2014年11月4日
参院厚生労働委員会
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
まず、岡部参考人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどからも議論あるんですけれども、感染症法案というのは、九八年に制定の議論したときも、やっぱり人権とそれから公衆衛生とのバランス、医療とのバランスをどう取るのかということがずっとテーマになってきた問題です。
私は新しい感染症に対する法的整備が必要だとは思うんです。ただ、今回の法案の中で、検体採取の勧告そして強制的な採取という、そういうことが入っております。先ほど、岡部参考人はSARSのときの例を挙げてそういう措置が必要なんだというふうにおっしゃったんですが、更に突っ込んで、なぜそういう措置が必要なのかということについて御説明をいただければと思うのと、やはりあくまで医療ですから、これはもう根本はインフォームド・コンセントというか、同意を得て採取をするということがなければ、その後の医療の継続にもやっぱり支障を来すと思うので、あくまで基本は同意だと思うんですが、しかし、そういう中でもやっぱりこういう措置が必要だというふうに提言されたことについて是非御説明いただきたいと思います。
○参考人(岡部信彦君) 岡部ですけれども、ありがとうございます。
やはり基本は、医療というのは患者さんとそれから医療をする側との信頼関係がないとできないので、そこに対してインフォームド・コンセントを取り出すまでもなく、きちっとした医療が前提になるというふうには思うんです。
ただ、緊急時のときに、なかなかその信頼関係ができていないときに動かさなくちゃいけないというのが医療の現場の恐らく悩みだと思うんですけれども、先ほど加藤先生もちょっとおっしゃっていたと思うんですが、実際は通常の場では、そういう、強制とかやらないとという法律を持ち出す必要もなく、検査ができ、あるいは治療ができるというのが通常だと思うんですけれども、どうしてもできないというときには、やはりそこには、その方の治療とそれから周囲の方の保護と、それから大衆に広がっていくときのことを考えた場合には、やはり何らかのルールがないと医療の現場としてはそのまま放っておくわけにはいかないだろうというふうに思います。
そこが、強制という言葉は非常に良くない言葉だと思うんですけれども、何らかの裏付けで同意をできるだけいただけるような仕組みをつくっていただきたい。あくまで同意はどんな場合でも前提だというふうにも思います。そこが後は運用の問題になってくると思います。
○小池晃君 今回の法制度というのは、やっぱり同意をいただくために必要な法的な整備をするという理解かなというふうに思うんですが、よく分かりました。
加藤参考人にお伺いしたいんですけれども、今アメリカで、エボラ出血熱の治療に当たって帰国した医療従事者が、症状がないのに患者と接したということのみをもって行動制限みたいなことがあって、いろんな議論を呼んでいると思うんですね。
先ほどのお話にあるように、やっぱり潜伏期間はウイルス量も少ないわけですから、幸いなことに。症状がない場合にこういうことをしてしまうと、やっぱり海外で支援しようという思いにも障害にもなるのかなというふうに思っていまして、やはり人権を制限するような措置をとる場合、いろんな疾病ありますから、それは疾病によって違う場面あると思いますけれども、少なくともエボラについて言うと、やっぱり症状がない段階で一定の制約するということは私は余り合理性がないんではないかなというふうに思うんですが、我が国でやっぱり今後やる場合にその点はしっかり考えていく必要があるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(加藤康幸君) 私も同感でして、支援者が症状がないままで隔離のような状態になるのはやはり科学的根拠も乏しいと思いますし、やはり支援に行く方のやる気をそぐというんでしょうか、そういう面が大きいんではないかと思います。
やはり、潜伏期が三週間ですので非常に長いわけでして、その間特に隔離をする必要はないと思います。
ですから、アフリカに派遣するということは感染のリスクは決してゼロにはできないと思うんですね。支援に行っていて防護具を着ていても感染してしまうことというのはゼロにできない、そういうところを国民としても理解しつつ、支援者を是非応援する立場で支えていただきたいというか、私、実際アフリカに行った立場としましてはそういうふうに感じております。
○小池晃君 ありがとうございます。
それから、先ほど日本が支援すべき中身ということで加藤参考人に質問があったんですけど、ちょっと振り返ってみると、このエボラというのは何も最近出てきた病気でも何でもなくて、「ホット・ゾーン」なんという小説ももう二十年ぐらい前にあって、元々分かっていたわけですよね。このアウトブレークになる前にもっとやっぱりやるべきことあったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その点、現地に行かれて、医療の面での支援だけじゃなくて、先進国、とりわけ日本がああいった西アフリカの本当に最貧国と言えるような国に何をやっぱりやるべきだったのかというか、これからもそうだと思うんですが、実際現地に行かれて、こういう支援が、かなり何か因習的なものというか、亡くなった人をハグする習慣があって、それによって感染するとか、病気に対する理解が広がっていないとか、いろんな問題があるというふうに聞いていますけれども、何かもっとこんなふうになる前にやるべきことがあったんじゃないかと私は思うんですが、その点いかがでしょうか。
○参考人(加藤康幸君) 私も、五月と八月、五月に行っていたときには、リベリアではもう患者さんが発生していなくて、やはりこれまでと同じようにこのまま対策を続ければ収まるというようなちょっと楽観視した考えが現地でもございました。それは事実だと思うんですね。ただ、五月頃というのは今回改正で審議されているMERSですとかあるいはポリオといったようなほかの課題が重要視されておりまして、ちょっと世界保健機関の関心というのも若干ほかの感染症に、これまでエボラというのは大体数百人で収まっていたので、このままいけば収まるだろうというようなムードというんでしょうか、それがあったように感じております。
日本としましては、アフリカで、例えば二国間で協力できることというのはやはり限られているのかなと思いますので、そういうときに、何というんでしょうか、注意喚起というんでしょうか、世界保健機関の枠組みの中でもう少しエボラに対策を強めるというような何か助言というんでしょうか、ちょっと私の方ではそれぐらいしか思い浮かばないんですけれども、ちょっと五月の状況というのはやや現在の事態を想定していない、そういうムードがあったのは事実だと思います。
○小池晃君 ありがとうございました。
それと一点、ちょっと確認したいんです。
先ほど、最初のお話の中でエアロゾルによる感染の可能性ということがあったんですけど、先ほどもちょっと議論ありましたけど、これはもう体液を広範にまき散らすような状況の中で濃厚に接触した場合の話ということで、一般的な飛沫感染とやっぱり違うということだと思うんですが、その点について一応確認をさせていただきたいなというふうに思います。
○参考人(加藤康幸君) 特に、医療行為をするとか、エアロゾル発生手技というのは、SARSのときに気管挿管ですとかそういったことで、体液が飛び散りやすい、そういったときに、冷たいとかそういう五感で感じないような接触においても感染するということで、市中でそういうことが軽々起こるというふうには考えておりません。
○小池晃君 ありがとうございました。終わります。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
新たな感染症から国民の健康を守る措置は私どもも必要だというふうに思っております。そういう立場で質問をしたいと思います。若干、ちょっと質問の順序変わるかもしれません。
今回の法改正で、都道府県知事が検体の採取を勧告することができるという新たな仕組みが盛り込まれておりますが、これはやっぱり厳密でないといけないというふうに思うんですね。
厚労省にお聞きしますが、第十五条三項第一号で規定している当該感染症にかかっていると疑うに足る正当な理由のある者とは、具体的にはどういう者を想定しているんでしょうか。
○政府参考人(新村和哉君) お答え申し上げます。
感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者とは、感染症の患者と接触した者など当該感染症に罹患したことを疑わせる合理的な理由がある者のことでございます。具体的には、感染症ごとの感染様式、感染力の強さ、患者等との接触の程度などを考慮して個別に判断されるものと考えております。
例えば、エボラ出血熱につきましては、患者の体液等に直接接触することにより感染するものでありますので、接触歴がないと分かっており、かつ症状がない場合には、感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由があるとは認められないと考えております。
○小池晃君 今、若干答弁の中にありましたけれども、エボラ出血熱の場合でいいますと、症状がなくても、蔓延国に滞在するだけ、あるいはその患者と接触したという事実のみをもって、例えば医療活動で参加したということをもって感染を疑うに足る正当な理由になるんでしょうか。これはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(新村和哉君) 西アフリカにおきましてエボラ出血熱の患者さんの治療を行った医療従事者というだけで症状がない場合、これは感染症にかかっていると疑う正当な理由にはならないと考えております。
○小池晃君 午前中の参考人でも議論にしたんですけれども、アメリカでは、治療に当たったというだけで隔離病棟に入れるとか自宅に帰っても外出禁止ということが問題になっていて、やっぱりこれは人権侵害であるだけではなくて医療活動にも非常に支障を来すと思うんですね。やはり人権を制約するような場合には、これは慎重な上にも慎重な対応をしていくと。今の答弁でそういったことにはならないということだというふうに私は理解しますが、そういうことだと思うんですが、そのことは強調しておきたいというふうに思います。
あわせて、本人の同意なく強制的な検体採取ということになれば、これはその後の医療の継続に深刻な影響を来すと思うんですね。やっぱり検体採取というのは、強制的にやるのはあくまでもこれは例外的な措置であって、極めて例外的な措置であって、これはあくまでもやっぱり本人の同意を基本にすべきだというふうに思うんですが、今日の午前中の参考人でも、これは同意を得るための措置なんだというような、そういう御説明も参考人からはありましたけれども、私はこれはあくまでも本人の同意が基本だということを確認したいと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(新村和哉君) おっしゃるとおりでございまして、検体の入手に当たりましては、まずは都道府県知事等からの検体提出の要請に対しまして医療機関、本人等から任意で御協力いただくことが望ましいと考えております。
改正法案で、一類感染症などにつきまして新たに設けられる検体採取の措置がございますが、これにつきましても、患者本人ではなく医療機関からの検体の収去を優先させるということ、措置に当たっては、事前の勧告の実施、書面による理由の提示などの手続を踏むといったことが規定されておりまして、実際には医療機関が御本人から検体を採取して保管していると思いますので、それを入手するということができると思っておりますので、こういった規定を発動して本人から検体の採取措置に至るということはせずに入手できると思っております。
○小池晃君 感染症指定医療機関について聞きます。
先ほども御指摘ありましたけれども、NHKのアンケート調査では、八二%の指定医療機関が対応、準備が不十分だというふうに言っているわけで、大臣にこれはお伺いしたいと思うんですが、現状の医療体制は極めて深刻な状態だという御認識はありますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほども出ましたけれども、NHKでアンケートを取られて、この受入れ準備の課題として医療現場の研修や防護服等の備品確保を挙げる医療機関が多かったということは私も承知をしているところでございまして、感染防護を含めて、感染症指定医療機関の従事者によるエボラ出血熱への対応力を向上させて、安心して治療に当たっていただけるようにしなければならないわけで、厚労省としても、先ほどちょっとお話が出ましたが、十月の八日からこの年内に順次全国の十四か所以上で感染防護策の研修を実施する、指定医療機関でですね。これは、こっちから出向いていく理由は、それぞれがそれぞれ独自の施設を持っていたり装置を持っていたりするものですから、やっぱり現場でやるということが大事だということで、国際医療研究センターの方から専門家が出向いてやるということでレベルアップを図っていくということでございました。
それから、先ほど出ました、今月中のいつだという話ですが、私は何しろ早くしろと、こう言っているんです。第一種感染症指定医療機関等を対象に国立国際医療研究センターにおいて、来ていただいて、全国から来ていただいて、それで感染防護策の研修を実施するということを予定をしていまして、これはやはり、もう何しろ可及的速やかにみんなに少なくともミニマムスタンダードのレベルの用意はしてもらうと。
あとは、個人防護具については、これまでも厚生労働省において、感染症に対応する医療機関に対して購入経費を補助しておりまして、感染症指定医療機関でも利用いただくことが可能になっていると。
こういったことで、感染症指定医療機関における準備を我々としては更に強化していきたいというふうに思っております。
○小池晃君 現時点で指定医療機関のない県については、先ほどから議論になっていますが、九県。
九県の空港には全て国際線が就航しております。
やはりこれは、大臣は先ほど全県設置を目指すというふうにおっしゃったんですが、やはり全県設置がこれは基準ですからやるべきことだというふうに思うんですが、先ほど局長は、目星が付いているところはやるけれどもという話あったんですが、目星が付いているところは九県中幾つなんですか。それで、それ以外もこれはやっぱりきちっと設置するということで臨むんですね。そのことを確認したいんですが。
○政府参考人(新村和哉君) 国としても、この指定医療機関がまだ設置されていない九県とは個別にきちんとやり取りをして、現状を把握しつつございます。最新の状況をまた今日、明日にでも把握させたいと思っております。そういう中で、基本的な考え方としてはおっしゃるとおりでございまして、空白県がないように、これは是非とも設置していただくように重ねて要請をしてまいりたいと考えております。
○小池晃君 国立感染研の村山庁舎はバイオセーフティーレベル4の機能を有する施設であるわけですが、一種病原体等取扱施設としての指定を受けておりません。
これは大臣にお伺いしたいんですが、BSL4の大臣による指定に当たっては、やっぱり地元住民、地元自治体に対して十分な説明を行い、理解を得ることを必要だというふうに思っておりますが、先ほど、どうやって理解を得るんだと言ったら、これまで以上に理解を得るんだと、そういう話で、これ三十年掛かっているわけですから、具体的にやっぱりちょっと踏み込んで、きちっと責任を持って理解を得る努力ということはどんなことをお考えですか。大臣としてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) このBSL4施設を稼働させることが極めて重要だということは、繰り返し申し上げているとおり、そのとおりであって、国立感染症研究所の施設は、適合している施設を持っていながら、施設周辺の住民の方々の中には病原体の取扱い等で近隣で実施することに対して不安をまだお持ちだということなので、それは事実でございまして、我々はその心情に十分配慮することが重要だというふうに思っておりますけれども、しかし、既にもう事は西アフリカにおいてあれだけの感染が拡大していることを考えてみると、やはり国内で発生した場合に万全の対策を講じるためにこのBSL4の施設が必要だという認識は更に強めておりまして、地元関係者の理解を得るべく、今事務的にもいろいろな動きをさせていただいておりますけれども、何しろ早く稼働ができるように、地元の関係者にこれまで以上に本当に丁寧に、これ、重要性を説明をし、今こそ、やはりこういう問題が起きているときにこそ御理解をいただくということを更にやっていかなければいけないというふうに思っていて、事務方にはその旨言って指示をしているところでございます。
○小池晃君 私は大臣が直接説明するぐらいのことをやるべき課題ではないかなというふうにも思いますが。
今後の課題ですけれども、これ、フェンス隣は小学校なんですね。特別支援学校も隣接していて、大規模な都営住宅もあるわけですよ。もう三十年たっているんですね、できてから。今後の課題ですけれども、やっぱり現在のような立地条件で、しかも三十年たっているわけだから、もうこれは造り直さなければ、やっぱり東日本大震災の後で不安もあるわけで、私は、やっぱり適切な場所に造っていくということを考える必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、これは質問ではなく指摘にとどめたいというふうに思います。
さて、先ほどちょっと西村委員が質問されたことに関連する、何か連係プレーのような質問になりますが、日弁連が保険医の指導・監査についての意見書を出して、先ほど中身は御説明あって、私も非常に重要な提言だと思って読みました。
大臣は、厚労省としてこれの提言、日弁連の提言、どう受け止めていらっしゃいますか。具体的にもいろんなことをされているかと聞いているんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど既に西村先生から問題提起がありましたけれども、今年の八月二十二日ですかね、日弁連から厚生労働大臣宛てに意見書が提出されたことは前大臣時代にあったということでありますが、承知をしておりまして、この意見書は、指導・監査を受ける保険医等への適正な手続を保障する立場から、現行の指導・監査制度について改善、配慮及び検討を求めているということで七項目、先ほどもありましたが、検討を求められているというふうに思っております。
もとより、保険診療の適正化というのはもう重要な課題であって、指導・監査制度についても、これはやはり保険でありますから厳格な運用が求められることは当然だと思いますけれども、一方で、対象となる保険医の尊厳とか、あるいは事務負担とかデュープロセスの在り方とか、そういったことについては、当然今後とも制度の適正な運用は努めていかなければならないことだというふうに思っているところでございます。
○小池晃君 具体的にお聞きをしたいと思います。
指導当日に資料を持参をするというのは、これは、被指導者側の任意の協力によるものであって、やっぱりその最小限度にすべきだと思うんですね。
指導大綱の実施要領では、指導は原則として指導月以前の連続した二か月のレセプトに基づき行うとされているわけで、したがってやっぱり持参物も二か月ということに限定すべきではないでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) 先生から御指摘いただきましたように、保険医療機関の指導につきましては、指導大綱に基づきまして、指導を行う月以前の連続した二か月の診療報酬明細書に基づき実施するということにしております。その際に、私どもでお願いをしておりますのは、医療材料の購入伝票でありますとか、あるいは一部負担金の徴収の名簿など、こういうものをお願いしておりますが、それはある程度の診療の関連する状況というものを御確認させていただくために、直近の一年分というものの資料をお願いをしているところでございます。
これにつきましては、指導の実効性を確保する上でやむを得ないということでお願いをしたいと考えているところでございますけれども、医療機関の皆様にも御協力をいただきつつ、丁寧な指導の実施に努めてまいりたいと。引き続き改善等、あるいは日弁連の皆様とも意見交換をさせていただきながら検討してまいりたいと考えております。
○小池晃君 一年という御答弁があったので、それ以上のこともやられている実態もあるようですから、まあ一年、私はもっと短くていいんではないかと思いますが、負担軽減するべきだと思います。
それから、指導対象カルテですが、これは以前は実施日のおおむね一週間から十日前だったのが、これ今、医科、歯科とも診療所は四日前に十五人分、前日十五人分なんですね。厚労省は、カルテというのは日常的に作っているんだから、いつ何どき言われても大丈夫じゃないかというふうに言っているんですけど、これは乱暴な話で、やはり保険医というのは日常的に多数の患者の診療に当たっているわけですから、やはり事前に一定の準備期間というのは必要だと私は思います。
今のように前の日に指導カルテを規定するようなやり方はやめるべきで、従前の実施前一週間から十日、ここに戻すべきじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) この治療のカルテの提出につきましては、先生の御指摘のとおりでございますけれども、私どもといたしましては、指導の対象の方には三週間前に指導の実施、その際必要となる書類をお知らせしておりますけれども、実際の提出につきましては、従来は一週間前から十日前に通知していたものを現在は四日前、前日という形になっております。
これは、指導を実効あるものにするという観点から、確かに大変ではございますけれども、やむを得ないものとしてお願いをしたいと考えているところでございまして、是非今後とも丁寧な指導の実施、改善に努めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 大変だと言っているんじゃないですか。大変なことをやっぱり求めるのはやめた方がいいんですよ。指導というのは、先ほどもあったけど、監査と違うわけで、何か不正が前提にあるような、改ざんするんじゃないかみたいな、そういう考え方でやっているとしたらとんでもない話なんですね。これはやっぱり見直していただきたい。
それから、個別指導の中断というのも大問題で、中断となった場合に、指導結果が出ないまま、いつ再開するかも分からない不安定な状態に置かれる。過去、東京の歯科医師がこれを苦に自殺された事件もあります。中断を繰り返しながら長期化するような実態がやっぱりあるんですよ。そういう実態を把握されているかどうか。
もちろん、必要な資料を忘れたということで、中断することがないわけじゃないと思います。ただ、その場合もいつ再開するのかというめどを示す、あるいは中断を繰り返して長期化する、こんなことあってはならないというふうに思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 中断の御指摘でございますけれども、中断の理由は様々あるわけでございますが、指導時にお願いした書類が十分でなかった場合でありますとか、あるいはなかなか十分な回答を得ることができなかったというようなことで、期間内に指導が完了しないというケースがございました。そして、その結果として長期化するというケースがあることは承知をしております。
しかしながら、中断の期間が長期にわたることにつきましては保険医療機関側の相当な御負担ということにもなりますので、私どもといたしましては長期化することはできる限り避けるべきであると考えております。
個々の案件の中には、やむを得ず早期の再開が困難なケースもございますけれども、可能な限り早期に再開し、指導を終了できるように適切な制度の運用に努めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 再開のめどをきちっと示すと、早期に。そこはどうですか。
○政府参考人(唐澤剛君) できるだけ再開のめども示すことができるように運用してまいりたいと考えております。
○小池晃君 最後に、資料をお配りしましたけれども、歯科技工の問題を質問したいと思います。
歯科医療にとって欠かせないのが義歯を作る歯科技工士なんですが、非常に厳しい労働環境の下で、技工士学校卒後五年以内の離職率が七五%に上ると。二十代、三十代の技工士の離職率は約八割と言われています。お配りしたパンフレット、事前にも大臣の方にもお届けするように言ってありますので御覧いただいたかとも思いますが、これは大阪府歯科保険医協会などが行ったアンケートで、週七十時間以上働いている技工士が五割を超える。技工士一人の一人ラボというところでは週九十時間働く人が三割近くもあるという異常な事態になっています。
先日、国会内で集会もやりまして、自民党からも参加者がありました。技工士の方から実態もお聞きしたんですが、大臣、やっぱりこれ実態調査をやるべきじゃないですか、技工士の置かれている現状について。処遇改善の手だて取るべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 調査ということでございますが、その前に、私ども当然地元で技工士の方々とは親しくいろんなお話を聞きながら、会ともお付き合いをいただいて、いろいろな現状、またその働く場にも行って、どういう職場環境で働いているかということもよく拝見をしているわけであります。
問題意識は、我々も自民党の中に議連がちゃんとありまして問題をよく聞いているわけでありますが、厚生労働省では、歯科技工士の就業場所等について、衛生行政報告例により隔年で調査を行って実態を把握してございます。それから、歯科技工士の就労時間とか賃金とかそれから歯科技工所の経営形態などについては、日本歯科技工士会が三年ごとに実施をいたします歯科技工士実態調査というのがあって、我々はそれを把握をしておるところでございます。
厚労省としては、これらの調査によって歯科技工士の勤務状況などを把握をしているわけで、今、新たにということでありますけれども、我々既にやっているということと、技工士会との連携をしながら、技工士会の調査についても取り込みながら、よく見ていくということだというふうに思っております。
○小池晃君 実態をお聞きになっているんであれば問題意識は同じではないかなと思っていますので、是非、この問題、前向きに取り組んでいただきたいと思います。
終わります。