赤旗2017年9月13日付
防衛省は12日、無人偵察機グローバルホーク(GH)の価格が高騰し、導入中止を検討すると明記していた内部文書の存在を認め、日本共産党の小池晃書記局長に提出しました。文書は小池氏が8月21日の記者会見で暴露したもの。提出された資料は一部が黒塗りですが、記述は完全に一致しています。
資料は、(1)防衛省整備計画局が作成した「今後のGHの取得の方針について」(6月28日付)(2)同局と防衛装備庁が作成した「グローバルホーク導入事業の今後の方向性について」。日付は空欄ですが、担当者によれば7月31日付です。
このうち、(1)では価格が23%上昇するとの米国からの通告を受け、導入中止の検討対象となる25%増に達するリスクがあることから「GHの取得を中止する方向で、政務、関係省庁(NSS=国家安全保障局、官邸)と調整する」と結論づけました。
ところが(2)では、「GHの能力は我が国を取り巻く安全保障環境へ対応するためには必要不可欠」だとして、「事業を進める」と明記。結論が百八十度変わっています。
この経過について防衛省担当課長は小池氏に対し、「北朝鮮のミサイル発射」などの情勢を考慮した結果だと説明。また、外務省やNSSに「取得中止」の見解を通知したところ、「安全保障環境や日米同盟をふまえ、さらに検討を深めてほしい」と打診されたことを明らかにしました。首相官邸に直結するNSSなどから、導入中止の撤回を要求されたとみられます。
さらに同課長は、価格上昇が25%を超えるリスクは消えていないことに加え、価格も納期も米国次第となるFMS(有償軍事援助)で購入することを明らかにしました。
官邸の圧力明らかに
小池書記局長
GH導入を進めてきた整備計画局がいったん導入中止を決めたにもかかわらず、首相官邸からの圧力で導入に転じたことが明らかになった。大幅値上げの可能性を認めながらアメリカいいなりに導入に踏み切り、来年度概算要求に200億円近くを計上したことは許されない。どのような圧力があったのか徹底解明が必要だ。