○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
私は、会派を代表して、確定拠出年金法等の一部を改正する法律案について反対討論を行います。
我が党は、二〇〇〇年にDCが創設された際、拠出金を加入者が自己責任で運用するため、年金給付は運用成績次第となり、老後の所得を不安定にすること、企業の運用責任と拠出負担を軽減すること、国民の資産を金融市場に動員して景気対策に利用しようとするものであることなどの問題点を指摘し、反対しました。本法案は、これらの問題点を何ら修正することなく、更に拡大しようとするものです。
反対の第一の理由は、本法案が、公的年金の給付水準の低下を前提として企業年金等を普及拡大し、老後所得の自助努力による確保を一層促進することを目的として、加入者個人が運用リスクを負うDCへの移行を促進するものであるからです。
反対の第二の理由は、本法案が、リスク・リターン特性の異なる三つ以上の運用商品の提供を義務付けるとともに、元本確保型商品の提供義務を削除することです。加入者は提供される運用商品の中から運用指図を行うため、元本確保型商品提供義務の削除は、加入者のリスクを増やし、財産権を侵害します。また、デフォルト商品についても、現在、年金局長通知に基づいてデフォルト商品を設定している企業のうち九六・四%が元本確保型を設定していますが、分散投資効果が見込まれる商品を設定することを努力義務とする方向で省令改正を行うとしており、株式、債券の商品設定を促進することも問題です。
DC普及拡大の大きな狙いの一つは、国民の資産を金融市場に誘導して、株価のつり上げを中心とした見せかけの景気対策を進めるとともに、口座管理や運用手数料で金融機関のもうけの場をつくることにあります。
日本再興戦略改訂二〇一四では、金融資本市場の活性化として、豊富な家計資産が成長マネーに向かう循環の確立を位置付け、家計資産を株式市場に誘導する意図を持って、DCの一層の普及を図るための制度改正を行うことを明記しています。
運用に失敗すれば年金給付が大幅に減少するというリスクを加入者の自己責任とするDCの拡大を図り、元本確保型商品提供義務を削除して、その一方で投資教育は努力義務にとどめる本法案には反対であることを改めて申し述べ、討論を終わります。