赤旗2019年2月21日付
東日本大震災発災8年を前に、日本共産党の小池晃書記局長・参院議員、岩渕友参院議員らは19日、岩手県の自治体関係者らと懇談を重ねました。津波で大きな被害を受けた陸前高田市の戸羽(とば)太市長、大船渡市の戸田公明(きみあき)市長との懇談では土地利用、交通確保、復興財源などの課題が出されました。
陸前高田市は津波で約半数の家屋が被害を受け、うち93・6%が全壊。1700人を超す死者が出ました。山に面して平地が少なく、その平地の大半が被害を受けたため、大規模な土地のかさ上げ、区画整理事業を行いました。
戸羽市長は「区画整理は時間がかかる。希望していた人が待ちきれず民有地を確保して移転してしまい、その結果空き地ができてしまう。一日も早く無駄のない土地活用ができる制度を編み出さなくてはいけない」と強調。また、「被害が大きかった地域なのに、政府の文書で『復興が遅れている地域』と表現されることがあるのはつらい」と話しました。
戸田・大船渡市長は被災地を全て買い取ることはできず、市有地と民有地が点在するなかで有効活用が難しいことを説明。住民合意で貸し付け、譲渡を進め、大規模なイチゴ農園ができる事例も紹介しました。
国の支援延長を
交通確保は深刻な課題です。大船渡市は要望書で、「地方の少子高齢化→公共交通縮小→少子高齢化の進行」という「負のスパイラル」に陥っていると指摘しています。
戸羽・陸前高田市長は「町のはずれにいるお年寄りにとって町の中心部にいって集まりに出たり、買い物をしたりすることで元気になる。交通確保は生きる権利で地方任せにすべきものではない」と指摘。同時に公共交通だけに頼るのは限界があり、住民同士の「支えあい交通」が必要で、そのためには過疎地の事情を考慮した対策が必要ではないかと問題提起しました。
政府が復興期間を2020年度末までの10年間としていることに関連して、財源確保の要望も両市からだされました。陸前高田市は仮設商店街への助成が来月末までとなっていることにも触れ、地域の実情に応じ、補助金等の申請、運用の延長を求めています。
深刻な人口流出
人口減少、労働力不足も深刻な問題として共通して出されました。
戸田・大船渡市長は大都市と比べ、地方の所得が少ないことを変えないと人口流出は止まらないと話しました。小池氏が「中小企業を支援しつつ全国一律の最低賃金を確立すれば、これほど効果的な政策はない」と指摘。戸田氏は「韓国でも全国一律最賃を導入した。日本でもやってもらえると助かる」と応じました。
小池氏は「被災地の被害については、最も困難なところを基準にして対策を考えるべきだ。要望をふまえ、政策的にも検討し、被災者支援に全力を尽くす」と強調しました。