えて、今後おおむね百年間の見通しを確認することとされております、五年ごとの検証で。
その御指摘の百年安心を、このように公的年金制度の持続可能性というものをしっかり確保されているということを示すものと、私どもはそう理解をしておりますので、引き続きこうした趣旨を皆様に理解していただけるように、丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○小池晃君 だから、そういうふうにくどくどと説明しなきゃいけないような言葉はもう使わない方がいいんじゃないですかと言っているんですよ。気に入る、気に入らないの話じゃないんです。百年安心というのはこういう意味なんですということをあれこれあれこれ言わなきゃいけないというのは、さっきの金融審議会の報告書の記載がどうのこうのよりよっぽど誤解を生むんじゃないですかと。
だから、私は、こういうふうに変えろとか、ああ変えろと言っているんじゃない。百年安心という言い方はもうやめた方がいいんじゃないですかと。大臣自身が、自民党の席からもそうだという声が出ていますよ、大臣だって、総理のときに、麻生さん、総理のときに、政府として公式に百年安心をうたったことはありませんと言っているじゃないですか。
だから、もうこの際、百年安心なんて言い方はやめて、もうちょっと正直にきちんと説明するようにしたらどうですかと言っている。イエスかノーかで答えてください、大臣の政治家としての見解。
○国務大臣(麻生太郎君) 内閣総理大臣のときは、この前の制度、平成十六年以前の話でしたよね、あれは。(発言する者あり)大臣だと、総理大臣と言われましたから。違うでしょう、副総理として言った話になっていませんか。
総理のときはこっちの、上の、十六年以前の話ですから、ということを申し上げているんですが。百年という言葉、今言われましたんで、私どもはそう思っておると申し上げているんですが。
○小池晃君 私が指摘したこの政府として公式に百年安心をうたったことはありませんという答弁は、これ二〇〇九年ですよ、二〇〇九年。二〇〇九年四月二十七日の参議院本会議ですよ。
だから、だから、まあ大臣としてはもう、政府としては、公式に百年安心言っていないというんだから、この際、だってこれだけ議論になっているんだからもうやめた方がいいんじゃないですかということを言っているわけです。いかがですか。やめた方がいいんじゃないですか、百年安心。
○国務大臣(麻生太郎君) これを今、私、私の一存で百年安心という言葉を取り下げるということを希望されておられるんですか。
ああ、そういうことはいたしません。
○小池晃君 本当に何かもう嫌になっちゃいますけどね。
だから、こういうことこそ私は国民の年金不信をあおっているというふうに思いますよ。
やっぱり、これだけの問題があるんであれば、きちんとこれを国民に対して示して、こういう年金制度のままでいいんだろうかということを正面から問うべきなんですよ。私は決算委員会でそう言ったんです、総理に。やっぱりこんな頼りにならないような年金のままでいいんですかと。やはり今、富裕層に対してきちんと負担を求める、あるいは大企業、法人税についてきちんと負担を求める、そういったことで年金財政立て直すということをやるべきじゃないですかと言ったらば、安倍総理は、日本経済は相当のダメージを受ける、全くばかげた政策だと、こうおっしゃったんですね。
そうですか。私は、こんな景気後退局面で消費税を上げることこそばかげた政策だというふうに思いますよ。日本経済に相当なダメージを与えるわけですよ。
しかも、私が言った金融証券減税の問題なんかは、今日も最後に資料入れてありますけど、一億円、所得一億円を超えると所得税の負担率が下がっていく、逆転現象があるじゃないかということは、繰り返し、大門議員なども繰り返し指摘をしてまいりました。与党からもありました。
このグラフ自体は、このグラフ自体は財務省が作ったわけでしょう。このグラフは財務省作ったんですよ。作ったんですよ。だから、何でこれを、私は安倍首相から、信憑性がないとかばかげた政策だと言われなきゃいけないのか。与党からも出ている、財務省だってこれやる必要があるって言っているでしょう。どこがばかげた政策なんですか。
やっぱり、根本的に税制の在り方、社会保障の在り方、考えるときなんじゃないですか、今。そういう議論をやりましょうよと、この報告書をしっかり示して。どうですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 総理の話になっておりますけれども、所得税の最高税率を引き上げることで、たしか七兆円でしたか、何か出せるという話でしたよね、あのときは。私のあのときの記憶で、たしかそんな話をされておられたんで、ちょっと確実な記憶じゃないんですけれども。
私どもとしては、少なくとも、法人税とか所得税とか、いわゆる企業行動とか個人の経済活動に与える影響というのを考慮しないでいわゆる増税を行えば、これは経済が萎縮して税収も下がりかねないのではないかというのが基本的な考え方なんだと思っております。
その上で、我々としては、企業のいわゆる法人税の話をさせていただければ、間違いなく積極的な賃金引上げとか設備投資とかいうようなことに取り組んでいただいていると、そういったところでは成長志向の法人税改革に取り組んできておりますので、租税特別措置を縮減するとか削減したり、また、廃止等による課税ベースの拡大によって財源はしっかり確保してきていると思っていますよ。
そして、所得税につきましては、再分配機能ということなんだと思いますが、これは最高税率も引き上げましたし、また所得税の基礎控除の見直しもしましたし、また金融所得課税の見直しも一〇%から二〇%になっておりますし、など取組は既に講じてきたんだと思っておりますので、私どもは、今後の税制の在り方というまでは、確かにいろいろ改正を見極めていかなきゃならぬところはいっぱいあるんだとは思いますけれども、私どもは、今の経済情勢を踏まえつつ、検討する必要があるというものにつきましては検討していくのは当然のことだと思いますけれども、今御指摘のように、所得税を、法人税を、何とか税を直ちに引き上げろという形を考えているわけではありません。
○小池晃君 そんな乱暴な話をしているわけではありませんので、この続きは予算委員会でやりましょう。
やっぱり今日の議論をやって、予算委員会やらなきゃ駄目だということをつくづく感じましたので、よろしくお願いします。
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