赤旗2018年3月6日付
厚生労働省は5日、企画業務型の裁量労働制を適用している事業所が2016年度で3090事業所、7万4299人にのぼることを、日本共産党の小池晃参院議員に報告しました。1987年の導入後、事業所数と労働者数が明らかにされたのは初めてです。
小池氏は昨年6月に公表を求めましたが、同省は公表を遅らせ、裁量労働の対象拡大が先送りになってようやく明らかにしました。
明らかにされた過去3年間でみると2014年度の2513事業所、6万7558人から急増していることが分かりました。
裁量労働制は、仕事の仕方を労働者の裁量に委ねる代わりに、あらかじめ決めた時間しか労働時間と認めない制度。労働者から「定額働かせ放題」と批判されてきました。1987年に研究開発など専門業務に導入され、2000年からは企画・立案などを対象とする「企画業務型」が導入されました。
安倍内閣は「働き方」一括法案に、企画業務型を営業職に拡大する方針を盛り込みましたが、労働時間データねつ造が発覚し、いったん削除する事態に追い込まれています。
企画業務型の裁量労働は労働基準監督署に年2回報告しなければならず、それを集計すれば容易に実態を公表できるものです。にもかかわらず、これまで労働者数さえ一度も把握しないまま拡大を打ち出していました。
実態解明さらに
小池氏の話 企画業務型裁量労働制の発足以来、ついに18年目で初めて実数が明らかになりました。昨年6月に私が追及した際、厚労省は「できるだけ早期にまとめたい」と答弁したにもかかわらず、3千枚程度の集計に実に9カ月も要したことになり、政府の真剣さが問われます。野村不動産など違法適用も広がっており、そこでの過労死も明らかになりました。今回の数字が真の実態かどうかはさらに追及が必要だと考えます。
裁量労働の実態を明らかにし、対象拡大は先送りでなくきっぱり断念させるために引き続き取り組みたい。