赤旗2017年4月26日付
防衛省沖縄防衛局は25日午前9時20分、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う護岸工事に着手しました。2014年に安倍政権が新基地ノーの圧倒的な民意を無視して工事に着手して以降、海上での埋め立て本体工事着手は初めて。県の岩礁破砕許可がないもとでの違法工事です。1996年に米軍普天間基地(宜野湾市)の「移設条件付き」返還で合意して以来、辺野古新基地をめぐるたたかいは重大な局面に入ります。
同日午前8時40分、大型クレーンが設置されている米軍キャンプ・シュワブ北側の砂浜に作業員十数人が姿を見せました。作業員は石材が入った袋をクレーンにつり下げ、9時20分から5個を波打ち際に投下しました。
防衛局が25日に着手したのは、埋め立て区域の北端に位置する「K9護岸」とみられます。ただ、埋め立て工事そのものではなく、同日投入した石材の使用目的は不明です。
本格的着工にはほど遠いものですが、米国務省は同日、「辺野古移設が普天間飛行場問題の唯一の解決策だ」とのコメントを発表。菅義偉官房長官も記者会見で「埋め立て本体工事の開始は、普天間飛行場の全面返還に向けた確かな第一歩だ」と強調しました。日米両政府は工事の“進展”を演出し、県民に「あきらめ感」を植え付ける狙いです。
これに対して沖縄県の翁長雄志知事は同日、県庁でぶら下がり会見を行い、差し止め訴訟を適切な時期に行使すると表明しました。
現場では、護岸工事に抗議するボートやカヌー隊、これらを取り締まるために出動している海上保安庁のゴムボートや沖縄防衛局の小型船が入り乱れ、騒然とした雰囲気となりました。
また、米軍キャンプ・シュワブの工事用ゲート前には早朝から約100人が抗議の座り込みを行いました。沖縄市の男性(62)は「岩礁破砕許可もないのに工事を進めるなんて沖縄は無法状態なのか。これが国のやることなのか。それでも県民はあきらめないし、どんどん人が集まって抵抗運動は高まっていく」と話しました。
ただちに中止を 全国で連帯
小池書記局長
日本共産党の小池晃書記局長は25日の記者会見で、政府が沖縄県名護市辺野古での米軍新基地の護岸工事を強行したことについて「埋め立て本体工事の第一段階となる工事だ。断固抗議し、厳しく糾弾する」と表明しました。
小池氏は、県の岩礁破砕許可の期限が3月に切れているにもかかわらず、防衛省沖縄防衛局が無許可で工事を強行したと指摘。「護岸工事は岩礁破砕につながる違法行為であり、ただちに中止するべきだ」と述べました。
新基地反対の県民の圧倒的な総意が一連の選挙で示されているとし、県民世論調査(「朝日」、沖縄タイムス、琉球朝日放送が22~23日に実施)でも、新基地建設反対が6割を超えていると強調。安倍政権の姿勢についても「妥当でない」が65%、安倍政権が沖縄の声を「聞いていない」との回答も70%に達しているとし、「民意を一顧だにせず、『辺野古移設が唯一の選択肢』だと突き進むことは、民主主義の国では絶対に許されない。問われているのは日本の民主主義だ」と述べました。
小池氏は、翁長雄志知事が同日の会見で政府の暴挙を批判しつつ、工事は始まったばかりで二度と後戻りできない事態ではないと述べ、「埋め立て承認」の撤回や工事差し止め訴訟の提起にも言及したことを指摘。「日本共産党は翁長知事の決意を断固支持する。沖縄県民に連帯するたたかいを全国で広げ、新基地建設は絶対に許さないという声を広げていきたい」と表明しました。