赤旗2017年12月1日付
日本共産党の小池晃書記局長、辰巳孝太郎議員は30日の参院予算委員会で、深まる森友・加計疑惑を徹底追及するとともに、異常な社会保障の切り捨てを進める安倍政権の暴走を真正面からただし、打開の展望を示しました。(論戦ハイライト)
小池氏は、安倍政権が法人税減税をしても賃上げには回らずに、大企業の内部留保として積み上がる一方、社会保障は経団連の提言にそって大幅削減されている実態を告発。「大企業に能力に応じた負担を求めることで、社会保障の財源をつくり、財政再建の道を開く。これこそ経済の好循環の道だ」と提案しました。
大企業の内部留保の中心である利益剰余金は安倍政権の発足後の2012年度から4年で、177・7兆円から245・3兆円へと増加しました。麻生太郎財務相は「従業員1人当たりで利益剰余金は2110万円から2910万円へと800万円の増加」と答弁。小池氏は「4年で800万円なら1年で200万円だから、その一部を回せば大幅賃上げできるのに、回していない」と告発しました。
上場企業トップ100社で見ると、法人税減税が加わって当期純利益は4年間で11・1兆円増加したものの、その半分は内部留保の積み増しにまわり、残りの半分も配当金や自社株消却で株主に還元されて、従業員給与はほとんど増加していません。小池氏が「この間の法人減税が賃上げに結び付かなかったことを認めるか」とただすと、麻生財務相も「増えた利益が内部留保に偏りすぎているということで、しかるべき方向性を示していかねばならない」と答えざるをえませんでした。
小池氏は、もともと低かった日本の社会保障給付が安倍政権下で、さらに切り縮められていることを指摘。GDPに占める社会保障支出の割合が3年連続で減少しているとして、「こんなことは、『自然増削減』を繰り返していた小泉内閣でも起こらなかった」と指摘しました。
安倍首相は「われわれは社会保障を効率的・効果的にしていく観点から改革を行い、結果として小泉政権より(社会保障の)伸びを抑制できた。大変いい結果が出ている」などと開き直りましたが、小池氏は「小泉政権よりも大幅な削減をやっているから、悲鳴があがっている。そのことへの反省がないのか」と批判しました。
小池氏は、財務省が総選挙後、経団連の提言を引き写したような社会保障の負担増・給付削減を提案し、その中には、麻生財務相が首相だった2008年に「維持していきたい」と答弁していた75歳以上の高齢者の医療費窓口1割負担を、2割へ引き上げることまで含まれていることを指摘。「当時のあなたの答弁と、いまやろうとしていることはまったく矛盾する」とただしました。
麻生財務相は「1割負担にしたいという希望があるが、財政制度と両立しなければ意味がない」などと答弁。小池氏は、富裕層や大企業に能力に応じた負担を求めれば財源は十分にあるとして、「医療・介護・福祉の抜本的拡充にこそ足を踏み出すべきだ」と提言しました。