日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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医療・介護総合法案が可決 参院厚労委 小池議員反対 「介護保険の歴史的大改悪」

2014年06月17日

「赤旗」6月18日付

写真

(写真)質問する小池晃議員
=17日、参院厚労委

 自民・公明両党は17日の参院厚生労働委員会で医療・介護総合法案の採決を強行し、賛成多数で可決しました。多数の傍聴者が見守る中、日本共産党の小池晃議員は反対討論に立ち、「介護保険制度の根幹を揺るがす歴史的大改悪だ」と批判しました。民主、維新、みんな、社民の各党も反対しました。

 小池氏は、介護保険利用料引き上げ(1割から2割へ)の根拠が完全に崩壊したにもかかわらず、「このまま採決にかけるのは国会の自殺行為だ」と強調しました。

 要支援者への訪問・通所介護を保険給付から外して市町村の事業に移すのは「受給権のはく奪」であり、「サービスの質も量も低下する」と述べました。

 要介護1~2の人を特別養護老人ホーム入所の対象外とすることに道理はなく、「『介護難民化』を深刻にする」と指摘しました。強権的に病床を削減する仕組みの導入についても、「医療を受ける国民の権利が侵害される」と批判しました。

 採決に先立つ質疑で小池氏は、経済財政諮問会議が法人税減税と同時に社会保障の自然増抑制も含めた「効率化」を打ち出したことにふれ、「社会保障のためといって消費税を増税したのに、法人税減税の財源を社会保障削減でまかなうなどという身勝手は許されない」と告発。安倍晋三首相が「法人税減税の財源として社会保障を削減する考えはない」と弁解したのに対し、小池氏は「国民からみればそうなっている。社会保障の大削減路線にかじを切る今回の法案は断じて認められない」と強調しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
私、先ほど武見委員の質疑を聞いていて、薬価差、薬価引下げ分の使途についての総理の答弁聞いてちょっとあれっと思ったので、ちょっと通告した質問に入る前にお聞かせいただきたいんですが、以前は違う主張をされていたと思うんですよ。
九七年四月九日の衆議院の厚生委員会の議事録見ますと、ここでは総理はこう言っているんです。
薬価差は一兆円あると。それがそのままお医者様の懐に入っているわけではなくて、その根底には、現在の診療報酬が果たして適正であるかどうかということになってくると。その薬価差の一部は、例えば病院の修理の方にも回っているわけですし、そういう観点から、薬価差を適正にすると同時に、診療報酬における技術料を適正に評価するべきだという声も強くあると。
非常に正しい、私から見ると正しい主張を当時されていたんです。何で変わっちゃったんですか。
先ほどの主張は全然違いますね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当時、自民党の社会部会長だった時代だと思いますが、厚生委員会での私の質問ですね。自民党の言わば理事としての質問だったと、このように思うわけでありますが、先ほど大臣が答弁もされましたが、そこで言わば薬価差、薬価差というか薬価が改定されていく中において下がっていくこの分を、言わばこれを国としていただいてくるわけでございますが、診療報酬改定の際にですね、それを言わば診療報酬改定において医療に戻してもらいたいという要求は当然これはあるんだろうと、このように思うわけでございますが、国としての立場としては、政府としての立場としては、これは全体の収入の中に入れさせていただき適時適切に使用していきたいと、こう考えているところであります。

○小池晃君 当時、自民党は政権与党だったんですよ。その政権与党の立場と国の立場が違うって、おかしいじゃないですか。かくも立場が人を変えるのかと、私、本当にあきれてしまう。これはおかしいですよね。こういう形で国の運営やっていていいのかということを、まず私言いたい。
こういう正しい主張をしていたのもつかの間、二〇〇一年に小泉政権が誕生して、聖域なき構造改革だと。二〇〇二年度には診療報酬マイナス改定で三千億円自然増が抑制されました。その後、毎年二千二百億円の削減をやった。もう御承知のとおりです。一兆六千二百億円の自然増の抑制が行われました。これが日本の医療崩壊を招き、介護難民という事態を生んだことはもう間違いない。
総理にお聞きしますが、社会保障自然増二千二百億円削減というこの施策は正しかったんでしょうか、間違っていたんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障の伸びを毎年二千二百億円抑制していくという小泉内閣時代の方針は、社会保障費がどんどん増大をしていくという中において制度の持続性を確保しなければならないということから大変これは重視されたわけでございまして、その中での試みであったというふうに認識をしております。しかし、単純に社会保障費の伸びに機械的にキャップを掛けて抑制をするという手法には、副作用として様々な問題が発生したことも事実であるというふうに認識をしております。
いずれにいたしましても、社会保障改革に当たっては、必要な給付やサービスの質を維持をしながら、いかに効率化を図っていくかが課題であろうと。一つ一つの改革を積み上げていくことが必要であると、私はこう今考えているところでございます。

○小池晃君 しかし、今また同じことをやろうとしているんじゃないですか。
経済財政諮問会議で議論をされている骨太の方針二〇一四の素案には、「医療・介護を中心に社会保障給付について、いわゆる「自然増」も含め聖域なく見直し、徹底的に効率化・適正化していく必要がある。」と。小泉政権時代の社会保障抑制路線の復活じゃありませんか。いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍内閣としては、単純に、今申し上げましたように、社会保障費の伸びを抑えるためにキャップを掛けるということはいたしません。そういう手法ではなくて、重点化、効率化を含め、一つ一つの改革を積み上げていくことによって、受益と負担の均衡の取れた持続可能な社会保障制度の確立に努めていきたいと、こう思っております。
御指摘の骨太の方針については、六月十三日の経済財政諮問会議で素案が提示をされたわけでありますが、その中では、国民負担の増大を抑制していく観点から、社会保障給付について、効率化、適正化が必要であるとする一方、国民のニーズに対応するための社会保障の機能強化を図ることについても記載されているところでありまして、二千二百億円ありきという形でキャップを掛けて削減をしていくわけではなくて、我々としては、限られた財源を有効に効率的にこれは使っていこう、サービスの水準は落とさずに、しかし効率化を図っていく、当然それぞれがそういう意識を持って改革をしていこうという姿勢でございます。

○小池晃君 私は、機械的かどうかということではなくて、自然増を抑制するということが、まさに一人一人の社会保障の水準を低下させてきた。
障害者自立支援法しかり、後期高齢者医療制度、そして生活保護の母子加算の廃止、こういったことが日本の社会保障を破壊してきたんだと思うんですよ。それがまさに自然増の抑制なんですよ。
それをまたやろうとしている。
しかも、限られた財源だとおっしゃるけれども、じゃ、何で今回の骨太の方針には、法人税を二〇%台まで引き下げることを目指すというふうに書いてあるんですか。おかしいじゃないですか。
財源を心配するのであれば、なぜ法人税を下げるんですか。結局、これでは社会保障の自然増を抑制して、それが法人税減税の財源になると。こんなやり方に国民が納得すると思うんですか。総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この法人税を下げることと社会保障の抑制は、全くこれは関わりがないことでありまして、法人税を、実効税率を下げていくということについては、これはまさに財源もしっかりと確保していくことでありますが、これはグローバルな経済の中において日本の企業が勝ち残っていく、あるいはまた海外からの投資がなされ、そしてそれによって雇用が守られ、雇用がつくられ、あるいは国民の生活水準が収入が上がっていくことによって向上していく、そのためのこれは実効税率の削減ということになるわけでありまして、他方、この抑制というのは、できる効率化はしていこうということでありまして、母子家庭の生活保護費の母子加算を削減していくということについては、これは同じ条件の家庭を見て、消費生活水準が逆転をしているということに鑑み行ったことであろうと、こう思うわけでありますが、いずれにいたしましても、効率化はしっかりと行っていくのは当然のことではないかと、こう思うところでございます。

○小池晃君 法人税減税、国際競争力のためだと言うけど、国際競争力の源泉というのは国民の生活が安定していることなんですよ。社会保障の将来不安が取り除かれることなんですよ。今回のような法案で、介護の抑制などをやっていったら、これは、国民の生活は不安定になり、国際競争力の基盤が壊されることになっていくんですよ。
しかも、総理は関係ないとおっしゃるけれども、関係あると言っている人もいますよ。日本経団連の榊原会長は六月九日の記者会見でこう言っているんです。法人税を二五%へと引き下げるべきだ、このためには、税体系の見直し、社会保障を始めとする歳出の削減と。法人税を二五%に引き下げるために社会保障を削減せよと日本経団連の会長は言っているじゃないですか。
じゃ、総理は、この主張は誤りだとおっしゃるんですか。日本経団連の主張は誤っているんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が出た競争力会議において、榊原新会長も、社会保障費の削減を法人税の実効税率の削減に結び付ける発言は私の前ではしておられないわけでございまして、直接聞いたわけではございませんが、政府としては、はっきりと申し上げておきますが、政府としてはそういう考えを全く取ってはいないということを申し上げておきたいと思います。

○小池晃君 これ記者会見で、ホームページで出ているんですから。
じゃ、総理は日本経団連のこの主張は支持しないんですね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) その考えというか、今、小池委員が紹介された、社会保障費を削って、それを法人税の削減に使うという考え方は取らないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

○小池晃君 取らないと言ったって、同時に議論しているんだから、それは結局、法人税減税をやるのと社会保障の削減を同時に方針化すれば、結局、社会保障を削減した分が法人税の減税に回ることになるじゃないですか。国民から見ればそういうことになりますよ。
社会保障の拡充だと言って消費税を増税した、しかしそれを社会保障の拡充にはほとんど回さなかった。社会保障を拡充すべきだと言うと、財源不足だからと言って拒否をする。舌の根の乾かないうちに法人税の減税に走り出して、その財源は社会保障の削減だという。こういう流れですよ、今の。こんなやり方に国民が納得すると思いますか、総理は。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう再々申し上げておりますように、今回の消費税五%から八%への引上げは、伸びていく社会保障費に対応するため、あるいは子育て支援を行うために充てられているわけでありまして、それはもう間違いがないわけであります。
他方、法人税改革につきましては、日本の競争力を高めていく、日本の企業の競争力を高めていく上において、成長戦略の一つとして考えられているわけでありまして、その財源として社会保障費から取ってくるということはつゆほども考えていないということは、重ねて申し上げておきたいと思います。

○小池晃君 つゆほどもと言ったって、そういう構図になっているんだから。国民から見ればそうなっているんですよ、これ。
結局、これでは日本の社会保障はどんどんどんどん私は削られていく。そして、今回出されているこの法案というのは、まさに社会保障の大削減路線にかじを切るという法案だというふうに思っています。もう断じて認められない。これは廃案にするしかないというふうに思います。
やはり医療や介護の前提となる問題をちょっと私聞きたいんですが、今総理は、集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈変更に、戦後政治の大転換を図ろうとされています。与党協議に自衛権行使の新たな三条件というのは提案されていますけれども、私はこれを読むと、この文面上には地理的限定はないというふうに思うんですが、総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今まさに自民党、公明党において協議がなされているわけでございまして、詳細について答弁させていただくことは控えさせていただきたいと、このように思います。

○小池晃君 いや、公明党の答弁だったら分かりますよ。だってこれ自民党が提案しているものなんですから、私は聞いているんですよ。
それで総理は、機雷掃海も視野に入れて議論したいとおっしゃって、地理的限定のない議論をされているんだから。
総理、だから、私が聞いていることは単純なことです。医療、社会保障の土台は、平和な世の中なんですよ。この新しい要件の文章を見ると、これは地理的限定というのは私はないというふうに思うんですが、地理的限定はあるんですか、文章の中に。今提案されている三要件の中に地理的限定はありますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、政府としての考え方について与党にお示しをさせていただきまして、そして与党の中で今協議が進んでいる最中でございますので、まだ調っていないと。協議が調っていないという中におきましては、ここで詳細について答弁させていただくことは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、しっかりと国民の命を守り、平和な暮らしを守っていくことが大前提であろうと、このように思うわけでございますし、さらに、経済をこれは成長させていくことが社会保障の財政基盤を確かなものにするためにも必要でございまして、そのためにも我々は活性化を行っていきたい、成長戦略をしっかりと進めていきたいと、このように考えているところでございます。

○小池晃君 経済の活性化と全然関係ないことを今やろうとしているわけじゃないですか。まさに周辺アジア諸国との関係を悪化させる、これは経済を悪化させ、社会保障の財源だって壊しますよ。
総理、総理が考えておられる中身は、地理的限定のあるようなことを総理は考えておられるんですか。それとも総理は、機雷掃海も視野に入れている以上、やっぱり地理的限定ということはすべきでないというふうにお考えなんでしょうか。総理の考えを聞きます。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 機雷掃海につきましては、例として我々は挙げさせていただいているところでございますが、今、先ほど小池委員から言及のございました言わば三要件ということにつきましては、これは、先ほどちょっと政府というふうに申し上げましたが、高村副総裁が高村副総裁としてのお考えで、今与党協議において自分のお考えを開陳をしておられるわけでございまして、いずれにいたしましても、まだ与党で協議をしている最中でございますので、これ以上の答弁は控えさせていただきたいと思います。

○小池晃君 自民党というのは副総裁が総裁のもう意図関係なく勝手に提案するところなんですか。
あれは高村さんの意見で、総理は関係ないと言うんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今申し上げましたように、高村総裁が与党の交渉において、自民党側の責任者として私も高村副総裁にお任せをしているところでございまして、ここで協議が今真剣に集中的に行われているところでございますので、結論を待ちたいと、このように思っているところでございます。

○小池晃君 お任せしているというのはもうびっくりしましたけれどもね……

○委員長(石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

○小池晃君 はい。
これは憲法の破壊であり、戦後政治の大転換であり、許されないということを申し上げて、質問を終わります。



○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
看護師による特定行為の実施について聞きます。
私、もちろんチーム医療の推進は非常に大切だと思っておりますし、看護師さんというのは大変勉強熱心だというふうに思っていますし、自分の経験からも。専門的知識を身に付けて地位の向上を図っていくことは本当に大切だと思うし、そういう意味では職能団体の思いも理解できるところなんですね。
しかし、これ実際にやるとなるとどうなるかというのをちょっといろいろ考えると、例えば、ある病棟に二十人程度の看護師さんがいて、特定行為に関する研修を受けた人と受けていない人が混在をする。受けた研修についても、今のところ十四区分ぐらいで、それぞれいろんな分野で、循環器とか呼吸器とか血糖の管理とか、いろんなジャンルで研修を受けているかどうか、それが混在するわけですね。しかも、指定研修を受講していない看護師さんでも医師の指示の下には手順書によらず特定行為を行うことができる。その研修を受けているかどうかも一見して分かるというわけじゃないわけですよ。
病棟の看護師さんというのは、これは当然ローテーションで替わっていきますし、医師も例えば一週間に一回というような勤務形態もあるわけで、私は、こういう中で特定行為の実施が医療現場に持ち込まれてくるといろんな混乱が起こるんではないかということを懸念するんですが、この点はいかがお答えになるんでしょうか。

○政府参考人(原德壽君) 特定行為の研修については、あくまでも医師や歯科医師が看護師の能力を勘案して手順書に基づいた指示を出すということになると思います、今回の場合。その場合に、あくまで医師、歯科医師がどのような看護師を想定しているかというのは、今先生が具体的におっしゃられた、例えば病棟に常時おられるといいますか、常勤の医師の場合ですね、恐らくその病棟にどういう看護師がいるか多分御存じだろうと思います。多分、顔の見える関係になっているだろうと思います。そういう病棟に例えば週一回非常勤で行かれるような場合、その場合には恐らく、恐らくといいますか、その場合には、その病棟を管理している看護師長さん、この方がどういう研修を受けた看護師が、誰がどういう研修を受けたかということは十分管理できると思います。
それから、病院を変わるというお話がありましたけれども、そのときにも、どういう研修を受けてきたかということについてはその雇用される側の医療機関側でその確認をしていただきたいと、そういうふうに思っております。

○小池晃君 私は、この問題はやっぱり議論が不足をしているんではないかなと。今のままでこれが実行されていく、実際にこれが決まっていけば、業務命令という形でこうなっていくという中で、やはりいろんな問題が起こってくるんじゃないか。
私は、今看護の現場で何よりも必要なのは、安全、安心の看護をやはり実現するための看護師の抜本的な増員、看護師確保だというふうに思うんですよ。これなしにいろんなことやったって、これは現場の矛盾は解決しないと。
日本医労連、労働組合ですが、実施した看護職員の労働実態調査を見ると、悪化しているんですね、これ。二〇〇九年の調査時よりも、三交代の場合は九日以上の夜勤が五%増えて三六・六%、三人に一人が九日以上夜勤です。それから、二交代では五回以上が三・四%増えて四割超えています。夜勤の拘束時間も深刻で、十六時間以上が最も多くて五三・九%ですから、これ半数を超えているわけですね。で、夜勤にもかかわらず九割が時間外労働を加えてやっていて、六十時間を超えている看護師も一%。これ、夜勤交代制労働の過重負担を認めて過労死認定された、私も国会でこれ取り上げた村上優子さんと同じ水準なんですね。
いつ倒れても不思議でない状況が広がっています。
こうした働き方を強いられれば、やっぱり看護師としてのやりがい、誇りを幾ら感じていても、命と引換えにできない、家族との時間には代えられないということで職場を離れざるを得ないと思います。実際、この調査でも、七五%の看護師、四人に三人が仕事を辞めたいと回答しているわけです。
二〇一一年度の看護師退職者数は二万四千人で、厚労省の調査と若干違うんですが、医労連の調査では、退職者の三割が、超過勤務、休暇が取れない、夜勤の負担が大きい、こういう理由を挙げていて、出産、育児のためという数字を上回っていて、やはり過重労働が一番の原因ではないかと。
大臣にその認識をまず聞きたいんですが、やっぱり看護師のこの過重労働の問題、これについてどう認識されていますか。

○国務大臣(田村憲久君) 看護職の方々を始め医療に従事される方々が過重労働というのは、我々もよくお話をお聞きすることであります。
今般の医療の中においての勤務環境改善、これはまさにこの法律の中に盛り込まさせていただいておるわけでありまして、都道府県で支援センターをつくってしっかりとバックアップしていくと。
まさに、看護師の皆様方も含めて大変厳しい環境の中で本当に御活躍をいただいておる、本当に厳しい中でぎりぎりのそれこそ業務をしていただいておるわけでありまして、それに対して少しでもやはり勤務環境を改善していきたいという思いの中での今般の法律の提案でございますので、御理解いただければ有り難いというふうに思います。

○小池晃君 私は、やっぱりそういう中身が今回の法案に入っているとは思えないんです。その第八次需給見通し策定に向けて対策が求められるわけで、やっぱり具体的に、実際に夜勤回数の制限、夜勤後の時間外労働の禁止、こういったことをきちっと法律に盛り込むような、そういったことをやっていく必要があるんじゃないか。
それから、やはり第八次需給見通しの検討会には、労働組合など含めて現場の代表の声を反映させるべきではないかというふうに思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 看護職員の需給の見通しでありますけれども、やはり現場の実態を反映させなきゃならないと思っております。都道府県を通じて各病院にいろいろと調査を掛けて、その上で現場の実態を把握していくわけでございまして、これは、今委員がおっしゃられました勤務環境の改善、それからやはり看護の質の向上、こういうものも見込んでこれを作っていかなきゃならぬと思っております。
先ほど来申し上げております今法案にはこの勤務環境改善というものが入っておるわけでありまして、今般はこれを更に入れた上で、今年度からスタートする第八次の需給見通しでありますけれども、見込みでありますけれども、これに関してしっかりと検討をしてまいりたいというふうに考えております。

○小池晃君 やはり具体的な労働時間規制それから看護師の抜本的増員、これはどうしても必要だと。七対一、七対一って、何か七対一が悪いかのように言われるけれども、やっぱり僕は決して悪くないと思うんですよ。本当は七対一じゃなくて三対一とか四対一とかあるべきなんですよ。やっぱり、今の看護現場の現状があるから七対一が増えていくわけですよ。何か、ワイングラス、ワイングラスって、ワイングラスを悪者にするような、そういう議論はおかしいと、もっともっとやっぱり抜本的な増員が必要だと、それが今回の法案に私はないというふうに思います。
それから、介護利用料の問題、再三この間指摘をしてまいりました。昨日の中央公聴会でも日本ホームヘルパー協会の因会長が、やはりその二百八十万円で二割負担は重過ぎると、私もそのとおりだと思うんです。
昨日、因会長は例えばということで提示されたのは、夫二百八十万、妻六十万、厚労省が示しているモデルでいうと、夫が認知症でグループホームに入ると、二割負担になると、大体これ家賃、食費、医療費で月額十五万掛かると。そうすると、年額百八十万ですから、妻の手元には年額百六十万円しか残らないと。これで家賃、食費、生活費、医療費、払えるんだろうかと。妻が低栄養、閉じこもりなどを誘引するんじゃないかと、こういうふうに言われています。
先ほど、何か二百八十万か三百万という話あったけれども、私は、やはり説明がこれだけ崩れた以上は、これはやっぱり、罪滅ぼしとは言わないけど、せめてこの政令で定める二割負担の基準を見直すということぐらいの姿勢を示すのは当然じゃないかと思うんです。
実際、今のやり方ではこういう矛盾が起こってくるという指摘あるわけだから、厚労省は余裕があるから大丈夫だと言っていたのを、切り詰めれば大丈夫だと変えたわけだから、だったらば、その変えたものに応じた基準の変更ということを当然検討してしかるべきじゃないですか。

○国務大臣(田村憲久君) 介護保険の財政というものは大変厳しくなってきておるということは御理解をいただきながら、これはただ単に厳しいといいますか、公費自体も厳しいですが、当然半分は保険料でございますので、保険料の上昇というものにも影響してくるわけであります。
その中において、能力に応じた負担ということを今般お願いをさせていただくという中において、この二百八十万、年金収入のみの方々、厚生年金でいえば、先ほども申し上げましたけれども、今七十五歳の方で、今の現在のお金の価値に割り直すと、平均賃金が、年収が八百万を超える方々であります。蓄える方もお持ちの可能性もあられるということで、こういう方々には何とか、心苦しいですけれどもお願いをさせていただきたいという提案をさせていただきました。
世帯ということからしますと、これは介護の上限額、これは世帯で組んでおりますので、そういうものも使っていただきながら対応いただきたいというのが思いでございまして、六十万ということを余裕があるというような、そういう誤解を受ける説明をしたこと自体は、これはもう我々は申し訳ないと思うわけでありますけれども、そもそも、何とか御負担をお願いできるのではないかというような、そういう収入をお持ちの方々であるということでお願いをさせていただいております。
もちろん、最終的にはこれは政令の方で決めさせていただく話でございますので、どのような形になるかというのはこれからの議論ではありますけれども、基本的に、今申し上げました二百八十万、年金収入の方々の、そういう層を中心にお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

○小池晃君 いや、そんなことやっていて制度がもつんですかということなんですよ。二割負担を導入する、あるいは要介護三以上を、特養を制限する、保険料を幾ら払ったって給付が受けられないんではないかというような制度になっていったらば、制度そのものがもたないでしょうと。
しかも、これ質問しませんけれども、六十五歳以上の一号保険料は、今のままでいったって二〇二五年度、月八千二百円ですよ。このままいったら一万円を超えることだって予想されるわけですよ。大臣、こんな制度がこのままもつと思いますか。こういう中で、ただ給付を抑制するというだけの改革をやっていく、どんどんどんどん制度に対する信頼が失われていく。こんなことやったって展望全くないと思いますよ、私。だから、私は抜本的にこれを見直す必要があるんだと、それと併せてやらなければ本当の改革は絶対できないと思うんですよ。
地方自治体関係者からも、やはり国庫負担の引上げということが要求されています。全国市長会、町村会なども、国庫負担五%あるいは一〇%引上げを求めています。田村大臣もこの委員会で、自民党、野党時代は、介護保険公費六〇%にする、増加分の一〇%は国で出すという政策を掲げたんだというふうにここで披瀝されました。公明党も政権復帰後の参議院選挙政策で、介護保険財源の公費負担を現行の五割から六割に引き上げると言っています。私ども日本共産党も政策で、介護保険の国庫負担割合を当面一〇%引き上げるという政策を出しています。
みんな同じじゃないですか。これ、やりましょうよ。やっぱりこれをやらずして、こういう給付を削減する、負担を増やす、こんなこと幾らやったって、制度に対する信頼がどんどん失われているだけじゃないですか。まさにこういう抜本改革こそ求められているんじゃないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 非常に厳しい介護保険財政でありますから、負担能力に応じた御負担をお願いをせざるを得ないところまで来ておるということは申し上げたわけであります。
一〇%、確かに消費税一%分、二兆八千億円を医療、介護、子育て、年金、こういうところに充実策として使うということを、これは三党の合意で決めさせていただきました。使い道はそれなりにもう大体見えてきておるわけであります。介護ということを考えれば、一〇%、確かに私も、何もまだこういうような三党合意がない中において、自民党の中でいろいろと検討する中においてはそういうものを提案したこともありますが、二〇二五年には二十兆円を超える給付になってまいります。一〇%でありますれば、二兆円になってくるんでありましょう。財源をどこに見出していくのかなかなか難しいことでございまして、一つお考えとしては私どもも傾聴に値するお話だなというふうに思いますが、財源二兆円、二〇二五年、大変大きい、さあ、どうするんだろうということにおいて、なかなか、委員がおっしゃられることを私がここで、はい、そうですとは申し上げられないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

○小池晃君 でも、消費税増税して、結局四十億円しか介護保険に回していないというじゃないですか。しかも、今回の制度では四十億円ですよ、消費税増税分が入るのは。しかも、財源だ財源だと言うけれども、先ほど総理ともやったけど、何でじゃ法人税の減税は先行するんですか。おかしいじゃないですか。
やっぱり、税金の使い方間違っているんですよ。
税金の取り方間違っているんですよ。そこをやっぱり変えて、本当の意味での介護に財政投入するということなしにこういう改革、改革の名に私は全く値しないというふうに思います。介護に対する不安をあおるだけだというふうに申し上げたい。
消費税の増税を決めながら介護保険への財政投入ごく僅か、その一方で、要支援者サービス保険給付外し、特養ホームの入所の制限。こんな欺瞞的なでたらめなやり方は断じて認められないと、これはやっぱり廃案にするしかないということを申し上げて、質問は終わります。



○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、医療介護の総合的確保を推進する法案についての反対の立場から討論を行います。
反対の理由の第一は、介護保険利用料二割負担の根拠が完全に崩壊したにもかかわらず、政府がこれを撤回しようとしないことです。
政府は、年金収入二百八十万円の世帯では、平均的な消費支出をしても年間六十万円が余るので、介護利用料の二割負担は可能だということを唯一の論拠にしていました。しかし、参議院での質疑でその説明は完全に崩壊し、六十万円余るという説明は撤回され、大臣は反省していると述べました。昨年の介護保険部会でこの説明に疑問を投げかけていた委員は、参考人質疑で、驚きと怒りを覚える、介護保険部会に差し戻すべきだと述べられました。
このような法案をこのまま採決にかけるなど、国会の自殺行為と言うべきであり、法案は断固として撤回すべきです。施設の食費、居住費に対する補足給付の大幅縮小も、高齢者の生活に深刻な打撃となるもので、認められません。
第二に、要支援者への訪問・通所介護を保険給付から外し、市町村の地域支援事業に置き換えることが受給権の剥奪にほかならないからです。
これもまた、参議院での審議の中で、地域支援事業に移行した場合の専門的サービスは、多くとも現状維持であり、二〇二五年度には五割程度になるという試算が示されました。これでは新たに要支援とされた人にはボランティアなどのサービスしか提供されなくなるおそれがあります。
また、要支援者の数を減らしていく方針も示されました。介護予防の充実で状態が改善して非該当と認定されるならば大いに歓迎すべきことですが、実際にモデル事業が行われている地域では、地域ケア会議で介護保険からの卒業と称してサービスの打切りを強制する例が多数報告されています。これは卒業とは程遠い強制退学にほかなりません。
また、基本チェックリストによって要介護認定を受けさせない手法も広がっています。これは医療保険に例えるなら、病院に来た人に受付で問診票を書かせ、この程度の症状なら医師に見せるまでもない、薬局で薬を買いなさいと追い返すようなものであります。
今の制度ならば要介護認定を受け要支援と判定されるはずの人が認定抜きでサービスを割り振られていき、その人はもはや要支援者とも扱われない。このやり方が広がれば、確かに厚労省が示した文書のように要支援者に至らない者が増加し、要支援者の数の伸びが低下していくこととなります。しかし、これでは保険制度の根幹が壊されてしまいます。
政府は地域支援事業になっても適切なサービスが維持されると言いますが、今回の制度改変により、毎年五・六%の要支援者への給付費の伸びを三・七%に抑制することになります。その結果、二〇三五年で二千六百億円の給付費抑制になってしまいます。大規模な給付費削減がサービス単価や人件費の切下げ、利用者の負担増につながり、介護サービスを量、質共に低下させることは明らかです。
しかも、要介護認定には大きな地域格差が存在します。とりわけ要支援二と要介護一の判定は認定審査会によって左右される極めて微妙な境界であるだけに、これが保険給付の対象になるかどうかの境界になってしまうことは、介護保険制度に対する信頼性を根底から崩すものだと指摘せざるを得ません。
第三に、特養老人ホームへの入所を原則として要介護三以上に限定することに何の道理もないからです。
五十二万人の特養待機者のうち十七万八千人は要介護一、二です。現在でもこうした方々は入所待ちの行列に並んでも後回しにされていますが、今後は行列に並ぶことすら許されなくなってしまいます。本法案では、要介護一、二の方の特養入所の権利を奪いながら、それに代わる施設計画は一切示されていません。大臣も、特養待機者の増大の背景に低所得高齢者の増加があることを認めながら、低所得者には利用できない有料老人ホームやサービス付高齢者住宅の建設を民間に依存するだけで、特養建設のための抜本的対策は示していません。
このままでは、都市部を中心に介護難民化、老人漂流社会は一層深刻にならざるを得ません。特養ホームの抜本的増設に背を向ける一方で、要介護一、二の人を待機者にカウントしないことで待機者の数を減らす、余りにもこそくなやり方だと言わねばなりません。
法案には、住所地特例をサービス付高齢者住宅に拡大することも盛り込まれています。地域包括ケアの名で住み慣れた地域で最後まで暮らすという理念を掲げながら、他方で、住所地特例を拡大し、要介護高齢者の遠隔地への移住を促進することは支離滅裂な政策と言うほかありません。
介護福祉士の専門性の向上のための資格一元化は、法制定後五年の準備期間があったにもかかわらず、実施を三年先送りしていたものを本法案で更に一年先送りすることについて、参考人質疑でも中央公聴会でも関係団体から厳しい批判がありました。
以上のように、本法案は、介護保険の根拠なき負担増を押し付け、給付範囲を大幅に狭めるなど、あらゆる面で制度の根幹を揺るがす歴史的な大改悪であると断じざるを得ません。
反対理由の第四は、上からの強権的な医療計画の押し付けで国民の医療を受ける権利が侵害されるからです。
医療法の改定により、都道府県主導で病床の再編、削減を推進する仕組みには与党議員からも懸念の声が出されました。厚労省は、都道府県の病床計画に病院が従わない場合、医療機関名の公表、各種補助金や融資対象からの除外などの制裁措置をとるとしていますが、中央公聴会で公述人から、医療機関同士の信頼関係を壊すものという指摘もありました。
日本の国民皆保険制度を支えてきたのは、自由開業制度とフリーアクセスの原則の下での質の高い開業医と民間医療機関の献身的な努力でした。
上からの強権的なベッド規制は、世界に冠たる国民皆保険制度の根幹を揺るがす危険をはらむものであり、到底容認できるものではありません。
医療事故調査のための第三者機関についても様々な懸念が示されました。医療事故再発防止のための公正中立な第三者組織の設立は我々も求めてきましたが、遺族側からの発議が生かされないこと、医療者側への責任追及につながる懸念、第三者機関に対する公費負担が条文上明記されていないという問題点も解決していません。
看護師による特定行為の実施についても、医療現場に混乱をもたらすおそれがあります。今、看護現場で何より必要なのは安全で行き届いた看護の実現のための看護師の確保であり、それなしに医行為を拡大することは更なる労働強化をもたらし、患者に寄り添う本来の看護を困難に導く懸念が拭えません。
何よりも、これら一つ一つが医療制度や国民の生命、健康にとって重大な制度改変であり、本来なら別々の法案として十分な時間を掛けて慎重に審議すべきものでありました。改めて、十九本もの法案を一括して提出したことは国会の審議権を奪うものだと言わざるを得ませんし、個々の問題についての審議は全く不十分だと言わざるを得ません。このままでは国民に対する立法府としての責任を果たすことができず、質疑終局、採決など言語道断です。
以上、あらゆる点から本法案には大きな問題があり、採決に付すこと自体に強く抗議をし、反対討論を終わります。

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