○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
社会保険労務士法ができて四十六年、中小企業などのコンサルティングでは不可欠の業務になっており、また二〇〇七年にはADR法に関連して特定社会保険労務士という紛争解決手続代理業務などの拡大が図られて、資格試験はいつも高倍率だというふうに聞いています。今回の改正を機にそうした役割をしっかり果たしていただきたいという立場、同時に懸念を持つ点も含めて質問をしたいというふうに思います。
最初に、労使関係のADRに関わって厚労省に。
労使紛争については、これは裁判、労働委員会など非常に長時間掛かるということで、法務省の労働審判、それから厚労省の個別労使紛争解決制度、そして社会保険労務士が行う労働紛争解決センターがございます。
労働審判については、二〇一三年の受付・既済件数が三千六百十二件で、調停成立等が二千七百九十八件、七七・五%と聞いておるんですが、個別労使紛争解決制度及び社労士の労働紛争解決センター、それぞれのメリットは何か、そして直近のあっせん件数、解決件数はどれだけか、お答えください。
○政府参考人(岡崎淳一君) 都道府県労働局が行っております個別労働紛争解決制度でありますが、これは法律に基づきまして行政機関として行っているものでございます。手続は迅速、簡便であるということ、無料であること、そして非公開で行うということでありますが、任意の制度でありますが、紛争当事者間の調整を行いまして、話合いの促進によって解決を図っているというものでございます。
件数でありますが、二十五年度におきまして五千六百八十八件のあっせんを処理しております。
このうち、合意が成立したものは二千二百二十五件でございます。
一方、社会保険労務士会の行っています労働紛争解決センターでございますが、これも基本的には手続は迅速、簡便で非公開で行うということでありますが、特に特定社会保険労務士の専門性を活用して紛争解決を行っているというふうに理解しております。
これは、平成二十年度以降二十五年度末までの件数でありますが、四百五十八件のあっせんを処理して、このうち百七十三件で合意が成立したというふうに認識しております。
○小池晃君 今数字をお示しいただきましたように、労働紛争解決センターは取扱いも解決も、その件数はこれだけ丸めてこの数字ですから非常に少ないわけですね。
提案者にお聞きしたいんですが、ちょっと先ほどから質問続いているので、一問目はちょっと、何で特定社労士が単独で代理できることの上限を六十万から百二十万にするのかということは、これはちょっともう答弁ありましたのでお聞きいたしません。
今の厚労省の答弁にもありましたように、紛争解決センターが開設された以降の受付件数が四百五十八件ということで必ずしも多くない。それはやっぱり六十万円という目的額の上限、これもあると思うんですね。
提案者にお聞きしますけれども、例えば、今まで未払賃金とか未払残業代など実際に解決する際に六十万円以上でセンターによる解決が困難になったような場合は、最初から受け付けないのか、それとも途中で断るのかなど、どういう対応になっていたのかということと、今回上限を百二十万とすることでこういう点についてどのような改善が図られるとお考えなのか、お聞きをしたいというふうに思います。
○衆議院議員(森英介君) 現在、紛争の目的額が六十万円以上の場合は、代理人を付けずに本人単独で行うか、又は社会保険労務士と弁護士との共同受任を行うことにより対応することになっているわけでございますけれども、全国社会保険労務士会連合会によりますと、労働者の月平均の所得が四十万円ぐらいで、給与三か月分くらいで争う紛争が増えており、上限額を百二十万円とすることにより、そうした紛争を特定社会保険労務士が単独で扱えるようになります。これによりまして、社労士会労働紛争解決センターに申立てがあった紛争事案の全体の四分の三程度をカバーすることができるようになります。
ちょっと、先ほど委員御指摘の受付件数が四百五十八件で必ずしも多くないということと解決目的額の上限が六十万というその関係については、私はちょっと意味が理解できないんですけれども。
○小池晃君 いや、そこを聞いているわけじゃないんですよ。通告していますよね。そのことを聞いたわけじゃないんですけど、今までどうなっていたのかということと、百二十万にすると具体的にはどう変わるんですかということを聞いているんです。
○政府参考人(岡崎淳一君) 今、社会保険労務士会の行っています紛争解決センターでありますが、これ自体の受付の金額の上限はありません。
したがって、六十万を超えていてもセンターとしてはできます。ただ、社会保険労務士が単独で代理人になれませんので、だから社会保険労務士としての専門性を生かせるかどうかという問題があるということだろうというふうに考えております。
○小池晃君 提案者、それでよろしいですか、事前に通告した中身との関係で。
○衆議院議員(森英介君) そのとおりです。
○小池晃君 今回の法案について、今言ったような業務拡大の面もあるわけですが、労働団体からは、これは法改正を性急に行う必要があるのかという疑問が出されております。これはもう、連合、全労連、そして労働弁護団からも出されているわけです。
例えば、全労連などは、ワーク・ライフ・バランスの実現など働くルールの確立のために活動する社労士がいることも知っていると。しかし一方で、ブラック企業など悪徳経営者の側に立ち、又は経営者を唆し、残業代不払や労働条件の乱暴な改悪、不当労働行為に社労士が介在している事例が多いことも事実である、そうした事例が多い背景には、社労士の仕事がそもそも企業側の依頼で行われることが圧倒的だという事情があると考える、同時に悪徳社労士に対する内部自治の弱さも指摘されると、こんな指摘もあります。
そこで、厚労省に、ブラック企業対策というのは厚労省も必要だというふうにお考えだと思うし、いろんなこともやられていると思うし、ブラック企業の違法行為に加担する者はもう誰であれそうした行為は厳格に対応すべきだと思うんですが、厚労省にお聞きします。社会保険労務士法の第二条の「社会保険労務士の職責」では、「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。」と規定をされているわけであります。
この社労士法第二条で言う「公正な立場」をどのように確保するのか、この点についての労働組合などからの懸念に厚労省としてはどう応えるのか、具体的にはどう対処されているのかも含めてお答えください。
○政府参考人(岡崎淳一君) 今先生がお読みになりました社会保険労務士の品位の保持の規定、これは非常に我々としても重要だというふうに認識しております。
これ、具体的には、社会保険労務士につきましては、全国社会保険労務士会連合会が行います倫理研修、これ五年ごとに受講を義務付けているということでございます。こういう中で、この規定につきましてもしっかりと社会保険労務士の方々に理解していただくというのが重要だというふうに思っていますが、なお、今御指摘のようなこともあるというようなことでございますので、この倫理研修が更にしっかりと行われるように私どもとしても社労士会の方と話をしていきたいというふうに考えております。
○小池晃君 先ほども津田理事の方から紹介されたような事例もあるわけで、やはりこれは大事な課題だというふうに思うんですね。
あわせて、厚労省、懲戒処分、先ほど五年で二十六件という御答弁ございましたけれども、今年十月までだと三十三件だというふうに聞いております。主な懲戒の理由というのは一体何なのかということ、それから全国社会保険労務士会連合会の苦情相談窓口にはどれだけの苦情相談が寄せられているのか、厚労省として把握しておられますか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 社会保険労務士の方々の懲戒の理由でございますが、一番多いのは雇用関係の助成金等の申請におきまして虚偽の記入、記載があったというようなものが多いということでありますが、それ以外に、労働基準関係の就業規則でありますとかあるいは労使協定の関わりの中で虚偽等の話があるというふうなものもございます。そのほか、いわゆる一般的な社会的な信用失墜行為というものも若干でありますがあるというふうな状況になっております。
それから、社会保険労務士会の苦情処理の関係でございますが、平成二十二年度から二十四年度までで二百十八件の申立てがあったというふうに聞いております。
○小池晃君 今、聞いておりますという答弁あったんだけど、これ、事前に聞いたらば把握しておられなくて、質問通告したら改めて確認したと聞いているんですけど、そういうことですね。
○政府参考人(岡崎淳一君) おっしゃるとおりで、確認した結果でございます。
○小池晃君 やっぱり制度的にこういうのをしっかり把握しないと私はいけないと思うんですよ。
先ほどからもいろんな事例も出ているわけでね。
二百十八件もあったということだったら、これはやっぱりきちっとこの中身も含めて分析を厚労省としてもすべきだというふうに思います。
社会保険労務士会連合会は、苦情、トラブルがあればそれを受け付ける窓口を持って対応していると。一方で、労働組合のナショナルセンターなどからは様々な問題提起があるわけです。働く現場で共に法律を守って労働環境を良くするため、そのための資格であり、そのための組織である。
だとすれば、やっぱりこういう懸念が起こっていることは極めて遺憾だというふうに言わざるを得ません。厚労省が寄せられてくる苦情とかあるいは相談の実態を正確に把握していなければ、これは対応だって困難になると思うんです。
そこで、最後にお聞きしたいと思うんですが、やっぱりこれは厚労省がしっかりイニシアチブを発揮をして、全国社会保険労務士会連合会とそれから労働組合の双方から、現場でどういう問題が起こっているのか、きちっとした聞き取り、あるいは必要な対応ということをすべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 現在、全国社会保険労務士会連合会におきましても都道府県社会保険労務士会における苦情処理体制をより一層明確にするための措置、あるいは都道府県社会保険労務士会と中央連合会との間に定期的な協議の場を設けて情報共有を確実に行うというようないろいろな取組を実施しているというふうには承知しておりますが、こういった取組がしっかりと行われるように厚生労働省としても指導してまいりたいというふうに考えております。
○小池晃君 厚労省として、やはりこの問題、しっかりイニシアチブを発揮していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
外国人技能実習制度について聞きます。
六月に閣議決定された日本再興戦略で、対象職種の拡大、期間の延長の検討が盛り込まれました。
具体的には、実習期間三年を五年に延長し、受入れ業種を介護など六業種に拡大する、職業安定局長の私的検討会が十月末から開かれて、年内にも取りまとめる、異常な速さで拡大、延長が検討をされています。
そもそも、この技能実習制度というのは、現在十五万人が日本に来て実習していますが、開発途上国の人材が日本での実習で得た技術を母国で生かすという本来の目的は形骸化しています。単なる低賃金労働者の供給ルートです。そればかりか、長時間労働、最低賃金以下の労働が強いられ、深刻な人権侵害があると批判が高まり、ようやく二〇一〇年から見直して新しい制度になったけれども、依然として全国で賃金や残業代の未払、最低賃金法違反、旅券の取上げ、戦前のタコ部屋同様の劣悪な宿泊環境、高額な保証金、違約金徴収、パワハラ、セクハラ、もうこういうことが続いているわけです。
実習生が声を上げて行政や労働組合に相談しようものなら、即刻強制帰国。失踪事件も後を絶ちません。過労死や労災などの死亡例が増えているのも重大な問題で、今この国会でも何度も指摘をされています。
厚労省にまず聞きますが、昨年の外国人実習生受入れ事業所数と監理団体数は、それからその中で労働基準監督署が是正勧告した受入れ事業所数と違反率はどれだけか、そして研修事業の窓口となっている国際研修協力機構、いわゆるJITCOが文書指導した受入れ事業所はそれぞれどれだけか、お答えください。
○政府参考人(宮川晃君) お答えいたします。
厚生労働省として把握しております平成二十五年度の実習実施機関数は二万九百七機関、また監理団体数は千八百三十四機関でございます。平成二十五年に労働基準監督機関が実習実施機関に対して行いました監督指導における是正指導の件数は千八百四十四件、また違反率は七九・六%でございました。さらに、平成二十五年度にJITCOが実習実施機関に対して行った文書指導の件数は四百五十五件でございました。
○小池晃君 違反率の過去五年間の推移を見ますと、二〇一〇年から七四%、八二%、七九・一%、そして昨年七九・六%、ほぼ横ばいです。新制度になっても違反の状況は変わっていません。一方で、JITCOが行う文書指導は四百五十五件にすぎません。とても役割を果たしているとは言えない。
法務省に聞きますが、第六次出入国管理政策懇談会分科会が今年六月に報告を出して、そこでも人権侵害や劣悪な労働条件など様々な問題点が指摘されて、今回の見直しはこれらの指摘に対しても十分応えるものでなければならないことは言うまでもないとしております。しかし一方で、延長、拡大の方向も示しています。
法務省に聞きますが、同報告では、現在指摘されている問題点を徹底的に改善するとして、法令上で技能実習制度に関する監理団体の責務を規定する、あるいは外部からの理事、監事の登用や監理団体に対する外部監査の義務化を行うことを検討するとしております。こうした課題はいつまでに具体化、実施するんでしょうか。
○政府参考人(杵渕正巳君) お答え申し上げます。
技能実習制度の見直しにつきましては、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会外国人受入れ制度検討分科会の報告書におきまして、先生御指摘のような内容の監理団体による監督の適正化措置などを提言をいただいております。また、六月に閣議決定されました日本再興戦略改訂二〇一四におきましても、管理監督体制の在り方を抜本的に見直し、二〇一五年度中の新制度への移行を目指すこととされております。
現在、法務省におきましては、制度の見直しにつきまして、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携しつつ作業を進めており、昨十日には法務省、厚生労働省で合同有識者懇談会第一回を開催したところでございます。この合同有識者懇談会では、広く各界の有識者に御議論をいただき、十二月上旬を目途に検討結果を取りまとめていただくことを予定しております。今後、同懇談会での検討結果をも踏まえ、所要の法改正等について検討し、二〇一五年度中の新制度への移行を目指して作業を進めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 ちょっと、まともな検討をしているのかなと思いますよ。
だって、この拡大、延長という話というのは、これは今のような実態をちゃんと検証してからのはずであって、それを一体に進めているわけですよね、今。やっぱり私は、現行制度を徹底的に検証して、人権侵害などを根絶して初めて拡大とか延長という話は俎上にのせるべき話だと。こういった形で乱暴に拡大、延長する議論をするというのは言語道断で、法と正義が泣くと私は思いますよ、こんなやり方は。
その他の見直し案というのを見ても、例えば公的機関による監視体制の強化とか、入管、労基署が連携を密にして取締りを強化すると言うけど、今までやるやると言っていたことばかりなんですね。何の新味もない。それから、技能実習生に対する人権侵害行為への対応の強化ということについては、関係行政機関の強化は必要だが、現下の行財政事情等でこれが十分に行えない場合は、行政機関の役割を補完する機関、現行制度においてはJITCOが実効ある監視を行える体制をつくる必要があるというふうに書いてある。JITCOがそれをできないから今日の事態が生まれてきているんだと思うんですよ。
大臣、この検討分科会には厚労省も参加しているわけで、責任あると私は思う。私は、技能実習制度の問題点が、こんな次の通常国会に出すなんという形でのおざなりな検討で、こんな見直しで解決するとは思えない。どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今検討されております制度適正化に係る見直しというのは、もうさっきお話があったとおり、日本再興戦略の改訂二〇一四に基づいているものでございますけれども、これは、労使を始め各界の有識者からの意見を踏まえて取りまとめられた、先ほどの法務省の出入国管理政策懇談会の分科会報告が反映されたものだというふうに認識をしているところでございます。
具体的には、不適正な送り出し機関の排除を含めた送り出し国との政府間取決めの作成であるとか、あるいは新たな法律に基づく制度管理運用機関の設立、つまり、JITCOの今までの、どちらかというと、その管理をするのと推進をするのと混じったようなことがあったわけでありますけれども、そういうところを制度を整理をして、制度管理運用機関を新たに法律に基づいてつくるということなどによって管理監督体制の強化を行うなど、制度の適正な運営を確保するために必要な対策は十分盛り込まれているものだというふうに考えています。今まで全く制度の中で機能していなかった例えば都道府県の役割なども、私どもとしては、都道府県の役割も当然中で出てくる話だろうなというふうにも考えているわけであります。
また、実習期間の延長等の制度の拡充に当たっては、やはりまずは管理監督体制の強化等の制度の適正化を図った上で実施するということにしておりまして、今後とも、この方針に沿って適切に対応してまいる所存でございます。
○小池晃君 まずは適正化と言うけど、だって、それと同時に出しちゃうわけでしょう、拡大の方針をね。それは私は間違いだと言っているんです。大臣、実態に対する認識が私は甘過ぎると、本当にすさまじい事態ですよ。
例えば紹介すると、徳島県の二十六歳の中国から来た女性の話ですが、中国の送り出し機関に一年当たり二十八万円、三年間で八十四万円を納めて来日したと。縫製業で働いている。賃金は月六万円から七万円。朝八時から夜十一時、十二時近くまで、あるいは徹夜して働かされて、残業代が出てもその中から借金した手数料を月三万程度返済するので、月三万円ぐらいしか入ってこない。
休みは月一日程度。寮は六畳に二段ベッドを入れて十人で暮らしている。家賃二万五千円に加えて光熱料の名目で別途差し引かれて、もう全く、最賃どころか本当にひどい状態なわけですよ。幾らひどい扱いを受けても文句言ったら強制帰国になる、借金の残額分が返せなければ国に帰れないということで事実上縛り付けられている。
こういう実態が、技能実習制度というのはもう日本中にあるわけですよ。だから、国連からも、そしてアメリカの人身売買報告書でも奴隷労働だと、そういう厳しい指摘がされているわけですよ。
恥ずべきことじゃありませんか。大臣、今なお人権侵害が続いているようなこの技能実習制度の期間を三年から五年に延長することなど許されるんですか。対象業種の拡大なんてもってのほかじゃないですか。
私は、こんなやり方はおかしいと。もう見直すからいいんだと言うけれども、まずやるべきことは、徹底したこの制度の検証ですよ。廃止も含めて私は考えるべきだ。技能実習制度の廃止も含めた根本的見直しこそまずやるべきであって、それと何か同時並行でみたいな形で拡大する、こんなやり方は許されない。まずはやっぱり徹底的な見直しだと思いますが、それはいかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 我々、今回こういう提案をするに至るまでに、それこそあらゆる関係者からいろいろな話を聞いて、今先生が御指摘になったような問題もお話は聞いております。
例えば、日弁連の方々もおいでをいただきましたし、これは自民党の中でやっているときの話でありますが、まずは。当然法務省でやって、先ほどの懇談会の分科会でも同様に聞いているはずでございますし、だからこそ、今回この新たな法律に基づく制度管理運用機関を設立をして、ここに立入検査権とかいろいろな形の今までにない強力な監督機能を付与して、それでこういう問題が起きないようにするということでもあり、また先ほど申し上げたように都道府県の役割を明確化するとか、そういうような形であらゆることを考えて、この制度を適正化をし、そして強化をした上で今回の拡充に当たっての道行きを正していきたいというふうに考えているところでございます。
○小池晃君 じゃ、適正化やってくださいよ。徹底的に見直すんですよ。その結果、なくなったというふうに言える状況になって、じゃ、初めてこの次の議論になるわけで、これおかしいですよ、このやり方は、議論が。余りにも拙速だと私、思う。しかも、介護にこれを拡大する、これちょっと信じられない。
日本再興戦略ではこれだけ問題がある中にあえて介護職を含める、その理由は何ですか。その目的には介護人材不足の解消ということも含まれているんですか。
○政府参考人(田中茂明君) 日本再興戦略改訂二〇一四では、今委員からも御指摘がありましたとおり、産業競争力会議における議論などを踏まえまして政府として閣議決定したものでございます。
産業競争力会議では、民間議員から技能実習の対象職種の追加に関しまして、介護分野等のサービス業など、今後海外における人材需要が増加することが見込まれる分野へとその対象を拡充する方向で見直しを進める必要があるなどの指摘がなされました。
なお、法務省の第六次出入国管理政策懇談会外国人受入れ制度検討分科会におきましても、技能実習制度の見直しに当たっては、技能等の修得、移転といった制度の趣旨に、目的に一致した受入れとなるよう改正することが必要である等の指摘もございました。
こうしたことも踏まえまして、日本再興戦略改訂二〇一四におきましては、外国人技能実習制度については、国際貢献を目的とするという趣旨を徹底するため、制度の適正化を図るとともに、対象職種の拡大などの抜本的な見直しを行うとしておりまして、対象職種につきましても、国内外で人材需要が高まることも見込まれる分野、職種のうち、制度趣旨を踏まえ、移転すべき技能として適当なものについて追加していくこととされたところでございます。その上で、介護分野につきましては、日本語要件等の質の担保等のサービス業特有の観点も踏まえつつ、年内をめどに検討し、結論を得るということが盛り込まれたところでございます。
○小池晃君 今の説明聞いたって、何のために介護に拡大するのか一言も言わないわけですよ。会議で長谷川何がしっていうのが言ったからやっているってだけの話です、今のは。全く根拠ない話ですよ、これは。
介護に求められているのは、身体介護のみではありません。認知症へのケア、予防からターミナルケアなど幅広い。介護には十分な教育と高度の専門性が必要です。単純労働と呼べるようなものではありません。この長谷川何がしがこれ拡大しろなんということで簡単にやっちゃいけないことですよ、これは。単に知識だけじゃ駄目なんです、これは。日本語によるコミュニケーション能力もちろんですが、日本の風土、文化、様々な価値観共有してこそ、私は要介護者と家族と心の通い合う介護ができるはずだというふうに思いますよ。
厚労省は、こんな議論を私、許しちゃいけないと思うんです。厚労省としては、究極の対人サービスですよ、介護というのは。こんな分野に人権を軽視するような実態がはびこっている外国人技能実習生を流入させて、介護サービスの質が担保できるとお考えなんでしょうか。介護を受ける人の生活、人権、生命が守れると考えているんでしょうか。じゃ、守れるっていうんだったらその根拠を示していただきたい。
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今御指摘ありましたように、介護分野につきまして、技能実習の対象職種を拡大するということにつきまして、本年六月の改訂日本再興戦略におきましては、日本語要件等の担保、そういったサービス業特有の観点を踏まえながら、年内に検討し、結論を得るということが決められております。
そこで、厚生労働省といたしましては、介護人材の受入れの在り方に関する検討会、これを設置をいたしまして検討を進めているところでございます。この検討に当たりましては、先生御指摘のように、介護は対人サービスでございます。また、公的財源に基づいて提供されるものである、こういったことを踏まえまして、介護サービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること、これに留意して検討を進めることとしております。
今後、こうした点を踏まえまして、予断なく検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○小池晃君 だから、できるんですかと言っているんですよ。対人サービスって認めたわけじゃないですか。それが外国人、今これだけ批判されている、この実態が、入ってきて守れるんですかと。
介護労働者の労働条件の改善というのは喫緊の課題だというふうに厚生労働省だって言ってきましたよね。外国人技能実習生を参入させることで、じゃ、厚労省がこれまで労働条件改善だと言ってきたことが達成できるんでしょうか。介護従事者の労働条件を悪化させる危険性はないのか。(発言する者あり)ないと言うんであれば、ないと与党が言っていますけど、私はそんな根拠全くないと。ないと言うんだったら、厚労省、根拠を示してください。
○政府参考人(鈴木俊彦君) 今申し上げましたように、この技能実習の対象職種の介護分野への拡大、これにつきまして検討会を設けて現在検討を進めている最中でございます。その検討の中では、今御指摘のありました外国人が担いますその業務内容に応じた適切な処遇を確保して、日本人の労働者の処遇とか労働環境の改善の努力、これが損なわれないようにすること、これにも留意して検討を進めることといたしております。
こうした点も踏まえまして、いずれにいたしましても、今後予断なく検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○小池晃君 検討、検討、検討って、検討って三回も言って、どういう検討かも言わないで、検討していますとだけしか言わない。根拠ないわけですよ。これ危ないんですよ、こんなことをやったらば。
結局、介護は外国人の仕事であるというような意識広がってしまえば、これは、日本の若い人が介護で働こうという意欲だって減退することになりますよ。人材不足を加速することになると私は思う。今の答弁聞いても、何の方向性も示さないで全て検討します、検討しますと。これで来年の通常国会に出せるわけないじゃないですか。こんなでたらめなやり方で許されるわけないじゃないですか。
大臣、私は、外国人が介護分野で活躍することを全面否定はいたしません。しかし、その場合だって、きちっとした教育、語学の習得、労働条件の保障があってこその話ですよ。何よりも、やっぱり日本の介護労働者の労働条件が抜本的に改善されて、日本人がやっぱりこの職場で働きたいと思えるような魅力的な職場になってこそ、これが大前提だと。人手不足だから外国人を、劣悪な労働条件でもいいから、こういう議論じゃいけないと私は思う。
厚労省が私は今取り組むべきことは、技能実習制度の拡大ではないと思いますよ。まず、この技能実習制度の問題点を徹底的にただす、うみを洗い出すと。で、その改革をやって、もうこれで大丈夫だという制度にすることですよ、まずこっちは。同時に、介護の方は徹底した抜本的な処遇の改善をする。介護報酬の六%削減なんてとんでもない話なんですよ。それをやっぱりはねのけて、本当に介護が魅力ある職場になるような、その政策的なイニシアチブを発揮するのが厚生労働省の私は仕事だと。
そういう中で、来年の通常国会に技能実習制度に介護分野を拡大する、こんなことは絶対にやめていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 恐らく、自民党でも先生と全く同じ考えの人がいると思います。一方で、いや、やっぱりやるべきだという人もいるわけでありまして、恐らく共通しているのは、介護保険というのは、やっぱり公的な財源で対人サービスを行う大事な制度であって、やはり利用者が安心できる制度にしていかなきゃいけないということでありますので、これについては本当に年末に向けてしっかり議論をして、今のような御意見を出していただいて、それから、先ほどお話がちょっと出ましたけれども、海外からも指摘を時々受けているということも十分踏まえた上で答えを出していかなければいけないと思いますし、また、今先生御指摘のように、日本人の労働者の処遇改善、この努力をまずやるというのは当然のことで、これはもう何度も私もこの場で申し上げているとおりで、これはまあ、言ってみれば喫緊の課題として、豊かな人材が来てくれるように処遇改善をしていくということはもう当然のことでありますが、しかし、もう一つは、やっぱりこの技能実習というのはあくまでも国際的な貢献で、技能移転をしていくんだという制度の趣旨は外してはならないと。
こういうような連立方程式でもって、同時に最後には答えを出さないといけないというふうに我々はこの再興戦略でもって方向性を示されているわけで、それについて今、厚労省の中の検討会を含め与党の中でも御議論をいただいているんではないかなというふうに思いますし、こうして厚労委員会でも議論していただいていることがまたいろんな意味でインプットになって、最終的な結論になってくるんだろうと思うんで、引き続き御議論を賜りたいというふうに思います。
○小池晃君 連立方程式にしちゃいけないんですよ、別の問題です、これは。連立方程式だからといって一緒に解決するなんということをやったら、私は、介護壊れる。
それから、今おっしゃったけれども、公的なお金が入るからこそこれ大問題なんですよ。今までの技能実習制度はそういうのはなかったですよ。
介護保険という公的なお金が入っていくような仕組み……
○委員長(丸川珠代君) 小池委員、済みません、時間が過ぎておりますのでおまとめください。ありがとうございます。
○小池晃君 それをやっぱり許していいのかという根本問題を問われているということも指摘をして、質問を終わります。
閉じる