赤旗2019年1月23日付
日本共産党の小池晃書記局長は21日夜放映のBSフジ番組「プライムニュース」で、28日から始まる通常国会での焦点や内外の政治課題について司会者の質問に答えました。
国政の根幹にかかわる問題
厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査について問われた小池氏は「ルール違反が10年以上も放置されてきた。しかも、賃金だけでなく、労働時間の統計でもあり、『働き方改革』の議論の前提も崩れる」と強調。司会の松山俊行フジテレビ報道局解説委員も「なるほど」と声を上げました。
2004~11年のデータがすべて廃棄された問題も示し、「入力したデータは意図的に消さないとなくならないはずだ」として、真相を徹底解明すべきだと主張しました。
「アベノミクス効果」の雰囲気のなかで、賃金が上昇したようにデータを補正したのではとの問いに小池氏は、昨年6月の21年ぶりの賃金上昇との発表には、“実感からみてもおかしい”との声が出ていたとして、それにもかかわらず、自民党総裁選で「史上空前の賃上げ」を誇った安倍晋三首相の責任にも触れ、「アベノミクスがうまくいっているかのように、実際とは違うデータを基に議論していたのなら、国政の根幹に関わる」と強調しました。
また、根本匠厚労相が昨年12月20日に「不適切」調査の報告を受けながら、翌21日には不正なデータをそのまま発表し、19年度予算案を閣議決定したと指摘。「基幹的データに問題があると知りながら、閣議決定に“待った”もかけず賛成した。それが結果として閣議決定した予算案を修正する前代未聞の事態になった。厚労相の責任は必ず問われる」と強調。昨年1月のデータ補正当時の加藤勝信厚労相(現自民党総務会長)も国会に招致すべきだと述べました。
10%実施なら深刻な事態に
小池氏は、昨年7~9月期の国内総生産(GDP)をみると、消費、設備投資、輸出、公共投資がすべて下落し、英国の「合意なきEU(欧州連合)離脱」が強行されれば、世界経済はリーマン・ショック並みの打撃を受けると言われているほか、“米中貿易戦争”の本格化への懸念や、中国国内の需要減速などを示し、「こういう状況で10月に消費税10%に増税したら、くらしも経済も本当に深刻なことになる。増税は中止すべきだ」と訴えました。
「2島で決着」外交姿勢批判
22日からの日ロ首脳会談での領土交渉の見通しについて小池氏は、「歯舞群島と色丹島は千島ではなく北海道だから、2島先行返還はありうる」としつつ、「その段階で平和条約を結んでしまったら国境線が画定してしまい、それ以上の領土はまったく返ってこなくなる。これでは『2島先行』ではなく、『2島で決着』だ」と警告。日ロ外相会談でラブロフ外相が、第2次世界大戦で「南クリル」(北方四島)を獲得したと主張したのに、河野太郎外相が明確に反論した形跡がないと指摘し、旧ソ連のスターリンが領土不拡大原則を破って千島を占領した不公正もたださず、反論もしない外交姿勢では「解決の道は開かれない」と批判しました。
今年の決意を問われた小池氏は「政権奪取」と書き込んだフリップを掲げ、「“サヨナラ安倍政治”の年にする」と発言。「ウソ、偽りがこれだけまかり通る政治はいままでなかった」「市民と野党で新しい政権をつくる出発点にする」と表明しました。
視聴者から、「共産主義の実現」の追求など「共産党らしさ」を求めるメールが。小池氏は「すぐに共産主義に進むのではなく、いまの資本主義のもとでまともな社会をつくると言っている政党だが、共産党らしさを失ってはいけない。共産党しか言えないことを言っていくことが、逆に野党の共闘にしっかり筋を通し、“心張り棒”を入れる役割になる」と応じました。