日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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“患者団体は反対だ” 混合診療解禁 小池氏が指摘

2014年05月15日

「赤旗」5月21日付

 日本共産党の小池晃議員は15日の参院厚生労働委員会で、政府の規制改革会議が混合診療を実質的に全面解禁する「選択療養制度」の創設を狙っている問題を取り上げ、「患者のためだというが、患者団体はこぞって反対だ」と指摘しました。

 小池氏は、日本難病・疾病団体協議会(JPA)の伊藤たてお代表理事が14日の同委員会の参考人質疑で「反対」と明確に述べたことや、26のがん患者団体有志が連名で反対の要望書を出したことをあげ、「いったい誰が賛成しているのか」と追及しました。内閣府の滝本純生規制改革推進室長は「団体、組織から賛成する要望は受けていない」と認めました。

 小池氏は、日本医師会など医療・介護関連40団体でつくる国民医療推進協議会が14日に反対決議をあげ、健康保険組合連合会などの保険者3団体も反対していることも示し、制度の撤回を迫りました。

 滝本室長は「いろいろな団体から反対意見をいただいている。最初の打ち出し方が必ずしも完全な形でなかった」と弁明し、検討を続けるとしました。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
最初に、おとといの原爆症の認定の問題で一問だけ聞きます。
佐藤局長が、原爆症の認定について、間違いと言えるかどうか分からないがそういうものがないように努めると答弁されたんですが、岡山地裁の判決のケースは、これは書類見落としですから明らかに間違いですよね。だからこそ控訴もしなかったわけですから、そこ確認。
そのことを明確にするためにも謝罪の言葉を一言いただきたいと思います。原告に対する謝罪。

○政府参考人(佐藤敏信君) お答えをいたします。
一昨日の本委員会での私の発言についてでございますけれども、議員の御質問の趣旨、あるいはこの岡山地裁の事案についての経緯やあるいは本質、そういったものが必ずしも十分には理解しないままの発言になったことをおわびを申し上げます。
また、この事案そのものにつきましても、十分な審査が行われなかったこと、また、その結果として認定が遅れたということにつきまして、重ねておわびを申し上げたいと思います。

○小池晃君 法案の質疑に入ります。
この法案に対する基本的な立場としては、やはり予算事業から法定化されて対象疾患も大幅に拡大すると、患者団体の本当に悲願ですから、これは大きな一歩だと思いますが、がですね、問題点は多々あって、第一条に希少性という定義を入れてしまったこと、それから、自己負担額が当初の案よりは軽減されましたが、まだまだ多くの患者が負担増になるという問題、それから小児慢性疾患のトランジション問題の解決が見送られていると、ただ、患者団体の長年の願いの実現でもありますので、党としては賛成という立場を取ることにいたしましたが、しかし、解決すべき問題は多々あるという立場で質問をさせていただきたいと思います。
今日は、負担問題などはちょっと次回に回したいと思うんですが、希少性の問題で、法案は第一条で、国が支援の対象とする難病については、発病の機構が明らかでない、治療法が確立していない、長期にわたる療養が必要、そして希少な疾病という四要件を定めているわけですが、それとは別に、医療費助成の対象となる指定難病については、厚労省は人口の〇・一%程度という要件を掛けるというふうに説明をされています。
大臣にこれ確認ですが、法案の第一条でいう希少性の概念と、指定難病の定義になる患者数の人口〇・一%とは、これは別の概念ということでよろしいですね。誤解の余地のないように答弁いただきたいと思うんです。

○国務大臣(田村憲久君) 指定難病と難病、難病の定義というのは、希少性が入っているわけでありますが、この希少性というのはどれぐらいの数なのかということを限定しているわけではありません。柔軟にここは我々も対応させていただくわけであります。
ただ、一つ、個別の施策体系、これが樹立されていないということはあるわけでございまして、この要件に当たるものであったとしても、個別の施策体系ができて、その施策によって対応されているというものはこの難病から外れていくと。つまり、言うなれば、この研究事業でありますとか、それからいろんな患者支援というものは対象になってこないということであるわけであります。

○小池晃君 今の答弁で、第一条で言う難病というのは患者数で限定される概念ではないということは確認をしたいと思うんですね。
とはいえ、今もちょっと前倒し的にいろいろとお話ありましたが、福祉、就労支援、相談事業も含めて、いわゆるその難治性の慢性疾患に苦しむ広範な人たちを国が支援していくための難病の定義に希少性という概念を、じゃ、なぜわざわざ入れるのかということをあえて問いたいと思うんです。
一九七二年、これ、出発点である難病対策要綱でも希少性ということは入っておりません。それから、この法案の策定過程の議論でも、例えば昨年十月の難病対策委員会で、厚労省は、難病の定義については希少なものに限定せずというふうに説明をしているんですね。
局長、なぜ第一条の難病の定義に希少性という言葉をわざわざ入れたんですか。

○政府参考人(佐藤敏信君) 今、難病対策要綱と難病対策委員会の報告書の二つについて引用されましてお話がありました。
確かに御指摘の難病対策要綱におきましては希少性の記載はないわけですけれども、その後、例えば対象疾患を追加するなどして、あるいは難病対策を広げるなどして推進をしてきました過程におきましては、希少性というものをやっぱり特定疾患対策の要件、要素のような形でいろいろな文書とか公的な検討会なぞの公表物ではお示しをしてきたものであります。
今般、ちょっと、もう少しいい事例があるかなと思って探してみたわけですけれども、例えば平成七年十二月に出しました公衆衛生審議会の成人病難病対策部会の難病対策専門委員会の最終報告の中にも、希少性というのは四要素のうちの一つとして明確にすることが必要であるという提言がなされています。この平成七年の報告だけに書かれているというわけではなくて、その後もしばしば希少性という概念はこういう公的な文書や検討会などの中で間々明示をされているということです。
一方、これも議員からお話のありました難病対策委員会の報告書、これ昨年十二月に取りまとめたわけですけれども、この中で難病の定義について、希少性は、難病の定義は、先ほど大臣からの御答弁にもありましたように、客観的、具体的な数字を挙げることなく幅広に捉えるということで、希少性の話はございません。しかしながら、医療費助成の対象となる指定難病については人口の〇・一%程度以上の疾病を対象とするということが明示をされております。
こうした歴史的な経緯や議論があるということ、それからまた研究を進める上で、希少なるがゆえに研究や、あるいは治療、あるいは医薬品の開発等が進まないということに対して促進をするという観点から、難病の要件として希少性を設けたということで御理解をいただきたいと思います。

○小池晃君 衆議院の厚生労働委員会の参考人質疑で線維筋痛症友の会の橋本裕子さんは、法案が送られてきて一ページ目に希少と書かれてあるのを見てショックで死にそうでしたというふうに陳述されています。線維筋痛症の患者は二百万人に上って、希少性が要件になると難病の定義から外されるんではないかという懸念からであります。
線維筋痛症というのは、これは骨折の数倍という痛みが絶えず襲いかかってくる病気で、全ての感覚が鋭敏になって、音、光、あるいは気圧などあらゆる刺激が激烈な痛みとなって全身に広がると。発症プロセスは不明で、患者は、働くことはもちろん外出もままならない、そういう状態の方もいらっしゃいます。ところが、少なくない患者が詐病とか怠惰を疑われて苦難を強いられてきたわけですね。
今局長は、希少性ということは、要は少ないからいろんな意味での支障があると。研究も進まない、医薬品の開発も進まないとおっしゃるんですが、この線維筋痛症のように、患者数は多いですよ、しかし、これ、一般の国民もとより、医師、医療機関においても、なかなか患者さんの苦しみ、理解してもらっていないわけですよ。潜在的な患者数は多いけれども、実際に治療ベースに乗っている人は本当に少ないと言ってもいいと思うんですね。発症プロセスは不明で治療法も確立していない。局長、やっぱりこれを難病と言わずして、一体何を難病と言うんですか。

○政府参考人(佐藤敏信君) 線維筋痛症について御質問がありました。
線維筋痛症は、患者数が二百万人ということで今先生からもお話がありましたし、また線維筋痛症、大変激烈な痛みを伴うということで有名になっております。もちろん、軽いものから重いものまで症状も様々なものだと思いますけれども、いずれにしても、私どもはこの線維筋痛症、大変重要な健康上の問題だというふうには認識しております。
そこで、難病という体系ではございませんけれども、慢性の痛みという大枠で捉えまして有識者検討会を開催しまして、その取りまとめられた提言に基づきまして平成二十二年の九月から慢性の痛み対策という形で方針を定めまして、研究や相談支援体制の充実に取り組んでいるところでございまして、引き続きこうした慢性の痛み対策体系は充実し、この中でも線維筋痛症の問題には取り組んでいきたいと考えております。

○小池晃君 慢性の痛み対策研究というお話があったんですが、それは線維筋痛症に絞った研究ではないわけですよ。対象は二千七百万人だというふうに聞いていますから、これはもう、線維筋痛症は二百万人と、全く違う枠組みでの研究なわけですね。
〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕
一方で、線維筋痛症調査研究班についての予算は昨年度で打ち切られた、今年度は継続されなかったと聞いていますが、これ間違いないですか。

○政府参考人(佐藤敏信君) 線維筋痛症の研究班についてでございます。
先生が御質問になりましたように、直近で申しますと、平成二十三年度から二十五年度にかけまして線維筋痛症をモデルとした慢性疼痛機序の解明と治療法の確立に関する研究という研究班を設けまして、ここで診断基準の作成や病態解明について研究を行ったところでございます。
今年度につきましても、先ほどから申し上げておりますように、線維筋痛症の問題の重要性ということに鑑みまして、慢性の痛み解明研究事業の中で線維筋痛症ということで公募を行いました。
しかし、第三者による評価委員会において採択すべきという研究がなかったというのが事実でございます。
しかしながら、繰り返して申しますように、線維筋痛症が依然として病態も明らかとなっていないなど大変重要な課題でございますから、本疾患の研究を推進する方策について検討してまいりたいと考えておりまして、より具体的には、今年度、追加公募を行うなども視野に入れて研究や対策の推進に努めてまいりたいと考えます。

○小池晃君 追加公募をするというんであれば、是非これは継続していただきたいと、やっぱりこれだけ苦しんでいる方いるわけですから。
橋本さんは、衆議院の参考人で、数は多くても難病は難病ですと、希少性が含まれてしまうと、総合支援センターとか相談センター、あらゆる対策の対象外になる、線維筋痛症だけではありません、人数の多い疾患はほかにもたくさんあって悲惨な生活に追い込まれている状況はある、それを見捨てていいのかというふうに述べておられるわけですね。
大臣に私、問いたいんですが、やはり患者数が多いとされている線維筋痛症あるいは筋痛性脳脊髄炎、こういった患者さんたちは希少性という定義が入ったことで見捨てられたという、そういう思いを持っていらっしゃる方もいらっしゃいます。
原因不明で治療方法が確立せずに苦しんでいる難病患者は、今回たとえ指定難病でなくても、大臣、たとえ指定難病でなくてもこれは難病だと思うんですよ、やはり。やはり、ならば、福祉その他の支援からも除外することがあってはならないんではないか。こういう、一応、統計上数が多いと言われてもきちっとやっぱり継続していくべきだというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 限られた予算というものがあるわけでありますけれども、この線維筋痛症の場合は、言うなれば数もそうでありますが、一方で、今ほど来、局長からも話がありましたけれども、慢性の痛み対策ということで、その線維筋痛症に一本に絞っているわけじゃありませんが、そこでの施策体系というものがあって、そこの研究費もあるわけであります。公募、追加公募という話もありました。それからさらには、からだの痛み相談・支援事業、こういうものもあるわけであります。
先ほど言いましたその研究費の中においては痛みセンターの中においての医療の提供みたいなものもあるわけでありまして、そういう意味からいたしますと、希少性だけではなくて個別の施策体系という部分からも一つ、先ほど申し上げました条件から外れるという部分もあるわけであります。
でありますから、今、慢性の痛み対策の方でしっかり研究をしていく中においてそのような方の治療法等々も含めて研究を進めてまいるというようなことになってこようと思います。

○小池晃君 線維筋痛症については、ステージ四、五の重症で寝たきりの状態にある患者さんというのは、二百万人と言われる患者のうち一五%程度というふうに言われています。こうした方々に対して、介護保険の適用拡大などやっぱり生活支援の施策が必要ではないかというふうに考えているんですが、この点、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 介護保険と言いますのは。

○小池晃君 など。

○国務大臣(田村憲久君) など。まあ介護保険は対象年齢にならないとなかなか受けられないわけでありますし、もちろん障害者福祉ということになれば、障害者として認定されれば、それはそのようなサービスを受けられるということは言うまでもないわけでありますが、その線維筋痛症で重い方々に関して、障害者として認定されない方々に対して何らかの新たな施策、なかなかその病態でありますとか生活上の、何といいますか、症状で何らかの福祉サービスというのは今施策体系の中には持ち合わせていないわけでございまして、なかなか新たな制度というところはまだ我々としても一歩踏み出すというところまでは行っていないということであります。

○小池晃君 是非、私は検討していただきたいというふうに重ねて求めたいと思います。
それから、筋痛性脳脊髄炎について鳥政務官に昨年の委員会で私質問しまして、政務官は、客観的な指標も加味した診断基準が早急にできるように支援したい、慢性疲労症候群が障害者総合支援法の中における対象にするかどうかについても検討したいというふうに答弁されています。
この病気は、慢性疲労症候群という名前があることもあって、単なる疲労の病気みたいな理解のされ方もされている部分もあるんですが、今、研究班が科学的に解明しつつある問題でいうと、脳内の炎症が慢性化していく病気であるというような研究もされているわけですね。
政務官、今後もやっぱりそういう見地で更に検証を進めていただきたいと、この病気について、そう考えるんですが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(鳥修一君) 小池委員にお答えをいたします。
さきの臨時国会におきまして答弁をいたしましたとおり、お尋ねの筋痛性脳脊髄炎につきましては、現在厚生労働科学研究班におきまして、慢性疲労症候群として客観的な指標に基づく診断基準の作成を目指した研究が行われているところでございます。
〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
前回、小池委員より質問いただいた際に、研究者に状況を確認いたしまして、診断基準の補助的検査となっている客観的疲労評価を診断基準の必須項目に加えられれば客観性はより高まると申し上げました。
前回御質問いただいた後で、研究者の中で改めて検討をいただきました。その結果、当該研究の平成二十五年度の報告書の提出期限が五月末であることから、現時点では詳細は明らかになっておりません。ただし、その検討の中で、単純に補助的検査を必須項目に加えるということでは十分な医学的な妥当性が担保できず、更なる検討が必要と聞いております。
いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、研究班において客観的な指標を加味し、十分な医学的な妥当性が担保された診断基準が早急に作成できるように引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

○小池晃君 そういう方向で是非前向きに進めていただきたいというふうに思います。それから、指定難病についても、人口の〇・一%程度以下という対象の限定にも危惧の声が上がっているわけです。パーキンソン病関連疾患、潰瘍性大腸炎など、患者数が人口の〇・一%前後になる疾患の患者さんからは、助成が打ち切られるのではないかという不安の声が出ております。
局長、これ衆議院でも何度も聞かれていることだと思うんですが、これらの疾患は指定難病に入るんですか入らないんですか。

○政府参考人(佐藤敏信君) 指定難病の指定に当たりましては、法案成立後できる限り早く第三者的な委員会を開催して、ここで御議論をいただきたいと考えております。この第三者的な委員会は、難病に、医療に関する見識、経験を有する方ということでお願いをしたいと思っています。
御質問の患者数に係る要件等々でいいますと、人口の〇・一%程度ということで、程度という言葉を付けることによりまして幅を持たせたものとしております。
また、御質問の疾患につきましては、現に医療費助成の対象であることとか、複数の調査結果、あるいは病状が重い方から軽い方まで様々いらっしゃるというようなことも総合的に勘案をしまして対応をしていく、議論をしていただき、その結果を踏まえて対応するということになるだろうと思います。

○小池晃君 衆議院からそういう答弁なんだけど、これ、自民党の難病プロジェクトチームの決議でも、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎については、従来の経緯も踏まえて、継続して助成の対象とすることと決議しているんですよね。共産党と自民党が言っているんだから怖いことないじゃないですか。大臣、はっきりこれはもう対象にしますって言ってくださいよ。

○国務大臣(田村憲久君) 第三者委員会、まず法律がまだこれ成立もさせていただいていないわけで、その時点で私が何を言おうとも、そんなことは絵に描いた餅になっちゃうわけでございます。
更に申し上げれば、やっぱり第三者委員会、これ、第三者的な委員会をつくるわけなので、そこでやはり専門家の方々入っていただいて御議論をいただくということはやらなきゃならぬというふうに思いますが、それぞれそのような幅の広い政党からの御意見があるということは我々もしっかりと受け止めなければならぬというふうに思います。

○小池晃君 加えて、患者団体から不安の声が上がっているのは重症度分類なんですね。パーキンソン病は現在でもヤール1、2の患者さんは医療費助成の対象外となっていて、パーキンソン病友の会の方は、ヤール1、2が特定疾患受給から外されていることで治療開発研究も進んでいないという指摘もしています。
先ほどもこの軽症、重症度問題というのは議論がありましたけど、私はそもそもその軽症という概念を持ち込むことをやっぱりこれは問題があるのではないかと。
これまたちょっと自民党のプロジェクトチームの決議見ると、軽症であっても、症状の維持や進行抑制のために高額な医療を受け続ける必要がある難病患者については、その経済的な負担を考慮し助成対象とすることと。それから、公明党の難病対策本部の提言も、軽症者であっても、治療により症状が抑えられており、治療をやめれば重症化することが予測される患者の場合は医療費助成の対象とすること、対象疾患でありながら医療費助成の対象外とする軽症患者については、引き続き研究の対象にすることを明示し、状態が変化した場合は速やかに助成が受けられるようにすることと、もうみんないいことを言っているわけですよ。軽症だからということでやはり外すと、結局、経済的理由で受診抑制が起こって再び重症化する、あるいは今の医療費助成の下で就労、就学維持している人が外されて再び社会参加できなくなるという、そういう危険もあるんではないか。
やっぱり、患者数が増えたからといって重症度で線を引く、重症だろうが軽症だろうが難病は難病なわけで、やっぱりそういった人たちに対して支援の格差を付けるんじゃなくて、平等な医療のアクセスを保障することこそ私は本当の公平ではないかと。こういう重症度分類ということを難病の世界に持ち込むことは私はやめた方がいいというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 軽症の方であっても月三万三千三百三十円、それぞれ負担は一万円という話になります、三割負担ですと。これを三か月重ねる、これは間空いてもでありますけれども、そういう方々に関しては対象にするわけであります。そういう意味からいたしますと、そのようないろんな御意見というものは踏まえさせていただいた制度になっております。
一方で、じゃ、もっと下げろと、なぜ軽症者は重症者と同じような負担割合にならないんだというところは、確かにいろんな御意見あるんだと思いますが、やはりそこは一定の財政的制約があるということもこれは御理解をいただきたいと。その中において、一つは能力に応じた負担という部分もある、そしてもう一方では、このような重症、軽症というような一つの考え方もあるということでございますので、そのような形の中で御理解をいただければ有り難いというふうに思います。

○小池晃君 高額かつ長期というような形で一定の配慮をされていることは、私もこれは評価できるというふうに思うんですが、やっぱりいま一歩踏み込んで、難病の世界の中に重症、軽症ということを持ち込んでいくという考え方そのものをやっぱりよく検討する必要があるというふうに申し上げたいというふうに思います。これは検討課題として申し上げておきたい。
それから、難病対策とも大きく関わる問題として、先ほども議論ありましたけれども、保険、選択療養制度のことをちょっと聞きたいと思うんですね。
規制改革会議がこれ打ち出したわけですけれども、私はこれ混合診療の実質全面解禁だと。やはり必要な医療は基本的に保険で見るという国民皆保険の大原則を突き崩すものだというふうに指摘をさせていただいて、そのときにも内閣府の方は、患者さんからの要望みたいな話もあった。困難な病気と闘う患者さんを救うための規制改革であるというようなことが、推進側からはそういった声が聞こえてくるわけですが、じゃ、実際に困難な病気と闘っている患者さんの意見はどうだろうかと。
昨日の参考人質疑でも、JPAの代表の方はこのことに非常に批判的な発言されていましたし、実際、声明でも、この日本難病・疾病団体協議会、JPA、約三十万人の構成員を擁するわけですが、保険収載を前提としない選択療養制度は、患者の選択の名による自由診療の公認であり、事実上の混合診療解禁にほかならないというふうに言っています。規制改革会議の提案は、患者へのリスクの説明や患者の書面による承諾を選択療養実施の条件に挙げているけれども、わらにもすがりたい思いの患者にとって対等なインフォームド・コンセントがどの程度担保できるかは疑問と、こういうふうにJPAの要望書には書いてあります。国民皆保険が未確立だった五〇年代にスモンなどの薬害が多発して、多くの難病患者が命を奪われたという歴史もある中で、JPAの要望書は過去の時代への逆戻りは許されないというふうに訴えています。また、二十六のがん患者団体有志も最近、連名で選択療養制度創設に反対という立場を明確に打ち出しているわけですね。
内閣府にお聞きしますが、困難な病気と闘っている患者を代表している諸団体というのは、こぞって選択療養制度導入に反対をしています。患者団体の中で規制改革会議の選択療養制度に賛成だと言っているところはどこかあるんですか。

○政府参考人(滝本純生君) 団体や組織から選択療養に賛成する趣旨の具体的な要望等はいただいておりません。
ただ、規制改革会議の議長をしています岡議長は、自分の周りでがんで妻を亡くした知人の方など何人かの方からこの併用療養費制度の改革を望む声を聞いたと、そういうことは常日頃言われております。

○小池晃君 規制改革会議の議長への個人的な意見があるからって、それで政策決められたらたまらないんですよね。そんなむちゃくちゃな話ないんですよ。
しかも、この選択療養制度については、これは難病団体など患者側からだけじゃありません。昨日は、国民医療推進協議会、日本医師会など医療・介護団体、福祉団体参加して、反対決議も上がっておりますよね。さらに、健康保険組合連合会、全国健康保険協会、国民健康保険中央会、保険者三団体も選択療養制度に反対する見解を出しています。保険者三団体も患者団体ともうほぼ同じような趣旨で、選択療養は有効性、安全性の確認が不十分な行為を広く患者に提供することになり患者に健康上の不利益をもたらす、あらかじめ有効性、安全性が確認された診療行為に対して給付を行うという医療保険制度の原則を超えるものであるというふうに指摘をしています。選択療養制度なるものには、患者団体も医療側も支払側もみんな反対しているわけですよ。医療を受ける側も支払側も診療側もみんな一致するなんて、こんなの皆既日食みたいなものだよ。こんなことはめったにないですよ。みんな反対しているわけですよ。
内閣府、これ、完全に拒否されたんじゃないですか。一体誰がこのやり方に賛成しているというんですか。

○政府参考人(滝本純生君) いろんな団体から反対の御意見いただいております。それは重く受け止めなきゃいけないと思いますが、私ども、現時点で全面解禁的なことを申し上げて、会議はですね、申し上げているわけではなくて、議論を重ねることによりまして安全性、有効性をきっちり確認をすると。
それから、保険収載も、保険収載されないものをどんどんどんどんためていこうというような考え方はなくて、選択療養であっても評価療養に値するようなものが数例見付かれば当然評価療養の方に渡していくというようなことも併せて申し上げておりますので、最初の打ち出し方が必ずしも完全な形で打ち出さなかったものですから、何でもかんでも医者と患者が合意すれば全部できるんだみたいな形で伝わっておりますけれども、現時点での議論は必ずしもそうではございませんので、その辺踏まえてそういった国民の声、危惧の声というのはちゃんと回収をしていかなければならないと思っておりますので、厚労省の御意見も聞きながら、これからも検討を深めてきっちりした結論を出していきたいと、そのように思っております。

○小池晃君 安全性、有効性を確認しながら進んで保険診療に入れるんだったら、今の制度で何の問題もないわけですよ、保険外併用療法でそれを活用していけばいいわけで。今の話聞いたら、もう完全にこの芽はなくなったと。もうこんなの意味ないですよ。もうやめると。
大臣、先ほどスピードアップが必要だとおっしゃった。それは私もそうだと思います。しかし、安全性、有用性がやはり重要だと。保険適用につなげていくものでなければならないというふうにおっしゃいました。私もそう思います。きっぱりこれは、もうこんなのはやめましょうと、きっぱり反対だというふうにして、この議論はもうやめましょう。終止符打つと、そういう役割を果たしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 選択療養という制度がなかなかまだはっきりしていないわけでありまして、それを今規制改革会議といろいろと議論をさせていただいております。これ、保険外併用療養の一部であるので、決して保険外併用療養ではないというわけではないわけでありまして、そういう範囲の中で今いろいろと議論をさせていただいております。
委員、わらをもすがると言われましたが、わらでは困るんですね、正直言って。わらだと沈んでしまいますので。ですから、そこはやはり、有効性、安全性、これを担保をするということ、それから保険収載を目指していくということ、ここはしっかり我々は絶対外せないわけでございますので、そこも踏まえて、国民皆保険というものの根幹でございますから、しっかりと規制改革会議と議論をさせていただきたいというふうに思います。

○小池晃君 わらをもすがるというのは私が言ったんじゃないんですよ。患者団体が、JPAが、やっぱりわらをもすがる思いでやっている患者にとってみると、こんなことは対等なものになりませんという主張なんですね。私はそうだと思います。これはきっぱり、これはもう昔話にするように頑張っていただきたいと。こんな話はもうやめましょう。

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