赤旗2017年5月15日付
日本共産党の小池晃書記局長は14日、NHK「日曜討論」に出席し、憲法9条に自衛隊を明記しオリンピック開催の2020年に施行するとの安倍首相発言について「いよいよ改憲の本丸に踏み込んできたものだ」と述べ、憲法99条の憲法尊重擁護義務に違反し、立法府への行政府の不当な介入、オリンピック憲章に反する政治利用だと批判しました。
番組で自民党の下村博文幹事長代行は首相発言について「自民党総裁としての発言で、党内向けのものだ」と繰り返し、批判をかわそうとしました。小池氏は安倍氏の発言は国民向けのものであり、まぎれもない首相としての発言だと指摘しました。
その上で小池氏は、自衛隊を憲法に書きこむことは単に自衛隊の存在を認めるだけでなく、「例えば3項に自衛隊の存在理由を書くことになれば、結局その規定が独り歩きして、海外における武力行使を無制限に可能にする。戦力不保持の2項は死文化することになる」と強調。今の憲法のもとでも安倍政権が集団的自衛権行使を可能にしたことを挙げ、「憲法に自衛隊の記載がなかったときにこれだけのことを平気でやるのに、自衛隊が憲法9条に書き込まれたら完全に歯止めがなくなる」と語りました。
さらに、今回の首相発言のベースに改憲右翼団体「日本会議」のシナリオがあると指摘し、「日本会議」のブレーンが憲法9条3項に自衛隊を加え、「国際法に基づく自衛のための実力を保持」という規定を入れることなどを主張していることを紹介。「こういうやり方で9条を空文化するのが安倍首相の狙いだ」と批判しました。
民進、自由、社民の各党も「憲法尊重擁護義務に反する」などと批判。一方、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は首相発言を「自民党内向けと理解している」と弁護しながら、公明党の「加憲」をめぐる議論の中に首相発言と同様の議論があることを認めました。 (詳報)