赤旗2017年9月6日付
防衛省が米国からの購入を計画している無人偵察機RQ4グローバルホーク(GH)の取得費用が23%も上昇する―。日本共産党の小池晃書記局長が8月21日の記者会見で暴露した内部文書で明らかになった事実を、同省は8月31日公表の報告書で公式に認めました。
取得費用上昇にもかかわらず軍事費の2018年度概算要求では、日米同盟重視の観点からGH取得費用144億円を計上。導入されれば年間維持費は3機で130億円近くになり、とてつもない税金の浪費です。
防衛省の外局である防衛装備庁の報告書は、米メーカーの部品の枯渇で3機分の取得経費が119億円増の629億円となり、当初見積もりとの比較で123%になったと指摘しています。防衛省の内規では115%以上で取得計画見直しの「調整」を行い、125%以上で「継続の必要性」について検討を行うとしています。
小池氏が暴露した内部文書は、「仮にさらなる部品枯渇が発生した場合は、容易に25%を突破しうる水準」だと述べており、GHの取得はすでに“赤信号”手前との見方です。
さらに、3機分の取得経費や維持費を含むライフサイクルコスト(LCC)の総額は運用期間20年で3154億円になる見通しです。これから機体の取得経費629億円などを差し引くと、修理費や燃料費など年間維持費は3機で約126億円となり、1機あたりで42億円に達します。国産機では維持費が突出しているC2輸送機の1機あたり年間約12億円と比較しても、GHの異常さが際立っています。
防衛装備庁の報告書は、部品の枯渇で、初号機の導入が「2019年度中」から「21年度中」に遅れることも認めています。
グローバルホーク 米空軍によれば、上昇高度1万8000メートル、連続飛行34時間以上、航続距離は2万2780キロ。両翼の長さは約40メートル。防衛省は北朝鮮・中国・ロシアを念頭に、「常続的監視態勢の強化」のため、14年~18年度の中期防衛力整備計画で3機の導入を決定。三沢基地(青森県三沢市)に配備予定。