○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
昨日から今日にかけて、臨床研究中核病院のことが話題になっておりますけれども、私も、既に予算事業でやっているものがそのまま法律化されるんだとばっかり思っていたんで、これが違うんだと聞いて、ちょっと非常にびっくりしているんですね。
今回のこの法案の審議というのは、何かやるたびに新しいことが出てくるんですよ。利用料二割負担の問題の根拠も間違っていたと。それから、要支援者への専門的サービスの比率というのも、数字もここで初めて出ました。今回の臨床研究中核病院の問題もある。もうとにかく、こんなふうになっていくと、このほかにも隠れた問題まだあるんじゃないかというふうに思いたくもなりますよ。
その点では、やはり十九本もの法律を一本にして出したということの根本が問われているわけだし、やっぱりこの法案の審議は出直すしかないと、この臨床研究中核病院の問題でも私そう思います。
〔委員長退席、理事髙階恵美子君着席〕
そのことはちょっと指摘だけにとどめて、今日は施設介護の問題にちょっと焦点を当てて議論をしたいと思うんですが、本法案は、特養ホームへの入所を原則要介護三以上に限定することになっています。現在、特養ホームの待機者五十二万人、そのうち十七万八千人が要介護一、二なわけで、一部の例外を除いて、これは大部分が入所枠から外れることになります。
厚労省にお聞きしますけれども、特養ホームに入所できなくなる要介護一、二の人たちを救済するための施設計画、今回のこの制度によって一、二が外れることに対する対応策というのは検討されているんでしょうか。
○政府参考人(原勝則君) 一、二の方が全て低所得だということではございませんので、確かに多いということはそのとおりでございますけれども、その点ちょっと前置きをさせていただいた上で、いずれにしても、軽度の方々の受皿といいましょうか、住まいということも大事でございます。
それで、私どもとしては、定期巡回・随時対応型サービスでございますとか、小規模多機能型居宅介護でございますとか、そういった在宅サービスの充実にまず取り組むということが大事だと思っております。また、あわせまして、心身の状況に応じまして、サービス付き高齢者向け住宅でございますとか有料老人ホームなど、新たな住まいの確保、これも進めてまいりたいと考えております。さらに、低所得、処遇困難な高齢者が入所する軽費老人ホームや養護老人ホーム、こういったものの活用等も図ることで、それぞれの高齢者のニーズに応じた多様な住まいの確保に努めていきたいと考えております。
○小池晃君 そういう一般論じゃなくて、今回一、二が外れることに対する対応、具体的な対応はあるんですかと聞いているんです。
○政府参考人(原勝則君) まず、現在特別養護老人ホームに入所されている方は、これは軽度な方であっても、これは法律上はちゃんと引き続き入所ができるようになっていますので、そこはちょっと誤解のないようにお願いしたいと思います。
具体的には、これはそれぞれ市町村が計画を作っていく中で、必要な対策ということもやっぱり将来に向けてはいろいろ考えていただくということだろうと思いますし、私たちもそういった市町村の取組に対して可能な限り支援をしていきたいと考えております。
○小池晃君 いや、無責任ですよね。国の制度で外しておいて、市町村にやってもらうんだと。
私たちは、特養入所の重点化だといって線引き持ち込んで、大量の要介護者を外すこと自体に反対だけれども、百歩譲ってどうしても特養入所を制限するんだったらば、これはその人たちに対する受皿を緊急にまた別に整備する、こういう具体的な計画を持つべきなのに、聞いても具体的な計画はないわけですよ。特例入所を認めるというけれども、極めて限定的ですよ、これ。老人福祉法第二条の措置入所に該当するような、そういう事例ですから、これは狭過ぎると。
結局、このやり方でいけば、要介護一、二の人たち、これは待機者の枠から排除されてしまうだけで、結局、介護難民のまま残されてしまうという事態になるんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) ちょっと前提が違うんですね。いや、三、四、五も足らないんです、三、四、五の方々もね、要介護認定。一、二だけが足らないんじゃなくて、そもそも全体が足らないんですよ。
ですから、一、二じゃなくて三、四、五も足らない中で、これからどうやって、特養を整備していける範囲の中において、そこに入れない方々に対して対応するかということでありますから、先ほど来、在宅でのいろんなサービス等々を整備していかなきゃならぬという話でございますから、それを一、二に限定しておっしゃられると我々は困っちゃうわけでありまして、これは、そもそも要介護者の方々の住まいをどうするんだと、そしてサービスをどうするんだという観点から、地域包括ケアシステムというものも含めて、今提案をさせていただいておるわけであります。
○小池晃君 そんなに胸張って三、四、五も足りないんだという話じゃないでしょう。おかしいですよ、三、四、五足りないって、私、当然だと思いますよ。前提ですよ。でも、その中で、結局、一、二の人は受給権すら剥奪されるわけですよ。
こんなやり方が許されるのかということじゃないですか。私、そういう開き直りでやっちゃいかぬと思う。結局、三、四、五も足りない、みんな足りないから、見かけ上の救済対象を減らそうというのが今回のやり方じゃありませんか。
〔理事髙階恵美子君退席、委員長着席〕
そもそも、何で特養ホームの、そうなんだよって自民党の議員も言っているよ、これが実態ですよ。何で待機者激増しているかというと、特養の定員数はそれなりに増えているわけです。二〇〇〇年、介護保険がスタートしたときは二十九万八千人、二〇〇九年で四十四・一万人、二〇一三年時点で五十一・六万人。一方で、待機者は、二〇〇〇年の制度スタート時に、これは共産党の国会議員団で調べて十万四千人でした。それが、二〇〇九年には四十二万人、二〇一三年には五十二万人。要は、やっぱり施設整備がニーズに追い付いていないわけですよね。直近四年間を見ても、特養ホームの定員は七・五万人増えています。しかし、入所希望者がそれをはるかに上回る規模で増えて、待機者は十万人増えたわけですよ。
大臣、この背景に一体何があるとお考えですか。
やっぱり私は高齢者の低所得化だと思うんです。
結局、国民年金のみだと平均で月四万九千円ですね。厚生年金も女性の平均受給額は月十一万円なんですよ。やはり所得の少ない高齢者が要介護状態になったときに、結局入れる施設というのは補足給付がある介護保険三施設、中でもついの住みかとなるのは特養ホームしかないわけですよ。
大臣、今この特養ホームの待機者が全体として、それはもちろん三、四、五も増えているとおっしゃったけれども、何で増えているかの原因として、やはり所得の低い高齢者が増大していることがこの背景にある、根源にあるという認識はお持ちでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 高齢者の方々が所得が少ないということもありますが、あわせて、やはり家族形態が変わってきているということもあるんだというふうに思います。今まで家族と二世帯、三世帯で住んでおられるところから、独居の方々が増えてこられておられる。当然のごとく、御本人の収入は少ないわけでありますし、共に、一緒に生活される方々もおられないわけでありますから、だから、そういう意味では、委員のおっしゃられている意味は我々も理解いたしている部分はあるんですが、ただ一方で、全ての方々をこれ施設で御面倒を見るというわけにもなかなかいかない中において、であるからこそ、地域で高齢者の方々、要介護の方々をしっかりと対応できるような、そういうような仕組みを考えていかなきゃならない。
だから、これは、我々、施設を全く造らないと言っているわけじゃないんです。施設も増やしていきますが、しかし全てのニーズを施設でというわけにはなかなかいかない中において、我々も地域包括ケアシステムというものを御提案をさせていただきながら、この形の中において充実をさせていこうと考えておるわけであります。
○小池晃君 今も大臣もやっぱり低所得ということは認めざるを得ないわけですね。やっぱりそれは背景にある、大きなこれは要因だと思いますよ。
それに応えるのがやっぱり特養なんですよ、施設全体じゃなくて、一番応えるのは。
介護難民の解消を目指すというのであれば、やはりそういう現実をしっかり見ていくべきなのに、特養ホームの増設は最小限に抑えて、そして老人保健施設は長期入所を制限して、介護療養病床は廃止を目指すと、こんなことをやったわけですから。
厚労省、ちょっと聞きますけど、今日、資料も配付しておりますが、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の利用者数は、介護保険スタート時の二〇〇〇年と直近の二〇一三年、比較するとそれぞれ何倍になったか、お答えください。
○政府参考人(原勝則君) お答え申し上げます。
まず、介護老人福祉施設でございますけれども、二〇一〇年十月時点で二十九万八千九百十二人、これが二〇一三年には五十一万六千人に増え、約一・七倍です。それから、介護老人保健施設は二十三万三千五百三十六人から三十四万九千九百人に増え、約一・五倍でございます。それから、介護療養型医療施設は十一万六千百十一人から七万三百人に減り、約〇・六倍となっております。
○小池晃君 特養、老健は二倍に届いていないんですね。介護療養病床は六割に減少しているわけです。
その一方で、政府が力を入れてきたのが有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、いわゆるサ高住などの整備であります。有料老人ホームの定員数、二〇〇〇年と二〇一三年の比較で何倍になっていますか。それから、サ高住の戸数は、制度が導入された二〇一一年と一三年の比較で何倍になっていますか。お答えください。
○政府参考人(原勝則君) まず、有料老人ホームでございますけれども、二〇〇〇年の七月から二〇一三年七月までの間でございますが、三万六千八百五十五人から三十四万九千九百七十五人に増え、約九・五倍でございます。サービス付き高齢者向け住宅は二〇一一年十月から開始された制度でございますけれども、その戸数は、二〇一二年二月から二〇一四年二月までの間で、一万八千五百八十六戸から十四万五千七百三十六戸に増え、約七・八倍となっております。
○小池晃君 介護三施設に比べると激増しているわけですね。特にサ高住は、僅かな期間で本当に急速に増えているわけですよ。
平成二十五年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅に関する実態調査研究事業によりますと、有料老人ホームとサ高住の平均利用料は、介護サービス分抜きでそれぞれ月十五万四千円と月十二万七千円です。ですから、いずれも、国民年金のみの受給者、あるいは厚生年金の、先ほど紹介したような女性の特にやっぱり低額の年金の方はもう手が出ない水準なわけですよ。しかも、これらの施設は、要介護度が重くなると出なければいけない。
今紹介した研究事業によりますと、有料老人ホームとサ高住の退去理由のベスト三は、一、要介護度の悪化、二、医療ニーズの高まり、三、認知症の進行です。入所時には認知症に対応可能といいながら、実際に症状が出てくると退去せざるを得ない。それでトラブルになるケースも非常に多いというふうに聞いているわけです。
私は、一定の負担能力がある高齢者に有料老人ホームやサ高住のニーズがあることは否定しません。しかし、低所得の要介護者の難民化を防ぐためには、やはり大臣、介護三施設の強化、特にやっぱり特養ホームの抜本的増設に全体としての政策のかじを切ると、これが、本気になって取り組むことが必要じゃないですか。いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 有料老人ホームででも、特定入居者生活介護等々を受けていただきながら、重くなっても対応いただける場合もあるわけであります。これ、契約でいろいろもめるということでございますから、指針を作って、契約時にどのような契約を結ぶかということも含めて我々もいろんな助言、指導しているわけであります。
そういう意味からいたしますと、一定の役割を有料老人ホームも、それからサービス付き高齢者住宅、これは特定施設はまだ少ないわけでありますが、こういうところも担っていただいております。
ただ、言われますとおり、比較的やはり低所得者の方々が多いのは、これは特別養護老人ホームを中心とする三施設、特に特別養護老人ホームであるわけであります。我々も、必要な数というもの、これは確保していかなければならないというふうに考えております。ただ一方で、全ての方々をこの特別養護老人ホーム等、施設等で対応するというのはこれはなかなか難しい。特に都会部ではそもそも地代等々が大変掛かるわけでありまして、造ることすら難しいということもあるわけでございます。そういうことも考えながら、我々もこれからも特養の整備は進めてまいりたいというふうに思います。
○小池晃君 造ることが難しいって、何か自然現象みたいに言わないでほしいんですよ。造ることが難しくしたのはこの間の政策ですよ。結局、特養ホーム整備に対する国の補助を定率補助から交付金にして、その後、大規模特養については一般財源化して、小規模ユニット型については基金による支援と、大きく制度変わってきたわけです。
その結果、特養ホームへの補助単価は介護保険導入前と比べて大きく減っています。
この間、今回、東京都と大阪府に特養ホーム定員一人当たりの補助単価はどうなっているのか出してもらいましたらば、東京都の補助単価は、一九九〇年度は定員一人当たり九百三十九万円だった。これが二〇一四年は五百万円です。それから、大阪府は、一九九九年度七百七十三万円だったのが二〇一三年度で二百七十万円です。
私は、ここを根本的に転換する必要があると思うんですね。大臣、なかなか大変だとか言うけど、こういう大変な状況をつくってきたのはこのやっぱり国の施策なわけですよ。特に都市部は、用地取得の問題もありますから、コストが高いわけですよ。これ、転換する必要がある。厚労省、都市部における特養整備に着目した支援策ってあるんですか。
○政府参考人(原勝則君) これから本当に都市部が急速に高齢化をいたしますし、一方で、土地が非常に取得が難しいという面がありますので、そういう意味で、都市部における特養等の整備というのは大変重要な課題だと思っております。
私どもは、昨年度、都市部の高齢化対策検討会というものを開催いたしまして、これはいろんな、学識経験者とか、あるいは首都圏あるいは大阪、名古屋の都市の行政の方にも入っていただきまして、政策について検討させていただきました。
そこで出てきている意見としましては、都市部においては用地確保が課題だということで、一つはサテライト型特養の整備の促進。私どもは、小規模特養は今でも基金で整備をしておりますけれども、少しサテライトという形で使っていただくと経営の非効率性みたいなこともカバーできるんじゃないかというようなことで、サテライト型特養というようなものを整備促進というのが一つあるんじゃないか。あるいは、都市再生機構、URですね、これとの連携を図って、URの団地を建て替えるときに、そこに一体的に特養を整備していただくというようなこと。あるいは、未利用公用地や小学校跡地、これ実際、小学校跡地を活用した例もこの近くの区でございますけれども、そういったものの施設整備。それから、民間事業者のマンションやオフィスビルの建築に際しまして一部フロアを特養として整備する手法。こういったことも御提言をいただいておりまして、東京都も関心を持っていただいております。
こういった多様な整備手法の活用について提言をいただきました。また、特養の整備につきましては、先ほど言いましたように、小規模特養の施設整備に対しても支援をしているということでございます。いずれにしましても、これからは非常に都市部対策は大事でございます。
それからもう一つ、私どもとして取り組んでいるのが、大規模な特養を含めまして、定期借地権による用地確保に対して財政支援を行うということをやっておりまして、これも基金でやっておりますけれども、こういうものも活用しながら支援をしていきたい。
さらに、今国会成立しました都市再生特別措置法でございますけれども、ここで、福祉施設等を町中に誘導する観点から、施設整備に当たっての容積率の緩和や税財政上の支援等の施策が盛り込まれたところでございまして、厚生労働省としては、国土交通省とも連携協力しながら、都市部において必要な介護基盤というものを整備していきたいと考えております。
○小池晃君 何かちまちまちまちました話ばっかりで、それで本当に都市部で増えるんですかって、全然展望見えませんね。
財務省、ちょっと今日来ていただいているんですが、移転庁舎とか公務員官舎の跡地など国有地を活用した特養ホームあるいは保育所などの施設の建設、これ、二〇一〇年の当委員会で私、財務省に対して求めて、その後かなり広がってきていることは事実だと思うんですね。しかし、やはり賃料の高さがネックになっているわけです。
まず、確認しますが、国有財産特措法の第二条では、保育とか、あるいは社会福祉法人に対しては無償で貸し付けることができると法文上なっていると思います。このことの確認と、実際に無償で貸与している例はあるんですよね。このことの確認を求めます。
○政府参考人(美並義人君) 国有財産につきましては、財政法第九条において、法律に基づく場合を除くほか、適正な対価なくして譲渡又は貸付けをしてはならないこととされておりますが、この法律に基づく場合として、今委員の御指摘のありました国有財産特別措置法第二条におきまして、地方公共団体等が社会福祉分野の用に供する場合には無償で貸し付けることができるとされております。また、無償で貸し付けている事例もございます。
○小池晃君 法律上はできるわけですが、実際にはやられていない。何で無償あるいは大幅な賃料の引下げができないんですか。
○政府参考人(美並義人君) 今申し上げましたように、国有財産特別措置法第二条の規定は、無償で貸し付けることができるとされております。
実際の運用に当たっては、国の厳しい財政事情や地域間の公平性等に鑑みまして、極力適正な対価を得ることが適当であるとの考え方が昭和五十八年の国有財産中央審議会の答申により示されているところであり、こうした考え方に基づきまして、全国共通のルールとして適正な対価を得るよう運用してきているところでございます。
○小池晃君 私は、法律でできるとなっているのに審議会の方針でできないって、おかしいと思うんですよ、これ。やっぱりこれだけ深刻な事態になっているときに、何で、法律では無償で貸し付けることができるとなっているのに、それをやらないのか。
私は、国の財政事情が大変だというのはみんな国民も理解していると思うんですね。ただ、こういう中で、国有地を活用して保育所なり特養ホームを造ることに、これは無駄遣いだという声は起こらないと思いますよ。それから、よく不公平だというけれども、やっぱりこれは成り立たない議論で、都会というのは地価が高いわけだから、それに対して何らかの施策を打つことが、私は、例えば地方に住んでいる人が都会でそんなことをやるのは不公平だという声は上げないと思いますよ。
むしろ、きちっとそこで暮らしていけるような社会をつくろうじゃないかということで、私は前向きに受け止めてもらえるというふうに思うんです。
国有地の活用についてこの間広がったことは前進だと思いますけれども、今のやり方では、やはり財政力のある社福法人とか自治体でしか手を挙げられないわけですよ。
大臣、やっぱりここは財務省にしっかり物を言うべきじゃないかと。やっぱりこれは、保育所もそうですけれども、特養ホームを造ると、先ほどから大臣は大事だとおっしゃった、特に都市部では大事だと。だったらば、ここは思い切ったこういう手を打つべきじゃないか。都市部で特養ホームの建設のために土地を借りる場合に、本体とは別に経費補助を行うとか、あるいは無償、低廉貸与、借地料の軽減。私は、そもそも厚労省として、国庫補助を復活させるということと併せてやっぱり用地取得への支援を実現すべきだと、財務省にも働きかけるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 三位一体で地方財源化したものを戻すというのは、これは地方分権にも反するのでなかなか難しいというふうに思います。
財務省が今お話しされた、国有地を借りて、定期借地権の下にこの特養等々を整備していく。これは、そういう貸付けスキームがあるわけでありますから、ちょうど二十四年度からその貸付料の一部を前納ができるというような形になっております。これに関しては助成制度、補助金というものがあるわけでありますので、なかなかこれがまだ知られていない部分もございますので、こういう制度を周知徹底をする中においてしっかりとやれる部分は進めてまいりたいと、このように考えております。
○小池晃君 駄目ですね。それじゃ増えないよ。思い切ったことをやらなきゃね。
やっぱりこういうことで、一、二を外すというこそくなやり方で待機者を減らすんじゃなくて、本当に待機者減らしましょうよ。それがやっぱり国民が望んでいることなんですよ。そうすれば、みんな働きに出るようになれば、介護離職なんてなくなれば税金払う人だって増えるわけだから、財務省だってそれでいいわけだから。そういうもうちょっと大きな目で見て、やっぱり国有財産の活用というのを真剣に考えるべきじゃないですか。
私は、ちょっとこれ真剣に検討してほしいと。ちょっとこれは引き続きどこかでまた取り上げたいと思いますけれども、これ大事な問題だと思うんです。
それから、今何が起こっているかというと、介護施設とか病院とか保育所などの入札不調が起こっているんですね。国土強靱化だと、オリンピックだということで公共事業費が大幅に増えて、人手不足と資材高騰が起こって、大手建設会社は道路建設なんかには積極的に応札するんですけれども、病院とか保育所とか介護施設に非常に消極的になっていると。被災地を含む全国各地で生活密着型事業の入札不調が続いているというわけです。
例えば、東京都の狛江市で今年着工予定だった特養ホーム、第二こまえ正吉苑というのが、建築費が当初見込みを大きく上回ったために社福法人の自己資金では対応できないと、市の補助金も増やせないということで、法人は計画中止を発表しました。こういう事態が起こってきています。
国や自治体の直轄で道路や橋を造る公共事業であれば、入札不調となっても予定価格の見直し、事業費の積み増しなど計画続行の努力は図られるわけですけれども、工期内に材料価格が高騰して請負代金が足りなくなる場合には工事額を中途で変更する仕組みがあるわけですけれども、ところが、介護施設などを建設する場合は、自治体の補助金額が決まった後で予定価格が変わってしまったら、あとは設置主体が持ち出しするしかない。
結局、これは民間法人が造るからそれはできないというふうに言うかもしれないけれども、特養ホームというのはこれだけ公的な役割を担う施設なわけですから、私は、この今の事態に対して何らかの救済策というのをこれ考える必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 小規模な介護施設等々を整備するための財源といたしましては、介護基盤緊急整備臨時特例交付金というのがあるわけでありますが、これに関して、言われるとおり労務費、また資材等々が上がっておりますので、本年四月から、これ三%から九・五%、これ単価を引き上げたところでございます。
○小池晃君 そういうことだけじゃない、もっと臨機応変に、今も激変が続いているわけだから、何らかのやっぱり救済策、考える必要あるんじゃないかということなんですけど、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 具体的にどういうイメージでおっしゃっておられるのか分からないんですが、必要ならばこれはやはり単価上げる必要があるわけでありまして、順次、急激に資材等々が上がっていくということであれば、これからもそのような形の中においていろいろと検討してまいりたいというふうに考えております。
○小池晃君 是非こういった面にも手当てをする必要があるということを申し上げておきたいと思います。
それから、法案には、介護施設の住所地特例がサービス付き高齢者住宅に適用する制度改変も盛り込まれているわけですね。今までは、住所地特例は特養ホームなどの介護施設が存在している市町村の給付費が上がるということがあって、元の住所地で負担させるという仕組みで、介護施設が所在するために高齢者の移住が多い、そういう市町村に配慮した仕組みだと思います。しかし、元々介護保険三施設だけが対象だった。これが有料老人ホームに拡大された、そしてさらに、サ高住にも広げると。これで、結局やっぱり特養ホームの増設を遅らせてしまうのではないかという懸念が出ているわけですよ。
また、昨年の介護保険部会では、住所地特例の拡大が、要介護になっても住み慣れた地域で暮らすというその自治体のインセンティブを弱めるのではないか、要介護の高齢者を遠隔地の施設に送り出す動きに拍車掛けるのではないかという、そういう指摘もあります。
私の事務所にも寄せられた声がありまして、敗戦直後から半世紀以上、渋谷で働き暮らしてきた八十代の女性なんですけど、特養ホームの入所を申請したけど空きがなくて、区の紹介で群馬県のサ高住に移住をした、もう人けもないところにぽつんと一軒建っていて、入居者が外出するときは送迎バスでデイサービスに行くときだけだ、お菓子を食べるのが楽しみだったんだけれども、施設の近所には商店はもちろん家もない、渋谷区にいるお知り合いにお菓子を送ってくれと毎月のように手紙書いているというんですね。
いや、笑い事じゃないの、こういう事態があるんですよ。老後を豊かな自然の中で暮らしたいと思う、そういうものに応えるのであれば別だけど、そうじゃない実態があるわけですよ。
私は、これ、こういう人里離れた遠隔地のサ高住に移住するというのはテレビなんかでも取り上げられていますけれども、昨年九月に出された都市部の高齢化対策に対する検討会の報告書も、サ高住への住所地特例の適用を地域包括ケアの例外になるというふうに指摘をしています。
大臣、地域包括ケアでしょう、住み慣れた地域で最後まで暮らすという理念なんでしょう。その理念を掲げながら、他方で住所地特例を拡大して要介護高齢者、遠隔地への移住をやりやすくするというのは、これはどう考えてもこの二つの政策理念は矛盾をしているんではないですか。いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 住所地特例は、そもそも特養等々対応してきたわけでありまして、その場合は確かに中でサービスが完結できるわけであります。ただ、サ高住自体、これ住所地特例を考えますと、当然のごとくサ高住は住まいでありますから、地域密着型のサービスが受けられないということでは困るわけでございまして、これは対象にしていくという方向で考えておるわけでございます。そういうような対応の中において、しっかりとサービスを受けられるようにというような考え方で進めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 地域密着型サービスがあるからというけれども、実際にこのサービスがないような、そういう地域に造られていく例も多々あるわけですからね。私は、これは実際に地域包括ケアということでやってきた政策理念と違う方向だというふうに思いますよ。
杉並区が静岡の南伊豆町に特養ホーム整備して、区内の要介護者を入所させて、これが大変話題となったんですけれども、産業競争力会議はこれを何と言っているかというと、この杉並方式を高く評価して、都市部の待機者を地方などの施設で受け入れる仕組みを形成する、そのために介護保険の住所地特例を緩和すべきだと、都市部に残る家族とのコミュニケーションを担保するため、格安航空券とタイアップした定期訪問、タブレット端末の無償貸与によるテレビ電話での対面などの取組を国が支援するべきだと、こんなことを言っているわけですよ。
都心に施設が造れないからといって、あたかも厄介払いみたいに行政が率先して高齢者を遠隔地に本当に追いやる、肉親に会いたいという思いに対しては航空券やタブレットを公費で買わせて一もうけしようと。もう産業競争力会議というのはろくなことを言わないですよね。こういうことでいいんだろうか。
私、こんなやり方は断固としてはねのけて、やはり都市部で本当に最後まで暮らしていける施設を造るんだということをはっきり言うべきだと、そういう方向で厚労省は進むんだというふうにはっきり言ってください。
○国務大臣(田村憲久君) 杉並と南伊豆はそもそも交流が深くて、その中においてお互いに……(発言する者あり)これを言っているわけじゃないんですね。ああ、なるほど。
産業競争力会議の中では様々な御意見があられます。私がいいなという意見もあれば、ううん、ちょっとそうじゃないなというような意見もあるわけでございまして、ただ、多様な方々が多様な御意見を言っていただくことは、これは自由な国日本であることでございますので、これからも参考になる意見はしっかりといただきながら、厚生労働行政に頑張ってまいりたいと思っております。
○小池晃君 うば捨て山にしてはいけないということを申し上げて、質問を終わります。
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