○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
一月の当委員会で総理は私の質問に対して、来年四月に消費税を引き上げられる環境をつくっていくと答えた。私がどういう環境ですかというふうに質問したらば、今年四月に賃上げをして、来年またしっかりと賃金が上がる環境をつくる、今年の四月は高い水準で賃上げが実現できるのではないかと見込んでいるというふうに答えたんですね。しかし、今年の春闘、大手のベアは昨年を下回っています。経済財政諮問会議でも総理は賃上げに力強さが欲しかったと述べています。
総理、この春、高い水準の賃上げになっていないということを認めていただきたい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) アベノミクスの眼目は、成長の果実を賃上げを通じた消費や投資の拡大につなげて、中小・小規模事業者を含め、力強い好循環を実現していくことであります。今年の春闘については、企業収益が過去最高である中で、政権交代前はほとんど行われなかったベアが三年連続、多くの企業で実現する見込みであります。また、連合の最終集計結果はまだ公表されておらず、第二回目の集計が公表されたところでありますが、この時点での集計結果を過去と比較しますと、リーマン・ショック前の水準を上回っています。こうしたことから、賃上げの流れが確たるものとなってきたと認識をしております。
また、さらに、ベアや一時金の引上げだけではなくて、更に様々な工夫がなされているというのは先ほどの答弁でお答えをしたとおりでありますが、経済の底上げにつながる新たな工夫がなされているわけでありまして、そうした評価もできる今回の春闘だったのではないかと、このように思うところでございます。
○小池晃君 いや、私は今春闘、高い水準の賃上げですかと聞いたんですよ。イエスかノーかで答えてください。高い水準ですか、これが。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、今まで二%を超えるというものについては、これはもう十五年間、ほぼ三年間連続超えるというのはなかったわけでございまして、つまり、今年の春闘もその水準を維持している、高い水準を維持していると、こう考えるわけでございます。
○小池晃君 一体どこの国の話ししているんですか。新聞見たってみんな低水準だって書いてあるでしょう。今年の春闘が何で、だって、総理は総務委員会では、企業は空前の利益を上げているのにもう少し期待していたというふうに答弁しているんですよ。正直に認めなさい。事実を事実として認めなければ議論になりません。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、企業が最高の収益を上げていますから、これは先ほども答弁でお答えをしたんですが、これは欲を言えば切りがないというか、これ多々ますます弁ずでありますから。しかし、でも、私が希望しているところはこれぐらいであったとして、しかし、ここだったとしても、それと比べれば高いのは事実でありますし、二%を超えているのも事実でありまして、二%を超える賃上げというのは、これは長い間行われていなかったのは事実であります。
この例えば三年、昨年と比べれば、昨年と比べればどうかという議論もあるかもしれませんが、長い、例えば十年間とか十五年間のスタンスで見れば、これは高い水準であることは間違いないであろうと、こう考えております。
○小池晃君 あのね、事実を事実として認めなければ議論にならないんですよ。事実を認めないのでは議論にならないんですよ。やっぱり、私、総理がこういう姿勢では本当に国会でまともに議論しようという態度が見えてこないです。
一月には、高い水準で賃上げが実現するのが消費税増税の条件だと言ったわけですね。そんなふうになっていないわけですよ。これ、一〇%増税など言語道断です。我々は、解散前の維新の党、社民党、生活の党と消費税増税中止法案を出すということで一致しました。これは、民進党の皆さんとも是非一緒に国会に出したいと。格差拡大する最悪の不公平税制、消費税増税は絶対中止すべきだと思います。
さらに、今の議論の中で、企業は収益を上げた、しかしそれに伴う賃上げになっていないんだというお話は認められたんですね。総理は就任直後から、企業が世界一活躍しやすい国をつくると、企業収益の増加が賃上げにつながり、設備投資につながり、それが更なる経済の発展だと言ったけれども、結局そうなっていないということですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、そもそも企業が収益を上げなければ投資もできませんし賃上げも行えない。まずは、この収益を上げてそれを行える条件をつくった。しかし、ただそれを見ていても、残念ながら賃上げに回っていかない。
長い間デフレのマインドが染み付いていますから、すぐに賃上げにはいかない中において政労使の対話をスタートして、我々は賃上げを行うようにということを要請した結果、これは十七年ぶりの高い水準の賃上げが三年前に実現をしたわけでありまして、三年前も去年もそして今年もベアが上がっている。ベアという言葉が一時もう忘れられる時代もあったわけでありますから、そういう中において今はベアが当たり前になってきたわけでございます。これをもっともっと上がっていくように更に努力をしていきたいと、こう思っているところでございます。(発言する者あり)
○小池晃君 よしじゃないですよ、もう。全くそんな状況じゃないんですよ。
実質賃金は四年連続でマイナスになっているわけですよ。安倍政権三年で、非正規雇用は百七十二万人増えたけれども、正社員は二十三万人減ったんですよ。勤労者世帯の実質世帯収入は三年間で六百二十四万から五百九十万円まで減少したんですよ。企業は史上空前の利益を上げながらマイナス成長なんというのは、戦後いまだかつてない事態ですよ。まさに経済の好循環が起こっていないということじゃありませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、正社員に、正規社員についてはこれ八年ぶりに増加傾向が変わりまして、いやいや、減少傾向が変わって、二十六万人、これ八年ぶりに増えたんですよ。しかも、この三年間、三百三十五万人生産人口が減る中において純増しているわけですから、これ結構大変なことなんですよ。かつ、昨年は、正規社員の方の増え方は非正規よりもオーバーしたんですね。これ二十一年ぶりのことなんですよ。
こういうことが起こっているということを、この事実もどうか小池先生にも御理解をいただきながら議論を、歯車を合わせていきたいと、このように思います。
○小池晃君 私は、二〇一二年の九―十二月期と二〇一五年の九―十二月期を比べれば正社員は減ったんです。非正規が増えたんです。これは冷厳たるアベノミクスの三年間なんです。
〔委員長退席、理事岡田広君着席〕
こういう中で、アベノミクスの三年間、安倍政権の三年間で我が国の富は一体どういう分配になっているか。
日銀に聞きますが、金融資産を保有していない世帯が二〇一二年から一五年にかけてどれだけ増えましたか。
○参考人(髙橋経一君) 金融広報中央委員会では、毎年、家計の金融行動に関する世論調査におきまして、二人以上世帯及び単身世帯別に金融資産の保有状況について調査しております。
二人以上の世帯を対象とした調査では、金融資産を保有していないと回答した比率は、二〇一二年で二六・〇%、二〇一五年では三〇・九%となっております。また、単身世帯を対象とした調査では、それぞれ三三・八%、四七・六%というふうになっております。
○小池晃君 安倍政権の下で、金融資産を持たない世帯が二人以上世帯では三割を超えました。単身世帯では半分になっています。これ、世帯数でいうと三年間で四百七十万世帯増えている。千八百九十二万世帯、過去最高だと。総理、何でこんなふうになっていると思いますか。総理。
○国務大臣(石原伸晃君) 数字だけお話をさせていただきたいと思うんですけれども、今、日銀の方から答弁をさせていただいた三〇・九%のうち八三%の方は銀行口座か証券口座を持っているんですね。ですから、一七%に三〇・九を掛けていただきますと、大体、家計調査と同じように、持っていない方の割合は三・五%になるということでございます。
○小池晃君 ちゃんと事実認めてよ。そんなことは分かって聞いているんです。金融資産と言っているんです、口座とは言っていませんから。
それで、家計調査というのは単身者調べていないんだから、これは全く反論になっていないですよ。
日銀にもう一回聞きますが、金融資産残高が減少した理由で一番多かった回答、何ですか。
○参考人(髙橋経一君) この調査におきましては、金融資産が一年前に比べて増減した主な理由ということについても調査しております。
二人以上世帯及び単身世帯共に一年前に比べて金融資産が減少した理由として最も多い回答は、定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したからという回答でございます。この回答比率は、二〇一五年の調査では、二人以上世帯で四二・二%、単身世帯で四九・二%となっております。
○小池晃君 総理が言うように賃上げの動きが起こっているんだったら、こんなふうになるわけないじゃないですか。どう説明するんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘の金融広報中央委員会が実施した調査によれば、二〇一五年の貯蓄がない世帯の割合は二〇一二年に比べて増加をしている、これは事実でありますが、中身については先ほど石原大臣からも答弁をさせていただきましたが、ただし、金融広報中央委員会の調査では、日常的な出し入れ、引き落とし用に用いられる口座については貯蓄としてカウントされず、こうした貯蓄のみを持つ世帯については貯蓄なし世帯として扱われているわけであります。
そこで、日常的な口座も貯蓄としてカウントする総務省の家計調査によると、貯蓄がない世帯の割合は、二〇一二年から二〇一四年にかけて三・八%から三・五%に低下をしているわけでありまして、こうしたものも見ながら分析をしていく必要があるんだろうと、このように思います。
○小池晃君 人の言うことを全然聞いていないんですか。家計調査は単身者調べていませんでしょうと、単身者が一番金融資産持っていないの多いんだからと私言ったじゃないですか。全く反論になっていない。
一方で、一握りの超富裕層には巨額の富が集中しております。アメリカの雑誌フォーブスが集計した日本の富豪によりますと、上位四十人が保有する資産の総額は、二〇一二年の七・二兆円から二〇一五年の十五・九兆円、二・二倍になっている。上位四十人の一人当たりの資産額は三千九百七十億円。これは、およそ十万世帯分の金融資産に相当するものを一人で持っていると。上位四十人が保有する資産総額は、日本の全世帯の下から五三%程度が保有する資産に、四十人集中している、こういう一握りの超富裕層への富の集中を起こしたことを認めますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本においては、まさに累進の税率になっているわけでございますし、そしてまた、相続税についても、先ほど答弁させていただきましたように、裾野を広げているところでございまして、そうした意味において、この再配分機能をしっかりと生かしていくことも大切であろうと、こう考えているわけでございまして、日本において、例えば一%の人たちに全ての富が集中しているという状況にはなっていないというふうに考えております。
○小池晃君 いや、一%どころか、〇・〇〇〇〇〇〇〇〇ぐらいの四十人に過半数の人の金融資産分が集中しているというのは、これは富の集中でなくて何なんですか。それがアベノミクスの三年間でますます増大している、これをあなたは認めないんですか。
やっぱり私はこういう社会ではいけないと思います。トリクルダウンは起こらなかった、消費税増税は経済の大失速を生んだ、マイナス金利はマイナス効果しか生んでいない、アベノミクスは破綻したということだと思います。経済政策の転換を求めて、質問を終わります。