日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

2016年10月6日 参院予算委員会 速記録

2016年10月06日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 年金積立金の運用について聞きます。
 二年前に安倍政権は、年金の運用比率、いわゆるポートフォリオを変更いたしました。国内債券の比率を六〇%から三五%に下げ、株式の比率を二四%から五〇%に引き上げました。百四十兆円を超える積立金の半分を株式で運用するように変更いたしました。
 その結果、二〇一五年度の運用成績、そして一六年度四月―六月期の運用成績を示してください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十七年度の運用実績は、主に内外株式や為替の市場変動に伴う評価損の影響によりまして、収益率はマイナス約三・八%、収益額はマイナス約五・三兆円となっております。
 また、平成二十八年度第一・四半期の運用実績は、六月下旬の急激な円高や国内株式市場の下落に伴う評価損の影響によりまして、収益率はマイナス約三・九%、収益額はマイナス約五・二兆円となっております。

○小池晃君 参議院選挙前にはこの数字を明らかにしなかったんですね。選挙が終わってから十兆円を超える巨額の損失が明らかになったわけであります。
 この株式比率の引上げ決定したのは二〇一四年の十月末ですが、実際は半年程度掛けて変えていきましたので、二〇一五年の四月からがほぼ新たな運用による結果だと。その結果が十兆五千億円の赤字というふうになるわけであります。
 総理は、この問題を取り上げると、短期の結果で議論しないでほしいと繰り返すんですけど、これは、何でこれを問題にするか、二〇一五年度以降の運用成績をなぜ問題にするかといえば、これは、安倍政権が運用方針を変えた結果がここに出ているわけですよ。株式運用比率の引上げという政策判断が正しかったのかどうか、これを議論して検証するのは私は当然だと思うんですよ。
 総理、ポートフォリオの変更後にマイナスが拡大したという事実を認めていただきたい。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、基本ポートフォリオの変更というのは、経済情勢、すなわちデフレから脱却をし、あるいは長期的に見て物価が上昇局面に入っていくという想定の下で、国内債券に頼っていた従来の基本ポートフォリオではなかなか難しいということで、株式等への分散投資を進めたものでございます。長期的に見れば、変更前の基本ポートフォリオと比べて、年金財政上必要な積立金、積立金を下回るリスクというのは少なくなって、これは適切な見直しであって、あくまでもやはり長期で見るのが年金運用の常識だというふうに思います。
 仮に、リーマン・ショックを含む平成十六年度から平成二十五年度までの十年間について現行のポートフォリオを運用したと仮定すると、それぞれの年度の収益のぶれ幅は大きくなるわけでありますけれども、名目運用利回りは四・三%と、従来のポートフォリオよりも一・一%高い収益率が得られているわけでございます。
 加えて、今、検証がというお話がございました。
 今年三月に定期的な検証が行われていまして、GPIFがマイナス金利など直近の経済市場データを織り込んで長期的な運用利回り等の試算や将来の積立金の見込みに関するシミュレーションを行っております。それによりまして、現在の基本ポートフォリオを変更する必要はないとの結論に至ったと承知をしているところでございます。
 平成十三年度の自主運用開始以降、年金積立金の累積収益は約四十兆円となり、また、安倍政権の三年間では二十七・七兆円となっているわけで、このように年金財政上必要な収益を十分確保するということが大事でありまして、そういう面ではその目的は達成をされておりますので、国民の皆様方には御安心を是非いただきたいというふうに思います。

○小池晃君 自分たちが政策変更したことで十兆円の欠損をつくりながら何の反省もない、そういうことでいいんですか、これは。
 私、今説明あったけれども、これからデフレから脱却する、物価が上昇する局面になる、そうすれば、債券中心の運用だったらマイナスになるから株式中心にするというふうに、そういうことで決定したと。
 物価上昇なんかしないじゃないですか。いつまでたっても物価上昇の局面なんか生まれていない。
 その結果、運用資産別の収益を見てください。
 (資料提示)
 一目瞭然なんです。収益を生み出すだろうと言っていた株式はずうっと赤字が続くわけです。そして、以前の比率のままだったらマイナスになると言っていた債券だけが実際にはプラスを続けて、逆に三兆円黒字になっているわけですよ。
 総理、だから、以前の運用比率のままなら、これ単純計算でも三兆円から四兆円損失を減らせたということになるわけです。これは、安倍政権のまさに政策判断によって変えて、その結果こういう結果になったわけですから。
 総理、ポートフォリオの変更をしなければこれは株価が下がったってこれほどの損失にならなかったという事実を、これはっきり認めてくださいよ。私はこの事実を認めてくださいと言っている。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、年金の運用を議論するには一定の常識があるんですよ。それは長期なんですよ。小池さんが言っているこの一―三、四―六だけ、これ短期、すごく短期ですね。すごい短期だけの話をしても年金の運用では意味がないんですよ。
 ですから、そこで……(発言する者あり)そこで、小池さん、政策について話をするんだったら長期で見なければいけないというのが年金の運用においては常識、常識なんですよ。何回も言うようですが、常識です。
 そこで、そこで、私は議論についての常識は何かということを申し上げているのであって、短期で、短期で、短期で話をするというのは、常識ですから聞いている方々が誤解をするから、私は今強くお話をさせていただいております。
 そこで、そこで、長期で見ましょう。では、私たちが新たに導入したポートフォリオ、新ポートフォリオ。そうしますと、従前のポートフォリオで運営されていたリーマン・ショックを含む平成十六年度から平成二十五年度までの十年間について現行のポートフォリオで運営したと仮定すると、それぞれの年度の収益のぶれは大きくなるのでありますが、名目運用利回りは四・三%になるんです、これはまさにあのリーマン・ショックを入れても。
 今、小池さんがおっしゃったように、だから駄目だと私は言ったんですが、では、リーマン・ショックの間だけいけば、これはとっても損益が出て駄目だということになるんですが、でも、実際、今申し上げましたように、それを入れても、十六年から二十五年度までを入れれば四・三%となりまして、従前のポートフォリオよりも一・一%高い収益率が得られることになるわけでありまして、こういう姿勢で見ていかなければ年金の議論はならない。
 政権を批判するためだけに、ここだけ取ってきて言わば年金の安定的な財源について不安をあおるような議論は慎むべきではないかと、このように思うわけであります。

○小池晃君 不安をあおるじゃなくて……(発言する者あり)

○委員長(山本一太君) 御静粛に願います。

○小池晃君 不安をあおるじゃなくて、この実態を見て国民は不安に思っているから、そしてその不安をつくったのは安倍政権の政策変更だから、だから言っているんじゃないですか。十年前に変えていたらもっともうかっていた、そういう捕らぬタヌキの皮算用みたいなそんな話するんじゃなくて、現実にしっかり向き合うべきだというふうに思いますよ。
 しかも、私、いろいろとおっしゃった、いろいろとおっしゃった。しかし、年金の積立金というのは、これはあなたたちの持ち物じゃないですよ、国民の財産ですよ。政府はその運用を委託されているだけですよ。政府は受託者として責任を果たす上で国民に十分に説明責任を果たす、このことが私は必要だと思う。
 リスク運用、大きくかじを切る、そういう決定したわけですよ。その是非はともかく、総理、これが国民にちゃんと説明したと言えますか。国民の皆さんは、このリスク運用に大きくかじを切ったことについて十分に納得されているというふうに、総理、考えますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、捕らぬタヌキの皮算用とおっしゃったわけですが、リーマン・ショックを入れているんですから、あれだけ大きな下落があったんですよ。下落があって、我々が政権取る前八千円、一万円ずっと割っていましたよね、八千円になっていた。それを入れているんですよ。それを入れても言わば従前のポートフォリオよりもプラスになっているということを申し上げているわけでありまして、この本当に、二四半期だけを取り上げてきて、殊更、殊更取り上げるのは間違っているわけでありまして、もうこれは、安倍政権になってまるでずっとこれGPIFが損をしているかのごとくの印象を与えてしまいますが、これ念のために申し上げておきますが、安倍政権の三年間では二十七・七兆円のプラスになっているわけでありますし、四十兆円既にこれは積み上がって、収益が積み上がっているわけであります。
 なぜ私がこういうことを言うかと言えば、十兆円だけ強調されますと見ている方々が誤解するんですよ。これはだから……(発言する者あり)いや、だからそうやってやじを飛ばすよりも、冷静な議論をしようじゃありませんか。(発言する者あり)いや、もうまた何回も、杉尾さん、やじを飛ばさないでくださいよ。何回も何回もやじを飛ばすよりも、冷静な議論が大切なんですよ、年金というのはね。お年寄りの皆さんもこれ真剣に聞いていますよ、どうなるかと。
 ですから、ここはやっぱり真剣に議論をしていくべきであって、いろんな数字を合わせた上において、もちろん我々も注視をしていますよ。しっかりと状況を、運用の状況を注視をしていますが、ですから、その中で我々はこのポートフォリオを変更したということについては、先ほど塩崎大臣が申し上げましたように、我々のマクロ経済の運用が新たな政策を行うことになったわけでありますから、そこに鑑みて今回ポートフォリオの変更を行ったということでございます。

○小池晃君 全く答えがないんですね。
 私は冷静な議論をしていますよ。安倍政権になってからずっとマイナスだなんて一言も言っていないじゃないですか。安倍政権が政策変更をしてからマイナスの幅が広がったでしょうと、この事実を認めてくださいと言っているのに、この明らかな事実すら認めようとしない。
 私は、こういう議論こそが国民の不安をあおるんだと思いますよ。こんな政権に任せておいていいのかと、テレビを見ている方は不安に思いますよ。正直に言わなきゃ、そして国民に対してちゃんと説明しなきゃ。あなた方は、ただ預かっているだけなんだから、勝手に運用方針を変えるなんということをやっちゃいけないんですよ。
 もう一つの大問題があります。GPIFは株式保有比率を引き上げて、現在、三十兆円前後の株式を保有している。そして、日銀も年間六兆円の上場株式投資信託、ETFを買い入れる。既に日銀の保有額は十兆円を超えたと言われています。
 GPIF三十兆円、日銀十兆円、合計四十兆円。
 これ、株式時価総額の一割近いわけですね。多くの企業でいわゆる公的マネーが筆頭株主になっているという、そういう指摘がされています。日本経済新聞がこれ独自に試算した結果、東証一部上場企業の四社に一社が公的マネーが筆頭株主と報じました。
 私どもも計算してみた、これが結果です。今年九月末の時点でGPIFが単独で筆頭株主となっていると思われる企業は百十七社、それから日銀が単独で筆頭という企業は三十二社、そのほかにGPIFと日銀を合わせれば筆頭という企業は二十八社、合計百七十七社。これはいわゆる大企業、有名な日本を代表する日経の株価指数の二百二十五社について試算した結果です。
 どんな企業になっているか。トヨタ自動車、本田技研、それから三菱UFJ、三井住友、みずほの三大メガバンク、セブン&アイ、ソニー、キヤノン、武田薬品、三菱商事。日本を代表する大企業でGPIFが筆頭株主となり、そして日経二二五の八割の大企業の筆頭株主が年金資金と日銀という事態になっている。これ、こういうことが世界のどこにありますか。余りにも異常じゃないですか。
 総理、こういう経済の在り方が正常だと思われますか。総理、お答えください。
 日銀のことも聞いているんだから、総理じゃなくちゃ答えられないはず。

○委員長(山本一太君) 担当大臣ですから、まず塩崎厚労大臣、お答えください。(発言する者あり)

○国務大臣(塩崎恭久君) 元日銀ではありますけれども。
 年金積立金の株式運用は、言うまでもなくこれは法律にのっとって、専ら被保険者の利益のために最適な運用を検討した結果としてこれは分散投資をして、先ほど申し上げたとおりのポートフォリオにたどり着いているわけであります。
 国内株式の運用につきましては、GPIF法の規定に基づいて、これは第二十一条にございますけれども、二十の信託銀行等に投資判断を全て一任をしております。一任をしておりまして、その個別の投資判断にGPIFが関与する余地は全くないということ。それから、二千社以上の幅広い企業の株式に投資を行っているわけでありまして、これはTOPIXの時価総額ウエートに応じて割り振っているわけでありますが、決して一部の企業に集中をして株式投資をしているわけでは全くないということでありまして、GPIFによる民間企業への介入とか大企業優遇といった問題があるとは考えていないところであります。
 それから、ちなみに、市場にどれだけのウエートを持っているのかということで、今、筆頭株主になっているところがあるじゃないかというお話ですけれども、ストックベースで見ますと、東証一部の全体に占める比率は約六%。問題は、株価に影響を与えるかどうかということにおいてはフローが大事でありますから、じゃ、フローのウエートはどうかというと、例えば、平成二十六年度は〇・七%、それから二十七年度は〇・三%ということで、バイ・アンド・ホールドといいますか、ずっと投資をしたらそのまま持っているわけでありますから、アクティブな投資で売ったり買ったりするようなことは全くやっておりませんので、御理解を賜れればというふうに思います。
 それともう一つは、先ほど損失が出ているというお話ではありますけれども、これは、何度もさっき申し上げたように評価損でありまして、また株式市場や為替が変われば、これまた評価は変わってくるわけでありまして、大事なのは、先ほど総理が言っているように、長い目で見ての年金財政上必要な利回りを得られるかどうかと、ここが一番大事なことでありますから、それは全て私たちが計算をしたものをベースにつくった基本ポートフォリオの中に入っているということでございます。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) GPIFについては厚労大臣からお答えをしたとおりでありますが、日本銀行についての態度でございますが、日本銀行については、政府との間で二%の物価安定目標について合意をしているわけでありまして、その中で金融政策を行ってもらうと。金融政策の具体的な手法については、これは日本銀行に任せているわけであります。

○小池晃君 あのね、特定の企業に介入しているなんて私一言も言っていないんですよ。要するに、マーケットの今六%と、年金資金だけで六%と言ったわけですよ。それで、日銀も入れたら一割近くが公的マネーになっている、このこと自体が経済の在り方として異常じゃないですかと。
 これ、例えば、日経新聞は市場機能が低下すると、朝日新聞だって市場がゆがむと言っているわけですよ。総理はこの姿が正常な経済の在り方だとお考えですかと。個々の企業の経営に介入しているなんて私は言いませんよ、そこまでやるとは言っていませんよ。しかし、経済の在り方として異常じゃないですか。そういう認識はないんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大胆な金融政策を行わなければデフレから脱却をできないという考え方の下に我々は三本の矢の政策を行っている中で、日本銀行はデフレから脱却するために必要な金融政策を行っているものと理解をしております。

○小池晃君 全く答えがないですね。
 これが正常だと、これでいいんだと。私、本当にこれどうかしていると思いますよ。社会保障のことを議論すると持続可能性だというようなことを繰り返すくせに、株式運用でこれだけ大穴空けても何ら恥じることがない。これ、積立金運用が想定どおりの結果にならなければ、これは結果的に国民が非常に被害を被ることになるわけですから、私はこんなやり方はやめるべきだと申し上げたい。
 その上で、総理は、参議院選挙中、アベノミクスの果実を社会保障に回すと言ってきた。ところが、投票箱の蓋が閉まった途端に、社会保障の伸びを抑制していくことが大変大事だと言った。これは、報道でも豹変したというふうに書かれています。実際に、選挙後の厚労省の審議会では次々、介護も医療も年金も負担増の計画が出てきて、財務省が提案した、安倍内閣が確認した、ちょっと出してくださいパネル、一覧を見ると、もうあらゆる分野での社会保障の負担増、給付減ですよ。
 財務大臣、医療では、高齢者の高額療養費負担を現役世代並みに引き上げる、一般病床までいわゆる居住費を患者負担にする、七十五歳以上の窓口負担を原則二割に引き上げる。介護では、高額介護サービス費の負担引上げ、そして要介護一、二の生活援助、福祉用具などの自己負担を大幅に引き上げる、介護保険の利用料を二割に引き上げる。これ、財務省の提案で間違いないですね。

○国務大臣(麻生太郎君) 小池先生の御指摘の、あれは昨年の財政制度審議会、いわゆる財政審における財務省の提案の話だと思いますが、改革工程表を政府部内で検討をさせていただいております段階で、財政審での議論の土台として財政の当局の方から提出をさせて行ったものであります。
 この提案は、今後も高齢化に伴います社会保障関係費の伸びが見込まれてまいります中で、社会保障分野の歳出改革は避けて通れない課題であると、当然のことだと思いますが、受益と負担のバランスが取れた持続可能な制度を構築するためには社会保障というものの効率化や制度改革に不断に取り組むことが必要、これは財政を預かる者の立場としては当然だと考えております。したがいまして、財政当局としての案を示したものであります。昨年末に経済財政諮問会議において決定されました改革工程表はこうした財政当局としての考え方を踏まえたものとなっていると認識をいたしております。
 いずれにいたしましても、改革工程表において年末までに結論を出すこととされております事項等につきましては、今後厚生労働省の審議会において議論が進められることと承知をしておりますので、財務省としては、引き続き年末にかけて厚生省との間でよく審議をして、議論をしてまいりたいと考えております。

○小池晃君 財務省の提案どおりですと言ってくれればよかったんですけど。そういうことですよね。
 総理は、参議院選挙では社会保障の充実に力を尽くすと繰り返していたのに、今提案されていることは真逆だと私は思うんですね。もちろん、総理は充実策もあると。でも、ごく一部の充実策を殊更強調するけれども、全体として見れば、実際にやろうとしていることは大半が負担増と給付削減であることは間違いないですね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 個別の政策をよく見ていく必要があって、社会保障といっても、これは聖域化せずに無駄は省いていく、あるいは地方自治体においてしっかりと医療費の伸びを抑えているところがあるわけであります。そうしたところは横展開をしていくという、そういう努力をしていくのは当然だろうと思います。
 大切なことは、給付が必要としている方にしっかりと届けられることが、持続的にお届けをしていくことが求められているんだろうと、このように考えております。

○小池晃君 だから、必要な人に本当に必要なものが行っているかなんですよ。
 京都ヘルパー連絡会がこの七月、要介護一、二の生活援助自己負担化によってどんな影響を受けるのかのアンケートをやっています。これ事例を紹介しますが、骨・関節疾患、心疾患、糖尿病の八十歳代前半の女性、腰痛がひどくて掃除や調理ができずに要介護一だと認定されている、夫は神経難病と認知症で失禁、徘回がある、当初のプランでは複数のサービス利用可能とされたけれども、年金生活では一割負担が重いので週一回の生活援助に絞った、この上利用料が上がったら頼みの週一回の生活援助も受けられなくなると。
 必要なサービスを提供すると言ったけれども、現在、生活援助一回二百五十円程度、これが原則自己負担になれば一旦二千五百円を払わなきゃいけない。必要なサービスを受けられなくなるんじゃないですか。

○委員長(山本一太君) どなたに御質問ですか。
 塩崎厚生労働大臣。

○国務大臣(塩崎恭久君) ヘルパー協会からの御指摘のお話をいただきました。
 介護保険制度、もう言うまでもなく高齢者の自立とそれから介護の重度化を防ぐということが理念であって、今回の見直しが今行われつつありますけれども、この理念を決して忘れることなく必要な方針を固めていくということで、サービスが効率的に提供されるようにするということが大事であるとともに、この制度の持続可能性というものをやはり同時に達成していかなければならないと、こう思っております。
 軽度の要介護者に対する生活援助サービスなどの支援の在り方については、今申し上げたような理念を踏まえた上で、介護人材の確保が課題となっていることに応える観点から現在審議会でしっかり検討を行っておりまして、結論は現時点では全く出ているわけではないということをまず御理解を賜りたいというふうに思います。
 私としては、高齢者の自立を支援して介護の重度化を防ぐという介護保険の理念から見れば、制度の持続可能性に配慮しながら必要な方へのサービスが確保されるということがやはり大事だというふうに思っておりますので、そういった観点からしっかり皆様方に議論をいただいて、年末に向けて答えを出してまいりたいというふうに思っております。

○小池晃君 週一回の生活援助をぎりぎりだと言っているような人に全額自己負担にして必要なサービスが提供できるんですかと聞いているんですよ。どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 全額自己負担にしろというのは我々厚労省が言っているわけではなくて、先ほどの財務省の財政審の中で御意見が出たりしているわけでありますので、私たちの考え方は、さっき申し上げたように、この介護保険の理念をしっかりと押さえながら、しかし制度の持続可能性というものも守っていかなきゃならないので、大事なことは、必要な方へ必要なサービスが確保されるということが大事でありますから、そういう観点で私たちは議論を深めていきたいというふうに思っております。

○小池晃君 じゃ、その財務省の提案は拒否するんですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) 議論を深めていくわけであって、我々は、その自己負担を、自己負担化するだのようなことは、提案は、私どもの方からは一切しているわけではございません。

○小池晃君 もう無責任ですよ。決まってからじゃ遅いから聞いているんじゃないですか。
 福祉用具の負担増だって大変な問題ですよ。介護保険で福祉用具のレンタルを受けている人どんどん増えています。車椅子や歩行器など福祉用具のサポートがあるおかげでトイレや入浴ができる。
 まさに自立を保障している。ところが、これをまた原則自己負担化というような話があるわけです。
 日本福祉用具供給協会が要支援一から要介護の二の福祉用具を利用している方にアンケートを行っています。もしも負担増のために用具レンタルをやめた場合にどうするか。トイレや排せつについては半数が介助者を依頼する、入浴や洗面については三割、食事は二割がその行動を諦めると回答しています。これは自立した生活に反する事態ですね。しかも、介助者を依頼すると答えた人に誰に依頼するのかと聞いたらば、五六・二%が家族、親族と回答しているんです。
 総理、介護離職ゼロなんでしょう。こんなことをやったら介護離職ゼロに逆行するんじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳細についてまた必要があれば厚労大臣からお答えをさせていただきますが、まさに今、この要介護の中における、今おっしゃった要介護一、二の方々のこのサービス等々についての議論がなされているわけでございまして、その中で、最終的にはこの報告を受けて我々も適切に判断をしていきたいと、こう考えておりますが、塩崎大臣からも答弁をさせていただいておりますように、介護保険というのは、国費を半分入れて、あとは保険料と御本人の負担で成り立っているわけでございまして、言わばサービスを、我々もこれはサービスを維持をしていきたいしサービスは増やしていきたいというふうに思いますが、そうなれば保険料にもこれは跳ね返ってくるのは当然でございまして、その持続可能性と、この負担側もどれぐらい負担できるかということも勘案しながら決めていかなければならないと、このように思っておりますが、同時に、介護離職ゼロを目指して政策を総動員していくという方針には全く変わりがないということは申し上げておきたいと思います。

○小池晃君 いやいや、これやられたらば家族や親族に介助を依頼するという、圧倒的に答えているのは、介護離職ゼロと両立するわけないじゃないですか。そのことを聞いているんですよ。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今具体的に御質問されているこの用具については、これまだ決まっているわけではないわけでありまして、議論が続いているわけでございます。そして、最終的には私たちが適切に判断をしていきたいと、こう考えております。

○小池晃君 じゃ、介護用具の自己負担化はやらないんですね、総理は。そういう立場で臨むんですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) これも、先ほど申し上げたとおり、理念に基づいて、そして持続可能性を守っていくということ、そして、何よりも必要なサービスは確保されるということを念頭に入れながら、どういう無駄を排除できるのか。これ……(発言する者あり)いや、この例えば用具にしてもいろいろな値段があるわけであって、それがどこまで許されるものなのかとか、そういうこともいろいろあって、それのいつも一割ということでありますけれども、それをどう考えていくのかということもありますから、何が今申し上げた理念に基づいて、なおかつ必要性に応じて改革ができるのかということをこれから議論を深めていただこうということでありますので、先生がおっしゃっているような極端なことは、これはまあ財政審のやり方は先生方にはもう御案内のとおりでありますから、社会福祉法人のときも最初に課税をするぞみたいな話だったわけでありますが、改革は何にせよ進めていくということが大事だというふうに思います。

○小池晃君 あのね、福祉用具は無駄なんですか。
 必死になって自立して暮らそうとしている、それが何で無駄なんですか。とんでもない発言ですよ。
 こういう考え方でやったらどんどん切り捨てることになるじゃないですか。無駄って言ったじゃないですか。(発言する者あり)無駄を削るって言ったじゃないですか。
 私は、これ、この福祉用具をじゃ利用して自立生活必死でやっている人たちがテレビ見たら、無駄だと、本当に怒りの声が殺到すると思いますよ。
 これが安倍政権の姿勢じゃないですか、基本的な。
 しかも、財政審の分科会では利用料の引上げもおととい提案されていますね。財務大臣、ちょっとお答えいただきたいんですけれども、こういう提案がされている、要介護度別にこの緑の線ぐらいまで軽度の人の負担率を引き上げようという提案ですね。要するに、要支援一、要支援二、要介護一、要介護二の人たちの利用料の負担は低いので、この緑の線まで、例えば三割負担にするとか二割負担にするとか、こういう検討もしているんですね。

○国務大臣(麻生太郎君) 要介護保険について、いわゆる介護保険につきましては、今後、いわゆる超高齢化社会というものを迎えることになりますので、給付のいわゆる費用の大幅な伸びというものは、これは避けて通れないところだと思っております。したがいまして、いかに今あります制度を維持していくかという構造的な問題に直面しているんだと、私どもはそう認識しております。
 したがいまして、我々として対応を考えないかぬのですが、近年は特に軽度者、要介護二以下に対する介護費の伸びというものは極めて高くなっておりまして、いわゆる通所介護、デイサービスともいいますけれども、デイサービスは一四・八%伸びておるんです。伸びておるんですが、これをよく内容を見ますと、いわゆる日帰りで施設に通って食事や入浴などの日程、日程というか日常の生活を、いわゆる介護という、機能訓練を受ける等々のサービスなんかのことをいいますが、そういったものを考えていきますと、この要介護者の伸びというものは、平成二十一年から二十六年度で見ますと要介護二以下は四一%伸びております。
 全体で二九%という、そういった状況になってきておりますので、私どもといたしましては、これはより高い中度また重度への給付を安定的に続けていく必要も考えないけませんから、当然のこととして、介護保険料の上昇というものを可能な限り抑制をしていく必要性を考えておかないとこの介護制度自体がもたなくなりますので、要介護区分ごとに軽度者の負担割合を引き上げるということを提案をさせていただいたのがこの間の話であろうと思います。
 いずれにいたしましても、介護保険の利用者負担の在り方につきましては、今後、改革の工程表というものに沿って厚生労働省の社会保障審議会等々において議論が進められていくことだと承知をしておりますので、引き続き、年末に向けて厚労省とも私どもとしてよく議論をさせていただきたいと申し上げております。

○小池晃君 結局、こういう検討をしていると認めているんですよ。
 要支援一、二に要介護一、二加えると、これは認定されている人の六五%なんですね。そこのところからサービスをどんどんどんどん制限をする、負担を増やしていく。要介護度が軽い段階で経済的な不安もなく介護を受けられるようにすることこそ介護保険の役割じゃないですか。軽い人のサービスを取り上げ、負担を重くすれば、ますます重くなるわけですよ。そうすれば、介護離職はどんどん増えるわけですよ。そして、回り回って結局悪循環で、財政だって悪化するわけですよ。そういうことをあなたたちはやっている。
 医療保険ではどうか。医療保険でも負担増計画めじろ押しです。麻生大臣、おとといの財政審でかかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入を提案されましたが、説明してください。

○国務大臣(麻生太郎君) 改革工程表において、かかりつけ医、かかりつけの医者以外を受診した場合の受診時定額負担の導入につきましては年末までに結論を得ることとされております。過日の財政審では、財政当局としては考え得るという一つの案を提案をさせていただいたところであります。
 具体的には、外来の機能の分化というものを進めていくという等の観点から、ほかの医療機関というものを含めて、患者の受診状況を把握するといった一定の要件を満たすという診療所などについて、患者がかかりつけ医、かかりつけのお医者さんとして指定できることとして、このかかりつけ医以外の診療所や病院を紹介状なく受診した場合には定額を負担するといった案をお示しをさせていただいております。
 具体的な制度設計等につきましては、今後、厚生労働省の審議会等々において議論が進められていくんだと思いますけれども、先ほどお答え申し上げましたとおり、財務省としては、我々の案と厚生労働省との案をよく議論を行ってまいりたいと考えております。

○小池晃君 財務省が大体、これ財務省の資料ですけど、パネルにしたのは、こんな具体的なところまで提案すること自体が私はおかしいと思いますよ。で、結局財務省の言いなりになって、厚労省も最後それで決めるわけじゃないですか、この間の経過を見れば。
 この財務省の提案でいくと、ついに三割負担超えるわけですね。厚労大臣、二〇〇二年改正の健康保険法の附則第二条、読み上げてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) その前に、小池議員が先ほど福祉用具をあたかも私が無駄と言ったようにおっしゃいましたが、私が言っているのは、制度全体の中で無駄があればなくそうと言っているのであって、さっき申し上げたのは、例えばレンタル料で見てみますと、一番典型的なのはベッドがあります。特殊ベッドがありますが、この一番高いのが実は、これ平均は、レンタル料は八千八百三円です。ところが、中には十万円というのもあるんです。これ、いずれでも一割負担でできちゃうんです。それで、こんなことをやっていていいのかということを言っているのであって、そういうところのいわゆる無駄はなくしていった方がいいじゃないかということを申し上げています。
 そこで……(発言する者あり)いや、私が無駄と言ったということが赤旗に躍るのもちょっといかがなものかと思ったものですから、ちょっと申し上げて、そういうことは書かないようにしていただくと有り難いなと思いました。
 平成十四年の健康保険法改正法附則第二条では、「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」とされております。

○委員長(山本一太君) お待ちください。
 塩崎大臣に一言申し上げます。答弁は質問の中身に沿って行っていただきますようにお願いいたします。

○小池晃君 将来にわたり七割維持すると。つまり、三割負担以上には上げないというのは国民への約束ですよね。どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 当然のことながら、質が高く効率的な医療の提供を実現するために外来の医療機関の分化、連携、とりわけかかりつけ医の普及、定着というのが重要だということはもう言をまたないわけでありますが、かかりつけ医の普及、定着の一つの方策として、外来時に定額負担を求めることについては、昨年十二月の経済・財政再生アクション・プログラムの工程表において年末までに結論を得る検討事項となっていることは御案内のとおりでありまして、現在、審議会でかかりつけ医を普及するという観点から議論を行っているわけでありまして、御指摘の規定との関係、そして必要な法制上の観点も含めてしっかりと検討していかなければならない問題だというふうに思っております。

○小池晃君 答えていない。
 三割負担、つまり七割給付、これを守る、将来にわたり守る、これは国民への約束ですよね。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、法律に書いてあるとおり、「将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」ということでありますから、当然、厚生労働省はこの法律を守っていくことが基本であるというふうに思います。

○小池晃君 じゃ、このやり方は法律違反ですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) だから、先ほど申し上げたように、御指摘の今の規定、附則ですね、これとどういう兼ね合いになるのかということはしっかりと見ていくということで、まだ何も具体的な提案が出てきたわけでも何でもないので、そういうことをよく考えていかなければいけないというふうに思っております。

○小池晃君 具体的な提案が出ているんじゃないですか。そして、単なる規定じゃないですよ、「将来にわたり」と法律にちゃんと書いてあるんですよ。
 私、この二〇〇二年のときに坂口当時大臣と議論もしましたよ。坂口大臣は、三割負担壊したら国民皆保険は崩壊すると言ったんですよ。これは国民に対する将来の約束ですよ。それを破るんですかと言っているんですよ。

○国務大臣(塩崎恭久君) それも、申し上げたとおり、この法律の附則の「将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」ということは私たちは守っていかなきゃいけないことであります。

○小池晃君 じゃ、この提案はできないということですね。撤回してください。財務大臣、撤回してください。

○委員長(山本一太君) どなたに質問ですか。
 もう一回御質問してください。

○小池晃君 法律でできないと言ったんだから、こんな提案は撤回してください、財務大臣と言っているんです。

○国務大臣(麻生太郎君) 私どもは財政を預かる立場ですから、私どもの立場としていろいろなことをやっていくのは当然のことなのであって、その話を財務省と厚生省との間で年末にかけていろいろ審議をしていく、毎年のことでありますけれども、私どもとしてはきっちりやらせていただいております。

○小池晃君 財政守るためには法律破っていいと言うんですか。おかしいじゃないですか。法治国家でしょうが。将来にわたり約束したことを壊していいんですか。こんな無責任な提案は許されない。
 しかも、高額療養費制度の見直しも出ているわけですよ。これ、七十歳以上の方が外来受診したときの上限は、これは今月額一万二千円に抑えられているのを、これをもうやめてしまう、外来特例というのをやめてしまうと。例えば、財務省の提案でいうと、今一万二千円の負担上限が五万八千円になるわけですね。大変でしょう、これ。
 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は、全国保険医団体連合会の機関紙でこう言っています。今でも経済的負担が大きいというのががん患者の実感だと。慢性骨髄性白血病の患者はグリベックという高額な薬剤を生涯にわたって飲み続けなければならない、金の切れ目が命の切れ目になりかねないと。
 総理、こういうがん患者さんの悲痛な訴えをどう受け止めますか、こういう人の、負担増を押し付けていいんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 七十歳以上の高齢者につきましては、高額療養費制度に外来上限特例というのが設けられておりまして、外来の自己負担限度額がより低く設定をされているわけであります。
 御指摘の外来上限特例を含む高額療養費制度の在り方については、さっき申し上げたとおり、経済・財政再生アクション・プログラムの工程表において負担能力に応じた負担を求める等の観点から検討事項となっておりまして、今議論しておりますが、がんの治療、今御指摘がありました。大変大事な問題だと思いますが、がんの治療については様々な方法があるために一概にはなかなか申し上げられないわけでありますけれども、御指摘のとおり、抗がん剤の使用などにより薬代が高くなるということも、とりわけ最近、外来で抗がん剤治療を行うということが増えてきているわけでありますので、そういうこともあり得るということは認識をしているわけであります。
 高額療養費制度の見直し内容につきましては、現在、社会保障審議会医療保険部会、ここで、世代間の公平とか、あるいは負担能力に応じた負担等の観点から御議論をいただいておりまして、そうした中で、平均的に疾病が多いという高齢者の特性との関係についても、そしてまた、高齢化が進めばがん患者も増えるという形でありますので、しっかりと議論をしていただかなければならないというふうに思っておりまして、今後、外来上限特例の在り方を含めて、年末までに結論を出してまいりたいというふうに考えております。

○小池晃君 こういう引上げは私は許されないと思いますよ。撤回すべきです、こんな提案。
 しかも、今話あったけれども、私、メス入れるべきところはこういう高過ぎる薬の問題だと思うんですよ、患者さんに負担を押し付けるということではなくて。
 最近話題になっている抗がん剤オプジーボ、この問題を取り上げたいと思うんですが、これ、免疫作用のブレーキを外して、がん細胞を免疫でたたき続けるという日本が開発した画期的な薬だと言われている。ここで問題にするのは薬の価値ではありません。その価格であります。
 厚生労働省、オプジーボの薬価及び一年間通して利用した場合の費用、幾らですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘のありましたオプジーボは、平成二十六年の七月に、悪性黒色腫、メラノーマでございますが、を効能、効果として世界で初めて日本において承認をされました。
 ピーク時の年間予想患者が四百七十人のメラノーマでありますが、希少疾患であること、それから世界に先駆けた承認であること、作用の仕方が新しく、極めて画期的であることなどの評価を踏まえて、二十六年の九月に、百ミリグラム一瓶約七十三万円、二十ミリグラム一瓶約十五万円で薬価収載をされました。
 一年間使用した場合の薬剤費は、患者の体重や使用期間によって異なるわけでありますけれども、仮に体重六十キロの肺がんの患者であれば約三千五百万円となるわけであります。
 オプジーボは、我が国で薬価収載をした時点では、あっ、海外のことはまだですね。(発言する者あり)はい。じゃ、取りあえずそこまででございます。

○小池晃君 人の命は地球よりも重いわけで、私は、命を助けるためにはどんな高額であっても必要な治療はあると思います。しかし、医療保険制度で使用する薬の価格が妥当であるかどうかというのはやっぱりきちんと検証されるべきだと。
 これ、昨日の中医協で最大二五%引き下げるという方向が示されたんだけど、果たしてそれでいいのか、そもそも何でこんな高額になったのか。
 海外での価格を厚労省は把握していますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、このオプジーボは、我が国で薬価収載をした時点で海外では未承認であったわけですね。その後、順次海外でも承認をされるということになりまして、適応症も、日本ではメラノーマ、悪性黒色腫だけであったわけでありますけれども、それを適応を拡大をしている国があるわけでありまして、また、国によっては保険制度あるいは医薬品価格の設定の仕方というものが違うということもあって一概に比較はできないものだとは思っておりますが、その上で、企業に聴取をしたところによりますと、百ミリグラム一瓶について、現在、各国の代表的な医薬品リストによりますと、米国が約三十万円、英国が約十四万円、ドイツが約二十万円とのことであるようでございます。

○小池晃君 昨日は分からないと言ったんですけど、慌てて調べたんですかね。
 これ、全国保険医団体連合会が事前に調査したものですが、英国を一〇〇とすると米国は一九八、日本は四八六。日本の価格はイギリスの五倍、アメリカの二・五倍。しかも、アメリカはこれ希望小売価格なので実際はもっと安いし、イギリスはこれでも高過ぎるということで、国立医療技術評価機構、NICEが五六%のディスカウントを求めていると。異常に高いわけですよ、日本は。
 じゃ、何でこんなに高くなったのか。今いろいろあったけれども、例えば原価計算方式ですね。
 もうこれは電力料金と同じで、営業利益率が加算されるんですよ。絶対に利益が出るという仕組みなんですよ。このオプジーボの場合は、平均利益率一六・九%なんですけど、六〇%加算されて二七%の利益率設定されています。こんな加算をやっている薬はほかにありますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今お話しのとおり、新しい薬の場合には類似薬効比較ではなくて原価計算方式がありまして、その中に営業利益が入っているということでありますが、営業利益率につきましては、標準は一六・九%でございますが、これに対して、今回の場合には画期的な新薬ということもあって、これは、制度としては最大一〇〇%まで加算ができるということになっておりますが、今回の場合には営業利益率六〇%の加算ということでありまして、この六〇%の加算をしている医薬品はオプジーボ以外にはございません。

○小池晃君 製造原価だって研究開発費だってブラックボックスなんですよ。メーカーの言い値なんですよ。しかも、その上六〇%の営業利益率の加算までやっているわけですね。大盤振る舞いなんですね。しかも、前提となる市場規模を過小に見積もれば、これ高い薬価が設定できる。
 薬価算定のときの予測患者数と販売金額は幾らですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) このオプジーボを平成二十六年九月の薬価収載をした際、ピーク時で年間予想患者が四百七十名、年間の販売額が三十一億円というふうに予想されておりました。
 市場規模をちなみに現在申し上げますと、平成二十七年十二月に肺がんの適応が追加をされるという、当初はメラノーマだけだったわけでありますが、ここに肺がんの適応が追加をされました。
 そのことによって、平成二十八年四月の企業発表によりますと、平成二十八年度の出荷価格による予想販売額で千二百六十億円と、つまり、三十一億円と予想していたものが千二百六十億円に、適応拡大によって全体の市場が大きくなったということでございます。

○小池晃君 四百七十人に使用するということで一瓶七十二万円の薬価を設定したんだけれども、その後、一万五千人対象に拡大した。薬価引き下げたんでしょうね。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、二十八年の四月から、薬価改定が今年の四月から行われたわけでありますけれども、この調査は、そもそも薬価調査をやるときに、前年の九月ということで、平成二十七年の九月に薬価調査を実施をしております。オプジーボにつきましては、その時点では悪性黒色腫、メラノーマの承認のみでございまして、市場は現在よりも限定的であって薬価の引下げの対象とはならなかったというのが平成二十八年、今年の四月の薬価改定でございます。
 さっき申し上げたとおり、オプジーボは、その後、平成二十七年の十二月、つまり、薬価調査が九月にあって十二月に肺がんの効能追加が行われまして、それが現在の市場規模、すなわち千二百六十億円という予想に至ったものでございます。

○小池晃君 薬価改定の前に市場規模が拡大することが分かっていたのに何も手を着けなかったんですよ。メーカーの思うつぼなんですね、これ。
 この算定を行っている薬価算定会議、どんな議論をしたんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) オプジーボは、先ほど申し上げたとおり、類似薬が存在をしないということで原価計算方式によって薬価算定を行ったわけでありますけれども、今御指摘の薬価算定組織、ここでは、まず第一に、原価計算方式と類似薬効方式のいずれの算定方式を選択するのかということをまず議論をし、それから製品の原価の総額、すなわち生産、販売に係るコストの総額、そして市場規模予測等の薬価算定に用いるデータの妥当性といったことを検討が行われたわけでありまして、さらに、オプジーボについては臨床的意義があることなどが評価をされて、先ほど御指摘のあった加算を行うことが適当というふうにされた上で薬価算定額の検討が行われたものでございます。

○小池晃君 いろいろ言ったけど、薬価算定組織の議事録ありますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) この議事録というお尋ねでございますけれども、議事録自体は作成をしておりません。しかし、議論の概略を記した議事概要については会議ごとにもちろん作成をしているわけであります。
 また、薬価算定組織における議論の主要な論点は中央社会保険医療協議会において公開をされ、これに基づいて新医薬品の薬価を審議、そして決定をしていただいているところでございます。

○小池晃君 議事概要はありますが、一枚だけですよ、これ、五時間半会議やって。薬価の結果書いてあるだけですよ。これで十分な公開だと言えるんですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 中医協で議論をしていただくのに足るだけの情報を提供することが必要であるわけでありますが、この薬価算定組織の情報について、薬価は、これ当然、個々の医薬品については、あらかじめ公表された手続と算定方式に従って薬価算定組織において策定された薬価の原案を基に、公開の中央社会保険医療協議会、中医協において議論をして決定をしているわけでありまして、この薬価算定組織における検討につきましては、これは元々非公開でございます。当然、企業の新しい話がたくさん出てくるわけでありますし、医薬品の製造原価あるいは研究開発費など、製薬企業にとっての極めて機密性の高い情報を出していただいた上で議論を行うということでございますので、このことについては妥当ではないかというふうに考えております。

○小池晃君 かつて、一九九七年の国会でこんなやり取りがありました。衆議院の予算委員会で我が党の志位和夫議員が余りにも高い新薬の価格問題を取り上げました。志位議員はこう指摘しています。新薬の承認審査と薬価決定のプロセスに関する情報を、個人のプライバシーあるいは特許に関するものを除いて全面的に公開する、これは当然ではないか。
 総理、聞いていてください。この志位議員の質問に対して当時の小泉純一郎厚生大臣は、薬価の透明性確保は重要な問題でありますので、今後透明化をいかに図っていくか、これを検討させていただきたいと。そして、当時の橋本龍太郎首相は、今、厚生大臣から積極的なお答えを申し上げました、そのとおりの方向で進んでまいりますと、こう言っているんです。それから十九年ですよ。透明性の確保どころか議事録すら残さない、そういう会議の中で異常に高い薬価が決められている、これ十九年間放置されている、これが今の薬価決定の仕組みなんですよ。
 総理、これ、オプジーボの薬価を引き下げるというけれども、これ最大二五%というふうに厚労省言っているけど、私はこれでは余りに不十分だと思います。大幅に引き下げるべきではないでしょうか。それから、併せて薬価算定プロセスを全面的に見直すべきではないでしょうか。それに加えて、やはり薬価算定組織の議論の情報公開がどうしても必要だと思います。いかがですか、総理に伺います。

○委員長(山本一太君) 塩崎厚労大臣。

○小池晃君 総理、総理。これ、もう駄目です。

○委員長(山本一太君) いやいや、担当大臣からまず答えさせます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたとおり、できる限りの公開をしていくというのは好ましいことだと我々も思っていますが、先ほど申し上げたとおり、製薬企業にとっての機密性をどこまでオープンにするのかということとの兼ね合いが残っているので、これは小泉総理の時代でも同じだったというふうに思います。
 価格を下げるのかどうかというお話でございます。オプジーボのような二十八年度の薬価改定に間に合わなかった医薬品、こういうものであって、効能、効果が追加されたことで大幅に使用が拡大されたということで今回のようなことになっているわけであります。
 実はこの問題は、この間、九月の初めに神戸で行われましたG7保健大臣会合でもこの問題は取り上げられたところでございまして、この問題というのは、世界各国それぞれ、高額だけれども効果がある医薬品の値決めをどうするんだということについては皆やはりいろいろ考えているわけであって、緊急的に私どもとしては薬価を見直すとともに、最適使用推進ガイドライン、これを作成して、投与する患者の要件とか、あるいは適切に使用できる医師とか医療機関の要件はどういうものであるべきなのかといったことを示し、ということを今、中医協の方に議論をしていただいて、年内をめどに結論を得るということにしているわけでございます。
 ただ、薬価の算定方式、方法を含めた薬価制度の抜本的な見直しについても、平成三十年度の診療報酬改定に向けて中医協において議論をしていただいておりまして、革新的ではあるが、さっき申し上げたように高額な医薬品、この対応については、当然、これはさきの神戸でも議論になりましたが、イノベーションの推進ということと国民皆保険の堅持、そして患者を守るということ、その両立をどうするのかということが大事であって、国際的な議論やそれから取組も十分に踏まえつつ、関係者の意見をよく伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに思います。

○小池晃君 聞いたことと関係ないことを延々としゃべっているだけじゃないですか。
 あのね、このときの、九七年の小泉純一郎さんの透明化を図る、橋本龍太郎総理は積極的な答えを答弁したと。そのとおりの方向、今の議事録のないやり方が適当だという塩崎大臣の答弁と全然違うじゃないですか。総理、これでいいんですか。
 私は、これは党派違いを超えても、こういったところに正面からメスを入れるというのは、これは私は当然のことだと思いますよ。総理、やっぱりこの決定プロセス見直すべきじゃないですか。どうですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) できる限り透明性を図っていくということは当然のことだろうと思いますし、その中で私どもも進めてきたところでございますが、しかし同時に、医薬品の製造原価そのものが企業にとっては、これはまさに企業秘密になるわけでありますし、また、研究開発費そのものも、どのようなことにどのような研究開発費を使ってきたかということについても、これは企業にとっても非常にセンシティブな事柄になってくるわけでありまして、この中において、そうした機密性の高い情報を基にしっかりと議論を行っていくということにおいて非公開としているわけでありますが、その結論については、公開の場である中央社会保障医療協議会において議論した上で、最終的に、薬価を決定する手続を通じて厚生労働省において可能な限り情報公開を図っているというふうに承知をしております。

○小池晃君 議事録も取らない、後で検証もできない、こういうやり方でいいとおっしゃるんですね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 専門家が集まって、しっかりとそこで、この製造原価の積み上げ、そして研究開発費の積み上げが正しいかどうかということを議論をするわけであります。その議論を公開するというのは、今申し上げた事項そのものを公開しなければこれは意味のないことになってしまうわけでございます。その中において、この製造原価あるいは研究開発費等々につきましてもしっかりと企業からそれをその場で提供させて、そうした情報を基に議論をしていく中において、これは非公開とせざるを得ないという判断をしているわけでございます。

○小池晃君 ゼロ回答だよね。
 だって、言ったじゃない、個人のプライバシーあるいは特許に関するものを除いてと言っているんですよ。だから、そういったことは除いて、議事録すら残さないということは、後世何の検証もできない。だから、このオプジーボが何でこういう価格になったのか、全くないわけですよ。
 だから、こういうことでいいんですかと、議事録なしのままで本当にいいんですか。総理。総理。総理。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回、オプジーボがこういう形で非常に高い価格が付いてしまって、それが改定されないままで来て市場が急拡大をしてしまったということは、先ほど経緯等については申し上げたとおりで、これに対する対処の方針も申し上げたとおりであります。
 ですから、年内に答えを出すということでまいるわけでありまして、それに加えて今のディスクロージャーの問題については、先ほど来申し上げているように、企業にとっての機密性のあるものについてどうするかということとの兼ね合いでやっておりますが、世界の中で、じゃ、日本が透明性が特別に低いかというと、むしろそれはそんなことはないのでありまして、ただ、そうは言いながら、更に何ができるのかということについて検討を絶えずしていくということが大事だと思いますので、御指摘もいただいておりますから、検討してみたいというふうに思います。

○小池晃君 五時間半も会議やっていて議事録一枚もなくて紙一枚結論だけで、これで情報公開。
 笑わせるんじゃないよという話じゃないですか。
 こんなの、世界から見たって異常ですよ。国民に対しては、患者の負担に対してはあれだけ厳しく切り込むくせに、製薬メーカーのことを遠慮ばっかりして、そこの情報公開には全く触れない。
 私ね、安倍政権はやっぱり大企業が世界で一番活躍しやすい国をつくると、そういう姿勢がはっきり出ているじゃないですか、これ。国民に痛みを押し付ける前にやるべきことは、こういうところにしっかりメスを入れることなんですよ。そういったことを一切やらずに痛みを押し付けるような、そんなことは許されないということを申し上げておきたいと思います。
 働き方改革について。
 総理は、労使のトップや有識者に集まっていただいて、働く人の立場、視点に立って働き方改革をやるというふうに言いました。しかし、働き方改革実現会議のメンバーはどうなっているか。労働組合代表は連合会長一人だけです。経営者側からは、日本経団連の榊原会長、日商の三村会頭を始め七名。労働法制を検討する労働政策審議会は公労使十名ずつ。これはどう考えても、余りに経営側に偏った委員構成になっていませんか。総理。総理。

○国務大臣(加藤勝信君) 済みません。先に働き方担当大臣として。
 同会議においては、総理をまず議長といたしまして、労使のトップ、有識者に集まっていただいて議論を始めたところでございまして、具体的には、日本労働組合総連合の神津会長、日本経済団体連合会の榊原会長、日本商工会議所の三村会頭、全国中小企業団体中央会の大村会長などに参加をしていただいております。その区分は、私どもは名簿しか出しておりませんので、小池委員によって区分されたものだろうというふうに思いますが、いずれにしても、この労働者側、使用者側の人数に偏りがあるということでありますけれども、大事なことは、トップの方々に集まっていただいて議論していただくということに意義があると。別にここで多数決で決めるわけでもありません。また、したがって、人数が多い少ないということではないんだろうと思います。
 運営に当たっては労働側の意見もしっかり伺って、総理から御指示があります働く人の立場に立った議論を深めて合意形成をしていきたいと、こう思っています。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、まさに今、加藤大臣から答弁をさせていただきましたように、それぞれのトップ、労働団体からは連合の会長に出ていただいて、経団連あるいは商工会議所、そして中小企業の団体のトップから出ていただいている。あるいは、ほかに入っておられる方々はいろいろな取組をしておられる方々、あるいはいろんな経験をされた方々に入っていただいて、その中で我々も議論を深めていっているわけでございまして、例えばがんに苦しんだ中において仕事と両立を図ってきたと、そういう方々が病気を持ちながらどういう働き方ができるか、どういう働き方が可能にするべきかというような議論をしていただくわけでございまして、やっぱりいろんな方々、必ずしも労使だけではなくて、いろんな経験をされた方々にも集まっていただいているということでございます。

○小池晃君 労働者の立場に立った、働く人の立場に立った検討をするんでしょう。労使と言いながら労働組合一人ってバランス悪過ぎませんかと言っているんです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは見方の問題だろうと、このように思うわけでありまして、我々は、それぞれの代表の方には団体のトップの方、団体のトップの方々に入っていただき、かつ様々な経験をしておられる方々、あるいは経営者ではありますが経営者として働き方改革に取り組んでこられた方々に、言わば働き方改革を行えばどれぐらい生産性が上がっていくかということをその人たちの観点からお話をしていただくと、こういうことでございます。

○小池晃君 どう見たって、あれ、バランス悪いですよ。見方の問題じゃないですよ。誰が見たって悪いですよ。
 しかも、経営者が何を期待しているか。これ、日経産業新聞の全国主要産業社長百人アンケート、働き方改革に期待する一位は裁量労働制の拡大、二番はテレワーク、三番は脱時間給制度、いわゆる残業代ゼロ制度です、解雇の金銭解決。経営者ばかりを集めて議論したらば、結局働く人の立場どころか、労働組合がナショナルセンターを超えて反対しているようなものを推進することにしかならないんじゃないかと私は思うんですが、総理、どうですか。

○委員長(山本一太君) 加藤大臣。まず加藤大臣に答えていただきます。いや、働き改革担当だから。その後、総理に答えてもらいます。

○国務大臣(加藤勝信君) 今御指摘いただいております下の二つは特にこの実現会議で議論の柱になるわけでありまして、むしろ経営側にとって非常に消極的な部分、これについてもしっかり取り上げていきたい。そういう意味では、経済界の方々にも十分納得をいただく、こういった意味においてもしっかり議論に参加していただく必要があるんではないかなというふうに思います。

○委員長(山本一太君) ちょっと指名を待ってください。
 小池晃君。

○小池晃君 済みません。
 残業時間の上限設定、同一労働同一賃金、それをやりたいんだったらば何で、だから経営者はそれを求めていないじゃないですか、これ一目瞭然で。だったらば、残業時間の上限設定、同一労働同一賃金やりたいというふうに議論するんだったらば、もっと労働側の代表を入れて議論しなければそういう議論にならないでしょうと、バランス悪過ぎるでしょうと言っているんです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、考え方は先ほど申し上げましたが、例えば同一労働同一賃金についてはむしろ経営者側の方々はこれ慎重な方々が多いわけでありますが、しかし、そういう方々にも納得していただき、我々と同じ船に乗っていただかなければならないわけでありまして、同時に、同じように責任を持っていただくためにもこれ入っていただいているという側面もあるんですよ。そういうことも御理解をいただきたい。
 ですから、労働者側にはもう非常に発信力の強い神津会長がこれ入って大きな大きな存在感を示していただいて、積極的な御発言もこれからいただくことになると思いますよ。それと、例えば、りそなの方が入っているというのは、これは、りそなのこれ経営者ではなくて、もちろん労働界側ではありませんが、そこで働き方改革を相当実行してきたということをしっかりとそこで証明していただくと。彼女の場合は、まさに経営者ではなくて、そのときは一職員としてそれを経験した中において、それがどういう効果を生んだかということをお話をしていただいているわけでございまして、経営者を集めてそこで最終的に例えば多数決を採るとかそういうことでは全くないということは御理解をいただきたいと、このように思います。

○小池晃君 さっきも誰かがおっしゃったけど、だったら日本経団連の会長と連合の会長の一人一人でやればいいんで、これ多勢に無勢じゃないですか、幾ら発信力があったって。これではまともな議論にならないと、どう考えても説得力ない話だったと思います。
 裁量労働制度の拡大は、これ見ても分かるように、大企業、一番期待している。今継続審議になっている労働基準法の改正案には、残業代ゼロの高度プロフェッショナル制度だけでなくて、裁量労働制度の拡大、緩和は盛り込まれています。
 世界最大の自動車会社トヨタ自動車の裁量労働制の適用者、二〇一六年三月時点で、企画業務型が三百八十九人、専門業務型が千三百五十一人ですが、一か月の超過在社時間八十時間を超えるなどして健康診断を受けた社員は合わせて三百四十七人だそうです。
 塩崎大臣、裁量労働制の対象者の五人に一人がトヨタでは働き過ぎで健康診断対象、すなわち過労死予備軍になっている。重大じゃないですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 裁量労働制の皆さん方の今お話を頂戴をいたしましたが、確かに二百時間以上の実労働時間がある方が半分近くおられるということは認識をしているわけでございます。
 そうはいいながら、裁量労働制というのは自律的で創造的に働くことを可能とするための制度であって、業務の遂行手段や時間配分を自らの裁量で決定すると、そういう方を対象にしたものでありまして、今回の改正では労働時間に関する働く方の裁量を損ねるような過大な業務が課されることのないように、法律に基づく指針というものを新たに措置をするわけであります。つまり、過大な業務を与えて裁量労働制だといってもそれは駄目だよと、こういうことを指針の中で明確に新たにしているところでございます。
 また、法案で、始業・終業時刻の決定も含めて労働時間について、働く方本人の裁量がしっかり確保されるように条文で明確化することとしておりまして、監督指導も含めてしっかり対応していきたいというふうに考えているところでございます。

○小池晃君 実態を全く分かっていないと思います。
 労働時間、仕事の進め方は裁量に任されると、そんなふうになっていないんですよ。厚労省の調査だって、裁量労働制で働く労働者の半分近くが労働時間管理や目標の設定について裁量が与えられていないと、これが実態ですよ。幾ら指針だ指針だといったって、法改正で規制緩和して広げておいて、幾ら指針があったって何の解決にもならぬですよ。
 しかも、裁量が、働くと言うけど、例えばソニーは今どうなっているか。二〇一五年、社員一万五百人のうち、裁量労働制、ソニーではエキスパート制度といっているんですが、その対象者は五千二百四十五人ですよ。実に管理職を除く社員の二人に一人が裁量労働なんですよ。こんなことあり得ないじゃないですか、自分の裁量で働く人が二人に一人なんて。労働者の訴えでも、残業代が、深夜手当が出ていないと。裁量労働では支払義務はあるんですよ。それが払われていない。残業にすると月約六十五時間、最長九十四時間、深夜労働月平均五時間、今これ、仙台労基署がソニー指導しているそうでありますけれども、私は社員の二人に一人が裁量で働くなんということが成り立つわけがないと思います。これが今の実態なんです。労働時間を正確に把握できないわけです、裁量労働制は。これが更に広がっていく。
 私、総理、今、政府がやるべきことは、やはり裁量労働制の実態を詳細に調べることですよ。みなし労働時間を超えた場合の厳格な是正指導をしっかりやっていくことですよ。対象拡大なんてもってのほかだと。
 そして、残業時間の上限を労働基準法で法定する、勤務が終了してから次の勤務までの休息を保障するインターバル制度を法制化する、こういうことこそやるべきで、総理、働く人の立場に立った働き方改革をやるとおっしゃるのであれば、本気でそれをやると言うのであれば、私は、今出ている労働基準法、これを通すというのは矛盾していると思います。労働組合は立場を超えて反対しているわけです。これやっぱり、これを通して、そういうことはやっぱり矛盾している。この国会で通すなどということはやっぱりこれはきっぱり断念をして、そして、本当の意味で働く者の立場に立った働き方改革をやればいいじゃないですか。
 決断すべきだと思いますが、どうですか。総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 多様な働き方を可能にしていく、かつ、それは働く人の立場に立って考えていかなければいけないと、こう考えておりますが、いずれにせよ、この国会で審議し採決するかどうかは国会にお任せをしているところでございます。

○小池晃君 議論を一方でやっているわけでしょう。だから、これは、今の労基法に賛成でも反対であっても、やっぱり働き方について議論を一方でしようとしているときに国会で法案通してしまうというのは、これは矛盾しているじゃないですか。だから私は、いい、厚労大臣にはもう答弁求めないけど、総理、総理ね、総理の政治的判断でやっぱりこれはもうきっぱりやめるというふうに言うべきじゃないですか。そういう報道もされているんだから、一部では。総理、認めるべきですよ。どうですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、この国会で通すかどうかということについては、国会でまずは御議論をいただいて、塩崎大臣からその法案の必要性についてこれから議論の中で明らかにしていくことではないかと、このように思います。
 それを採決するかどうかは、まさに委員会において御判断をいただきたいと思います。

○小池晃君 残業代ゼロ法案はきっぱり撤回すべきだということを申し上げておきます。
 最後に、政治資金の問題を聞きます。
 総務省に、二〇〇七年十二月に政治資金規正法が改定されました。改定の中心点を説明してください。

○政府参考人(大泉淳一君) お答え申し上げます。
 平成十九年の十二月に、与野党協議の結果、当時の自民党、公明党、民主党、社民党、国民新党の五党の合意に基づきまして政治資金規正法の改正案が議員立法として提案されたもので、改正法が成立しております。
 その内容としては、総務省に政治資金適正化委員会を設置しまして、国会議員関係政治団体というものを定義付けしまして、この収支報告に関し、全ての支出について領収書等を徴収する、人件費を除く一件一万円を超える支出について収支報告書へ明細の記載及び領収書等の写しを添付する、それから登録政治資金監査人による政治資金監査を義務付ける、また、一万円以下の少額領収書等の公開をするというような制度が創設されたものでございます。

○小池晃君 改正の趣旨を説明してください。

○政府参考人(大泉淳一君) 法案の趣旨説明などによりますと、政治団体、とりわけ国会議員関係政治団体の支出に係る収支報告書の適正の確保及び透明性の向上のためであると承知しております。

○小池晃君 政治資金規正法第十一条で領収書の要件はどうなっていますか。

○政府参考人(大泉淳一君) 政治資金規正法上、領収書等とは、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他支出を証すべき書面というふうに規定されているところでございます。
 この旨は総務省の作成しております収支報告書の手引にも書いてございますが、これは、一般的な見解として示している手引などを作っております。特段の事情を反映していないということで説明しているところでございます。

○小池晃君 領収書には金額が記載されていなければいけないというのは余りにも当然のことですね。だから、法律にもちゃんとそう規定しているわけです。
 しかし、自民党の中では、政治資金パーティーなどで金額が白紙の領収書が横行しているようであります。
 これは、稲田防衛大臣の政治資金団体の収支報告書に添付されていた領収書のうち、ここに今座っておられる閣僚の事務所が発行した領収書だけパネルにさせていただきました。ずらりと並んでおります。筆跡鑑定も行いました。しんぶん赤旗で筆跡鑑定を依頼して、金額、全て同じ筆跡で同じ同一人物が書いたものだと分かりました。
 稲田大臣、これは各大臣から白紙の領収書を受け取って金額も稲田事務所で書き込んだ、間違いないですね。

○国務大臣(稲田朋美君) 今、小池委員が御指摘になったように、私が代表を務めております政治団体ともみ組が提出した政治資金収支報告書について、同報告書の中で、会費支出として計上している政治資金パーティー会費の領収証の中に稲田側で日付、宛名及び金額を記述したものが存在しており、今御指摘になったとおりであります。
 それらは、政治資金パーティー主催者側の都合により、主催者側の権限において発行された領収書に対し、主催者側の了解の下で、稲田側において未記載の部分の日付、宛名、金額を正確に記載したものであります。
 国会議員は、しばしば同僚の国会議員の関係政治団体が主催する政治資金パーティーに参加をいたします。その際、主催者側としては、数百人規模が参加するパーティーの受付で、特に政治家の先生方は会費をお祝儀袋、水引の付いたお祝儀袋に持ってこられますので、参加会費の入れられた封筒を開封し、金額を確認した上で宛名とともに金額を記載するとすると、受付に長時間を要してしまう、受付が混乱する等、パーティーの円滑な運営に大きな支障が生じてしまうことから、その都合上、金額が空欄の領収書を発行することがあります。
 そのため、互いに面識のある主催者と参加者との間においては、領収書の日付、宛先、金額について、主催者側の了解の下、言わば委託を受けて参加者側が記載することがしばしば行われております。
 その際、当然のことながら、参加者側、特にそのお示しいただいている場合ですと私ですけれども、私の側ですけれども、実際に支払った日付、宛先、金額を領収書に記載することとしております。

○小池晃君 あのね、架空の支払でないことを証明するために領収書ってあるんですよ。それ、金額を勝手に書いていたら、これは領収書にならないじゃないですか。みんながやっているからいいんでしょうって、そんな子供の言い訳みたいなことをしないでくださいよ。
 これは領収書の要件満たしていないことを認めるでしょう。

○国務大臣(稲田朋美君) 今御説明いたしましたように、領収書を発行した方、作成名義人がその方の権限でもって発行をされておる正式な領収書でございます。そして、その了解の下、言わば委託を受けてこちら側で正確に日付、金額等を書き込んでいるものであって、何ら問題はないと思います。

○小池晃君 だって、今、稲田さん、さっき説明したときに、一々封筒を開けている時間がないからこうしているんだと。じゃ、二万円かどうか分からないじゃないですか。そんなの稲田さんが書いているだけということになります。全く、だから、これは領収書の要件を呈していないじゃないですか。

○国務大臣(稲田朋美君) ただいま、重複になりますけれども、作成名義人であるところの主催者側が正式に発行をした領収書でございます。そして、その了解の下で、例えばそこでお示しいただいているものであれば、主催者側が設定した会費と同額でございますけれども、こちらで正確に支出したものを、了解の下で委託を受けて、言わば委託を受けて書き入れているものであって、私は政治資金規正法の下の領収書として取り扱うことについては問題がないというふうに思っております。

○小池晃君 だって、政治資金規正法の第十一条には金額が書いてなきゃいけないと書いてあるんだから、これはどう考えたって政治資金規正法の要件を満たしてないじゃないですか。委託があったら金額は後で書いていいなんて言ったら、もう今聞いている中小企業の社長さんたち、みんなびっくりですよ。そんな領収書が通用するわけないじゃないですか。こんなばかな話はない。
 こうした領収書が、これは一例を挙げただけですけれども、稲田さんは二〇一二年から一四年までの三年間で約二百六十枚、五百二十万円分あるわけですよ。稲田大臣自身も、二〇〇九年十一月の衆議院の法務委員会でこう言っています。政治家は誰でも政治資金規正法についてはきちんと認識しておかないといけない、その趣旨を理解していただかないで何が民主主義ですか、何が議会制民主主義ですか、こう大臣おっしゃっている。こんな領収書出しておいて何が民主主義ですかということになるんじゃないですか。
 これは全く政治資金規正法の要件は満たしていないということを認めていただきたい。

○国務大臣(稲田朋美君) 繰り返しになりますけれども、発行された、主催者側が正式に発行したものであり、そのそちらの都合によって発行されたものでもございます。
 そして、ただ、ただですね、私は、今、小池委員の御指摘、さらには赤旗でこの点指摘をされたことを受けまして、私の事務所では、例えば一般に来ていただいている方には二万円の印字のしている領収書を発行しております。そして、政治家の方については、先ほど申しましたように、ほとんどお祝儀袋の水引の付いたものに入れておられます関係からこういった形で処理しているものも、これからはしっかりとどういった形ができるか検討してまいりたいと思っております。

○小池晃君 これからはやらないということは、まずいということを認めていることになるじゃないですか。やっぱり語るに落ちたという感じがしますよ。
 しかも、これ、稲田大臣だけじゃないわけですね。菅官房長官、菅さんの政治資金団体の収支報告書に添付されていた領収書のうち、安倍内閣の閣僚の事務所が発行した領収書を今日これ持ってまいりました。これ、その一部です。三年間で菅さんのところは二百七十枚、千八百七十五万円分。
 稲田さんのは全て二万円なんですけれども、菅さんのは十万円、二十万円というのが百枚以上ある。
 これも、筆跡鑑定の結果、数字は全て、金額は全て同一人物の記載であることが分かりました。
 官房長官も、今、稲田さんがおっしゃったのと同じことをやっていたということを認めますね。

○国務大臣(菅義偉君) 今、稲田大臣から答弁ありましたけれども、私自身も私自身が代表を務めております政治団体において、政治パーティー会費の領収書の中に菅事務所で日付、宛名、金額を記述したものが存在をいたしております。
 先ほど稲田大臣から答弁がありましたように、私自身、官房長官に就任して以来、数多くの同僚議員からパーティーの案内を受けるようになりました。その際、やはり数百人規模の参加するパーティーの受付で出席者の全員に宛先とともに金額を頂戴することになると、受付が混乱する、そしてパーティーの円滑な運営に大きな支障が来す。
 そういう中で、互いに面識のある主催者と参加者の間、これは事務所同士でありますけれども、そこにおいては、主催者が領収書を発行し、主催者の了解の下に参加者側が内容を記載するということがあります。
 私の事務所でも、政治資金パーティーの主催者側が発行した領収書に、主催者側の了解の下に実際の日付、宛先及び金額を正確に記載して、政治資金収支報告書として提出をいたしております。
 このことはインターネット上でも開示をされているところであります。私はこのような処理をいたしておりますので、そこを規正法上問題がないというふうに思っています。

○小池晃君 驚くべき答弁だと私は思いますよ。
 宛名は政治資金規正法では義務ではないんです。だから、そこは確かに大変なのかもしれませんよ。
 金額の白紙のものというのは領収書とは言わないんです、世間では。しかも、数百人が来るから大変だと言うけれども、大臣じゃないですか。翌日、閣議で配ればいいじゃないですか。できるじゃないですか。全国から集まっている参加者に一々出すのと違いますよ。議員会館回ればいいじゃないですか、翌日に。数百人来るから出せませんというのは何の説明にもならないですよ。
 私、こんなことをやっている、白紙の領収書を配ってそれ書いて出す、こういうことを国民の皆さんはやっぱり非常にでたらめなお金の使い方やっているんだというふうに見るのは当然じゃないかと思いますが、どうですか。このぐらいのことは処理できるじゃないですか。今私が言ったやり方で十分私対応できると思いますけれども。金額だけ書いてちゃんと渡せばいいじゃないですか、議員会館回って。それで済むじゃないですか。

○国務大臣(菅義偉君) 今申し上げましたけれども、その主催者側と私ども参加者側の間に面識のある、お互いに事務所同士でありますから、そこの了解の下にその参加者側が記載しているわけでありますし、政治資金規正法上、政治団体が徴収する領収書に際して発行者側の作成法についての規定はなく、こうした領収書を政治資金規正法上の下で領収書として取り扱うことに問題はないというふうに思っています。

○小池晃君 面識あったらお金後で書いてもいいというのが成り立つんだったら、中小企業の社長さん、みんな面識ありますよ、取引先と。こんなでたらめな話あるかって。国税庁だってこんなの認められないですよ、こんな領収書は。
 こういう、だから結局、これだったら本当にその金額を払ったのかというのは誰も証明できないじゃないですか。そういう重大な問題なんですよ、これは。ただ単に便宜上の問題というんじゃなくて、実際にやり取りされていないお金のやり取りがあった可能性が否定できないでしょう。
 相手との信頼関係があるから、相手は面識あるから、だから大丈夫です、私を信じてください、そういう話じゃないですか、二人の話は。稲田さんもそうでしょう、私を信じてください、菅さんだってそうでしょう、私の言うところを信じてください、それだけじゃないですか、この説明は。
 全く国民は、じゃ、この数字が正しいということをどうやって証明するんですか、どう証明するのか説明してください。
 後ろから一々そんなことで紙回すなよ。

○国務大臣(菅義偉君) 主催者側の了解の下に、主催者側とお互いに、これは事務所同士ですから、そこはしっかり報告をして了解を受けて提出しておるわけでありますから……(発言する者あり)

○委員長(山本一太君) 御静粛に願います。

○国務大臣(菅義偉君) ですから、この水増しだとか支出の水増しというのは一切行ってもおりません。

○小池晃君 だから、全く証明できないって今の話で分かるじゃないですか。私が言っている、信頼している、相手を知っている、だから信じてください、こういうのは信頼できないですよ、証明になってないですよ。領収書じゃないですよ、こんなものは。
 総務大臣、どうするんですか、これ。閣僚の事務所がお互いに日常的にこんなことをやっているわけですよ。白紙領収書を日常的に発行して、受け取った側が金額を書き込んで収支報告書に添付して提出する。政治資金規正法の根幹ががたがたになっているんじゃないですか。所管大臣としてどうなんですか。

○国務大臣(高市早苗君) 個別の事案につきましては具体の事実関係に即して判断されるべきものですから、今先生がお挙げになった事例一つ一つについて政治資金規正法上の問題の有無についてのコメントは困難ですが、一般論として申し上げますと、政治資金規正法上、国会議員関係政治団体は、全ての支出について、当該支出の目的、金額、年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面を徴さなければならないと、入手しなければならないということです。なお、領収書の発行側の作成方法についての規定は法律上ございません。
 先生がお配りいただいた資料の中に、約三年前に開催しました高市早苗さんをみんなで激励する会に稲田朋美先生の関係団体から二万円を頂戴していますのであえて申し上げますが、国会議員が東京で政治資金パーティーを開催する場合の特段の事情というものもあると思います。
 パーティー券の購入者につきましては、開催日前に、パーティー券を販売した日又は購入費の振り込みがなされた日に主催者側が日付、金額を記入して発行するということが可能でございます。
 ところが、来賓としてスピーチなどをお願いするために来てくださる国会議員の皆様については、まず普通、当日の受付の場に封をした封筒に入れた現金を持参される場合が圧倒的に多うございます。その場で開封して金額を確認し記入していては、近接した時間帯に皆さん受付に来られますので多くの国会議員をお待たせすることになりまして、当然パーティーの前半にスピーチなどの機会が多いですから、パーティーの開始が遅れるなど、その運営に支障を来します。
 よって……(発言する者あり)ちゃんと静かに聞いていただけませんでしょうか。

○委員長(山本一太君) 御静粛に願います。答弁中です。

○国務大臣(高市早苗君) よって、仮にパーティーに出席した国会議員側において必要事項を領収書に記載したとしても、領収書の金額等を記載する権限をその発行元であるパーティーの主催団体から了解されている者であれば、法律上発行者側の領収書作成方法が規定されていないことからも法律上の問題は生じないものと考えております。
 そもそも、そもそも……(発言する者あり)大切なところですから聞いてください。

○委員長(山本一太君) 答弁中ですから御静粛に願います。

○国務大臣(高市早苗君) そもそも、主催者も来賓として出席した者も国会議員である場合、双方の事務所においてパーティーの日付、名称、出金額又は入金額が記録されていますから、事実と異なる必要事項の領収書への記入というものはまず発生しないと考えられることから、出席国会議員側による記入を了解する関係というものが成立すると考えられます。
 ちなみに、特定パーティーの報告書ですけれども、対価に係る収入の金額の横に対価の支払をした者の数も記入しなければなりません。共に政治家の国会議員の事務所ですから、ここのところは出金もそれから入金もお互いに記録をしている、パーティー券もこれは政治資金法に基づくパーティーであることをちゃんと記した書面を交付しなきゃいけないわけですから、それによって互いに補完していると。こういったことから、出席者側による記入を了解される関係が成立すると考えております。

○小池晃君 総務省の政治資金課が発行している国会議員関係政治団体の収支報告の手引の中には後から追記しちゃいけないって書いてあるじゃないですか。それを所管大臣が公然とそんなことやらなくていいんですと。とんでもない話だと。こんなんだったら政治資金規正法なんて抜け穴だらけということになるじゃないですか。
 何でああいう答弁するのか、私分かりますよ。
 高市大臣も同じことやっているじゃないですか。
 二〇一三年度と一四年度の領収書の写し、ある。
 自由民主党奈良県第二選挙区支部の領収書。これもやはり筆跡鑑定を行いました。六人のここにおられる閣僚から全く同じ領収書、白紙領収書を受け取って、それで金額全部書き込んでいるじゃないですか。総務大臣がこういうことをやっているんですよ。だから今みたいな答弁するんだろうと思いますが。政治資金を所管する大臣自身が、白紙の領収書に金額を書き込んでそれで提出をしていると。これ、本当に言語道断だと私は思いますよ。結局、領収書に金額書いていないということは、もう何でもあり得るわけです。やっぱり根源にはパーティー会費の問題があります。
 菅官房長官の資金管理団体、横浜政経懇話会の収支報告書では、これ前年度の繰越しを除く本年収入総額のうちパーティー収入は、二〇一三年は九九%、二〇一四年は九五%です。パーティー券でお金を集める。そして、菅氏の資金管理団体は、二〇一四年、二千七百四万円パーティーで集めて、そこから千三百六十九万円、ほかの議員のパーティー券を買っているわけですよ。まさに、企業、団体にパーティー券を売って、そこからお金を集めて、そしてそのお金でパーティー券を買う、そしてその政治力を強めていく、そういったことをやってきたわけでしょう。これがやっぱり最大の問題ですよ。(発言する者あり)
 私、笑っている場合じゃない、本当に今声があったけど笑っている場合じゃない。これ、国民の皆さんは、こんなでたらめな政治資金の使い方がやられていると。富山で今領収書の問題、大問題になっているけれども、国会議員がやっていることだってそれ以上にひどい問題ではないかということに私はなると思う。

○委員長(山本一太君) 小池晃君、時間になっておりますので、おまとめください。

○小池晃君 パーティー券も含めて企業・団体献金は禁止しなければいけない、このことを改めて申し上げて、質問を終わります。

ご意見・ご要望