参院厚生労働委員会
2013年12月2日
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
長野市で生活保護の文書、親族の扶養を前提とするという違法な文書が出ていたことについて取り上げましたが、全国調査結果、明らかにしていただきたいと思います。どれだけの市町村で使われていたんでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 御指摘のように、長野市が使用しています生活保護に係ります扶養照会書などに扶養義務が保護を受けるための要件であると認識させるおそれのある表現がございました。その後、同様の文言を使用しています事例がほかにもあることが判明したことから、全国の自治体に対して十一月八日付けで、同様の表現をしている場合には改善するように指示するとともに、十一月十四日付けで改善状況について調査を実施したところでございます。
調査の結果、速報値でございますが、改善指示をしました十一月八日の時点で千二百六十三か所の福祉事務所のうち四百三十六か所から、扶養が保護の要件と誤解され得る文言を使用したと報告がございました。同時に、改善指示を受け、当該四百三十六か所の福祉事務所のうち三百十四か所は、十一月十四日付けの調査時点で既に改善が図られたところでございます。さらに、システム改修に時間を要するなど、十一月十四日時点の調査時点で改善が図られていない百二十二か所においてもその後の状況を確認いたしました。その結果、既に改善した扶養照会書を別に作成し照会するなど、全ての福祉事務所において適切な対応が取られていることが確認できたところでございます。
○小池晃君 対応はしているというのは当然だと思うんですが、やはり全国四百三十六市町村で言わば違法な文書が使用されていたということは極めて重大だというふうに思います。これはもう是正徹底することは当然ですが、やはり私は生活保護行政の抜本的な見直しが必要だというふうに思うんです。そんなときに扶養義務を強化するような法案については、やはりこれは改めて廃案にすべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。
法案に入りますが、このプログラム法案は、医療、年金、介護など社会保障の様々な分野で改革メニューを列記して、それぞれ日程表を法文化して実施を義務付けるという中身ですが、そもそも、やっぱりこの法案、確認をしたいんですが、大臣、これは政府が目指す方向を宣言したものであって、それぞれ法案に列記されているメニューというのは、それぞれは個別法の改定や予算上の措置によって初めて実施されるものであると、これは間違いありませんね。
○国務大臣(田村憲久君) 受益と負担というもの、これのバランスを取りながら持続可能な社会保障制度、これを構築するために、その改革の検討項目、それから実施時期、さらには法案の提出時期の目途、こういうものをこの法案の中に書き込んでおるわけでありまして、今言われたような医療や介護の提供体制の整備でありますとか、また保険制度、その改革等々に関しては、それぞれ別途の法案等々を提出をさせていただくということでございまして、それに向かっていろんな議論をさせていただくということになってこようと思います。
○小池晃君 だとすると、こんな法律必要ないんですよ。閣議決定で済む話じゃないですか。何でこんな法律を、だって立法措置は別途必要だということであれば閣議決定でいいじゃないですか、何でこんな法律が必要なんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 国民会議の報告書にのっとって、やはり改革を必ずやり遂げるというような一つ方向を示すためにこの法律案を出させていただくと。同時に、やはり、そこは推進法の中で法制度上の措置を講ずるということでございますから、一年を目途ということでございましたけれども、国会をやっておりませんでしたので、閣議決定等々をなして、その上でこの法律を提出をさせていただくと。
やはり方向性を示すということは、国民の皆様方にしっかりと約束をするということと同時に、ある程度の改革の検討項目というもの、中身というものを国民の皆さんに示すということによって、一方で消費税を増税することをお願いをしてくるわけでございますから、それと社会保障との充実というものをここで国民の皆様方に十分に御理解をいただくための法案であるというふうに考えております。
○小池晃君 いや、やっぱり個々の改革というのはそれぞれ国民の生活、健康、命にかかわるわけですから、やはり広範な国民の意見を聞いて、徹底した国会審議によって一つ一つの法律を作っていくのが筋であって、それをやはり一方的にスケジュールをまずもって国会で議決をして、そして既成事実化していくというやり方は、私は国会の運営からしても非常に疑問だというふうに思うんです。
しかも、その法案が成立したらば、そこに書いたスケジュールというのはこれは実施義務付けられていて、そのために推進本部を常設し改革の進展を検証していくということで、これは結局、こういうやり方になってしまうと国会の軽視になりますよ。大臣、そう思いませんか、こんなやり方、いいと思いますか。
○国務大臣(田村憲久君) なかなかしゃべりづらいところがあるわけでありますけど。
やはり元々は、このスタートは昨年の三党合意からスタートをいたしました。当時、社会保障のその制度のいろんな見直しも含めてでありますけれども、政権交代ごとにころころ変わったのでは国民の皆様方の生活の一番根本を成す社会保障制度というものに対してやはり信頼感というものが持てないということがございました。そういうことで、当時、政権与党であった民主党の方から要請を受けて、自民党、公明党がそれを受けての三党合意、そしてその後の推進法というふうになっていくわけでございまして、そのような考えの下に今般の法律を出させていただいております。
ただ、方向性は示しておりますが、中身はもちろん、今委員がおっしゃったとおり、これからいろんな議論をしていくわけでございまして、そのような意味からいたしますと、十分に国会でも中身は御議論いただけるというふうに思いますし、それ以前に国民の皆様方からいろんな御議論というものもしていただけるというふうに思っておりますので、国会軽視というふうには思っておりません。
○小池晃君 三党合意、三党合意と言うけれども、ほとんど壊れているじゃないですか。しかも、今日、これ、もう非常に残念です、やっぱり。私は与党にやっぱり努力していただいて正常化してほしいと思うけれども、やっぱりこんなのもう前提が崩れているんだからもうやめましょうというふうに思います。(発言する者あり)まあ、それはそういう面もありますけれども。
個別のことをちょっと聞きたいと思うんですが、医療ですが、七十歳から七十四歳までの窓口負担二割にすることによって、給付費、国費、患者負担、そして医療費への影響は二〇一九年度の姿でどうなりますか、お示しください。
○政府参考人(木倉敬之君) お答えをいたします。
七十歳から七十四歳の患者負担でございますが、法律上は二割のところを予算措置で一割としておりますが、国民会議報告書では新たに七十歳になった方から段階的に進めることが適当とされておりまして、プログラム法におきましても低所得者への負担に配慮しつつこの検討を進めるということで書き込ませていただいております。
仮に今の御指摘のように来年二十六年から七十歳に到達する方から二割負担として一歳ずつ進んでいくと、全ての七十五歳までの方が、七十四歳の全部が二割負担になります平成三十一年、二〇一九年度におきますと、まず国費、予算で今措置しておりましたものが約二千六百億円減ると推計をしております。それから医療費でございますが、受診行動の変化、負担が増えることによる受診行動の変化がございますので、同じく三十一年度を見れば医療費は約二千百億円減ると。そのうちで給付費は千四百億円減るというふうに見ております。患者の負担でございますが、これらの中で三十一年度におきましては千九百億円程度増えるというふうに推計しておるところでございます。
○小池晃君 今御答弁あったように、一割を二割に引き上げたとすると患者負担増千九百億円、受診抑制は二千百億円、こういうことになっていくわけですね。二〇一九年度における七十歳から七十四歳の人口は九百三十万人というふうに言われていますので、一人当たりにすると年間二万四百三十円の窓口負担増、そして二万二千五百八十円の受診抑制ということになるわけですね。
私はこれが高齢者の生活と健康に深刻な打撃を与えることは間違いないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(木倉敬之君) 今の二割負担、本来二割負担のところを一割に凍結しております現状を見ますと、六十九歳までの世代の方、それから七十五歳までの世代の方に比べまして、負担が七十から七十四歳の方が少ない状況が見られます。
その中で、国民会議におきまして世代間の公平という観点からこれを是正すべきではないかと。その際にも、やはり今御指摘のように、高齢者の方々の今の状況にも配慮しなきゃいけないということで、特に低所得者の方の負担に配慮しながら、新たに今まで六十九歳で三割負担をお願いしておったような方について二割負担というふうなことで、七十歳になった方から段階的に進めることが適当であるというような御指摘もいただいておるところでございます。
今の議論の中では、七十歳になる方々、それまで三割だった方々の負担が増えない二割ということ、それから、既に七十歳に到達されている方々は一割負担で変わらないというふうなことでどうだろうかということを審議会でも議論をいただいております。
それから、あわせて低所得者に配慮ということで、高額療養費制度でございますけれども、これは本来二割の場合とかにはより高い額が設定をされておったんですが、今、一割の中で四万四千四百円ということで低い額で設定をされております。
審議会におきます議論ではこれを四万四千四百円、二割負担になりましても四万四千四百円の月の上限に据え置くことも含めて検討をいただいておりまして、必要な受診を抑制することのないように十分な配慮が必要だろうというふうに考えておるところでございます。
○小池晃君 高額療養費は、高齢者のこの部分、変わらないんですよ、今と。配慮したと言うけど。
大臣、この一割負担に据え置いたこと、これやったときに、当時、公明党の太田昭宏代表が衆議院本会議でこうおっしゃっています。一口に高齢者といっても、その生活実態は様々であり、年金収入や就労状況、借家で家賃負担がある方、そして介護負担、介護費用などを勘案すると、厳しい生活を余儀なくされている高齢者が数多くございますと。で、窓口負担の引上げを凍結するよう求めているわけですね。それに対して当時の福田康夫首相は、「高齢者の方が置かれているさまざまな状況に配慮しながら、きめ細かな対応に努める必要がある」と、そう答えて、それで予算措置をとることになった。
私は、この厳しい生活を余儀なくされている高齢者は数多いという状況はいまだに続いていると思います。そして、きめ細かな対応と言ったけれども、七十歳から七十四歳までの高齢者にきめ細かな対応なんてしていないじゃないですか。どんな対応をしたというんですか。これだから大丈夫だと言えるような根拠があるんですか。どうかお答えいただきたい。
○国務大臣(田村憲久君) 世代間の公平ということと、一方で、今言われたような高齢者の状況に応じたきめ細かな対応というものをいろいろと考える中において、一割負担というものを、それ以前の高齢者医療保険制度を継続して、本来二割であるにもかかわらず、暫定措置のような形で一割負担を続けてきておるわけであります。これは補正予算でずっと対応してきております。一方で、この後期高齢者医療保険制度でありますが、当初いろいろとお叱りをいただきましたが、例えば天引きと言われたものに関しても、これを選択制にするでありますとか、それから
(発言する者あり) いえ、まあそうなんですけれども、要するに、いろいろなことを対応する中でやってきたわけでありまして、後期高齢者医療保険制度に関してはある程度理解と定着が進んでおるというふうに思います。
今の七十から七十四歳のところでありますが、これはいろいろと分析してみますと、例えば医療費に係る一人当たりの負担、それから収入に対する一人当たりの負担というものを高齢者の中でもこれいろいろと比べてみますと、ちょっと我々も調べてみたんですが、ちょうどこの一人当たりの医療費に対する患者負担割合でありますけれども、六十五から六十九歳が八・九万円なんですね。七十五歳以上が七・六万円。しかし、今、一割凍結している七十から七十四歳は四・五万円なんですよ。これを二割にしますと、ちょうどこれが大体八・二ぐらいになるんですかね。でありますから、そういう意味からすると、このような意味から、あっ、ごめんなさい、七・四ですね、ごめんなさい、七・四万円。そうなると、大体、これを見ましてもまあ大体七十五以上また六十九歳以下と同じぐらいな割合になると。
同じようなことが、一人当たりの平均収入に対する患者負担割合に関しましても、今、七十から七十四歳は四・五万円、六十五歳から六十九歳が八・九万円、七十五歳以上は七・六万と。これも同じような割合になるわけでございまして、利用等から見ましても、やはり二割にした方がというか、言い方がよろしくないんですが、二割の本則に戻した方が、六十九歳以下と七十五歳以上の方々の自己負担割合と大体同じところになってくるということでございまして、今ちょうど七十歳から七十四歳の方々が二割を凍結していることによって負担割合が低くなっておるということを含めまして考えましても、高齢者の中においても世代間の格差といいますか、そういうものがこれによって一定程度緩和されるというふうに認識いたしております。
○小池晃君 高い方に合わせて公平化するという考え方が間違っているんですよ。これはやっぱり実態として、やっぱり七十歳前半というのは、リタイアしてその後の生活に入る。
やっぱり会社を辞めたりしていろいろな病気が出やすいような、そういう時期ですと。日本医師会の調査によれば、一割から二割に増やした場合に、一番受診抑制が出てくるのはやっぱり七十歳から七十四歳だという話もあるわけで、やっぱりこれは私は、今の説明でも、かつて、じゃ何で一割に据え置いたんですか。高齢者の生活実態はこうだからということでやった、それを今変えるという理由には全くなっていないというふうに思うんです。
それから、入院の食費負担について聞きたいんですが、法案には「在宅療養との公平を確保する観点からの入院に関する給付の見直し」とありますけど、これは急性期病床での食事負担の導入を想定したものなんですね。ちょっと長く答えないで、もう端的に言ってよ、イエスかノーかでいいから。
○政府参考人(木倉敬之君) プログラム法案への記載ぶりは今御指摘のとおりでございますが、この背景といたしましては、今の保険給付としての入院時食事療養費、これが急性期を含む一般病床におきましては、在宅との負担の公平化ということから一食当たり二百六十円、食材料費相当のものを御負担をいただいていると。これにつきまして今御指摘のような検討の規定がありますが、この中身につきましては社会保障審議会におきまして今後十分に検討いただきたいというふうに考えております。
○小池晃君 これは参議院選挙の自民党の選挙公約、J―ファイル見ますと、保険給付の対象となる療養範囲の適正化の具体例としては、ただ一つ、給食給付の原則自己負担化というのが書いてあるわけですね。これね、大体計算してみますと、やっぱり今の国民医療費では入院時食事・生活医療費八千二百九十七億円で、その大半は食事療養費というふうに考えられます。入院時食事療養(Ⅰ)では、例えば、これ、患者の標準負担額を除く保険給付はおよそ六割ということになりますんで、これ全体に当てはめると、入院給食の保険給付は現在およそ五千億円程度と、これが原則自己負担というふうになれば莫大な負担になると思いますが、こんなことを検討しているんですか。
○政府参考人(木倉敬之君) 御指摘のように、二十二年度で私どもの事業者の調査で見ましても、入院時食事・生活医療費に係る医療給付費は約四千八百億円程度ございますが、これは医療上必要な方もいらっしゃいますでしょうから、これ、中身を議論するにいたしましても、全額当然自己負担ということはないでしょうが、これについては十分社会保障審議会の御議論をいただきたいというふうに思っております。
○小池晃君 大臣、急性期病床の食事というのは治療の一環であって、食材費部分がたとえ自己負担になったとしても、人件費については保険給付にするというのが従来の立場だったと思うんですね。この考え方変えるんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 今言われたとおり、与党の中でのいろんな公約、J―ファイルの中でもいろんなことを御議論をいただいておる中において、これに関しましては、食事というものは自宅で御生活されておられても食費は掛かるわけでありますね。そういうことを念頭に置きながら、今一方で言われた食事自体が治療の一環であるというようなものが、どういうものがそうであるかということは、これはいろいろと検討しなければなりませんけれども、そういうような方々にどういう配慮をするのかということも含めて、これからいろいろと社会保障制度審議会の方で御議論をいただくということになってくると思います。
○小池晃君 私は、急性期病床における食事は治療だというふうに思います。これはやっぱり保険給付から外すのは間違いだというふうに思います。このことを改めて強調したいというふうに思いますが、(発言する者あり) ちょっとやりにくい。
介護保険ですが、これも大幅な改悪プランが入っているわけですけれども、介護保険利用料の二割への引上げによる給付減、それから介護施設の補足給付の縮小による給付減、これはどれだけになりますか。
○政府参考人(原勝則君) 介護保険の利用者負担を二割に引き上げる基準につきましては、今社会保障審議会介護保険部会で御議論いただいておりまして、一応二案私どもの方からは提案しています。一つの案は、個人の所得が第一号被保険者全体の上位二〇%以上に該当する合計所得金額百六十万円でございます。これ、年金収入に換算しますと二百八十万円という水準になります。また、第二案として、第一号被保険者のうちの住民税課税者の上位五〇%に該当する合計所得金額ということで百七十万円と、年金収入換算ですと二百九十万円といった案をお示ししております。
また、高額介護サービス費の限度額につきましては、医療保険の現役並み所得に相当する方について、現在三万七千二百円でございますけれども、世帯の合算額でございますけれども、これを四万四千四百円に引き上げる案をお示ししております。
これらの案によりまして、どのくらいの給付の減になるかということでございますけれども、一応審議会にお示ししました財政影響の試算では、平成二十七年度から二十九年度までの年間の平均ということでございますけれども、第一案でいいますと約七百五十億円、第二案でございますと約七百十億円の給付費減を見込んでいるところでございます。
また、補足給付でございますけれども、配偶者が住民税課税者である場合には、世帯分離していても配偶者所得を勘案して補足給付の対象外とする、あるいは預貯金等が単身で一千万円、夫婦で二千万円超の場合に補足給付の対象外とする、遺族年金等の非課税年金を所得段階の判定に勘案すると、こういった案を示しております。これらによる効果でございますが、審議会にお示しした試算では、平成二十七年度から二十九年度までの年間平均で約七百億円の給付費減になると見込んでおります。
○小池晃君 今数字もお示しあったんですが、これ、利用料二割負担の対象として検討されているものの中には、単身者の年金収入で二百八十万円以上、高齢者の二割だということが有力案というふうに報道もされているわけですが、これ、高齢者医療における現役並み所得者の基準は三百八十三万円ですよね。
大臣、これ、介護の方がはるかに対象が幅広い。二割の高齢者が二割負担になる高所得者とはとてもこれは呼べない基準じゃありませんか。大臣、こんなことをやっていいんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 消費支出のデータも踏まえながらいろいろと検討をいただいておるわけでありますけれども、単身で二百八十万というのは大体高齢者の中での所得上位二〇%ぐらいだというふうな判断の下にこの二百八十万というものを今御議論を、これ、決まったわけではありませんけれども、これを一つ基準にしながら御議論をいただいておるということであります。
その高所得者というものが医療と比べて違うではないかという話でありますが、そもそも医療は御承知のとおり三割負担になります、こちらは二割であります。さらに申し上げれば、七十五歳以上は一割負担、今七十歳以上も一割負担でありますけれども、これを、今、七十から七十四は二割負担にすべきではどうかという議論を、本則に戻そうかという議論をしておる最中である。
つまり、制度が違うわけでありまして、当然のごとく、この所得を幾らにするのを基準にするかというのも、医療は三割、こちらは二割ということでございますから、そもそもの制度が違うわけでございまして、それに関して同じ基準を使わなければならないというようなものではないというふうに認識いたしております。
○小池晃君 別に同じ基準を使えと言っているんじゃないけれども、高所得者の概念が何で医療と介護でこんなに違うのかと言っているわけですよ、三割が異常なんですから。これ、一割から二割に介護の利用料を増やしたら本当にやっぱり利用抑制はますます進みますよ、必要なやっぱり介護を受けられなくなればますます重度化するということになるわけですから。私は、こういうやり方は断じて認められないと思います。
それから、年金ですが、今年十二月支給分の年金から始まるいわゆる特例水準の解消による年金額の削減は幾らですか。
○政府参考人(香取照幸君) お答え申し上げます。
特例水準の解消でございますが、これは御案内のように、過去、平成十一年から十三年にかけまして物価が下落いたしましたときに、国民生活への影響を配慮するということで、特例法をもちまして年金額を据え置きました。その後、何回か様々な年金額の改定を行いましたが、結果的に二十四年度段階では本来の年金額と比較いたしまして二・五%高い水準になっておるということで、昨年の社会保障・税一体改革におきまして、二十五年度から三年間掛けてこの特例水準の解消を行いまして本来の水準にするということでございます。
影響額でございますが、物価スライド特例の影響を受けますのは、国民年金、厚生年金、共済年金、まあ全体でございますが、二十三年度の年金額の給付額の総額が約五十兆円弱ということでございますので、おおむね二・五%ということになりますと、特例水準によって高くなっている額がおおむね約一兆円程度ということになりますので、一兆円程度の影響額があると見ております。
○小池晃君 さらに、そのいわゆる特例水準解消後に、現行制度でも物価が一定程度上昇すればマクロ経済スライドが発動されることになるわけです。マクロ経済スライド発動された場合に、特例水準解消後の二十八年度から三年間で、マクロ経済スライドを発動した場合と発動しない場合には約三%程度の格差が生じると思います。そうすると、公的年金の給付総額を五十兆円とすると、この格差は一・五兆円程度になるというふうに私は思いますが、これは大体こういう計算ですね。イエスかノーかでお答えください。
○政府参考人(香取照幸君) マクロスライドでございますが、今後の経済状況によりまして実際の効果は変わってまいりますので、ちょっと現時点で確定的な影響額をお答えすることはできないわけでございますが、議員御指摘のように、特例水準解消の後に物価賃金が上昇いたしまして、想定されているマクロスライドが三年間完全に発動されたという前提を置いた上で、またこのスライド調整率も、実は次の財政検証で数字が動く可能性がありますのでこの数字も確定的ではないわけですが、二十一年度財政検証のときのスライド調整率をそのまま適用すると考えますと、約三%、御指摘のように三%になりますので、そういう前提を置いた上で計算しますと約一・五兆円の給付の抑制があるということになります。
○小池晃君 プログラム法案に盛り込まれているのは実はこれだけではないわけで、検討事項としては、年金支給開始年齢の先送り、あるいは一定以上の収入がある人の受給額削減、公的年金控除の縮小。介護では、要介護者、要支援者を保険給付から外していくことや特養ホームの入所基準を厳しくする。そういったことも含まれるわけですが、それは数字としてちょっと出しにくいということであると。出せるものだけで、今いろいろ言われたものを足し合わせれば、このプログラム法案に盛り込まれている負担増、給付減の総額というのは、二〇一八年度には三兆円を超える規模になっていくのではないかというふうに思うわけです。
社会保障と税の一体改革というのは、社会保障の充実、安定化とそのための安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものということで、充実分に回るのは二・八兆円というふうに政府は言ってきたわけですけれども、結局、この法案で盛り込まれているものは、中にはこの中に入っているのもありますけれども、その外枠のものもありますよね。そうすると、結局、これを総体として実行すれば、その規模は二・八兆円の充実分を超える負担増、給付減になっていくということになるんじゃないですか、大臣、いかがですか、これ。
○国務大臣(田村憲久君) 年金の特例水準の解消というのは本来の姿に戻す話ですから、これ、今までやらなかったこと自体がやはり特例であったわけですね。ですから、本来の水準に戻すという行為でございます。
あわせて、マクロ経済スライドも、本来もう発動されていなければならなかったものが、物価が上がらなかったということで発動ができなかった、物価、賃金が上がらないから発動できないというものを発動する話でございまして、これは今般のプログラム法と本質的にはかかわりはないといいますか、それ以前の十六年改正の中において決められたことでございますので、それを実行するだけの話であります。
あわせて、七十から七十四歳に関しましても、本来は二割負担であったものを補正予算等々で特例的に一割負担を続けてきたわけでございますから、これも今般の、本来、社会保障制度改革というよりかは、それ以前の元に戻すという話でございます。
なお、社会保障制度改革、今回のプログラム法の中においてメニューに書かれているものに関しては、これはもちろん効率化、重点化したものの部分はそのまま充実の方に回すということで二・八兆は確保してまいりますし、それ以外の部分のものに関しましても、これは財務省との話合いになると思いますけれども、なるべく社会保障の充実に充ててまいりたいというふうに思っております。
○小池晃君 今までやるべきことをやっていなかっただけなんだと言うけど、国民から見ればそんな理屈は通用しないわけですよ。負担増、給付減なんですよ、これ実態としてはね、年金額は減るんですから。それはそうでしょう。これは、前やらなかったことが今やられたんだなんてみんな思いませんよ。
消費税増税しますと、それで、社会保障に回しますと。社会保障充実二・八兆円ですと言われながら、実態としては三兆円を超える負担増というのは同時期に来るわけですよ。これを国民から見れば、結局、消費税増税したけれども、その時期に社会保障はどんどん悪くなっているじゃないかと、そういう実感持たれるのは当然じゃないですか。そういうことになるじゃないですか。これは私は事実の問題として聞いているんですよ。
○国務大臣(田村憲久君) 消費税とは全く関係ない議論ですね、これは。消費税が上がろうが上がるまいが、そこは本来のところに戻すわけでありまして、今までその分を、それこそ赤字国債等々を発行しながら対応してきたわけでございまして、その分に関して本来のところに戻すということでありますし、年金財政に関して申し上げれば、年金財政が毀損を本来の計画よりするわけでありますから、それを本来の制度の運営に戻すということでございますので、そこはやはり、我々丁寧に国民の皆様方に御説明をしていかなければならないというふうに思っております。
○小池晃君 私は、それは納得を得られないと思うし、実際、財務省なんかが今何言い出しているか。財政制度等審議会なんかではこういうふうに言っているわけですよ。当面、今般の社会保障・税一体改革において公費負担の追加を行ってまで社会保障の充実を図っていることの国民的な意義は問われ続けなければならないと。所期の政策効果の実現が見込まれない場合には公費投入を見直すこともちゅうちょすべきではなく、金額ありきで政策効果が曖昧なまま公費投入が行われることはあってはならないと。
財務省のやっぱりそういう方向が今出てきているわけで、やっぱり私は、そういう意味でいうと、結局、社会保障と税の一体改革といいながら、全く社会保障の充実ということを国民には実感できないようなそういう事態になりつつある。そして、更にそれが悪化しかねない。診療報酬の問題だって、財務省からいろんな発言出ているわけですよ。こういうことをやっぱり許していいのかと。本当の意味でやっぱり社会保障の充実ということを取り組んでいくという、そういう方向に今なっていない、だんだんやっぱり変わってきていると私は率直に思いますよ。こんなやり方でいいんだろうかと。しかも、後期高齢者医療保険料の引上げ、介護保険料の引上げもこれからあるわけで、やっぱり国民から見るとこれは話が違うというふうになってきますよ。そういうやり方でいいのかということを改めて私は指摘をしたいと思います。
それから、国保についてちょっと残る時間でやりたいんですが、法案では、財政運営を始め都道府県が担うことを基本に、都道府県と市町村において適切に役割を分担するとしていますが、これは国保財政の都道府県単位化で市町村の一般会計繰入れを解消を進めるということを意味するものであると思うんですが、簡単に答えてください。そうですね。
○政府参考人(木倉敬之君) 国保制度、国民皆保険の基盤でございますので、しっかりとした役割を果たしていかなきゃいけないと思っております。その構造的な問題として、低所得者の方が多い、高齢で医療の必要な方が多いということですので、財政基盤の強化はやはり必要があるということで、このプログラム法でも、まずは財政支援の拡充等によって国保の財政上の構造的な問題を解決する、これを図ることとした上でと書いてありますが、その上で財政運営を始めとして都道府県が役割を担う、また都道府県と市町村の適切な役割分担について検討を行うこととされております。
今御指摘の市町村が決算補填目的のために行っておられます一般会計繰入れ、これは計画的、段階的に解消できる努力をお願いしたいものでございますけれども、そのためには、まずもって収納率の向上あるいは医療費適正化をしっかり取り組んでいただく、さらに、国保の赤字の原因、運営上の課題をしっかり我々も共に分析した上でこの財政支援をしっかり行っていくなどの取組を進めていくことが必要だと思っております。
○小池晃君 そういう一般会計繰入れ解消ということを進めていくんだというんですが、実態どうかというと、資料お配りしましたけれども、これは、所得二百五十万円の自営業者で四人家族の場合の国保料、政令市で大体どうなっているか。こういう数字なんですね。札幌市四十八万一千百円、さいたま市四十万九千百円、東京二十三区四十一万五千八百円、新潟市四十五万二百円、京都市五十万五千三百円、大阪市四十六万八千三百円、岡山市四十五万三千六百円、福岡市四十九万二千八百円。これが今の実態ですね。
こういう中で都道府県単位化で市町村の一般会計からの三千九百億円の繰入れをなくせば、更にこれが値上がりをし、住民の生活を圧迫し、保険料滞納逆に増えて国保財政悪化するという悪循環になるだけではないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 医療も介護も負担が増えると、そうおっしゃられましたけれども、介護保険料も、低所得者ではその負担を軽減しようということで保険料自体下げようというようなことも入っておりますし、それから高齢者医療制度、国保に関しましても、これ国保絡みますけれども、これに関しましても保険料軽減者の対象を増やそうということもここの中に入っております。高額療養費に関しましても所得に応じた形にしようということでございますから、委員、負担の増えることばっかりおっしゃられますけれども、そうでないということを申し上げた上で、この国保でありますけれども、もちろんその今一般会計から導入している部分、この解消に向かって計画的に進めていかなきゃなりませんが、ただし一方で、それは保険料を上げるだけではなくて、例えば収納率の向上でありますとか医療費の適正化ということもやらなければならぬわけであります。
国といたしましては、今申し上げましたその保険料、低所得者の方々に対してそれをやっぱり軽減していくための国費も投入しなきゃならぬと思っておりますし、そもそも低所得者が多い、そういう保険者に対しての財政支援、こういうことも考えているわけでございます。都道府県化をするといっても、そこは都道府県と市町村との役割分担というものをじっくりと話し合っていただく上においていろいろとこれは議論をしなきゃいけない話でございまして、保険料、これ都道府県化イコール保険料が上がる方向に動くというような、必ずしもイコールではないわけでございますから、そこのところは十分に我々も配慮しながら制度の設計をしていかなければならないというふうに思っております。
○小池晃君 低所得者の保険料対策やるとおっしゃるんですけれども、五割、二割の法定軽減の対象を広げるとおっしゃるわけですが、保険局長に聞きますけれども、私が示した所得二百五十万円、自営業者、四人家族というのは今検討されている拡充予定の減額制度の対象になりますか。
○政府参考人(木倉敬之君) 今の七割、五割、二割、これの拡大ということ、これそのものは今のお示しをいただいたケースは対象にならないというふうに思っておりますが、全体の、大臣も答えましたように、全体のこの割合が増えること、七割、五割、二割軽減の方が増えることに伴いますその国保に対する全体の財政支援は更に拡充を図っていく、これはもう地方とも約束をしている事項でございます。
○小池晃君 対象にならないわけですよ、こういうクラスの自営業者であると。事業所得二百五十万円というと、月の平均収入二十万八千三百円になります。
社会・援護局長に聞きます。
四十歳代の夫婦、中学生、小学生の子供がいる四人世帯で、生活保護費は月額幾らですか。
○政府参考人(岡田太造君) 一級地の一、例えば大阪市で御指摘のような四人世帯で一月当たりの生活保護基準ですが、生活扶助で二十一万三千三百八十円、住宅扶助、これは大阪市の四人世帯の住宅扶助の二十三年の平均実績で見ますと、四万七千七百七十四円、教育扶助で一万三千二百二十円となっておりまして、合計で二十七万四千三百七十四円でございます。
○小池晃君 生活保護基準以下でも国保では減額を受けられないわけですね。年間四十万円を超える国保料が賦課されるわけですよ。これ、自営業者だけじゃないですよ。私もいろいろとケース見ましたけど、例えば給与収入月二十三万円のシングルマザー、中学生、小学生と三人世帯、この場合も年間給与収入二百七十六万円ですから減額には掛かりません。しかし、生活保護基準を下回る水準ですね。これは、やっぱり実態はこうなんですよ。
私は、現役世代の国保加入者では、生活保護基準以下のワーキングプアでありながら国保料の重い苦しみ、負担に苦しめられている人が多数いる。本来は、こうした層は保険料、国保料を免除されてもおかしくないわけです。しかし、今の制度上でいうと、法定減額と条例減免はありますが、免除となるのは一時的な、例えば災害時、事業の休廃止などの場合で、恒常的な低所得者の保険料を免除する仕組みはないわけです。これ、根本的な制度の欠陥ではありませんか。
○国務大臣(田村憲久君) これ、国保はやはりそれぞれ加入されている方々が相互に支え合っている制度であります。でありますから、やはり負担能力に応じて払っていただく部分と、それからまたその世帯割、人数割、資産割というようなもの、これを組み合わせて保険料を設定しておりますから、全国中一律ではございませんけれども、それぞれの保険者によって設定しているわけですね。
でありますから、そのような意味からして、必要なものに関しましては保険料としてこれをいただくというような形になっておるわけでございまして、今委員がおっしゃられたようなことも含めて、やはりこの保険者、国保というものがセーフティーネットであることは間違いありませんから、これをどう維持していくんだということに我々も大きな課題を感じておるわけであります。そこで、今まで脆弱であった非常にちっちゃい保険者も含めて、財政的に不安定であるということもございますから、都道府県単位でこれを財政的な一定の責任を負っていただこうということで今議論を始めておるところでございますし、国も低所得者の多い保険者に対しては財政支援を拡充しようという方向で今議論をいたしておるわけでございまして、いろんな手だてを講じながらこの国保の制度というものをしっかりと守ってまいりたいというふうに思っております。
○小池晃君 私は、やはり抜本的な解決が求められていると思いますよ、この国保制度については。
今のこういう事態、生活保護基準以下であっても減額が受けられない、あるいはその免除制度というのが存在しない、恒久的な制度として。やっぱりこれは根本的に見直す。社会保障の抜本改革というのであれば、まさにそういう事態に対して正面から切り込むことが必要なんですよ。そのめにやっぱり公費負担をしっかり増やしていくということをやるべきなんですよ。それをやらずに本当にびほう策でやっていくようなやり方では、私は日本の社会保障制度に対する信頼はますます揺らいでいくばかりだということを申し上げたいというふうに思います。
ちょっと後にも質問残っていたんですが、時間なので。ちょっとこの法案については、やっぱり社会保障の全分野にわたる改革のプランを示したものだけに、私は徹底した審議必要だと思いますし、民主党にも是非出てきていただいて、やっぱり正常な形できちっと参議院としての責任を果たていくということをやるべきだというふうに思います。
是非、委員長にも、そして与党の皆さんにも格段の御配慮をお願いしたいというふうに思いますし、徹底的な審議をやっていくことを改めて求めて、質問を終わります。
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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。参考人の皆様、本当にありがとうございました。まず、宮武参考人、大日向参考人にお伺いしたいんですが、私自身の立場で言うと、この社会保障制度改革国民会議の報告書を是とする立場ではありません。これは、やはり応能負担の原則や所得再配分の原則を壊して、やっぱり社会保障の土台を掘り崩す内容になっているというふうに私は思って読んでおります。
ただ、この報告書の中には、やはり自助、共助、公助の最適な組合せとありますね。ところが、提出された法案の中には、共助、公助という、まあそもそも言葉変なんですけれども、この言葉すらないわけですね。あるいは、この国民会議の報告書の中には、社会保障の機能強化という言葉が何回か出てまいります。あるいは、能力に応じた負担という言葉もあるし、低所得者への配慮ということも、何回かそういう言葉があるんですね。ところが、提出された法案の中には社会保障の機能強化という言葉は全くないわけです。
私は、率直に言って、この社会保障制度改革国民会議の報告書から見ても、この提出されているプログラム法案というのはかなりやっぱり社会保障の根幹である公的責任というのを後退させた法案になっているのではないかというふうに、そういうふうに思っているんですが、国民会議で議論された中身がきちんと反映されたというふうにお考えかどうか、議論に参加されてきた両参考人にお伺いしたいと思います。
○参考人(宮武剛君) お答えいたします。
支払能力に応じて負担をし、そしてその広がりと深まりが共に助け合うという共助につながる、しかし、支払能力のない方、支払能力に乏しい方の場合には当然ながら公で支える公助というものが付いて回るという、それは国民会議ではそういう認識で議論を進めてまいりましたので、その議論を踏まえた法律でございますので、理解はちゃんとしていただいているのだろうと、私は期待をしております。
○参考人(大日向雅美君) 私は、少子化対策の観点からお答えいたしますが、子供の自立あるいは親が自立すること、自助は最終的な目標だと思います。その自助を支えるためのいろいろな地域の仕組み、あるいは給付の仕組みということを少子化対策の分野ではきちんと書かせていただきました。それは、今回のプログラム法案でもその理念は明確に尊重していただいたと思っております。
以上です。
○小池晃君 国民会議に参加されていたので、それは反映されていないとちょっと言うわけにはいかないと思うので、それはそういうお答えになるのかもしれません。私はやっぱり、何かじわりじわりと後退しているような印象を拭えないんですね、この法案を見てそれ率直に思うんですが、住江参考人は、ちょっとその国民会議との関係で、今度の法案の中身、どのように見ていらっしゃいますか。
○参考人(住江憲勇君) その国民会議の基というんですか、社会保障制度改革推進法、この第二条第一項に、自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるようと、ここにきっちり共助、公助というのは出ているわけですね。それが、そして国民会議の報告にも一定そういうことで報告書にも出ています。それがこのプログラム法案には一切欠落し、自助だけが躍っていると。結局、冒頭、最初の陳述で言わせてもらいましたように、自立、自助、自己責任論を問えるのは、やっぱり今のこの社会においてだったら、雇用が徹底的に保障され、賃金が保障され、そして所得再分配が十全に機能する、そういうような下でこそ国民にやっぱり自立、自助、自己責任論が問える、そこで初めて問えるものだと思っているんです。ですから、これは国民会議の報告からも逸脱したプログラム法案と言わざるを得ないと思います。ですから、この法案については撤回、廃案にしていただきたいと思っております。
○小池晃君 私も、国民会議の報告も決して共助や公助、公的責任を強調している中身ではないとは思います、これは。やはり自助を中心、自己責任論というのが基本的な立場だというふうにこれも読んで思うんですが、ただ、その記述から見てもやはりかなり後退しつつあるのではないかなというふうに思うわけですね。
引き続き、住江参考人に、この際、先ほど陳述のときに診療報酬について一言お触れになりましたが、やはり全体として、来年の診療報酬改定に向けて今議論がやられていますけれども、私は非常に心配をしております。財務省の方からは、これはマイナスというような方向を出すような議論もあります。そういう中で、やっぱり今の地域医療の危機を打開するためにはどうしてもこの問題できちっと診療報酬、地域の医療が支えられるような仕組みが必要ではないかと思っていますが、保険医の団体としてこの問題についての御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(住江憲勇君) 診療報酬、これは一九八四年を一〇〇とします、一九八四年を診療報酬一〇〇、そして賃金一〇〇、物価が一〇〇と計算しまして、一九九七年、九八年まで物価そして賃金、これは一四五前後まで上がりました。その間、診療報酬は一〇七まで上がりました。しかし、それ以後、とりわけ二〇〇〇年に入って二〇〇二年、四年、六年、八年、マイナス改定で、これで一九八四年の一〇〇が九三ぐらいにまで落ちたんですね。これによって大きく医療崩壊というのが地域で起こったわけです。そこに危機感を持って二〇一〇年、一二年、まあマイナスにはならなかったんですけれども、しかし微々たるプラスでしたから、決してこれが一〇〇にまで回復もしていない。
そういう下で、私どもとしてはそれを一〇〇に、せめて一〇〇にまで戻すためでしたら一〇%以上の引上げを要求しているんですけれども、しかし、なかなか困難な面もございます。
ですけれども、少なくとも、今、物価そして人件費が下がっているからこれを今、診療報酬はプラスに持っていく余地はないという、そういう議論は全く成り立たないと思っておりますし、そういうことになりますと本当に地域での医療崩壊、更に加速するという危機感を抱いております。
以上です。
○小池晃君 ありがとうございました。財政審の建議も非常に気になる中身になっております。その点ではやはりこの問題で是非現場からの発信を強めていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
伊藤参考人にお伺いしたいんですが、伊藤参考人の先ほどのお話の中で消費税のこの法案における扱いがこれは大問題ではないかというお話がありました。私も、ここもかなり変わってきているんじゃないかなと。改革推進法では公費負担部分については消費税収を主要な財源というふうに言っていたのが、このプログラム法案では社会保障給付のために消費税の収入を活用するというふうに変わっています。しかも同時に、社会保障の給付の重点化及び制度の運営の効率化、いわゆる社会保障削減で財源を生み出すと。これは全く違う、元々そういう路線ではあったと思いますが、やっぱり何かこれもじわじわじわじわともう変わってきているという印象を私ここを見て思うんですが、この点についていかがでしょうか。
○参考人(伊藤周平君) おっしゃるとおりだと思います。
私も、先ほどの自助、共助の問題もそうなんですが、この条文読んだときびっくりしました、二十八条ですが。活用するというのは、使われるか使わないか分からないし、社会保障の費用を削減して財源を確保するとはどういうことなんですか、これは。元々言っていたことと全く違うわけですね。社会保障・税一体改革のときは、少なくとも一体改革の大綱を見る限りでは消費税収は目的税化するとまで言っているわけです。それが、消費税の改正法案を見ると充てるとしかならなかった。
今度、主要な財源にするが社会保障制度改革推進法。そして、今回のプログラム法案では活用する。おまけに、社会保障費を削減して財源を捻出する。
一体何に使うつもりなんですかね。消費税は、じゃ国土強靱化のために使うんですか。附則の十八条の二項で入りましたね、そういうところは。だから、そういう意味でおっしゃるとおりで、じわじわと骨抜きにされている。社会保障・税一体改革の国民会議があれだけ言っていた社会保障の機能強化もなくなってきた。
国民会議自体は割と良心的なところがあったと思うんですね。ただ、あくまでも元になっている法律が制度改革推進法なので、あの法律自体がもう社会保障を削減するということをもう既にそういう形で書かれていたわけですから、社会保障制度改革推進法に基づいて、あれ自体が私は憲法違反だと思っているので、つくられてきた、もう既に路線は引かれていたわけで、それを国民にちゃんと知らせないまま、説明しないままやっているということ自体が非常に大きな問題だと思います。
余りここで言ったらあれなんですけど、特定秘密保護法案もそうなんですけど、内容が全く分からないまま、国民に知られないままどんどん進められて骨抜きにされていく。まさにこういうような法案を私は通してはいけないと思っています。
○小池晃君 財源論で伊藤参考人にお尋ねしたいんですが、世界の論文の中でも指摘されていますが、社会保障の財源というのは消費税ではないんだと、所得税あるいは法人税と。私も全く同感なんですね。
日本のやはり消費税に該当する付加価値税で社会保障目的税にしている国はヨーロッパ諸国で存在しないと。だから、そういう点でいうと、やはり今のもう消費税しかないかのような議論、これちょっと住江参考人にもお答えいただきたいんですが、こういう議論はやっぱりちょっと余りにも世界の流れとも違うんではないかというふうに思うんですが、この点、いかがでしょうか。
○参考人(伊藤周平君) 私も、消費税を社会保障に使う、それで実際は使っていなくて、消費税を今度は目的税化するという形でこれ始まった議論ですし、それがこういうふうに骨抜きにされてくるということ自体が問題なんですが、私は、元々は消費税というのは、先ほど言いましたように、もうけのないところにも掛かるわけですよね。
赤字であっても掛かるわけで、しかもあれは、事業主はだから価格に転嫁できない場合は全部赤字で、自分で自腹で払わなきゃいけない。だから一番滞納が多いですよ、国税の中で。
それはある意味で私は消費税ってすごい欠陥税制だと思っていて、ましてやその輸出払戻し、還付金まであって非常に大企業有利というふうになっていますので、やはり消費税じゃなくて所得再分配、お金のあるところから取って社会保障に回す。これは当たり前のことですよ、能力に応じて負担をしてもらう。やっぱり能力に応じて負担していない、そういうふうな大企業というのはそうだと思うので、やっぱりそこから取れば幾らでも社会保障の財源はあると思うし、消費税は能力に応じて取っていないんですよ。だから、これは社会保障の財源にすべきではないと思うし、まあ仮にするとしても、かつての物品税のような形にしないと今の消費税は問題があり過ぎると思うんですね。日本の消費税は付加価値税とも違いますが、ヨーロッパの、その辺はもうちょっとここの議論ではないんですが、やはり、おっしゃるとおりで、ちゃんと所得税や法人税、社会保障は全ての税収でやるべきですよ。憲法二十五条の規定に基づけば。何で消費税だけ使わなきゃいけないのかというのはおかしな話です。
以上です。
○参考人(住江憲勇君) 消費税については、医療機関では損税ということで、医療機関にとっても厳しい問題がございます。大体、一般的な内科の診療所でも、年間二百二十万から二百三十万、そして歯科診療所においては七十万から八十万負担しております。それは、財務省に言わせれば、三%導入のときと五%に引き上げるときで一・五三%診療報酬で補填しているということは言われるんですけれども、しかし、その補填した項目、三千とも四千とも五千とも言われる診療報酬の項目の中の一部にのり付けされたわけですね。ですから、全くそれに、点数を取れない診療科もございますし、そしてまた、この十何年の間に包括化、マルメ、そういうところでもう雲散霧消した、そういうふうな診療報酬の項目もあるわけです。
ですから、一・五三%で補填したというところについての議論については、まあそれは一応私どもが言っているゼロ税率ということも要求として出しているんですけど、その議論にいよいよ乗っていただくときについては、またその議論もしてもいいと思うんですけれども、しかし、それで補填済みということは、もう全く現場の実感としてはございません。
ですから、診療報酬、これ、消費税が八%、一〇%になっていく段において、これが本当に厳しい問題、そして今、財務省とどう八%に上げたときに対応するかということで、これはまた診療報酬でという議論があるんですね。これは、この五%時点までに補填済みやという議論をまた繰り返すことで、そもそも診療報酬で補填するということは非課税の原則をやっぱり逸脱していると思う。診療報酬で上乗せするということは患者負担になるわけですから、やっぱりそれはもう非課税という理屈が通りません。
そういうことからいいまして、きっちりゼロ税率で解決していただくことを要望したいと思いますし、そして、消費税自体、これは三%、来年四月、増税というのは十月一日、安倍首相、決められました。しかし、やっぱりあのときは四月、五月、六月の対GDP比の年換算率が三・八%、それを論拠にされたんですけれども、しかし、せんだって発表された七月、八月、九月、これはもう一・九%と、半減しているんですね。この先、来年四月からの増税を見越した需要、そういうところが消えていくと、更にやっぱり悪い率とならざるを得ない。やっぱりそこに大きく経済の停滞を危惧します。
それのための経済対策として、安倍首相がおっしゃっているのは四兆円、五兆円の企業の法人税減税、そして特別復興税の廃止、そういうところをおっしゃっているんです。しかし、その経済腰折れという原因は、やっぱり国民一人一人の購買力、消費力の低下によるんです。そこで、根治療法としては……
○委員長(石井みどり君) 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。
○参考人(住江憲勇君) はい。根治療法としては、やっぱり消費税増税を中止、この一点に限ると思います。
以上です。