赤旗2018年2月23日付
東日本大震災被災地を例年訪れている日本共産党の小池晃書記局長・参院議員は震災7年を前にした20、21の両日、参院東日本大震災復興特別委員会所属の紙智子、岩渕友両議員らとともに、岩手県でとりわけ被害の大きい陸前高田市、大槌町、釜石市を中心に、首長、被災者と懇談しました。生業(なりわい)、町づくりなどでの重い課題が浮き彫りになり、一行は被災者、被災自治体と「声をあげ、復興を前に進めよう」と心ひとつにしました。
生業と町づくり 課題重く
政府は復興期間を発災から10年として、2020年度末までに復興庁も廃止する方針。支援策の打ち切り、縮小が懸念されます。
陸前高田市、大槌町、釜石市はいずれもリアス式海岸が続く地帯で、津波により平地が壊滅的打撃を受け、大規模な土地造成が行われています。3首長は共通して21年度以降の支援策継続を求めました。
戸羽太・陸前高田市長は「市の宅地造成は20年度に間に合っても、宅地引き渡しが21年度に入ってしまうところが出る。事業者の再建はそれからで国の支援策が切られてはやっていけない。被災地をひとくくりで見ず、個々の実情を見てほしい」と述べました。
生業の回復もこれからです。岩手県の説明によると「漁船復旧は97%だが、魚の水揚げは震災前の50%」「養殖施設整備は99%進んだが、養殖生産量は震災前の60%」。
平野公三・大槌町長は「生業回復が重要な時期にきているが、町の基幹産業である漁業がダメでは生き残れない」と述べました。
人口減少対策は3市町の大きな課題です。
釜石市は若者定住へ雇用促進住宅を80戸買い取り、低額家賃で提供していますが、10戸追加する方針。野田武則市長は「本当は100戸は追加しないと、とてもとても間に合わないのだが、財源がない。国の支援がほしい。被災地を平均値で見るのでなく、一番ひどい被害を受けたところの声に合わせてほしい」と述べました。
小池氏は「大震災被害は期限をきって解決する問題ではない。他の野党とも共同し支援継続を求めていく」と応えました。
紙議員は「サケ、サンマ、イカの不漁は深刻。原因解明とともに支援策を国に求める」と述べました。
住民運動 家賃減免継続も
災害公営住宅は岩手県で91%、宮城県で96%が完成、仮設住宅から恒久住宅への引っ越しが進んでいます。
宮城県議団との懇談で示された宮城民医連の2017年災害公営住宅入居者調査によると入居者の約半数が70歳代以上。生活上の不安の上位は、健康が24%、将来の家賃が21%、収入が15%となっています。災害公営住宅の家賃は“収入超過者”が入居4年目から、特別低減措置対象者が6年目から上がる仕組みです。
県議団から、災害公営住宅の自治会長らが呼びかけ人になって集めた家賃減免継続を求める署名の力もあり、5市町が減免を継続する方向だと報告されました。
陸前高田市の災害公営住宅脇野沢団地での懇談会では、住民代表の女性(70)が涙ながらに「生活が大変です。共産党の国会議員さん、頑張ってください。私たちも頑張ります」と、消費税を上げないこと、年金をへらさないこと、被災者生活再建支援金増額を求める要望書を小池氏らに手渡しました。
岩渕氏は「国は被災者に寄り添うというが、やっていることは逆だ。本当に被災者に寄り添う政治にしよう」と述べました。
小池氏は「7年たって土地のかさ上げなど進んだ面もありますが、暮らしは大変な実態がある。消費税を上げて年金を下げるなんて江戸時代の悪代官だってやらない。安倍首相は医療・介護の負担を増やそうとしているがみんなの力で止めよう。頑張りましょう」と力を込めました。
病院長・小池氏エールを交換
新築再開の県立高田病院
大震災で津波が4階の天井付近まで達し、病院機能停止したものの、避難先で仮診療施設として被災者の医療を支えてきた岩手県立高田病院が高台で新築して3月1日、診療を始めます。大震災で被災した3県立病院が全て再開したことになります。
小池氏らは、急ピッチで診療開始準備が進む同病院を訪ね、田畑潔病院長らと懇談しました。
被災地は震災前から人口減少と医師・看護師不足に悩まされていました。田畑氏は、国が診療報酬で在宅医療に誘導をすすめるなか、大震災でコミュニティーが壊され、地域の医療・介護力が落ちていることを指摘。コミュニティー再建と地域医療を同時に進めることが、孤独死を出さないためにも必要だと述べました。
小池氏は「未曽有の震災被災地での医療は大変な苦労。診療報酬の引き上げなどを国に迫っていく」と力を込めました。田畑氏と小池氏は同じ高校、大学の出身。小池氏が「同級生が被災地でこのような役割を果たしていることを誇りに思う」というと、田畑氏は「テレビで見てますよ」とエールを交換しました。