2014年10月30日
参院厚生労働委員会
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
障害を持つ高齢者の問題について聞きます。
障害者総合支援法第七条のいわゆる介護保険優先原則を根拠にして、障害者が六十五歳になった途端、それまで使っていた障害福祉の給付が打ち切られる、訪問支援の支給量が減ってしまうなどなど、問題は起きています。
厚労省にお聞きしますが、そもそも介護保険法というのは、総合支援法に対して法体系として優先、優越するようなものなんでしょうか。
○政府参考人(藤井康弘君) 介護保険法と障害者総合支援法の関係でございますけれども、先生言及されました障害者総合支援法の第七条におきまして、サービス内容や機能から見て、その障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、原則、介護保険サービスに係る保険給付を優先して受けるというような、いわゆる給付調整の規定はございますけれども、ただ、介護保険法と障害者総合保険法という法律同士につきまして、どちらが一般法でどちらが特別法というような関係はございませんので、法体系としてどちらが優先するということはございません。
○小池晃君 そもそも優先するものでないし、そもそも目的も違うわけですね。
千葉で今年六十五歳になられた障害者にお話聞きました。その方は、障害福祉給付というのは、行為の内容が同じだからといって介護保険サービスと相当だということにはならないんだというふうに強調されていました。例えば、入浴介助でも、パジャマに着替えてベッドに入って終わりではなくて、出かけるための衣服に着替えて髪を整えてもらうと。その方は、午前中にお風呂に入って身支度手伝ってもらって、ヘルパーさんは行ってらっしゃいと言って帰っていかれるんだそうですね。
やっぱり社会参加する中で成長、発展し続けたいというふうにおっしゃっています。もちろん全ての高齢者に社会参加は保障されなければなりませんが、若いときから障害抱えていた方が高齢期を迎えると、一層そのニーズは強いわけです。
厚労省に聞きますが、二〇〇七年に自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等についてという通知が出ています。これ、二〇一三年に総合支援法になるに当たって改めて通知していますが、端的にこの趣旨を説明してください。
○政府参考人(藤井康弘君) 先生御指摘のように、介護保険サービスと障害福祉サービスの適用関係につきましては、まだ自立支援法時代でございましたが、平成十九年に各都道府県に通知を発出をしてございます。現在、総合支援法になりましてもこの考え方をそのまま引き継いでおりますけれども、この通知におきまして、一律にその介護保険サービスを優先的に利用するということではございませんで、申請者の個別の状況に応じまして、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能かどうかを判断するように示しております。
その上で、介護保険サービスに相当するものがない障害福祉サービス固有のサービスと認められるものを利用する場合につきましては障害福祉サービスに係る介護給付費等を支給をすると、また、介護保険に相当するサービスがある場合でございましても、市町村が適当と認める支給量が介護保険サービスのみによって確保することができないと認められる場合等には障害者総合支援法に基づくサービスを受けることも可能であるといったようなことをお示ししているところでございます。
○小池晃君 要するに、厚労省も優先原則を一律に適用しないと、障害福祉の個別性を認識しているわけですね。
しかし、実際には、自治体の現場ではかなり機械的な優先原則の適用が行われて、必要なサービスが受けられないという事態が起こっているんですね。そうした実例は自立支援法違憲訴訟団との定期協議の場でも示されております。
例えば、東京のOさん、五十二歳から特定疾病で介護保険を利用していたんだけれども、障害が進んで、六十二歳頃から重度訪問介護を八時間利用して、それでようやく生活が成り立っていたと。
しかし、去年の七月に六十五歳になった途端に、行政から介護保険優先を理由にして一日四時間に減らされてしまった。優先と言われても、元々、介護保険は訪問看護などでもう目いっぱい使っていたので、介護保険のヘルパーは使うことができない。交渉してやっと六時間まで引き上げてもらったそうですけれども、やっぱり、年々障害が悪化しているにもかかわらず、六十五歳になったと、介護保険優先だということで生活の維持が困難になる、こういう事態です。
部長、こうした事態というのは、今説明された通知に照らして明確に違反しているんじゃないですか。
○政府参考人(藤井康弘君) 私ども、これまで、先ほど申し上げた通知ですとかあるいは全国の担当課長会議等を通じまして、介護保険法によるサービスの支給量や内容では十分なサービスが受けられない場合には障害者総合支援法により障害福祉サービスを上乗せするといったようなことですとか、あるいは介護保険利用前に必要とされていたサービスが介護保険利用開始前後で大きく変化するというようなことは一般的には考えにくいというようなことがございますので、サービスの支給決定に際しましては、市町村においてサービスの利用に関する具体的な内容あるいは意向を把握した上で個々の実態に即した適切な運用をしていただきたいといったようなことなどを、言わば個々の障害者の状況に応じたサービスが提供されることがとにかく必要だといったような考え方を自治体に対して周知を期してきたところでございます。
ただ一方で、先生御指摘のように、適切な運用がなされていないのではないかというような声があるということは私どもも認識をしてございますので、そういった声を踏まえまして、障害者総合支援法と介護保険制度との適用関係につきまして運用の実態調査を行っているところでございまして、この調査結果も踏まえながら、今後ともこうした考え方の周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
○小池晃君 通知出されてもう七年たつんですが、今部長も認められたように、やっぱりこういう事態があるわけですね、自治体の現場では。
しかも、これ、特別な例ではなくて、九月十七日に発表されたきょうされんの調査では、訪問支援の分野では二一・五%の方が障害福祉の支給を打ち切られているという実態も出されております。
今の部長の答弁にもありましたように、実態調査、これ、実態調査をやっていることも明らかにされてこなかったので、昨日私が尋ねたらば調査しているということも認めまして、それで、今日お配りした資料にあるような実態調査をやられているということ、これ、正式には初めて明らかにしたんだと思うんですが、こういう調査をやられているということなんですね。
これ見ますと、九月十日に締め切っております。
是非これを、調査結果のデータの全体を速やかに公開をしていただきたいというふうに思うんですが、お約束いただけますか。
○政府参考人(藤井康弘君) 障害者総合支援法と介護保険制度との適用関係につきまして、この調査、市町村における介護保険サービスと障害福祉サービスの併給をしている者がどれぐらいいらっしゃるかとか、そういった運用の実態につき把握するために本年の八月から調査を行っているところでございまして、実はまだ、先生御指摘のように締切りは過ぎておりますのですが、まだ回答をいただけない市町村が結構ございますのと、回答をいただいておりましてもなかなか数字の整合性が取れていないとか、そういった現状もございまして、今、鋭意確認作業を、きっちりとした集計、分析作業を行っているところでございます。
調査結果につきましては、これ回答を分析した上で公表をさせていただきたいというふうに考えております。
○小池晃君 やはりこれは速やかに全てのデータを公開してほしいと思うんですね。やっぱり実態がどうなっているのか、しっかり把握する必要があるし、あわせて、やっぱり通知どおりの仕事をしてほしいというふうに自治体に対してきちっとその手だてを取っていただきたい。
何で介護保険サービスを機械的に適用して障害福祉サービスを打ち切る自治体が後を絶たないのかというと、今日お配りした資料の最後にありますが、国庫負担基準というのがあるわけです。この国庫負担基準によれば、介護保険対象者の減額の規定がありまして、例えば重度訪問介護利用者で支援区分六の方で比較をすると、六十五歳になった途端に四万四千二百三十単位が一万三千六百単位に七割も減額されることになっているわけですね。
つまり、六十五歳以上の方の障害福祉サービスが増えれば増えるほど自治体に対する国庫負担が減る、逆に言えば自治体の持ち出しがどんどん増えていくと、こういう構造になっている、これを国がつくっているわけであります。通知では一律に介護保険を優先するなと言いながら、こういう財政措置で格差を付けてしまえば、私は、結果として介護保険に誘導するということになってしまうのではないか。
部長、やっぱりこの財政措置は、通知の趣旨とは矛盾しているんじゃないですか。
○政府参考人(藤井康弘君) この国庫負担基準の言わば仕組み方の問題でございますけれども、これやはり、障害者総合支援法第七条、先ほど申し上げた規定に基づきまして、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は介護保険サービスに係る保険給付が優先されるというような、そういう制度の立て方になってございますので、国庫負担基準の仕組み方におきましても、やはりこれ、介護保険対象者につきましては、介護保険では給付対象となっていないサービスに係る費用について設定をするというふうな考え方でこの国庫負担基準を組み立てております。
先生御指摘のこの重度訪問介護で申しますと、重度訪問介護の中には、これは身体介護等のほかに移動中の介護等もこれ障害者総合支援法に基づいて提供されるわけでございますけれども、この中で、介護保険の訪問介護でも同じように提供される、身体介護等を除いた、その移動中の介護等に要する費用について介護保険対象者の国庫負担基準として算定をしている、そういう仕組みになってございます。
ただ、その一方で、市町村の財政事情によりまして障害者が必要なサービスを受けられないといったようなことにならないように、サービスを利用する重度障害者が多い小規模な市町村等におきまして、市町村の費用の総額が国庫負担基準を超える場合には国庫補助等によりまして支援を行っているところでございます。
○小池晃君 通知では自治体に対しては柔軟にというか一律にやるなと言っておきながら、金出す段になると一律に切っちゃうというやり方は、これはやっぱりおかしいと思いますよ、私、はっきり言って。きちっと通知の精神を本当に自治体に守らせるのであれば、やっぱりその必要な分はちゃんと国庫負担しますよと。こういう形で一律に切ってしまうということでは、私は、これ実際には、本当に自治体のところではかなり地方格差も生まれているということもありますから、これは撤廃すべきだということを申し上げたい。
それから、六十五歳になると途端に利用料の自己負担が増えるわけですね。先ほど私紹介した千葉県の障害者の方は、非課税世帯で、それまで無料で障害福祉サービスを受けてこられましたが、サービス打ち切られて利用料は全額自己負担となって、最初の一月は約十三万九千円も請求されるという事態が生まれました。
国は、自立支援法によって導入した応益負担を反省したわけです。で、基本合意結んだんです。
低所得者の利用をまず無料にしたわけですね。応益負担をなくすということを約束した基本合意が六十五歳になるとほごにされるという、こんなことがあっていいはずないじゃないですか。これはやっぱりこのままじゃいけないと私は思いますが、いかがですか。
○政府参考人(藤井康弘君) 障害者総合支援法第七条に基づきまして、障害者総合支援法と介護保険法の適用につきましては、現在の社会保障制度の原則でございます保険優先の考え方の下に、まずは介護保険制度に基づく介護保険サービスを利用するというようなことになってございます。
先生御指摘の利用者負担の問題につきましては、確かに様々な御意見をいただいているところでございますけれども、この介護保険優先の原則につきましては、一つは、やはり加齢に伴う障害者とそれ以外の若いときから障害のあった方との一つの公平性と申しますか、そういった論点もあろうかと思いますので、そういったことも含めまして十分な議論が必要ではないかというふうに考えております。
○小池晃君 公平性、公平性と言うけど、一般的な生活をしてきて加齢に伴って介護保険必要になった人と、若いうちから障害を抱えていて、所得保障もない中で、実際に財産の形成なんかできない中で高齢期迎えているというのは全く違うわけですよ。だからこそ、やっぱり障害というのは自己責任じゃないんだから、これはきちんと、やはり応益負担は廃止するときっぱり言ったわけじゃないですか。その応益負担廃止が何で六十五歳になったら途端になくなっちゃうのかという問題なんですよ。
大臣、今日、いろいろと私、問題点指摘させていただいた。こういう様々な問題があるわけです。六十五歳になったら途端にやはりサービスが打ち切られる、あるいは負担ががあんと増えるというのはおかしいじゃないですか、これはどう考えたって。基本合意では、この七条、介護保険優先原則撤廃というのは検討項目にもなっているわけで、そして総合支援法の附則第三条には、この法律の施行後三年を目途として、高齢の障害者に対する支援の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるとあるわけですね。
まさにこれ、見直すべきときが私は来たと。
大臣、やはり、介護保険優先原則を撤廃する、そういう決断をすべきじゃないですか。そして、やっぱり高齢期を迎えた障害者が本当に希望を持って生きていける、そういう制度をつくるべきではないかと思いますが、大臣、今までの議論を踏まえてお答えいただきたい。
○国務大臣(塩崎恭久君) 正直、私も地元で障害者の皆さん方との交流というのは非常に長い間の中でございまして、六十五歳になって急にジャンプをするというのがおかしいんじゃないかという御意見を私も身近に聞いてきているわけであります。
今の議論がございましたけれども、市町村において障害福祉サービスの支給決定に際して、そのサービスの利用に関する具体的な内容や意向を把握して個々の障害者の状況に応じたサービスが提供されることが本来必要なわけでありまして、これが本当にそうなっているかどうかということに関して、この考え方自体をやっぱり市町村が徹底していただくということをまずやらなきゃいけないのが第一点。そして、この七条の見直し、障害者総合支援法第七条の見直しについては、加齢に伴う障害者とそれ以外の障害者との公平性とか、あるいは給付に係る財源の在り方等を含めて、先生御指摘のようにこれ議論を深めないといけないなというふうに思っておりますし、先ほど附則の見直しのタイミングでというお話がございましたが、高齢障害者に対する支援の在り方についてもこれ検討を行うことになっているわけでございますので、検討内容については障害者の方も含めて様々な関係者から意見を聞きながら、私も今申し上げたように大分前からそういう話を聞いてまいりましたから、自ら聞きながら考えていきたいというふうに思います。
○小池晃君 是非これはやっぱり見直す、本当に踏み切るべきだと。やっぱり、この底流にあるのは、介護保険制度に障害者福祉を統合するという議論ですが、それはやはり日本政府も批准した国連の障害者権利条約の諸原則に反するわけですから、もうそういったことはきっぱりやめて、やっぱり障害者権利条約の諸原則に基づいて障害者施策を抜本的に改革をして、その原則で高齢者介護も見直していくという方向に私は政策を進めていくべきだということを申し上げたいと思います。
年金の問題、聞きます。
GPIFが近々ポートフォリオを変更して株式の比率を高めると報道されております。中期目標の変更になります。これは大臣の認可が必要ですが、塩崎大臣は株式比率を引き上げることに賛成するんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、この基本ポートフォリオの見直しというのは、今年の六月に田村前大臣に対して総理から見直し作業について速やかに実施するようにというふうに言われています。
今、厚労省としては、本年、この六月の、GPIFへ要請をいたしておりまして、再興戦略、六月にございましたが、この成長戦略においても、「適切な見直しをできるだけ速やかに実施する。」というふうになっておりまして、何をではやろうとしているのかということでございますが、よく株式比率を上げるということをおっしゃいますが、実は、これは元々去年のこの成長戦略の中で言われてきたのは、新しいデフレ脱却後の経済成長の下で分散投資をしていくべきだという方向性が出されたわけでございます。それは何のためかというと、これはあくまでも年金の受取を約束どおり果たすということでございまして、その目的のためにこの分散投資でリスクを最小化しながら利回りを確保していくと。財政検証の話は、先生御案内のように、賃金上昇率プラス一・七ということですから、約四%弱ぐらいのものがなければいけないということなので、それでないとお約束どおりの年金を受け取っていただけないということでございます。
今、そのポートフォリオについてはGPIFにおいて鋭意検討をされていて、今後、御指摘のように厚労大臣が認可を最終的には行う仕組みになっておりますけれども、これは、GPIFの鋭意検討が進んでいるものによるということでございます。
○小池晃君 端的にちょっと議論したいんですが、いろいろ言うけど、だって、ダボス会議で打ち上げたんですよ、これ。日本の資産運用大きく変わります、一兆二千億ドルの運用資金、フォワードルッキングな改革を行います、成長の投資に貢献することになるでしょう。そもそも、やっぱり始まったのは年金のためじゃないでしょう、この議論は。だって、日本再興戦略ですよ。ダボス会議で、ロンドンのシティで、安倍さん、打ち上げたんですよ。
年金の積立金どうするか、年金のその運用のためにというんじゃなくて、やっぱり成長戦略というのが議論の出発点ですよね。これ間違いないでしょう。
○国務大臣(塩崎恭久君) 元々この厚生年金法それから国民年金法そのもので、被保険者の利益以外のことについては他事考慮することは法律で禁止をされているわけで、厚労大臣がこの年金の運用に関して安全かつ効率的に運用しなければいけないということは法律でも定められているわけでありますから、経済成長の目的のためということは全くなくて、被保険者の利益のためということがもう唯一の目的であって、そのためにどういうふうに運用していくのかということが問題で、国債が今、御案内のように〇・五%ぐらいの利回りですから、この国債の〇・五%ぐらいの利回りのままで行く、これを中心に回していくということで約束どおりの給付ができるのかということも考えていただいているんだろうと私は思っております。
○小池晃君 そういうごまかし言っちゃ駄目なんだって。日本再興戦略、去年の六月に出たやつにはもう成長戦略しか書いていないんですよ。今年の六月に改訂版になんかちょこっと米印かなんか付けて、年金の資金のためだと書き加えたけど、後付けじゃないですか。大体誰が見たって、株価を引き上げるために年金資金使いますと、安倍さんはだってそういう宣言を世界に向かってやったわけですよ。だから、違う、私が言っているのは、それはもちろん仕組みはそうですよというのはおっしゃるでしょう、しかし最初の出発点はこれは成長戦略だと。
大体、企業価値を高めるわけでも何でもないわけですよ、この年金資金の運用というのは。それが何で成長戦略なんですか。目の前に巨額な、百三十兆円のお金があるから、これを株式市場に投入して株高を演出して、そうしたら安倍政権の支持率だって維持できるだろうと、まあ大体そういう話じゃないですか。誰が見たってそういうふうに見えますよ。
○国務大臣(塩崎恭久君) 我が国は法治国家でありますから、法律に基づいてこの運用もされているわけでございまして、先ほど申し上げたように、専ら被保険者の利益のためにこれは運用は行われなければいけないということになっておって、そして、それを大前提として、運用をどう新しいこのデフレ脱却の時代にやっていくべきかということをこの成長戦略の中でも唱えていることであって、当然、行革の中で、独法改革の中でも同じように書かれているわけでございますので、その目的に照らしてどういう新しい改革の中で運用を実現していくのかと。
つまり、年金の受取を確実なものにするかということが目的であって、結果としてそれが日本経済のプラスになる。それは、スチュワードシップ・コードというのを年金の運用機関としてGPIFも受け入れると。つまり、建設的な対話を企業ともしますということを言いながら、経済の発展も、それから年金の受取も両方が実現するようにしようじゃないかということを考えているんだろうというふうに考えるべきだと思います。
○小池晃君 株というのは上がり続けるものじゃないんですよ。下がるんですよ、必ず。専ら被保険者の利益のためと言うけど、今日の予算委員会の議論も聞いていたけど、全く下がったときの話、リスクについて語らないじゃないですか。やっぱり国民にこれリスクなんだということをちゃんと語らなければ、私は非常に不正常な議論だと思います。
しかも、リスク分散と言うけれども、巨額ですよ。これは、株式市場に投入する、大きければ大きいほどリスク回避は困難になるじゃないですか。
株価下落したときにどうするんですか。売りに走ったら大暴落の引き金引くことになってしまいますよ。やっぱり世界最大規模の年金資金を株式市場に投入することの危険性を全く分かっていないんじゃないですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 分散投資をするというのは様々、国債といえどもリスクはあるわけです。ですから、一%の国債金利が上がることによって十兆円ぐらいの評価損が出ますから、そういうことも一緒に考えた上で、どういう分散投資をすることが一番リスクが低く、そして利回りが高いのかということを考えていただかなきゃいけないので、だったらば、先生もどうやってこの国債、仮に、国債だけとさっき細野委員は言っていましたが、じゃ、国債だけでやって賃金上昇率プラス一・七%で回せるかというと、それはなかなかできないんです。リスクは、必ずプラスもあればマイナスがあって、それを帳消しすることによってリスクを最小化するというのがもうこの運用のイロハでありますから、そこのところは専門家に、我々はGPIFに任せているわけでありますから、運用委員会があって、そこで専門的にこの運用の理論を駆使しながら、どうやって安全かつ効率的な運用をして、そして年金をお約束どおり払えるようにするかということを計算しているんだろうと思います。
○小池晃君 いろいろ言うけど、麻生大臣、何と言いましたか、GPIFの動きが出ると、外国人投資家が動く可能性が高くなると、こういうことを言っているわけですよ。もう明らかな勧誘じゃないですか。こういう国会の場で、これ国会の答弁ですよ、株価つり上げを示唆するようなことを言うわけです。
私は、この議論を年金加入者のためだなんていったって誰も信用しないと。こんなものは成長戦略でも何でもないと。アメリカは国債で運用しているわけですよ。それで……(発言する者あり)
いや、非市場性国債で、今日、違うって予算委員会で言っていたけど、そうですよ。だって、ペイロールタックスで入ったものはきちっと基金では国債で一〇〇%運用しているとはっきり言っているわけだから。そういうやり方だってあるんだということを申し上げて、質問を終わります。