赤旗2017年6月17日付
安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」による獣医学部新設計画をめぐり、萩生田(はぎゅうだ)光一官房副長官が国家戦略特区諮問会議の方針に「広域的に」などの文言を入れるよう指示したとされる問題で16日、日本共産党の小池晃書記局長は参院予算委員会で、「経過を見ると首相官邸の意向ということが示されている。国民が疑念を持つのは当然だ」と追及しました。(論戦ハイライト)
小池氏は冒頭で文部科学省が追加調査で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などの内部文書の存在を確認したことをあげ、これまで否定してきた安倍首相に「国民への謝罪が必要」と迫りました。安倍首相は「批判があることを真摯(しんし)に受け止めたい」と述べるだけで、謝罪はしませんでした。
この調査で文科省は、昨年11月1日に内閣府から文科省に出されたメールを新たに公表。メールに添付されていた諮問会議の方針案には手書きで「広域的に」と「限り」などの文言が書き込んでありました。この追加で獣医学部新設を提案していた京都産業大学(京都府)は対象からはずれ、愛媛県今治市だけが残りました。これらの文言についてメールでは「官邸の萩生田副長官から(指示が)あったようです」と記しています。
小池氏は萩生田氏が「(諮問会議の)決定にかかわって、いっさい発言していないのか」と質問。萩生田氏は、「指示を出したことはない」と述べるのみで、発言したかどうかについて明言を避けました。
この問題で山本幸三地方創生担当相は、内閣府の職員が「課内でいろいろ飛び交っている話を聞いて確認しないまま(メールに)書いた」と説明しています。小池氏は、「なぜ内閣府の課内で国家戦略特区に関係のない萩生田氏の名前が出るのか」と指摘。山本氏は萩生田氏から修正指示があったことは否定する一方で、「文書をなおす際に必要なときは適宜、副長官にも報告する」と了解を得る場合があることを認めました。
また小池氏は、内閣府の指示で文科省が作成した「今後のスケジュール」という内部文書を紹介。この文書には今治市で2018年4月の獣医学部開学を前提にした工程が組まれています。
小池氏はスケジュールが今治市だけになっていることをあげ、「京都産業大学のスケジュールはつくったのか」と追及。松野博一文科相は、「文科省には京産大の検討がすすんでいたという認識がない」としてスケジュールを作成していないことを認めました。小池氏は「結局、加計ありき、今治ありきでこの議論が行われた」と批判。この問題を告発している文科省の前川喜平前事務次官の証人喚問と国会閉会中の集中審議を安倍首相に強く求めました。