赤旗2017年12月18日付
沖縄県名護市で行われた「12・17名護市長選勝利決起集会」での、日本共産党の小池晃書記局長の演説(要旨)を紹介します。
負けるわけにはいかない選挙
「オール沖縄」のたたかいは、20年前、名護での海上基地建設反対の市民投票から始まりました。8年前の市長選で稲嶺ススムさんを当選させて以来、「普天間基地の県内移設反対」という圧倒的な民意を示してきたのが沖縄県民であり、その先頭を走ってきたのが名護市民です。
先日、市民連合と野党の意見交換会でも「来年は沖縄の年にしよう」と確認しました。その最初の大きな選挙が名護市長選です。日本共産党は、先の第3回中央委員会総会でも、「絶対に負けられない選挙」と決議しました。「海にも陸にも新基地を造らせない」と揺るがない稲嶺さんの勝利のため、総力を挙げます。(拍手)
沖縄では、米軍機の事故が相次いでいます。4日前には普天間第二小学校の運動場にCH53Eヘリの窓が落下し、その1週間前には緑ケ丘保育園にCH53Eの部品が落下しました。校長先生は、「上空を飛行しないという回答がなければ、体育でも遊びでも運動場を使える状況にない」と言います。当然です。
しかし、米軍はこれを無視し、今もオスプレイやヘリが飛び続けています。
昨年のMV22オスプレイ墜落、10月のCH53Eヘリ炎上、いずれの事故でも、原因究明もなされないまま米軍は飛行を再開し、安倍政権はいずれも「理解」を表明しました。県民の命や安全より日米同盟を優先する。主権国家とは言えない恥ずべき態度ではありませんか。
1995年にイタリアで、米軍機によるロープウエーのケーブル切断事故が起こった際、低空飛行訓練をやめない米軍に対して、イタリア空軍の司令官は米国防総省に乗り込んで訓練停止を求めました。独立国なら、これが当然の姿勢です。今こそ、日米地位協定の抜本的な見直しが必要です。
海兵隊と米軍が沖縄にもたらしてきたものは何か。95年の少女暴行事件、昨年は名護市出身の20歳の女性の殺人事件など、戦後70年、痛ましい事故の連続でした。海兵隊は撤退すべきであり、新基地など言語道断です。ところが菅義偉官房長官は普天間第二小の事故直後、「辺野古への(普天間基地)移設は唯一の解決策だ」と。県民の不安を全く顧みないと言われても仕方ないではありませんか。(「そうだ」の声)
最大の争点は新基地認めるか
市長選の最大争点は、辺野古の新基地を認めるかどうか。このことは自民党もハッキリと認めています。安倍政権は沖縄県知事の許可もないのに護岸工事を強行し、民意も法的手続きも無視して無法に無法を重ねています。
今度の市長選は、無法を重ねる日米両政府と新基地推進勢力と、名護市民・「オール沖縄」の対決です。問われているのは、この国の民主主義そのもの。圧倒的な民意を示し、日米両政府に新基地建設をあきらめさせましょう。(拍手)
県知事も名護市長も、強大な法的権限を持っています。
市長は、辺野古漁港への作業ヤード設置のための漁港使用許可の権限や、美謝川(みじゃがわ)の水路切り替えなどの権限を持ちます。軟弱地盤・活断層の疑いがある海底の工事の工法変更や、護岸工事の延長上の海域にある貴重なサンゴ移植には、県知事の許可が必要です。市民・県民と稲嶺ススム市長と翁長雄志知事が結束し、「正義と道理の力」を発揮すれば、誰にも基地を造ることができません。(「そうだ」の声)
一方、相手候補は、岩国基地でオスプレイの安全性をPRするために体験試乗した人物です。チラシにも、「普天間飛行場代替施設の移設」とはっきり書いてある。正真正銘の新基地推進派です。こんな人を市長にして、名護市役所を安倍政権の「出張所」にするわけにはいきません。新基地建設に反対する稲嶺市長の3選で、揺るがぬ市民の誇りと気概を示そうではありませんか。(拍手)
交付金に頼らず市政を進める
稲嶺市長のもう一つのすごさは、住民の福祉、医療、経済の充実のため、米軍再編交付金に頼らずに市政を進めてきたことです。
第一は、県内トップクラスの住民のための施策です。▽子ども医療費助成は中学卒業まで、自動償還払い(10月~)で通院・入院とも実質無償化▽小中学校の耐震化100%は来年度中に達成の見込み。すべての普通教室にクーラーを設置し、トイレを洋式化▽待機児童ゼロも2018年中に達成の見込み▽国保税1人あたりの市の補助は県内11市で最も多く、1世帯あたりの税額は11市でいちばん安く抑えています。
いいことずくめではありませんか。(拍手)
第二は、教育費、住民の暮らしのための民生費が急上昇していることです。▽教育費は前市政時代と比べて平均年7億円増▽民生費は前市政4年間で約71億~88億円に対して、約99億~138億円と大幅アップ▽市民所得は2010年度185万円から13年度194万円に▽市の予算は287億円から382億円に増え、普通建設事業費も64億円から89億円になりました。
稲嶺市長は、米軍再編交付金に頼らない街づくりを進めてきました。稲嶺さんは「ただでもらったものは残らない。しかも10年期限。残るのは基地から発生する騒音、墜落、事件・事故だ。それを背負うのは子や孫たち。だから新基地を造らせない。それがおとなの役割だ」と訴えました。全くその通りではありませんか。(拍手)
相手候補は、「名護市の経済発展が阻害されている。その要因は現市長だ」と言います。とんでもありません。沖縄の経済発展を阻害しているのは米軍基地です(「そうだ」の声)。新基地を押し付ける安倍政権べったりの相手陣営こそ、経済発展の阻害要因ではありませんか。(拍手)
新基地ノーの党 総力あげ頑張る
今度の選挙では、日本共産党こそがんばらないといけないと思っています。
共産党は一貫して、日米安保条約をなくして対等・平等の日米関係にしようと訴えています。今から21年前、「普天間基地返還」のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意の本質を「基地たらい回し」と指摘し、新基地ノーのたたかいを始めた党として、稲嶺ススムさんを何としても勝利させる責任があります。
沖縄人民党以来のたたかいを担ってきた先輩の思いも受け継ぎ、必ず勝利しようではありませんか。(拍手)
名護市長選で稲嶺さんを勝利させ、日米両政府に新基地建設を断念させ、普天間基地は無条件撤去、オスプレイも撤去して、戦後最悪の安倍政権を一日も早く打倒しましょう!(大きな拍手)