赤旗2017年4月28日付
厚労省は26日、「企画業務型裁量労働」の対象者数について、実数を集計して公表することを明らかにし、日本共産党の小池晃参院議員に説明しました。
対象者の実数集計は小池氏が質問で求めてきたものです。厚労省は2003年以来、実数を公表せず、過去に推計値を公表したことがあるだけでした。
労働基準局の担当者は、小池議員の指摘を受けて協議し、全国の労基署に提出される「決議届」「報告」を集計公表する方針を明らかにしました。
裁量労働は、仕事の進め方を労働者の裁量に委ね、業務の遂行や時間配分の決定などに使用者が具体的な指示をしない制度です。そのため、労使協定で「みなし労働時間」を9時間と決めれば、それ以上いくら働いても一定金額の賃金しか支払われません。
国会に提出中の労働基準法改悪案では、「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)とともに、「企画業務型裁量労働」の営業職への導入を盛り込んでいます。
ところが厚労省は、導入されている実数を明らかにせず、就業条件総合調査の推計で全体の0・2%、11万人程度(15年度)と説明してきました。
推計では調査結果が0・1%違うだけで5万人程度も変わり、とても実態を反映したとは言えません。実数も明らかにしないまま裁量労働を拡大することなど許されないとの声が上がっていました。
小池氏は3月22日の参院厚労委員会で、損保ジャパン日本興亜が本社の企画部門等にしか導入できない企画業務型裁量労働を一般営業職にも6000人余の規模で導入し、「みなし時間」の2倍も残業をさせていると告発。塩崎厚労大臣に厳正な対応を求め、集計可能な実数を明らかにするよう求めました。