日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年3月3日 参院予算委員会 速記録

2016年03月04日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
二〇一四年の四月に消費税を五%から八%に引き上げて以来、我が国の個人消費は、ここにお示ししていますように、もう冷え込み続けております。(資料提示)
これは、消費税増税前後の家計消費支出の推移を、前回の増税時と今回の五から八に増税した場合とを比較したものです。これは見ていただくと分かるように、増税前の駆け込み消費もそれから増税後の落ち込みも、今回の方がはるかに深いものになっているわけですね。更に重大なのは、その後の消費の落ち込みが二年近くたっても低迷が続いている、前回よりも低迷しているということだと思うんです。
総理にお聞きしますが、この家計消費の落ち込みは一昨年の消費税増税に最大の原因があるということは間違いないと思いますが、御認識を。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、三%、前回の消費税の引上げは三から五でございますから二%であったわけでありますが、今回は五から八ということもあって、また駆け込み需要も多かったことから、予想以上に消費が落ち込み、それが現在まで続いていると、こういうことだと思います。

○小池晃君 総理は、この間の議論の中でいろいろと数字を持ち出して、雇用は良くなった、あるいは賃金も上がった、中小企業の倒産も減ったというふうに繰り返すわけですが、もしそれが事実だったら、何でこんな事態が続いているということになるんでしょうか。

○国務大臣(石原伸晃君) 客観的な事実だけ御説明させていただきたいと思います。
委員のお示しのとおりだと思います。消費税引上げによる駆け込みの反動減というものが我々が予想したものよりも大きかったということも事実でございます。また、物価上昇によります実質所得の減少が消費を押し下げたといった影響があった。これも当然のことだと思います。
そして、特筆すべきは、二〇一四年を思い出していただければ、夏が大変寒うございました。また、春先には長雨があった。この天候不順というものも消費に大きな影響を与えるということは月例経済報告でも明らかなわけであります。ですからこそ、安倍内閣は消費税の一〇%への引上げというものを一年半延長した。
こういう期間、総理がいつもおっしゃられておりますように、三本の矢の政策によりまして、二〇一五年の名目のGDPの成長率は二・五%、実質GDPでも〇・四%、GDPデフレーターでも二・〇%といずれも上昇しており、経済再生は確かなものだと認識をしているところでございます。

○小池晃君 天気のせいだけにするのはやめた方がいいと思うんですね。私はもっと深刻に考えるべきだと思うんです。やっぱり消費税増税による大打撃とともに、やっぱりアベノミクスの悪循環が起こっているということじゃないですか。
企業が世界一活躍しやすい国にするというふうにおっしゃったけれども、結局、その大企業は確かに史上空前の利益を上げた、しかし、実質賃金は四年連続で下がっているわけですよ。勤労者世帯の実質世帯収入はマイナス続いているわけですよ。結局、アベノミクスの三年間でこれ五%低下していますから、実質世帯収入は。年収ベースで六百二十四万円から五百九十万円まで低下しているわけですから、これで家計消費が上向くわけがないわけです。
総理は、一昨年のこの当委員会で我が党の大門実紀史委員の質問に対して、消費税はワンショットですというふうにお答えになった。一時的なものだというふうに認識をされていた。ところが、ワンショットにとどまらずに、これは日本経済のやっぱり悪循環、悪くするんじゃないかと私ども言ったけれども、結局やっぱりそれが現実のものになっているのではないか。
総理、やはり八%への増税がこれほど消費を冷え込ませるということは、これははっきり言って想定外だったんじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども申し上げましたように、答弁、ほかの方との議論でも申し上げたんですが、確かに予想以上に落ち込んだのは事実であり、また予想以上に長引いているのも事実でございます。
しかし、そういう中にあっても、私たちの経済政策によって名目賃金はこれ十七年ぶりの高いこれは引上げ率になっておりますし、実質で見ましても、変動の多い賞与の影響を除けば、昨年七月以降これ増加傾向になっておりますし、みんなの稼ぎである総雇用者所得については、実質においてもこれはプラスになっているということは申し添えておきたいと思います。

○小池晃君 世帯収入減ったって私言ったじゃないですか。やっぱり、都合のいい数字だけで言うのはやっぱりやめた方がいい。先ほど、自民党の議員だって実感がないという声が町にあふれていると言ったじゃないですか。それが現実なんですよ。そこをしっかり見据えるべきだと。
九七年の増税のときも家計消費は落ち込んで、その後の不況の原因をつくったわけです。そして、その後十七年間、消費税は増税しなかったわけでしょう。ところが、今回は、その九七年よりも落ち込んでいるのに、それなのに、来年、これ一〇%に再増税するということをやろうとしているわけですよ。
私は、今回の増税というのは、結局、八から一〇だけれども、実質的には連続増税ですから、これは家計にとってみれば三年間で五から一〇に引き上がることになる、これ実態はそうですよ。
それでは、財務大臣に聞きますが、消費税率を五%から一〇%に引き上げると、こうなると、国民一人当たり及び一世帯当たりは負担増、どれだけになるんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 消費税率を八%から一〇%に引き上げ、酒類、外食を除く飲食料品及び一定の新聞の定期購読料に八%の軽減税率を適用する場合の総世帯の一世帯当たり及び一人当たりの消費税負担の税率は、五%時から比べての増加額ということですね。正確に言わぬと、この間も言葉の差異から行き違いましたので、きちんとしておかぬといかぬと思って、長々申し上げて恐縮です。
消費税収の見込額、税率一%当たり二・七兆円、軽減税率制度導入によります減収見込額一兆円程度というのを、世帯数及び人口等により機械的に算出いたしますと、一世帯当たり十八万四千円程度、一人当たり八万一千円程度になると思われます。

○小池晃君 すさまじい額なんですよ、これは。
家計から見ればこれだけの大増税になるわけですよ。これ、世界でもこんなに十三兆円も消費税を連続的に増税した例なんてないですよ。
私は、この連続する増税というのは、これは家計消費に対して、これまでの例えば九七年の増税に比べてもはるかに深刻な打撃となると。幾ら軽減、軽減といったって税率下がるわけじゃないんだから。これだけの負担増になる。九七年の例えば消費税増税に比べても過酷な打撃になるという認識は総理ありますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 九七年のときには社会保険料等もこれは引き上げておりまして、今回とは違うわけでございますが、そこで今回のこの増税ということについては、まさに社会保障を充実をさせていく、そして世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していくためにこれは行うものでございまして、消費税を払っている皆さんにも、これは社会保障、子育てにおいて、あるいは介護が必要になったときのため、あるいは年金、これも含めてこれは使われていくんだということも御理解をいただきたいと思いますが、いずれにせよ、我々は、リーマン・ショックあるいは大震災級の出来事がない限り、事態にならない限り消費税を引き上げていく考えでございます。

○小池晃君 答えていないんだけど。九七年のときに比べても過酷になるでしょうと、消費税、どうですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 税率だけ見れば、あのときは二%でございましたが、今回も二%ということになります。ただ、連続ということ、要するに連続という意味においては、前回、まさに大変短い期間での八から一〇でございました。また、種々の経済状況に鑑み、これ一年半、延期したところでございます。
そのどちらが過酷かということについては、一概にお答えはできないのではないかと思います。

○小池晃君 三年間で五%上げるんだから、明らかに過酷じゃないですか。一世帯当たり十八万円の負担増になる、明らかに過酷じゃないですか。
今、総理は、リーマン・ショックや大震災のような事態がなければやるんだと。今のように家計消費の水準が増税前を下回ったままであっても増税をすると言うんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私ども従来から申し上げておりますように、リーマン・ショック級あるいは大震災級の事態が起こらない限り、基本的に現段階では消費税を引き上げていく考えでございます。

○小池晃君 家計消費が今のような水準のままだったら、当然増税すべきじゃないじゃないですか。そういったことを一切考慮しないんですか。考慮しないんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、この家計消費の動向というものは注視をしてまいります。
私どもといたしましては、今年の四月の春闘、そして来年の四月、しっかりと賃金が上がっていく経済状況をつくっていく中において消費税を予定どおり上げていきたい。その際、リーマン・ショックあるいは大震災のような出来事がなければ上げていきたいと、こう考えております。

○小池晃君 このまま増税に突き進めば、国民の暮らしも日本経済も大変なことになりますよ。これ、来年四月の消費税一〇%増税は断じて行うべきでない、中止すべきだということを申し上げたい。それが国民に対して私は今必要なメッセージだというふうに思います。
それから、社会保障のためなんだということを先ほど言われたので、ちょっと午後に掛かっちゃうかもしれませんが、社会保障について何が行われようとしているのか。
まず年金ですが、政府が今国会に提出する予定の年金法案にマクロ経済スライドへのキャリーオーバー制度の導入というのは、これ聞いてもよく分からないので、できるだけ分かりやすく、テレビ見ている国民の皆さんが分かるような説明を大臣、していただきたい。

○国務大臣(塩崎恭久君) マクロ経済スライドそのものについては、平成十六年度改正におきまして、現役の世代の負担が、つまり若い人たちですが、過重なものとならないようにするために将来の保険料の上限を固定をいたしまして、その範囲内で年金の給付水準を調整をしていくというマクロ経済スライドを導入をしたわけであります。
一方で、マクロ経済スライドの導入後も、デフレによって賃金や物価が上昇しないという状況が起きました。で、給付水準の調整が行われない状態がずっと続いてきたわけでありまして、これをできる限り先送りをしないという観点から、マクロ経済スライドの在り方について社会保障・税一体改革のときから課題として検討をされてきたわけでございます。
このため、マクロ経済スライドについては、現在の高齢世代の生活にも配慮をしつつ年金の名目額がマイナスとならないようにする現行のいわゆる名目下限という枠組みを維持をしながら、経済状況によってマクロ経済スライドの調整が完全に実施できなかったとしても、その未調整分を直近の景気上昇局面で、すぐ翌年とかいうことではなくて、直近の景気上昇局面で調整をこの未調整分についてするという方向で今検討をしているところでございまして、いずれにしても、この将来世代の給付水準を確保をするという先を見た考え方でこの調整を図る仕組みを御提案申し上げようということでございます。

○小池晃君 ちょっと今の説明では、ほとんど見ている人が分からないと思うんですが。
具体的に当てはめてみると例えばこういうことになるんじゃないですかということなんですが、パネルにしていますが、仮にマクロ経済スライドによる調整率が〇・九%だとします。今年の物価上昇が例えば〇・三%ぐらいにとどまったとすると、これ〇・三%分の削減が行われて、これ二〇一七年度分というのはこれは年金額据置きということになる。そうすると、〇・九%との差額〇・六%が次の年に繰越しになる。二〇一七年四月には消費税一〇%増税がやられるというふうになるとその分物価上昇が想定されるわけで、仮に一・五%上昇するとすると、一八年度は、調整分の〇・九%に加えて繰越分の〇・六%が加わって一・五%削減になり、年金額は差引きでこれ据置きになると、こういう仕組みということでいいですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の検討中の見直しにつきましては、将来世代の、先ほど申し上げたとおり、給付水準の確保のために現在の高齢者にも少しずつ協力をしていただこうという世代を超えた言ってみれば助け合いの仕組みとして行うものでございまして、また、現在の高齢者には前年度からの年金の実額は下げない範囲という、先ほど申し上げた名目下限というのを配慮して行うということになっております。
その上で、今先生からお示しをいただいた例でございますけれども、まず第一に、この法案の内容は現在検討中でございますので、今施行がいつかということと、例えばマクロ経済スライドの調整率がマイナス〇・九と書いてありますが、これらのいずれも、毎年年金額というのは物価・賃金動向に応じて改定されて、なおかつマクロ経済スライド調整率も被保険者数の動きなどによって毎年変動するということでありますので、そういうことを前提にしていただかなければならないということが一つと、それから、今お話がありました検討中の見直し案に仮定の数値を当てはめることは、ですから慎重に行うべきだろうと思いますが、仮に今先生が御提起になられた数字を機械的に当てはめると、仕組み上の数値の例は御指摘のとおりになるということでございますが、タイミングは、先ほど申し上げたように、消費税のタイミングとかいろいろおっしゃいましたが、全くまだ検討中だということを覚えておいていただきたいというふうに思います。

○小池晃君 最後の一言だけでいいんですよ。
結局そういう、私が示した数字は仮定の数字ですよ。しかし、これありそうな数字なんですよ、結局。このくらいになりそうなんですよ。そうすると、結局、年金額下がることはないとおっしゃるけれども、消費税増税しても、一〇%に増税しても年金は据置きということになるんですよ、これ。結局、まとめてそこから取っちゃうということになるわけですよ。社会保障のための消費税と、こういうふうに言っていたじゃないですか。ところが、消費税増税分すら年金に反映させないような仕組みを今度の国会にあなた方は提出しようとしているんですよ。とんでもないじゃないですか。
大体、マクロ経済スライドというのは、これはあなた方が想定しているような、アベノミクスが想定しているような物価上昇があるんだったら、やる必要ないんですよ、こんな仕組みつくらなくたって物価は上がるんだから。わざわざ物価が上がらないことを想定してこんな仕組みをつくっておいて、いざ消費税が増税になったときには、全部物価が上がらなかったそれまでのツケを消費税の増税分からも取っていくと。全くもってひどいやり方だというふうに言わざるを得ないというふうに思います。マクロ経済スライドの強化でどんどん年金が目減りするような仕組みつくれば、これは受給世代の消費冷え込ませる、内需の冷え込みは結局受給世代の賃金にも悪影響を与える、年金への将来不安高めるだけですよ。
私は、こんなやり方はやめるべきだということを申し上げて、午後は積立金の問題を取り上げたいというふうに思います。

○委員長(岸宏一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。

午前十一時五十三分休憩
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午後一時開会

○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
平成二十八年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。小池晃君。

○小池晃君 午前中に引き続いて質問します。
年金の問題、午前中やりましたが、次の世代に引き継ぐためだと政府は繰り返すわけです。しかし、年金資金の株式運用で将来世代の年金資金が失われるのではないかという不安も広がっているわけです。
そこで、厚労省にお聞きしますが、公的年金積立金、現在、総額幾らになるでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十六年度末の厚生年金と国民年金を合わせた年金積立金全体の総額は約百四十五・九兆円でございまして、うちGPIFの運用資産額は約百三十七・五兆円でございます。

○小池晃君 今、時価総額で百四十六兆円という数字がありました。これ、国民一人当たりにすると百十四万円、四人家族で四百五十六万円分の年金資金があります。これが市場でこのかなりの部分が運用されているということになる。世界でこれだけ巨額な公的年金積立金を株式などで市場運用している国というのはありますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 保険料を原資とする積立金を保有をし、市場で運用している公的年金としては、カナダ、韓国、スウェーデンなどがございまして、GPIFほどの規模ではないにせよ、いずれにしても、株式を含めた様々な資産への分散投資を行っておるところでございます。

○小池晃君 カナダ二十五兆円、韓国五十一兆円、日本とは桁が違うわけですね。アメリカは、一般国民を対象とする連邦政府の年金制度、社会保障信託基金、これは全て非市場性の国債で運用されているわけです。アメリカの連邦政府の社会保障年金積立金が市場での株式運用をしていない理由は、アメリカはどういうふうに説明しているでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘のアメリカの社会保障信託基金、OASDIでは、その資産の金額を市場に流通していない国債で保有をしているわけでありますが、これはどういう資金かといいますと、完全賦課方式でございまして、ペイロールタックスで入ってきたものを年金に回すわけでありますが、一時的に資金繰り上積み上がったものを市場に流通しない形の国債で運用しているわけで、過去にこのOASDIの株式運用について議論が行われたことがございました。その際に、たしかグリーンスパンだったと思いますが、言ってみれば、時の政権の政治介入により直接株式市場の効率性を損ねるのではないかとの懸念等が示されたと聞いておるわけでございまして、むしろ株式市場へのインパクトがどうなのかということを考えて、このような形で市場に流通しない国債で資金繰り上一時運用をしているというふうに私どもは理解をしているところでございます。

○小池晃君 一時的とはいえ、三百三十四兆円もの資金を運用しているわけですよ。それを非市場性の国債でやっている。その理由は、政府が特定の目的で介入することを回避する、マーケットインパクトを回避する。逆に言えば、日本がやっていることは、これは政府の介入の余地を認めていると。リスクにさらすと、マーケットに対して政府は介入するということになっちゃうんじゃないですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 一つはっきり申し上げておかなきゃいけないのは、アメリカと日本は全く制度が違う、先ほど申し上げた完全賦課方式でありまして、実はこの社会保障信託基金、アメリカの、財政はかなり悪化をしておりまして、二〇三四年には積立金が底をつき、予定している年金金額の給付ができなくなるとのレポートも出されていまして、負担と給付の見直しについて議論がなされているというふうに聞いております。
我が国は、一方で、積立金も活用しながら、およそ百年間で収支が均衡する制度設計となっておりまして、現在、積立金の運用は必要な利回りを十分確保しているというふうになっているところでございます。

○小池晃君 その積立金、どんどんどんどん取り崩すような事態が足下で起こっているわけじゃないですか、日本だって。
確認です。これは大半は、日本の場合はこれは信託銀行で運用されているということなわけですが、ちょっと調べてみました。これは、年金積立金の株式運用比率を倍増させたポートフォリオ見直し以降の株式市場の動きを東京証券取引所のデータでまとめてみたものであります。
これを見ますと、二〇一四年十月末にポートフォリオを変えて株式運用比率を大幅に引き上げたわけですが、それ以降の六十八週間で海外投資家とそれから信託銀行の株の買い越しがどうなっているか。この六十八週のうち、海外投資家と信託銀行が同じ行動を取ったのは二十四週です。ところが、異なる行動を取ったのは四十四週あります。海外投資家が買い越した三十五週のうち信託銀行が売り越したのは約半分の十七週に対して、海外投資家が売り越した三十三週のうち信託銀行が買い越したのは実に八割の二十七週になっているんですね。
信託銀行の動きは、これは大半が公的年金の運用であるということは、これ市場関係者の常識だというふうに思います。海外投資家と全く反対の動きになっているわけですよ。
大臣、これは年金マネーが結局株価を買い支えているということを証明しているものではありませんか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今の先生の推論は、市場で言われているというお話である信託銀行はほとんどGPIFの動きだという誤った認識で組み立てられているというふうに思います。
つまり、確かにGPIFの株式運用は、これは基本は信託銀行に預けているのは間違いないわけでありますが、しかし、信託銀行はGPIFとだけ商売をやっているわけでは決してないのであって、当然のことながら、企業年金もあり他の共済もあり、いろいろな年金の資金を運用しているわけでありまして、その中の一部であるわけで、このような動きがあたかもGPIFかのようなことを言うのは余りにもジャンプが大き過ぎるというふうに金融のプロは多分考えるというふうに思います。

○小池晃君 金融のプロが、例えばロイターなんかは、もうこの動きは公的年金の動きだとはっきり書いているわけですよ。みんなそう思っているわけですね。しかも、ポートフォリオの変更前には、ポートフォリオの変更前にはこんな売り買いは起こっていませんでしたよ。調べてみたんですよ。それ以前はこんな激しい動きしていませんから、信託銀行は。結局、ポートフォリオを変更して国内株式の運用比率を引き上げて以来、こういう激しい売り買いが起こっていることは明らかなわけですね。
最近でも、株価が、これ一番最後の週は株価が一万六千円を割った先々週ですけれども、外国人投資家が四千億円売り越す一方で、信託銀行はこれまで最高の五千億円買い越している。
総理、お伺いしたいんですが、衆議院の予算委員会で専ら被保険者の利益のために最適な運用を検討した結果なんだというふうにおっしゃっています。株価を上げるなど恣意的なものでは決してないというふうに言っています。まさに株価を上げるための売り買いだというふうに見られても仕方ないような動きになっているんじゃないですか。これをどう説明しますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) そもそも、では、安倍政権が株価を上げたいからGPIFにどんどん買えなんということは全く起こっていないわけでありまして、まさに決められたポートフォリオの中で最適な運用、そのためのポートフォリオでもありますが、その中で最適の運用を行っているわけでございます。
かつて、デフレ時代には国債をどんどん買っておけばこれは良かったわけであります。何といったって物価は上がっていかないんですから。しかし、物価が上がっていく中において、それに追い付いていく必要があります。例えば国債を買っていたって、今国債の金利、これマイナスじゃないですか。これじゃとても将来の世代に年金をお支払はできないわけであります。その中で、しっかりと経済が成長し、デフレから脱却をしていき、経済が成長していく中において、まさに国内の株式あるいは海外の株式との適切なこれはポートフォリオを形成してこれは今運用をしているわけであります。
ちなみに、あのリーマン・ショックを入れたとしても、現在のポートフォリオでずっと運用していれば今までの運用よりもはるかに運用益は出ているわけでありますし、実際、安倍政権において、現在の段階で、安倍政権ができてこの三年ちょっとで三十八兆円かな、一番最新の数字を入れると三十八兆円のプラスになっているわけでございます。最近のこの株価のこの下げ局面を入れてもそうなっているわけでございまして、そこのところは、これは是非、党派性を超えて冷静に見ていく必要があるのではないのかなと、このように思います。

○小池晃君 私は冷静な議論をしているんです。
単に下がった、損したと、そういう話をしているんじゃないんですよ。こんなリスクにさらして、例えば今、足下でいいというふうにおっしゃる、安倍政権になってからいいとおっしゃる。短期的な結果で見ちゃいけないと言っていたのに、安倍政権だったら良くなった。矛盾しているじゃないですか、言っていることが。
例えば、安倍政権だって、これ、あれですよ、一月に入ってから株価下落していますから、これ、第三・四半期は確かに四・七兆プラスになった、おととい発表されました。しかし、この一月に入ってからの株価下落で、これは五兆円マイナスになっているわけですよ、大体。そうなると、四―六はプラス一・九、七―九でマイナス四・三、それから十月から十二月で三兆プラスになってちょっと取り戻したけれども、今年度末はこのままでいけばマイナスになる可能性が高いですよ。私は、こういう国民の財産をジェットコースターのようなこんな相場にさらしていいのかと。その比率を引き上げたのが安倍政権じゃないですか。
先ほど、国債の利率が下がったと言うけど、じゃ、誰がやったんですか、それは。マイナス金利で自分でやった話じゃないですか。私は、本当に今のは天に唾する話だというふうに思いますよ。しかも、国債の運用部分について見れば、国債の運用部分について見れば、第三・四半期まで見たってプラスになっているわけです、これは明らかに。
だから、そういう意味で言うと、アメリカは、市場にさらせば特定の政府の意思が介入して、これはマーケットを荒らすからといってやっていない。ところが、日本はそれをやった。これを安倍首相が言い出したんですよ、あなたが。
安倍首相が、総理、二年半、二年前の一月にダボスで、五月にはロンドンのシティで、世界最大の年金基金、一兆五千億ドルを超す運用資産を持つGPIFがフォワードルッキングな改革を進めていくと、この演説をした後で、上限ぎりぎりまで株を買うようになって、さらにポートフォリオの変更までやったんじゃないですか。世界最大の年金ファンドが政府保証付きでマーケットに参入する、そのことを宣言したのは、まさに総理、あなたではないですか。
この議論のときに、ダボスやシティで総理が演説したときに、年金のためだなんて一言も言っていないんですよ。成長戦略のためだと、アベノミクスのためだと、バイ・マイ・アベノミクスと、こう演説したんじゃないですか。結局、年金積立金を年金加入者の利益のために運用しているなどということではなくて、アベノミクスを支えるために株価に投入したと、株式市場に投入したと、これがあなたのやったことではありませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 短期のこと、もう安倍政権のことを言うなと言うから、言うなと言ったんですけれども、安倍政権のときに年金の積立金を削っているんじゃないかという趣旨の御発言をしたから、そうではなくて、削っているどころか増えていますよという、誤解を解こうとしたわけでございまして、そこで、そこで言わば、確かに短期の話をしたって意味がない話であって、先週までの話をすれば下がっていますが、今週の動きはまたこれ違っているわけでありますから、ですから、足下、まさにこの直近の足下の話をしたって余り意味がないわけであります。
そこで、ポートフォリオを変えたらどうなるかということについてお話をしたのでありますが、まさにこの年金積立金の運用は専ら被保険者の利益のために安全かつ実効的に行うことが重要であります。デフレから脱却、先ほど申し上げましたが、デフレから脱却をして物価が上昇していく局面では、これ、デフレ時代と言わばデフレではないという状況では運用を変えていくのはこれ当然のことでありまして、運用を変えなければ年金被保険者の利益にはならない、マイナスになってしまうわけでありますから、そこでポートフォリオを変えるのは当然だろうと。
ポートフォリオの変更については、このような想定の下で、年金の財政検証の結果に基づき、GPIFの運用委員会においてシミュレーションや統計的な分析等による専門的な検討を行い、最適な組合せを選定したものであります。もちろん恣意的なものではないということは、これはもう、もう御理解いただけているんではないのかなと、これ半分ぐらい、思うのではないのかと思いますが。
なお、基本ポートフォリオ変更後の運用収益は、今年度第二・四半期がマイナス七・九兆円となったものの、第三・四半期はプラス四・七兆円となっておりまして、一昨年十月以降の累積はプラス八・九兆円。
また、仮に現行のポートフォリオで、先ほど申し上げましたように、リーマン・ショックを含む過去十年間、過去十年間ですね、この過去三年間ではなくて過去十年間にもし当てはめてみましょう。そうすると、運用したと仮定すると、従前のポートフォリオよりそれぞれの年度の収益のぶれ幅はこれは大きくなりますが、名目運用利益は四・三%。運用益が、これリーマン・ショックで下がった、あれだけ大幅に下がったものを見ても、四・三%これ運用益が出ておりまして、従前のポートフォリオよりも一・一%高い収益率が得られるわけであります。
これがマイナスであればこれは被保険者のためにならない、しかし、ちゃんとプラスになっているんですからこれは御安心をいただきたい、このように思う次第でございます。

○小池晃君 いや、拍手するところじゃないですよ、ここは。
やっぱり年金について国民は不安を持っているんですよ。年金の積立金というのは、かつては、これ年金制度が発足したときは戦費調達のためにつくったわけですよ。そのことははっきり言っているわけです。戦後は公共事業のために、あるいはグリーンピアなど造るために積立金がさんざん食い荒らされてきた、そういう歴史を持っているわけですよ。そして、今度は安倍政権になって株式市場にこれだけ大量に投入すると。アベノミクスを支えるために使っているんじゃないかと、そういう不安が広がるのは当然ではありませんか。
あなた方のやっていることがまさに年金不安をあおっている。
安倍政権の株価の維持のために国民の老後の資産を食い潰すようなことは絶対私は許されないと。
運用に失敗したって誰も責任取らない仕組みですよ、これ。巨額の資金を株式市場に投入して、そしたら経済をゆがめる、そういう指摘だってあるわけですよ。だからアメリカだってやっていないわけでしょう。私は、こんな無責任な、こんな国民の不安をあおるようなやり方は直ちにやめるべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。
年金だけではない、介護保険の問題について聞きたいんですが、介護離職ゼロを掲げる安倍政権ですけれども、介護サービスを更に受けにくくするような提案をされております。
財務大臣にお聞きしたい。財務省は、介護保険の要介護一、二の方について、訪問介護における生活援助を原則自己負担とすることを提案しています。これなぜでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありました財政制度審議会の資料なんだと思いますが、政府部内での検討段階における財政当局の立場からの提案を記載したものだと思いますけれども、これは。
具体的には、介護保険における軽度、いわゆる要介護一とか二とかいうところの要介護者への生活援助につきましては、日常生活における通常負担すべき費用とのバランス、例えば生活援助等々によって一割の自己負担で掃除、調理を受ける受給者と一般の家事代行サービスを利用する高齢者とのバランス等々であります。また、介護保険制度の持続可能性というものからいわゆる考えねばいかぬと。また、価格サービスに関する競争の確保、例えば生活援助とほぼ同じ内容の家事代行サービスとの価格差などの観点から、保険給付をどの程度まで確保すべきか、また効率的なサービス提供体制をどう構築すべきかといった問題意識で提案を行っているところであります。いわゆる全額自己負担にすべきとの主張だけではなくて、現在の九割を自己負担一割から引き下げるべきとの提案を行ったと知っております。
いずれにせよ、改革工程表において、軽度に対する生活援助サービスなどの在り方は、これは厚生労働省の出しております、関係審議会において検討し、二〇一六年末までに結論を得るとされたところでありまして、この方針に沿って政府として検討を進めてまいりたいと考えておるという資料だと思います。

○小池晃君 いや、だから検討中だから、決まってからでは遅いから聞いているわけであります。
今資料をお配りしてありますけれども、例えば朝日新聞、読売新聞などでもこれは大きく報道されているわけですね。安倍政権の下で既に介護保険の制度改悪続いています。既に、要支援一、二の方は介護保険給付から除外をされたわけです。
地域支援事業に今移行しつつあるわけです。介護サービス利用時の負担増も行われたわけです。そして、今度は要介護一、二の生活援助サービスを原則自己負担にするという案を財務省は提案をしている。
これパネル見ていただきますと、この訪問介護を受けている方の中で要介護一、二というのは、これは非常に大きな割合を占めます。認定者数の中でも大きな割合です。要介護一は一番多いわけですが、訪問介護を受けている方の中では要介護者全体の六一・三%、だから介護関係者からもこのやり方には強い批判があるわけですよ。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会の意見書にはこういうふうに書いてあります。家事援助についても単純に調理のみ、買物のみを行っているのではなく、ケアプランに基づき訪問介護計画で明確な目標を掲げて実施しています。実施に当たっても食べ残しやごみの状況から体調を観察したり、好みの変化や買物の内容の変化で認知症の症状の進行を把握したりと専門職による支援をしています。特に認知症の独居の人にとって家事援助を民間サービスに委ねることは、上記の支援が期待できなくなり、在宅生活の維持が難しくなると考えられますと。
今、麻生大臣は、家事代行サービス、民間の家事代行サービスとの類似性みたいなことをおっしゃった。民間の家事代行サービスとは違うんです。
専門家による生活援助というのはそういう意味を持っているわけです。だから、要介護度が低い人にきちっと専門家が介入をして、そして生活援助も含めてやっていくことが、その人の要介護度を悪化させない大きな担保になるわけですよ。そういう専門的な役割があるわけです。
一昨日は最高裁で認知症の方の鉄道事故について画期的な判決も出されています。そして、この問題についても老施協は、要介護者と配偶者の双方が十分な介護サービスを受けることである程度のリスク軽減は図られただろうというふうに言っているんですね。これ、本当に国民全体のやっぱり将来不安に関わる問題です。
総理、要介護一、二の方の生活援助サービスを介護保険制度から除外する、あるいは原則自己負担にする、こんなことをやれば、総理がおっしゃっている介護離職ゼロにも明らかに逆行することになると私は思いますが、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これ今検討しておりますのは、軽度の要介護者の生活を支えるという観点から何をすべきかという検討を行っているわけであります。
介護保険制度の趣旨や制度の改正の状況を踏まえつつ、そしてまたこれは介護保険制度の持続性も考えなければいけないわけでありまして、介護保険制度を維持するためには、これはまさに御本人の負担もあるし、そして現役世代の負担と、そして六十五歳以上の皆様方に保険料として負担をいただいていて、まあ国費も出していますが、その中で維持をされているわけであります。過度に保険料が上がらないということも考えていく必要も当然あるんですが、だからといって必要なサービスを切るという考え方はございません。その中でどのような改革を行っていくか、しっかりと検討が行われているものと承知をしております。

○小池晃君 介護保険制度で軽度者といったらば、特養ホームの入所基準は軽度者は外したというときに、要介護一、二を外したんですよ。だから、軽度者といったら要介護一、二ということになるじゃないですか。
だから、私が聞いていることに全く答えていないんだけれども、結局こんなことをやれば、要介護一、二の人の生活援助サービスなどをやめてしまったら、あるいは原則自己負担にしたら、今二百五十円ぐらいが二千五百円と、こんなことになったら介護離職ゼロという安倍政権の方針に逆行することになるんではないですかということを聞いているんです。

○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、要介護度一、二を対象とする生活援助サービスなどの在り方についてが検討課題に改革工程表でなっているということはそのとおりでありますが、まだ議論は始まったばかりでもありますし、今総理から御答弁申し上げたように、どうするかはこれからの議論であるわけでありまして、元々介護保険は、もう先生御案内のように、高齢者の自立と、それから介護の重度化を防ぐ、今朝ほど和光市の例が出ておりましたけれども、やはりどうやって軽度化をするのかというのが、保険者としての市町村が介護保険の中で頑張ってもらわなきゃいかぬ、こういうことでありまして、その中で必要なものは何なのかということを考えるということが大事でありまして、何か最初に何々ありきということで決め込んでいるわけでは決してないわけで、もちろん財政審は財政審の使命でいろいろおっしゃいますけれども、我々は我々も別な立場から申し上げることはあるわけでありますから。さっき申し上げたように、介護保険の原点は高齢者の自立と介護の重度化を防ぐということでありますから、それにとって何が必要かということをしっかり議論をこの部会でしていただこうというふうに考えております。

○小池晃君 その部会で反対意見が、日本医師会、老施協、もう続出しているわけですよ。
じゃ、ちょっと大臣に聞きますけど、財務省はそう言っている、要介護一、二は外すんだということを言っていると、厚労省はやらないんですね。

○国務大臣(塩崎恭久君) 財務省は財務省の立場があることはお分かりのとおりでありますけれども、我々は、さっき申し上げたように、介護保険の原点から見て、高齢者が自立をできるだけするように、そして要介護度が悪化しないようにするという観点から全てを議論をしてもらおうと思っているわけでありますから、初めから何か結論ありきということでは決してないわけであります。
ただ、御案内のように、これは持続性というものも考えなきゃいけないということは総理が申し上げたとおりであって、そういう中で本当に必要なことをしっかりとやっていくということであるわけでありますので、議論はまだ始まったばかりでありますから、これから大いにいろんな方々に思いのたけを言っていただいて、それをしっかりとみんなで考えて決め込んでいきたいというふうに思います。

○小池晃君 結局、介護保険の原点とか言いながら、財務省と同じこと言っているじゃないですか。
持続性だということで言っているじゃないですか。
結局切り捨てるということになるじゃないですか。
私、保険制度の大原則の一つは、所得に応じた保険料と同時に、やはり保険料を払えば給付についてはこれは平等に受けることができるということが原則だと思うんです。
医療保険というのは、大概の人が病気になりますから必ず使うことになる。しかし、介護保険というのは、要介護状態にならずにかなり長期間過ごす方はいらっしゃるわけですよ。だから、言葉はいいかどうか分からないけれども、かなり掛け捨てになっちゃう人も多いわけですよ。しかし、でもなぜあれだけ高い保険料を払うかといえば、やっぱり要介護状態になったときに介護保険サービスが受けられるという期待があるからこそ私は保険料を払うんだと思うんですね。
ところが、今やろうとしていることは、高い保険料を払っても、結局、要介護一、二と、大半のところでもうサービスから除外されるようなことを検討を始めているわけですよ。間違いないです、これは。検討しているわけです。
厚生労働省で介護保険制度の創設に携わり、初代老健局長を務めた堤修三さんは、この間の厚生労働省の給付抑制を厳しく批判をして、業界紙でこう言っています。給付は保険料を支払った被保険者との約束で、国がそれをほごにしてしまっては保険料を納める意欲は減退する一方だ、言い過ぎかもしれないが、団塊以降の世代にとって介護保険は国家的詐欺となりつつあるように思えてならない。
私、決して言い過ぎじゃないと思いますよ。総理、四十年間介護保険料を払い続けたのに、要介護状態になっても必要なサービスが一番多い部分で受けられぬような制度にしてしまって、介護保険制度に対する信頼が保たれるとお考えですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 堤局長は導入時の局長で、私、当時自民党の社会部会長で一緒に導入に汗を流したんですが、そういう発言があったことは大変残念でございます。
現在、厚労省で行われている検討は、まさにこれ、介護離職ゼロを実現するために、持続性というのはこれ当然じゃないですか。持続性がなければこれから先にサービスをずっと続けていくことができないわけでありますから、持続性を考えるのはこれ当然のことだろうと思っております。
そして、高齢者の自立を支援し、真に必要なサービスが提供される。先ほど和光市の例を挙げましたが、私も和光市へ行きました。新たな取組で、要介護が必要にならないような様々な取組をし、そして成果を上げているところだってあるんですね。真に必要なサービスが提供されるようにするためのものであって、これは、介護離職ゼロに逆行する、あるいは介護保険の本旨に反するとか、ましてや詐欺行為ということとは全く違うということははっきりと申し上げておきたいと思います。

○小池晃君 現実に、要支援を外したところで、和光市なども含めて必要なサービス受けられない事態起こっていますよ。そういう話は来ているんです、我々にも。しかも、この大半の部分、要介護一、二という大半の部分を外すようなことを検討し始めているわけですよ。こんなことをやったら、制度は残るかもしれないけれども国民の暮らしはずたずたになりますよ。国民の命や健康の持続可能性は破壊されますよ。全く私は、こんなことをやったらば、介護保険制度は破壊されることになるというふうに思うんです。
これだけじゃありません。財務省の社会保障制度改革の提案は介護だけにとどまらないわけであります。医療も年金も介護も生活保護も、大改悪メニューが並んでいるわけですね。主なものをパネルにしてみましたけれども、大臣、大体これ、財務省とはやり取りをして作ったパネルですから、ほとんど間違いありませんね。

○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘の資料につきましては、これは昨年の末、経済財政諮問会議において決定された改革工程表というものの政府部内における検討段階において、財政制度審議会等々での議論の土台として財政当局の立場から提案を行ったものなのだと記憶をいたしますが、その上で基本的な考え方を申し上げさせていただければ、既に歳出全体の三分の一を占めております、歳出総額九十六兆のうち三十二兆ですから、今後も高齢化に伴う伸びが見込まれる社会保障分野の歳出改革はこれは避けて通れない課題なんだと、我々は基本的にそう思っております。受益と負担というものの均衡が取れた持続可能と、先ほど来出ている言葉ですけれども、持続可能な制度を構築していく必要があるというのはもうはっきり認識をいたしております。このため、社会保障の効率化とか制度の改革にこれは不断に取り組んでいくというのは当然のことで、必要なことだと思っております。
御指摘の各項目については、それは個別にはそれぞれの制度の趣旨、現状、様々な論点があるものと承知をいたしていますが、いずれにしても、大きな考え方といたしましては、今申し上げましたように、制度そのものを持続可能なものとして次の世代に引き渡していく責任というものが果たしていかねばなりませんので、財政当局としての案を示したものでありまして、いずれにしても、政府としては、年末に決定をされる改革工程表に沿いまして、今後、社会保障分野の各々の分野、個々の改革項目を着実に検討し実施していくということが重要であろうと考えております。

○小池晃君 この項目を検討していることを認めるわけですよ。医療費も介護保険も、七十五歳を過ぎても二割負担にすると。自己負担の限度額も引き上げると。入院したらば、一般病床でも居住費、水光熱費などを徴収するようにすると。要介護一、二は生活援助も福祉用具も住宅改修も自己負担にしていくと。そして、年金は支給開始年齢の引上げということも入っているわけですよ。これを避けて通れないと今おっしゃった。持続可能な制度にすると。
私は、こんなことをやったら日本の社会保障制度は破壊されると思いますよ。国民の暮らしも日本の経済も持続不可能になりますよ。結局、こんなことをやれば、ますます重度化、悪化をして、医療費や介護の費用だってかさむことになる。私は、悪循環だ、財政面からいったってそうなるというふうに思うんです。
大体、社会保障のための消費税だと言いながら、何ですか、これは。増税が決まった途端にもう全く歯止めなく社会保障大改悪をやろうとしている。
しかも、何でこれ、一七年法案提出なんですか。全部軒並み一七年法案提出ですよ。何で来年なんですか。選挙をやり過ごして、選挙が終わったらこれだけの痛みを押し付けようと、そういうことじゃないですか。

○国務大臣(麻生太郎君) いろいろな御指摘が小池先生としておありになるということは理解しますけれども、私どもは、基本として、問題の趣旨は、この制度の維持というものをやっていくためには、今のままの少子高齢化というものに真っ正面からやっていくために、毎年一兆円ずつ増えていくというような現在の社会保障の伸び率というものを、私どもとしては、この三年間の間、少なくとも三年間で約一兆五千億というものに対応できましたので、今後少なくとも三年間ということで今、まずは二〇一八年までは五千億ということで考えておりますけれども、そういったものの中の一環として、更に増えていくという状況に対応するためには財政当局としては当然のこととしていろんな案を考えるのであって、いろんな対応につきましてはいろんな御意見が出てくるんだと思います。私どもの案として出させていただいているということだと存じます。

○小池晃君 完全に開き直りですね。麻生大臣は麻生総理だったときに、二千二百億の社会保障の削減はこれは間違っていました、やめますということを言った人ですよ。それが今や、消費税は増税する、社会保障は大改悪だと。
結局、こんなことをやったら、私は、日本の経済も国民の暮らしも破壊されることになると。格差と貧困を広げるような政治、これ以上続けるわけに絶対いかない。個人の尊厳を踏みにじるような政権を続けさせるわけにはいかない。
日本共産党は、自民党、公明党を来るべき選挙で少数に追い込むために野党が力を合わせて戦い抜くと、今そういう議論を進めておりますので、必ず安倍政権を打倒するということを宣言させていただいて、私の質問を終わります。

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