赤旗2017年2月1日付
日本共産党の小池晃書記局長と民進党の福山哲郎幹事長代理の対談の動画が、インターネット番組「デモクラTV」のサイトで1月30日から公開されています。対談で両氏は、安倍政権の「働き方改革」や文科省の天下り(再就職)あっせん、原発、沖縄米軍基地問題など日本の政治の熱い焦点や、野党共闘について率直な意見を交わしました。司会は政治コラムニストの早野透さんです。
冒頭、小池氏は参院本会議で行った代表質問(1月25日)について「(安倍首相は)聞いていることにまったく答えない。聞かれてもいないことをとうとうとしゃべる。中身はでたらめです」と批判。福山氏は、「質疑に対してほとんど正面を向いて答えない。国会自身に対して失礼な答弁が多かった」と指摘しました。
早急な審議必要
小池、福山両氏は、電通の女性社員が過労自殺した問題に関連して、安倍首相が長時間労働を促進する「残業代ゼロ」法案の成立を狙っていることを批判。4野党が共同提出した長時間労働規制法案の早急な審議が必要だという点で一致しました。
さらに、文部科学省の天下りあっせん問題では、第1次安倍政権時代に国家公務員法を改悪して天下りを「自由化」し、旧民主党政権時代よりも天下りが増加していることや、沖縄米軍基地問題をはじめ、トランプ米新政権から軍事的・財政的負担の強化を求められる危険があるなど日米同盟の問題についても語り合いました。
原発問題で小池氏は、東京電力福島第1原発事故の処理費用の国民負担が21兆5千億円にも上ることについて、安倍政権は東電株主や銀行の責任を問わずに、電気料金などに押し付けようとしていると指摘。原発事故時に官房副長官だった福山氏は、責任を痛感していると述べた上で事故処理費用について「過去分を徴収すると(している)。過去は安全神話で、そんなことは起こらないと言って取らなかった分が、後になって取られるというのは、論理的にナンセンスで国会の大きな争点の一つになる」と強調しました。
小池氏は、日本共産党の第27回大会で民進党の安住淳代表代行が、安全保障、エネルギー、社会保障と税負担のあり方などをあげ「完全に一致することは難しいかもしれませんが、一つひとつのテーマについて両党が真摯(しんし)に話し合い、その考えを尊重しあえば、一定の幅のなかにこれらの政策を寄せあうことは可能だ」とあいさつしたことを引用し、「僕も、そうだなと思っています」と語りました。
福山氏は、2030年代に原発稼働ゼロをめざす民進党の立場を表明し、「再生可能エネルギーの設備は原発18基分ぐらいもうできているんです。われわれのエネルギー調査会で、原発に対する政策をもう一度見直して、やろうという作業を始めています」と語りました。
小池氏は、新潟県知事選では福島原発事故の総括もないなかで再稼働は認めないという点で一致できたと述べ、「何とか一つの方向に野党としてまとまっていくことが、原発の問題でもできるのではないか」と提起しました。
これに対して福山氏も「2014年に政調会長だったときに国が関与している責任ある避難計画がなければ、再稼働はできないというところまで踏み込んで決めました」と述べました。
共闘大きな成果
小池氏は、共産党の党大会に民進、自由、社民の3野党と参院会派「沖縄の風」の代表が出席したことにふれて、「みなさん本当に覚悟を決めて来られている。腹をすえて野党と市民の共闘で政治を変えるんだという熱気あふれる大会になりました」と語りました。
福山氏は、安保法制に反対して多くの国民が国会前や全国各地で声を上げたことが「野党が集中しようということの根拠をつくっていただいた最大の要因だと思います」と強調。参院選で野党統一候補が11の1人区で勝利したことは「大きな成果だったと思います」と述べました。
小池氏は、「色とりどりの多様性をもった人たちが一つに集まっているが固く結束している姿とともに、各党が一緒に勝とうと思っている姿を示さないといけないと思うんです」と強調し、単なるすみ分けでなく、相互推薦を基本に、お互いが協力できる形をつくることで全力を発揮できると提案しました。
最後に、早野氏から政権問題について質問がありました。
福山氏は「政権というのは国民の生活全般がありますから、あんまりハードルを高く上げてしまうと、今の足元の議論すらできなくなる」と率直な意見を表明しました。
小池氏は、「政権問題での政党間の合意がないもとでは、僕らもこれは協議の入り口の条件にはしません。しかし、与党からの攻撃もあるでしょうし、答えを持っておく必要はあると思います」と述べました。
福山氏は、「それぞれの政党が持っている政策の交流や考え方で言うと、連立という選択肢は今のところわが党のなかではないんです。今の安倍政権に対抗して、まずは協力していきましょう」と述べました。
小池氏は「この問題は継続的に協議していかなければいけません」と語りました。
同番組は「デモクラTV」のサイトから視聴できます。