赤旗2016年10月8日付
安倍内閣の閣僚による「白紙領収書」問題を追及した日本共産党の小池晃書記局長の質問(6日)が、大きな反響を呼んでいます。「問題ない」と強弁した菅義偉官房長官、稲田朋美防衛相、高市早苗総務相ら3人の大臣のさらなる追及を求める声が強まっています。
「パーティー券の領収書を白紙で渡すのは“慣行”化していたね。金額をどう書くかは、もらった側の判断による。その気になれば、悪用できるよね」
こう話すのは、自民党の政治資金事情をよく知る元国会議員です。
元国会議員によると、議員同士のパーティー券は「お互い2万円ずつ購入するのが暗黙のルールだ」といいます。
「昨日の質問で、菅義偉官房長官の分には5万円や10万円の領収書があると聞いて『エッ』と思った。派閥の領袖が、所属議員から多めに買うというならわかるけども、そんなこともあるのかな」
白紙の領収書に書き込むという政治資金規正法を踏みにじった行為は許されないものです。しかも、元国会議員が疑問を呈したように正しい額が記載されているかどうかも問われます。
元国会議員は、今回の小池氏の質問について「御党は、よく調べたね。さらに深掘りすると、いっぱい問題が出てくると思うな」と、今後の追及に期待を寄せます。
党本部には、多くの声が寄せられています。新潟県長岡市の女性は「富山市だけでなく、国会議員もこんなことをやっているんだと、あきれ返っちゃったよ。怒りを力に(知事選などのトリプル選を)がんばります」と怒りの声を寄せてきました。「われわれ自営業者で、あんな領収書が通りますか。腹が立って仕方がない」(男性)など、さらなる追及に期待する声もあります。
法のねじ曲げ解釈 失格答弁
神戸学院大教授 上脇博之さん
菅官房長官、稲田防衛相、高市総務相の3人は、政治資金規正法の領収書の徴収義務違反と収支報告書へのその写しの添付義務違反に当たります。真正な領収書を徴収してはいないからです。
お金を払った側が領収書の金額を書いていいのだったら、実際の支出額とは違う金額を書くことができます。それが許されれば、領収書を徴収する義務や、その写しを政治資金収支報告書に添付する義務を課すことに意味がなくなります。
それではダメだから、受領側が「間違いなく、この金額を受け取りました」と証明するのが領収書です。
お金を払った側が領収書に金額を書いてはダメという社会常識です。その前提にたって総務省は「収支報告の手引き」も作って、領収書の徴収とその写しを添付するように指導しています。
それなのに「法律上の問題は生じない」という高市総務相の答弁は所管大臣の答弁としては失格です。総務相の資格が問われます。
高市総務相も白紙領収書を使っていたのですから、容疑者が罪に問われないように法律をねじ曲げて解釈しているようなものです。
こうした白紙領収書は、パーティー券の購入の場合だけなのかも疑われます。さらなる追及が必要です。