赤旗2016年12月23日付
化学メーカーである三星化学工業の福井工場で、ぼうこうがんを発症した労働者7人が労災申請をしていた問題で、福井労働基準監督署は21日、7人全員を労災と認定しました。
労働者らは、作業中に化学物質「オルト‐トルイジン」を使用していました。厚労省に設置された検討会は、オルト‐トルイジンにかかわる業務に10年以上従事した労働者に発症したぼうこうがんについて、業務が有力な原因となって発症した可能性が高いとしました。労働者7人のうち2人は、10年未満でしたが業務との関連性を検討し、認定しました。オルト‐トルイジンを原因としたぼうこうがんを労災認定するのは初めてです。
この問題をめぐっては、日本共産党の小池晃参院議員が5月の厚生労働委員会で政府を追及していました。化学工場では、有害物質の注意点も掲示されず、かつては粉じんまみれの作業だったと指摘。「労働現場での有害物質の教育がきわめて不十分だ」として、速やかな労災認定と、化学物質を扱う職場の詳細な実態調査の実施などを求めました。塩崎恭久厚労相は「指導監督を徹底する」と回答。6月から検討会が始まりました。
小池議員は「今回の労災認定は当然だが、職業がん防止にはオルト‐トルイジン以外の化学物質についても徹底検証が必要だ」と指摘しています。