赤旗2018年12月4日付
日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党、参院会派「沖縄の風」の7野党・会派の議員は3日、国会内で記者会見し、失踪外国人技能実習生への聴取票を閲覧・集計した結果、2892人(重複22人分含む)のうち、67%の1939人が最低賃金を下回っていたと発表しました。外国人労働者受け入れ拡大の出入国管理法改定案の審議の土台は崩れたと指摘しました。
野党は、衆院法務委と参院予算・法務委での閲覧に限定されたもとで、分担して書き写した聴取票を集計。月額給与と労働時間から時給を算出し、全国で最も低い宮崎・沖縄両県の最賃時給714円(16年)と比較。集計の結果、過労死ライン(月80時間)を超える残業をしていた人が1割に上ることも分かりました。
会見で日本共産党の藤野保史衆院議員は、「黒塗り部分にも重要な情報がある。引き続き、聴取票の提出を強く求める」と強調。国民民主党の山井和則衆院議員は「『より高い賃金を求めて失踪する者が3分の2』との法務省の見解は虚偽だった。うそがばれないよう野党に手書きさせ、その間に法案を衆院で通過させたのは本当に悪質だ」と批判しました。
日本共産党の仁比聡平参院議員は「政府はこれまで、失踪について『より高い賃金を求めて』『実習生の意欲が低い』との評価を下してきたが、ねつ造だったことが明らかになった」「これは氷山の一角だ。保証金や借金に縛られ、失踪者と同様の実態で働き続けるしかない実習生を『特定技能1号』で使い続けるのが、今回の改定案だ」と批判しました。
立憲民主党の有田芳生参院議員は、法務省発表の集計結果(最賃以下22人)と大きく乖離(かいり)しており「法案審議の前提を欠いている」と強調しました。
徹底追及する
日本共産党の小池晃書記局長は同日の記者会見で、「労働法がまったく守られていない実態が明らかになった。政府は、これらが明らかになることを恐れて、資料の配布をしなかったのではないか」と指摘。「いよいよ外国人技能実習制度の問題点が明らかになった。徹底的に追及していきたい」と表明しました。