赤旗2016年6月24日付
日本共産党の小池晃書記局長は22日夜放映のBSフジ番組「プライムニュース」に出演し、同日公示された参院選の争点――憲法、安全保障問題や安倍政権の経済政策「アベノミクス」について各党国会議員と議論しました。
安全保障問題
断固たる平和外交を
番組では、北朝鮮が同日強行したミサイル発射や中国軍艦による日本の領海・接続水域へ相次ぐ侵入への対応が焦点に。自民党の新藤義孝政調会長代理は、安保法制=戦争法で「隙のない状態」を整備したなどと述べました。
小池氏は、北朝鮮のミサイル発射に対し「国連決議違反で断じて許されない」と批判しました。中国軍艦の侵入についても「警戒が必要だ」と強調した上で、日本に対する侵害は個別的自衛権で対応できるとし、集団的自衛権行使の安保法制を持ち出した新藤氏に「混同している」と指摘。同盟国への攻撃があった場合に集団的自衛権を行使した場合は「相手国にとっては先制攻撃になる。北朝鮮問題の解決にとって百害あって一利なしだ。逆に緊張をあおるだけだ。無法な国家に軍事対軍事の悪循環で進むのは極めて危険だ」と主張しました。
小池氏は「憲法9条に徹した、断固たる平和外交で向かっていくことがどうしても必要だ」と強調。真剣に聞こうとしない新藤氏に「こういうことを本気でやらずに北東アジアの平和はつくれない」と重ねて主張しました。
「ありとあらゆる手を使ってやっている」と語る新藤氏に、小池氏は、歴代自民党政権は尖閣問題でも「領土問題は存在しない」という立場であり、「日本の領土だという歴史的事実を示して中国と本腰を入れた外交交渉をやっていない」と指摘しました。
南シナ海での中国の軍事基地建設などを示して「そういう相手と話し合いなどできるはずがない」という「日本のこころ」の中野正志幹事長に対しても、「日本共産党(の緒方靖夫副委員長が)が先日中国に行って、中国共産党中連部(中央対外連絡部)に対し、南シナ海での中国の一方的行動の中止を求める会談をやっている。あなた方はそうした行動は何もやっていないではないか」と厳しく批判しました。
改憲問題
参院選で審判求める
安倍晋三首相が衆参両院の憲法審査会を「動かしていく」と述べたことに関連し、小池氏は「自民党としてどの条文をどう変えようと考えているのかを隠したまま、この選挙で3分の2(の議席)を取ったあとは“これでやります”というのは許されない」と指摘。「自民党改憲草案が示すように、憲法9条2項を変えて『国防軍』を持つというのが自民党の提案なのか」とただしました。
新藤氏は「そうです」と回答しました。小池氏は「重大な発言だ」と述べ、「参院選でそのことを示して国民の審判を求めるのが憲政の常道だ」と主張しました。
経済政策
三つのチェンジ実現
新藤氏は、アベノミクスで「税収もリーマン(ショック)前の水準に戻ってきた」「雇用は110万人増えた」「給与も21世紀で最高の伸び率だ」と都合のよい数字ばかりを並べました。
民進党の長妻昭代表代行は、アベノミクスで格差が拡大し、「金がなければ適切な教育が受けられない。非正規雇用が4割を超えた」と語り、個人消費の2年連続マイナスなど不都合な数字に触れない姿勢を批判しました。
小池氏は「現状認識は長妻さんとほとんど同じだ」と述べ、「いつまでたっても“道半ば”だ。やはり道の方向が間違っている」と指摘。実質賃金が5年連続でマイナスとなったことなどを示しつつ、「世界で企業が一番活躍しやすい国」をつくり「トリクルダウン」で経済を回していくという路線は破綻したと強調しました。
その上で、国民の暮らしを温めるための「三つのチェンジ」―(1)消費税増税断念、大企業・富裕層に応分の負担を求める(2)税金は社会保障、子育て支援、若者重視で使う(3)最低賃金を思い切って引き上げる―を示し、「これを実現して、日本の経済を元気にしていく。しっかり対案を示していきたい」と表明しました。