○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、障害者総合支援法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
法案に反対する第一の理由は、本法案が本来求められている基本合意、骨格提言に基づく改正ではないからです。
本改正案は、附則三条に定められた見直し規定に基づくものとして提出されました。その経緯からすれば、基本合意と骨格提言の実現に向け、残された課題を解決するものでなければなりません。
しかし、附則三条に掲げた項目についてほとんどまともな前進はなく、骨格提言が掲げた諸課題は積み残されたままです。一方で、応益負担の条項はそのまま引き継ぎ、配偶者や障害者の保護者の収入により負担が課せられる仕組みも残しています。支援から漏れる谷間の障害についても未解決、支給決定の在り方、報酬支払方式、国庫負担基準の廃止などの課題も棚上げされています。
反対理由の第二は、本改正案が介護保険優先原則を何ら変えるものでなく、一層その原則を固定化するものと言わざるを得ないからです。
介護保険優先原則により、六十五歳になった途端、半強制的に介護保険に移行させられ、無料だった低所得者が一割負担となり、必要なサービスの打切り、縮小が行われる。障害の状態は全く変わらないのですから、何の合理性もありません。
だから、基本合意でも廃止を約束していたのです。
政府は、負担軽減の仕組みがあると言いますが、様々な条件を課して対象者を限定しています。また、独自のルールで支給を制限する自治体も存在しており、障害者の命と暮らしを脅かしています。
このような事態を招いた介護保険優先原則は廃止し、障害の特性に配慮した選択制とすべきであります。
本改正には、病院内での重度訪問介護利用や自立生活援助など、当事者の要望が部分的には反映されています。しかし、様々な要件を設けてその対象を絞り込むなどの問題もあります。自立生活援助はグループホームの軽度者外しと抱き合わせになりかねず、これらをもって賛成することはできません。
基本合意は、障害者自立支援法違憲訴訟を始めとする障害者の命懸けの戦いで勝ち取ったものです。骨格提言こそ制度改革の羅針盤であり、政権が替わろうとも守り続けていかねばならないものです。今こそ、基本合意、骨格提言と障害者権利条約に立ち返り、障害者の人間としての尊厳が守られ、基本的人権が尊重される真の制度改革に踏み込むべきです。このことを指摘して、私の反対討論を終わります。