赤旗2018年3月6日付
厚生労働省は5日、4月から改定する医薬品の公定価格(薬価)の金額を官報で告示しました。医療保険財政を圧迫している超高額のがん治療薬「オプジーボ」を2割値下げする一方、製薬企業の反発を受け、高薬価を維持させる加算制度の制限は当初案より後退する形になりました。
オプジーボは、患者が比較的少ない皮膚がん限定で2014年に保険適用され、100ミリグラム当たり約73万円の高値がついた薬です。その後、患者が数万人規模の肺がんに適用対象を拡大。売り上げは50倍化する一方、1人当たり年3500万円もの費用が保険財政を直撃するため、日本共産党の小池晃書記局長が国会質問(16年10月)で大幅値下げを迫り、厚労省は17年2月から半額に下げていました。
今回の値下げは、これらの追及を機に始まった、高薬価を見直す「制度改革」などによるもので、現行の100ミリグラム当たり約36万5千円が2割減の同27万8千円に下がります。当初の73万円と比べ、6割安くなります。
オプジーボの類似薬「キイトルーダ」は、同1割減の約36万5千円となります。
一方、医療団体などが廃止を求めていた高薬価維持制度の「新薬創出等加算」については、日米欧の製薬団体に反発され、対象品目などを制限する当初案から後退しました。
対象品目数は823品目(16年度)から263品目(3割)減らし、加算総額の削減は250億円減(16年度比2割減)に抑え、制度を温存。対象品目数が多い上位10社のうち、7社を外資系企業が占めています。