赤旗2017年3月2日付
日本共産党の小池晃書記局長は1日の参院予算委員会で、大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)への豊中市内の国有地の不透明な売却をめぐり、独自に入手した自民党国会議員事務所の面談記録を示し、財務省、近畿財務局、国土交通省大阪航空局に籠池氏が値引きなどを要求していた事実を明らかにしました。小池氏は、政治家の関与を含め、交渉経過の全容を明らかにするように求めました。「政治家の働きかけはなかった」としてきた安倍晋三首相の言明は崩壊し、委員会室にどよめきが起こりました。
首相夫妻の道義的責任明白
小池氏が示した面談記録によると、籠池理事長が同議員事務所に最初の要請をしたのは2013年8月5日。国有地の処分は「『購入』のみ」とする近畿財務局に対し「借地契約して8年後に購入」にしたいと要請しました。
籠池氏は大阪府と近畿財務局の間の調整も要請(同9月13日)。近畿財務局は同日「前向きにやっていきますから」と議員側に回答しています。
同10月12日には籠池氏夫妻が来訪し、「上から政治力で早く結論が得られるようにお願いしたい」と要請しました。
小池氏は記録をもとに、15年1月9日、近畿財務局が籠池氏に対し「土地評価額10億円、10年間の定期借地として賃料年4%、約4000万円と籠池氏に提示したのは事実か」と質問。財務省の佐川宣寿理財局長は「詳細な面会記録は残っていない」と答えました。
16年3月14日には、土地の埋設物処理について近畿財務局の対応に不満をもった籠池氏が「15日に(財務省)本省にいくのでアポ(約束)をお願いしたい」と要請。ここで、この議員事務所は「お断りします」と回答しました。
しかし籠池氏は、同15日に財務省理財局担当者と面談。埋設物処理費8億1900万円を値引きしての土地売却という希望通りの結果になりました。
小池氏が「不可解な交渉の全過程、政治家の関与について全容を明らかにすべきだ」と求めたのにたいし、安倍首相は「(小池氏が示した面談記録が)どういう文書かわからない」と説明を拒否しました。
小池氏は「説明責任はあなたたちにある」としたうえ、「全容解明のためには関係者にきくしかない」と、籠池理事長、当時の財務省理財局長である迫田英典氏(現国税庁長官)の証人喚問を要求しました。
小池氏は、「教育勅語」を幼稚園児に唱和させるなど森友学園の教育方針が大きな問題になるなか、それを持ち上げてきた安倍首相夫妻の道義的責任を追及。安倍首相は「教育内容についてこたえる立場にない」と強弁しました。
森友側との面談認める
鴻池議員「便宜図っていない」
日本共産党の小池晃書記局長が1日の参院予算委員会で、森友学園の籠池泰典理事長と自民党議員事務所の面談記録に基づき、森友学園側の不当な要求があったことを追及したことに関連して、自民党の鴻池祥肇参院議員・元防災担当相は同日の日本テレビ番組の取材に対し、小池氏が示したものと同じとみられる記録の存在を前提に、「森友学園に一切便宜は図っていない。うちの事務所は不動産屋ではない」と語ったと報じられました。