赤旗2017年12月1日付
国民多数が究明を求める「森友・加計」の国政私物化疑惑をめぐり、30日の参院予算委員会では、日本共産党の小池晃書記局長と辰巳孝太郎議員が徹底追及しました。
辰巳氏「口裏合わせ明らか」
政府、まともに答えず
辰巳氏は森友疑惑で、会計検査院が不適切と指摘した国有地の大幅値引き・売却に関し、「各省庁が適切に判断した」と官僚に責任転嫁する安倍晋三首相に対し、「行政機関の最高責任者は総理だ」と批判。徹底的な原因究明を求めましたが、安倍首相は「会計検査院の指摘は真摯(しんし)に受け止める」「予算編成等にいかしていく」とするだけで、原因究明に背を向けました。
国有地の“3メートルより深いところから新たなゴミが出た”と値引きの「ストーリー」を、国側が学園側に提案した「口裏合わせ」の会合について、出席した財務省や国土交通省は、新たなゴミの処分費の「資料提出」を求めたものだったと弁明に終始。辰巳氏は、くい打ちの工法や過去のボーリング調査(掘削)データなどから、約3メートルより深い場所にゴミは存在しえないことを示し、「『ストーリー』に沿って、会計検査院も根拠がないと指摘した8億2000万円の値引きがされたのは、動かし難い事実だ」と述べました。
さらに辰巳氏が突き付けたのは、同会合直後に森友学園側が行ったとされる会議のメモ(2016年3月30日)です。
メモは、国側の「ストーリー」にふれ、国有地に「瑕疵(かし)を見つけていくことで価値を下げていきたい」と記しており、「口裏合わせ」と符合します。財務省の太田充理財局長は「学園側でつくったもの」と述べ、首相も麻生太郎財務相もまともに答えませんでした。
辰巳 総理が先頭に立ち、なぜ「口裏合わせ」が行われたのか調査すべきだ。
麻生財務相 理財局長から申し上げた通りだ。
安倍首相 いま所管大臣が答弁した通りだ。
辰巳氏は「まったく『丁寧に説明』する気がない」と批判し、売却交渉時に森友学園小学校の名誉校長だった首相夫人の昭恵氏の証人喚問などを求めました。
小池氏「不記載は加計隠し」
首相「全てオープン」と強弁
小池書記局長は、2015年6月5日の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)会合の議事要旨に、学校法人「加計学園」関係者が出席し発言していたことを記載していなかった問題を追及し、「加計ありき」の隠ぺいを図る政府の姿を浮き彫りにしました。
小池氏は、「議事録は全てオープン」などとしてきた安倍首相の発言は事実に反すると指摘。WGの運営要領によれば、議事内容は座長の一存でいくらでも非公表にできると批判しました。
小池 どこがオープンなのか。
梶山弘志担当相 提案者でない加計学園は正式な出席者でなく、発言は記載対象とならない。
小池 そんなルールはない。提案者以外の出席が公開された前例がある。出席した加計関係者の名前と速記録を公表すべきだ。
梶山担当相 出席者名は控える。速記録は議事要旨・議事録を作成した時点で削除した。
小池氏は「大学をつくる最大の当事者は加計学園であり、WGで加計関係者が何を話したかは決定的に重要だ」と迫りました。
梶山担当相 当事者は今治市と愛媛県だ。事業者は後に選ばれることになっていた。
小池 後に選ばれるはずの事業者(加計学園)が、なぜ決定の1年半前にWGの会合に出席したのか。加計ありきだ。
小池氏は、競合していた京都産業大学は提案者に名を連ね、WG会合に出たことも公開されたと指摘。「加計学園については、あくまで今治市の提案だとして徹頭徹尾、隠してきた。総理の『腹心の友』だからとの疑念が生じるのは当然だ」と強調。加計孝太郎理事長らの証人喚問を求めました。
安倍首相は「ルールにのっとって全てがオープンにされている」と強弁。証人喚問は「委員会が決めることだ」と逃げました。小池氏は「国民の疑問は解消されない。森友・加計疑惑の幕引きは許されない」と主張しました。