日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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マイナス金利/アベノミクス破綻証明/参院財政委 小池議員 政策転換迫る

2016年02月19日

「赤旗」2016年2月19日付

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(写真)質問する
小池晃議員
=18日、参院財金委

日本共産党の小池晃議員は18日の参院財政金融委員会で、日銀のマイナス金利導入は安倍政権の経済政策“アベノミクス”の破綻の象徴だとし、国民の暮らしの向上、中小企業の営業を守る方向への政策の転換を求めました。

小池氏は、マイナス金利導入について、「金融の量的緩和、異次元緩和を積み重ねたうえでのものであり、『万策尽きた』というのが国民の受け止めだ」と強調。「国民に、日本経済が尋常ならざる事態に陥っているとのメッセージを送ったことにならないか」と日銀の黒田東彦総裁に迫ると、総裁は「ご指摘の声があることは認識している」と認めました。

小池氏は「マイナス金利政策は、アベノミクスの破綻を日銀が認め、国民にそういうメッセージを送ったことだ」と強調しました。

そのうえで、日本の非金融部門の企業の普通預金などの手元資金が対国内総生産(GDP)で積み上がっている問題を指摘。「市中に資金がないことではなく、市中に需要がないことが問題だ」とただしました。黒田総裁は、「今後、実体経済に効果がでる」などと答弁し、小池氏は再度「需要がなければ、いくら資金が回っても内部留保が積み上がるだけで経済は回復しない」と批判しました。

小池氏は、「雇用や所得は改善している」と言い張る黒田総裁に対し、史上最高の企業収益の一方、個人消費が落ち込み、実質賃金も低下を続け、正社員も減少した事実をあげ、「(アベノミクスの)数字は全部でたらめ。粉飾決算だ」と力説しました。

手数料引き上げ可能性を認める

日銀総裁

日銀の黒田東彦総裁は18日の参院財政金融委員会で、日銀のマイナス金利導入にともない民間銀行で手数料引き上げの動きが出ている問題について、現実化する可能性を認めました。日本共産党の小池晃議員の追及に対する答弁。

マイナス金利が導入された欧州では、現金自動預払機(ATM)などの手数料引き上げや、新たな手数料導入の動きが報道されています。小池氏が「(日本でも)新たな家計負担になるではないか」とただしたのに対し、黒田総裁は、「手数料は、金融機関がそのコストを踏まえて経営判断として決めているものだ。だが、可能性として銀行の経営判断としてありうる」とのべました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
ちょっと私、当委員会初めてなんですけれども、大門さん戻ってくるまで時々立たせていただきたいと。
マイナス金利問題に絞ってお聞きしますが、週刊東洋経済の表紙にもこれ「マイナス金利発動!リーマンショック以来の黄信号点灯 世界経済危機」、これやっぱり典型的な受け止めなんではないかなというふうに思うんですが、ヨーロッパとは違って、日本の場合はもう量的緩和、異次元緩和積み重ねた上で今回のマイナス金利で、朝日新聞も苦肉の奇策って書いてあるんですけれども、本当にこれ国民の実感ではないかなというふうに思うんですね。やっぱり、いよいよ万策尽きたということを国民は受け止めたんではないかというふうに思うんですよ。
私、率直に総裁にお聞きしたいのは、国民の受け止めなんですね。今回のマイナス金利政策というのは、やっぱり尋常ならざる手段でなければ日本経済は立ち直らないと、そういうメッセージを送ったことになりませんか。国民はそう受け止めているというふうにお考えになりませんか。

○参考人(黒田東彦君) マイナス金利政策は我が国で初めての経験ですので、御指摘のような声も含めて、企業や家計の方々からいろいろな意見が聞かれていると、いろいろな声が聞かれているということはよく認識しております。
ただ、先ほど来申し上げているように、今回の措置は量的・質的金融緩和を一段と強化することによって経済活動をサポートして二%の物価安定の目標を早期に実現するということを目的にしたものでございます。その効果として、金利が長短金利併せて低下しておりますし、今後その効果が実体経済や物価面にも波及していくものというふうに考えております。

○小池晃君 今、はしなくも国民はそういう声が上がっている、そう受け止めていると。私はやっぱり国民の受け止めはそうだと思うんですよ、これは。結局、デフレから脱却しつつあるというけど違ったんじゃないかと、やっぱりアベノミクス危ないというふうに日銀が、黒田さんが判断したからこれやったんだというふうに私は国民は見ていると。そういう意味では、国民に対して日本経済ちょっとこれ大変だぞというメッセージを送ってしまった、このことの責任は極めて大きいんじゃないですか。
私は、このマイナス金利政策というのは、まさにアベノミクスの破綻を日銀が認め、それを国民に対してそういうメッセージを送るということになったことは間違いないですよ。間違いないです、これは。これはみんなそう受け止めているというふうに申し上げておきたいというふうに思います。しかも、これ何の意味があるんだ。
先ほど与党の方からも指摘あったけれども、私、資料でお配りしているのは、これは非金融部門の企業の手持ち、手元資金の流動性の推移ですけれども、これ見ると日本は手元資金が対GDP比で積み上がる一方なわけですね、他国に比べても。これ需要がないからですよ。投資先がないからですよ。だからこういうことになっているわけで、世界的にも中央銀行が大量に供給した資金が実体経済に向かわずに投機マネーになっているということは指摘されているけれども、それが世界経済を攪乱していると言われているけど、特に日本の場合、これやっぱり資金だぶついてきているということは間違いないわけですね。
マイナス金利政策というのは結局市中に資金が回ることを期待してやったんだろうと思うけれども、こういう手元流動性の積み上がっていっている状況の中で一体どのような意味が、効果が期待できるというのか。私は、問題は、市中に資金がないことが問題なのではなくて、市中に需要がないことが問題なんだと。そこを変えない限り、この政策は何の意味も発揮しない、逆に副作用が増えるだけだというふうに私は思うんですけど、どうですか。

○参考人(黒田東彦君) 二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入したわけですが、この表にある二〇一三年の四月に導入したわけですが、その後、貸出金利が既往最低水準まで低下する下で、銀行貸出しは前年比で二%台の伸びを続けております。それまで前年比マイナスで推移していた中小企業向け貸出しも、二〇一三年半ば以降はプラスに転じております。
このマイナス金利付き量的・質的金融緩和というものは、これまで効果を発揮してきた量的・質的金融緩和を一段と強化するものであるということでございます。

○小池晃君 いや、私の言ったことにはお答えになっていないんではないかなというふうに思うんですが、私は、やっぱりこの間の異次元緩和、バブル依存の経済政策、私言っていることお分かりになると思うんですが、やっぱり需要がなければ幾ら資金が回ったって、今の状況というのは内部留保が積み上がるあるいは手元の現金預金が積み上がる、そういう状況だけでは経済は改善しないでしょうと、そういう認識はお持ちじゃないんですかというふうに聞いているんですけど、いかがですか。

○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入した後、貸出金利が既往最低水準まで低下して、貸出しも増加しております。
そうした下で、企業収益は史上最高の水準になり、労働市場も完全雇用状態になり、雇用や所得も改善をしているということでありまして、金融政策がその効果を果たしているということは一般的に言ってよいのではないかと思っております。

○小池晃君 そういう認識ではやっぱり困ると思うんですね。GDPの数字を見たって個人消費は落ち込んだまんまなんですよ。で、実質賃金は低下を続けているわけですよ。雇用は良くなったと言うけれども、結局アベノミクス、三年間で正社員減ったということが明らかになったじゃありませんか。だから、今まで言っていた数字、全部でたらめなんですよ。粉飾決算なんですよ。
結局こんな形で私は日本経済は絶対立ち直らないということをはっきり申し上げておきたいというふうに思うんですが、やはり政府の経済政策も含めて、バブル依存じゃなくてやっぱり実体経済を立て直すということに重点を置くべきだし、それをやってこそ、その政策の根本的転換をやってこそ、私は、金融の安定も回復するし、金利の正常化にも向かうし、日銀の本来の役割を果たせるようになるんだというふうに思うわけであります。
その上で、ちょっと先ほど若干議論になった国民生活への影響について聞きたいんですけど、総裁は、金融機関の経営への影響はちょっと心配されるんですが、国民の生活への影響なんですが、これまでも低金利政策で、これは家計から企業部門に資金移動が起こっています。マイナス金利が加わればどうなるか。
今日の新聞でも預貯金金利の引下げが報道されているわけですよね。今日もそれから衆議院の議論でも、総裁は金融機関の個人向け預金の金利がマイナスになるとは考えていないとおっしゃるんですが、これ確認ですが、貸出金利、預金金利、マイナスを禁じる法制度というのはないですよね。
これはもう単純な質問です。端的に答えてください。

○参考人(黒田東彦君) 個人向けの預金金利がマイナスになるとは欧州の例を見ましても考えておりません。法律的にどういう制約があるかというのはよく承知しておりませんが、もとより、契約に基づくものですのでもちろん契約を変えればどのような契約でもできると思いますけれども、基本的に個人預金の金利がマイナスになるということはまず考えられないと思います。

○小池晃君 法制度上禁じているのかと言っているんです。

○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、これは契約ですので、銀行と預金者の間の預金契約ですので、その契約で決まることですので、マイナス金利が法的に禁止されているということはないと思いますが。
ただ、先ほど申し上げたように、預金金利が個人についてマイナスになるということは考えられません。

○委員長(大家敏志君) 簡潔にお願いします。

○小池晃君 いや、スイスではそれをやっている銀行あるわけですから、まあ独自性の強い銀行だとは聞いているけれどもね。
それと、先ほど、手数料の問題、手数料を含めたら、これは家計負担が増える可能性ありますよね。だって、財務大臣は手数料の問題について調査させているというふうに答弁したんだから。手数料は金利の問題とは関係ありませんじゃないんですよ、聞いているのは。手数料が、やっぱり負担増える可能性ありますよねというふうに聞いているんです。

○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますように、金融サービスの手数料はそのコストを踏まえて金融機関が経営判断として決めておられることですので、それがどうなるということは私どもから申し上げる立場にありませんが、観念的な可能性としてそういうことが銀行の経営判断であり得るのではないかということでいえば、それはあり得ると思いますが、それはマイナス金利との関連でではございません。

○委員長(大家敏志君) 時間を過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。

○小池晃君 もう、ちょっとこの答弁ひどいですよ、この時間稼ぎ。ちょっと、次からこれ、十分注意してくださいよ。
私は、マイナス金利政策が国民生活にやっぱり重大な影響を与えるんだということは率直に認めなければいけないと、それでなければまともな議論はできないということを申し上げて、終わります。

○委員長(大家敏志君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、小池晃君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。


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