赤旗2016年6月30日付
日本共産党の藤野保史前政策委員長は28日夜、NHK番組(26日)での発言について記者会見をおこないました。会見には、小池晃書記局長が同席。冒頭、藤野氏が用意したコメントを読み上げ、小池氏が藤野政策委員長の解任と自身が政策委員長代行を務めることをのべ、国民のみなさんへのおわびを表明しました(29日付既報)。以下、記者とのやりとりの要旨を紹介します。
―辞任にいたる事実関係は?
藤野 きょう、私から志位委員長に辞任を申し出ました。党本部には、多数の電話やメールが寄せられ、多くが批判でした。委員長からも注意を受け、その後さまざまなご批判もあったので、自分で判断したということです。
―26日のNHK討論会では、他党の方から「発言を撤回した方がいい」との指摘もあったが。
藤野 党の方針とまったく異なる発言ですので、その場で撤回すべきだった。それができなかったこともふくめて責任を感じていて、政策委員長を辞職するという判断をしました。
―どこが不適切だったか、具体的に。
藤野 私たちは5兆円を超える軍事費すべてが問題だということではなく、いわゆる「海外派兵用の予算をけずって暮らしにまわせ」という主張をしております。ですから「軍事費の全部をけずれ」とは言っていないのですけれど、私の発言は、全部がだめだという趣旨になってしまったので、これは党の方針と明確に異なる発言です。
また、「人を殺す(ための予算)」という表現を使ったことが、党の方針を間違って伝えることになりましたので、そうした表現を使ったこともやはり問題です。
―共産党として防衛費をどのようにしてとらえているのか。党の方針を説明いただきたい。
小池 われわれは「防衛費(軍事費)をすべてなくせ、ゼロにしろ」というようなことを主張していることはいままで一度もないわけです。海外で戦争するための装備、高い殺傷能力をもつもの、敵基地攻撃能力をもつような、ステルスF35(戦闘機)とか、あるいは(垂直離着陸機)オスプレイ、無人機のグローバルホークなどなどについては、削減の対象としてきました。これは一貫して党の政策では、そういったことを求めてきています。
共産党として削減すべき軍事費は、こういう部分だと示しておりますから、今回の発言はそれと矛盾する、まったく党の方針とちがう発言になってしまったということです。
―自衛隊に対する謝罪もあったが、現在の自衛隊の存在は明確に認め、尊重するということで謝罪するのか。
小池 われわれの党の自衛隊についての見解について言うと、これは違憲であるという立場は変わりません。しかし国民の合意がない限りすぐになくすことはできないわけで、かなりの長期にわたって自衛隊が存続することになるわけです。万が一、その期間に急迫不正の侵害とか大災害があった場合は自衛隊にも働いていただくというのがわが党の立場ですから、この立場には変更ありません。これは綱領でかかげている立場なわけです。
私どもは災害時に自衛隊が、この間、東日本大震災でもあるいは熊本の地震でも災害救援活動をおこない、非常に大きな役割を果たしていると表明してきています。その立場は変わりません。
藤野 私も災害救援などで頑張っていらっしゃる自衛官のみなさんには心から敬意を表明します。そうした自衛隊の頑張っていらっしゃる方を防衛ということを超えて、今度の安保法制(戦争法)で海外に送る。そしていままでやらなかった危険な任務を加えるということが心にあったものですから、そうした安保法制をなくしていくという点については今後も頑張らなければいけないという気持ちは変わりません。
―参院選、野党共闘への影響は?
小池 参院選については、(藤野氏の)重い決断を受け止めて、こういう処置をとったわけですから、それを踏まえて全力を尽くして頑張るしかないと思っています。(野党共闘についても)われわれとしては誠心誠意、共闘の前進のために力を尽くしたいと思います。