赤旗2017年11月20日付
日本共産党の小池晃書記局長は19日のNHK「日曜討論」で、特別国会での本格的な論戦を前に、野党質問削減や外交、経済政策などについて、各党代表と議論しました。9党が参加しました。
特別国会どう臨むか
首相疑惑を追及 改憲阻止へ共同
冒頭、各党が特別国会にどう臨むかについて表明しました。
小池氏は「森友・加計問題について、首相は丁寧に説明すると言っていたが、所信表明演説で一言もふれなかった」と指摘。関係者の証人喚問を含めて徹底解明が必要だと主張しました。また、選挙が終わったとたん政府が医療・介護・生活保護など社会保障大改悪計画を打ち出していると述べ、「全世代型どころか全世代に対する改悪だ。しっかり議論しなければいけない」と強調。「沖縄県民の審判が明確に下ったにもかかわらず辺野古新基地建設が強行されている問題、憲法9条改悪の発議を許してはいけないことは最重要課題として取り組んでいきたい」と述べるとともに、「日本がなんの制約もなく海外で武力行使をするという国づくりに向けた動きに対して、市民と改憲に反対する野党が国会の中で力を合わせて改憲発議を許さないという立場で頑張っていきたい」と表明しました。
質問時間削減
数の暴力やめてしっかり議論を
討論では、自民党が提起した野党の質問時間削減が議題となりました。
自民党の萩生田光一幹事長代行は、「党内議論では議事録が存在しない。議論があったか一定程度の時間は確保させていただいて議事録に残したいというのが必要性だ」と正当化。これに対して小池氏は、「与党はいろいろ言うが、流れを見ればはっきりしている。臨時国会開会要求を無視して、開いたと思ったら冒頭解散して、特別国会を8日だけだといって、さらに伸ばしたら今度は野党の質問を削る。よっぽど質問を受けたくないということだ」と厳しく批判しました。
また、自民党若手議員の質問を確保するためという口実についても、「衆院文部科学委員会で与党から出てきたのは、若手でもない義家前文科副大臣だ。加計問題の当事者でもあり、質問と答弁を政府がやったようなものだ。こういうことは逆に不公平。野党に対して十分な時間を配慮するのは議院内閣制の根本であり、そのルールを壊すことは絶対に許されない」と反論しました。
野党各党からも、「言語道断」(民進党の増子輝彦幹事長)「自民党案では1~2分しか質問できず、建設的議論などできない」(社民党の又市征治幹事長)など、批判が相次ぎました。
萩生田氏は「十分時間をかける必要性のある案件については与野党で合意すれば別段、分母を小さくする必要はない」といわざるをえませんでした。
小池氏は「十分な時間をとってやると萩生田さんはおっしゃった。それならば委員1人あたり30分、きちんと保障することをやればいいし、与党もやりたいのならそうすればいい。そういう中でしっかり議論をしましょう」と提案。そのうえで、「十分な時間をとると言いながら、会期末だからと言って強行採決するようなことはやめるべきだ。国民の中で意見が割れている、もっと審議が必要だという問題を数の力で強行するような国会運営はもう二度とやらないということが国会改革の第一歩だ」と強調しました。
さらに、野党質問時間の削減は萩生田氏が安倍首相から指示を受けたと報道されていると指摘し、「行政府による立法府への介入だ。こういったことはきっぱりやめるべきだ」と主張しました。
北朝鮮問題
軍事圧力でなく対話解決進める
外交・北朝鮮問題の議論では、6日の日米首脳会談など一連の安倍首相の外交について萩生田氏が「北朝鮮にどう対峙(たいじ)するか国際社会で足並みそろえるいい議論ができた。高く評価したい」と述べました。
小池氏は「一連の外交では安倍首相の対話否定・軍事圧力一辺倒という姿勢が際立ったし、アメリカから武器を買うことを約束させられたのは大問題だ」と批判。「韓国・中国をはじめアジア諸国は対話による解決を求め、アメリカと韓国の6カ国協議の首席代表会談でも『平和的かつ外交的に解決する』必要性を再確認している」と強調しました。
そのうえで米国のウィリアム・ペリー元国防長官は対話を呼び掛けて、「朝鮮半島での戦争は日本に拡大して被害が及ぶ、なぜそれが理解できないのか」と述べていると紹介。「絶対に戦争を起こしてはいけない。そのための最大の責務は、制裁強化と一体に対話による解決を進めていくということだ。アメリカに対して先制攻撃は絶対やるなということをきちんと言うべきだ」と提起しました。
野党各党からは、米国からの武器購入について相次いで懸念の声が出ました。一方、首相の外遊全体については、「日米首脳の強固な絆は両国以外に大きな波及効果があると思う」(維新・馬場伸幸幹事長)「一定の評価はしたい」(希望・古川元久幹事長)と持ち上げる発言もありました。
経済政策
大企業減税やめ所得の再分配を
番組の最後は景気の現状と経済政策について議論になりました。15日発表されたGDP(国内総生産)で「個人消費」が賃金の伸びが鈍かったことなどからマイナスに転じたことや、NHKの世論調査で景気の回復を「実感している」が6%、「実感していない」が64%、「どちらとも言えない」が24%だったと司会者が紹介しました。
萩生田氏は「大卒就職率は過去最高、正社員の有効求人倍率は1倍。目指している方向は間違っていない」などと強弁しました。
これに対し小池氏は「景気回復の実感がないのは実態がないから。個人消費はマイナスだ。自民党が“暗黒の時代”だと言っていた民主党政権の3年間のGDPの伸びは1・6%だったが、安倍政権の4年9カ月は1・4%だから、“暗黒のアベノミクス”になっているのではないか」と批判しました。
そのうえで小池氏は、大企業の収益は過去最高となり、この4年で内部留保は70兆円増えて400兆円を超える一方、実質賃金は年収で10万円以上目減りしていると指摘。「増えた内部留保の一部でも労働者の賃金や中小企業にまわせば、経済の好循環が実現する」と強調し、さらに「診療報酬や介護報酬の引き下げは最悪のデフレ政策だ。社会保障を充実させる財源は、アベノミクスで潤った富裕層や大企業の減税をやめることで、所得の再分配をしていくべきだ」と表明しました。