赤旗2017年4月15日付
日本共産党の小池晃参院議員と全労連は14日、世界各国の最低賃金制度について国立国会図書館調査・立法考査局から報告を受け、聞き取りを行いました。
市民運動成果に
最低賃金の大幅引き上げ、全国一律制度の導入へ運動に役立てるための取り組みです。
国会図書館の担当者が日本とアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの制度の概要や最賃額、決定基準、適用対象、引き上げの効果や影響などについて報告しました。
アメリカでは、連邦最賃と州・自治体ごとに設定。連邦最賃は、時給7・25ドル(約737円)ですが、連邦政府が契約する事業者については、10・20ドル(約1037円)です。カリフォルニア州やニューヨーク州などでは、段階的に15ドル(約1525円)まで引き上げることになっています。
イギリスでは、金額は全国一律ですが、年齢によって違いが設けられ、25歳以上は、最賃に生活賃金付加金を加算した全国生活賃金が導入されています。賃金の中央値の60%まで引き上げることを目指しています。
ドイツでは従来、労使が締結する労働協約によって決められ、全国一律の最賃はありませんでした。しかし、労働協約で決定される労働者の減少や低賃金労働者の増加が問題となり、15年1月に8・5ユーロ(約1122円)で法定最低賃金が導入されました。2年に1回改定され、17年1月は8・84ユーロ(約1167円)に引き上げられました。
フランスでは、全産業一律スライド制最賃(SMIC)が導入されています。物価や賃金をもとに毎年改定されます。01年以降は毎年上昇し、17年は9・76ユーロ(約1240円)です。
アジアでは、インドネシアで200・2%、ベトナムで179・9%、中国の北京市で96・9%などと上昇が続いています。
全労連の小田川義和議長が、最賃引き上げを求める国際的な流れについて質問。国会図書館の担当者は、アメリカ各地で起こっている生活賃金(リビングウェイジ)運動やウォール街占拠運動、ファストフード産業の賃上げ運動など、草の根の市民運動の広がりが、引き上げに結びついている実態などを紹介しました。