日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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地域医療崩壊が加速/医療法改悪案可決 小池氏が反対討論/参院厚労委

2015年09月16日

「赤旗」2015年9月16日付

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(写真)質問する小池
晃議員=15日、参院
厚労委

病院や介護施設などを運営する各法人を束ねて運営する「地域医療連携法人」をつくる医療法改悪案が15日の参院厚生労働委員会で自民、公明各党などの賛成で可決されました。日本共産党や民主、維新、社民が反対しました。

全会一致で可決された付帯決議では、新法人の代表理事には「医師・歯科医師の選任を原則とする」とし、医師以外の者が就く場合も、「営利法人等との利害関係、利益相反を厳重にチェックし、医療の非営利性を損なわないようにする」などが明示されました。

反対討論に立った日本共産党の小池晃議員は、「(病床削減の)地域医療構想実現のため、病床数や診療科の再編・縮小、医師・看護師の人材移動を進め、地域医療、とりわけ医療過疎地域の医療崩壊状態をいっそう加速する危険性がある」と批判しました。

新法人に社会福祉法人も参加できることについて「意思決定の独立性や非営利性の担保について疑念がある」と指摘しました。

新法人の理事長が医師・歯科医師でなくてもよく、関連事業の株式会社に出資でき、参加法人の議決権に差をつけることが可能で一部大規模法人による実効支配が排除されないことを示し、「医療の営利産業化への今後の火種となる」とのべました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
私の方からも、栃木、茨城、宮城での豪雨災害、心からのお見舞いを申し上げます。あわせて、政府は万全の対策を取っていただきますように、特に医療、介護、衛生面での万全の配慮を求めたいと思います。
本法案で創設される地域医療連携推進法人、当初、ホールディングカンパニー型法人として提起されましたが、背景にはいろんな問題意識があったと思います。
一つは、産業競争力会議医療・介護分科会の中間整理で、アメリカにおけるIHNのような規模を持って、医療イノベーションや医療の国際展開を担う施設や研究機関がヘルスケア産業の育成などの担い手となると提起されたもの。それからもう一つは、社会保障国民会議の報告書で、地域における医療・介護サービスのネットワーク化を図ることで、そのためには当事者間の競争よりも協調が必要であるという問題意識であります。
大臣、今回、厚労省から提起されているこの地域医療連携法人、これはどちらかというと社会保障国民会議の問題意識に近いのではないかというふうに私は思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の地域医療連携推進法人は、社会保障制度改革国民会議、今御指摘をいただきましたが、これと産業競争力会議医療・介護分科会の議論を経て閣議決定をされました日本再興戦略改訂二〇一四などに基づいて、医療法人の事業展開等に関する検討会、ここで検討が行われた結果として、地域における質が高く効率的な医療提供体制を確保するため、地域医療構想を達成するための、先ほど来申し上げている一つの選択肢として制度化をしたものでございます。
したがって、この制度は、医療イノベーションや医療の国際展開まで視野に入れた産業競争力会議介護等分科会の議論というよりも、医療機能の分化、連携を主眼とする社会保障制度改革国民会議、今先生御指摘のとおり、そちらの議論に沿ったものとなっていると思います。

○小池晃君 私もそういう理解で見ております。
それで確認ですが、この地域医療連携推進法人は、あくまで二次医療圏を原則に地域の医療体制の再構築を図っていく、つまり、二次医療圏や都道府県を越えて広域的な地域で展開するような法人グループを想定したものではないという理解でよろしいですね。

○政府参考人(二川一男君) 地域医療連携推進法人は、地域医療構想を達成するための一つの選択肢として、機能の分担や業務の連携を推進すると、こういうふうになっているわけでございまして、地域医療連携推進法人が連携を推進する区域、すなわち医療連携推進区域でございますけれども、これは地域医療構想の構想区域、原則として二次医療圏でございますが、これを考慮して定めるというふうに規定をしておるわけでございまして、全国的に広域的な地域で展開しているような法人グループを想定したものではございません。

○小池晃君 そうであるなら、幾つか疑念があるわけで、この理事長要件なんですけど、これ、医療法人の理事長と同様に、やっぱり原則医師、歯科医師とすべきではないですか。

○政府参考人(二川一男君) 地域医療連携推進法人は、個別の医療機関の運営を行う医療法人とは異なっておりまして、複数の医療法人等の連携あるいは役割分担の調整を目的とするものということでございまして、代表理事につきましては、いわゆる医師を原則とするといった要件は法律上は設けていないところでございます。
一方、地域医療連携推進法人の理事長は、複数の医療法人等を統括をしていくという意味で社会的な影響があるといった業務なわけでございまして、理事長の選任につきましては、医療法人とは異なりまして、全てのケースについて都道府県知事の認可を要件としていると。それからまた、この認可に当たりましては、都道府県医療審議会の意見聴取を行って地域の関係者の意見を反映していただくと、こういった仕組みを設けているところでございます。

○小池晃君 そうおっしゃるんですが、やっぱり都道府県知事の認可があるから大丈夫とはちょっと言えないんじゃないかなと。
医療の産業化を強力に推進しているような知事もいるわけで、いろんな人いるわけですよ、あの人とかあの人とか、いろいろと思い浮かぶわけですけど、大臣、やっぱり知事認可では担保にならないと私は思うので、大臣、やっぱり原則医師、歯科医師ということをはっきりすべきじゃないかなと。そうでない場合も、営利法人などとの利害関係とか利益相反を厳密にチェックをして、非営利性を損なわないということをはっきりこれおっしゃるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。やっぱり原則は医師、歯科医師だと。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今局長からも答弁しましたけれども、地域医療連携推進法人は、個別の医療機関の運営を行う医療法人とは若干異なるわけで、複数の医療法人等の連携、そして役割分担の調整を目的とするということから、いわゆる医師要件は設けないということとなっているわけでございます。
ただし、地域医療連携推進法人の代表理事の選出に関わる社員総会の社員、理事会の理事は、営利法人等と利害関係を有する者が含まれないことを認定要件として求めておるわけでございまして、都道府県が地域医療連携推進法人の非営利性を適切に確認をするという仕組みとなっているわけでございます。
さらに、代表理事の選任につきましては、医師であるかにかかわらず、全て都道府県知事の認可を要件とし、かつ、認可をするに当たっては都道府県医療審議会の意見聴取を行って慎重な手続を要するものとしているところでございまして、その運用に当たっては、医療の非営利性を損なうことがないように適切に対応をしてまいりたいというふうに思います。

○小池晃君 そういう堅苦しいことじゃなくて、やっぱり医師、歯科医師が望ましいぐらい言ってくださいよ。そのくらい言えないんですか。これ、だって、仕事の性格からいって、複数の医療法人を統括するんだから、医療法人は医師要件なんだから、やっぱりそれを統括するのは医師が望ましいぐらいのことは言ってほしい。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたとおりでございまして、私の方から申し上げたとおりで、やはり医療法人そのものとは少し違うわけでございますので、このような立て付けで、しかしながら、非営利性を守るということに関してはこれはもう守らなければいけないわけでございますので、今のようなガバナンスストラクチャーというか、都道府県知事の認可を要件として、認可をするに当たっては都道府県の医療審議会の意見聴取を行って慎重な手続を要するというところにしたところでございますので、医療の非営利性を損なうことはないようにするということが基本だというふうに思います。

○小池晃君 そういうつまらない答弁しないでほしいんですけれどもね。望ましいぐらいのことはやっぱり言ってほしい。政治家なんだから、そのくらい言ってほしいと私は思うんですけど、まあ附帯決議のこともあるのでちょっとあれですが。
もう一つ、関連事業を行う株式会社への出資なんですけど、例えば一〇〇%にする等一定割合以上となっているんですね。これ、何で例えばなんでしょうか。一定割合以上なんということを何で書くんでしょうか。これ、一〇〇%と明記する、何でそういうふうにしないのか。株式保有割合を一〇〇%にしなければほかの営利法人に配当という形で流れていく危険があるわけですよね。これ、医業収益で得たものが流れていく、利益が流出するというのはあってはならないことだと私は思うんですが、どうなんですか、大臣。これはやっぱり一〇〇%ということをちゃんと明記すべきじゃないですか、大臣。大臣、どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 地域医療連携推進法人から関連事業を行う株式会社への出資につきましては、株式保有割合を一〇〇%とする場合に限定することとしております。これは、地域医療連携推進法人の出資金を財源にした当該株式会社の利益について、地域医療連携推進法人以外の他の株主への流出を防止をするという必要があることが一つ。もう一つは、株式会社における株主は、株主代表訴訟の提起権あるいは取締役の行為の差止め請求権を有しておりまして、地域医療連携推進法人が当該株式会社の経営権を完全に確保するためには出資を一〇〇%とする必要があることを考慮しておるからでございます。

○小池晃君 じゃ、局長、省令にはちゃんと一〇〇%と書くんですね。そこのところ、ちょっと確認したい。

○政府参考人(二川一男君) 省令におきましては、医療連携推進法人が出資をできるのは株式保有割合を一〇〇%とする場合に限定するということを考えております。

○小池晃君 こういったことはちゃんと明確にしておかなきゃいけないと思うんですが、だったらもう一〇〇%と。何か一定割合以上とか、そんなこと、余計なこと書かないようにしてほしいんですよね。
それから、一社員一票ではなくて、先ほども議論がありましたが、出資額に応じて議決権を付与することを認めちゃうと、これは資金を多く出したところがコントロールすることになっちゃうわけで、これはやっぱり営利性、株式会社型の経営につながっていく危険が私はあると思うんですよ。やっぱり非営利性を堅持するというのであれば、当然一人一票にすべきだと。少なくとも大が小を飲み込むようなことを防ぐ担保がどうしても必要だというふうに思うんですが、その点いかがですか。

○政府参考人(二川一男君) 地域医療連携推進法人は地域医療構想を達成するための選択肢でございますので、小規模法人も参画をして意思決定をしていただくということでございます。したがいまして、一社員一議決権、これを原則としておるわけでございます。
ただ、常に一社員一議決権という制限でよいかということなわけでございますけれども、地域の医療機関の連携を円滑に進めるためには、例えば参加法人が開設する医療機関の規模に応じて異なる数の議決権を付与するということも法人の内部の定めとしてすることは考えられないわけではないということで、定款で別段の定めをすることも可能というふうに規定をしておるわけでございます。
しかし、その場合におきましても、公益法人制度もそのような規制になってございますけれども、まず、社員の間を不当に差別的な取扱いはしないという、小さいからより小さく扱うとか、そういった不当な差別はしないと。それからまた、社員が提供した金銭の大きさに応じて議決権の付与数を変える、そういった金銭の出資というものに連動するような取扱い、これも今回の連携法人ではしてはならないということを規定をしておるわけでございまして、そういったルールを守っていただく範囲で、議決権につきまして一社員一議決権の例外的な定めをすることが可能であるというふうにしております。

○小池晃君 私は、金銭だけではなくて、やっぱり規模、病床数とか、そういったものに応じた形で議決権を与えるというふうにはするべきでないと思います。この点は、これからの運営をこれはしっかり監視をしていかなきゃいけないんじゃないかなという点であります。
さらに、地域医療連携推進法人、これは地域医療構想を達成するための選択肢というふうに位置付けられているんですが、この地域医療構想に基づく病床削減問題を取り上げたい。
今年、厚生労働省は、地域医療構想策定のためのガイドラインを発表して、一般病床を高度急性、急性期、回復期、基準未満と、そこに人口動態、変動率などを掛けて今後の目標を設定するように都道府県に求めました。これらを忠実に実行したらどうなるかということを示したのが内閣官房社会保障制度改革推進本部の専門調査会が六月に示した第一次報告でありまして、今日は資料の二枚目に入れております。
この第一次報告による二〇二五年の必要病床数を見ますと、合計で百十五万床から百十九万床。現在の病床総数である百三十四万床から最大二十万床の削減になるわけで、これが全国の医療関係者に衝撃を与えました。昨年、全国の病院から集約した病床機能報告と比較しても、高度急性期は現状より六万床少なくなります。急性期病床は現状より十八万床少なくなるわけです。慢性期は最大で十万床減ります。およそ二十九万七千から三十三万七千人、約三十万人が在宅などというふうにされておるわけです。
大臣、この試算に基づいて病床機能の再編を進めていくというのが厚生労働省の方針なんでしょうか。明確にお答えいただきたいと思う。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、今、小池先生からお話ございましたように、この推計自体は、内閣官房の専門調査会が今後の医療とか介護の提供体制を議論するために、厚生労働省が取りまとめた地域医療構想、ガイドラインなどに基づいて一定の仮定を置いて行われたものでございまして、一方で、都道府県は地域の医療機関の機能の分担あるいは業務の連携を推進することを目的とする地域医療構想を自ら策定をするわけでありますけれども、その際には、地域の実情を踏まえてより詳細な独自の必要病床数の推計を行うということになっています。
厚生労働省としては、地域の実情に応じた地域医療構想の策定と各医療機関の自主的な取組や、地域医療構想調整会議、いわゆる協議が行われる場でございますけれども、そこにおいての協議によって病床機能の再編が進められるべきものだというふうに考えております。
六月の内閣官房の専門調査会で示された推計値に基づいて、病床削減や病床機能の再編を、そのまま進めていくようなことは考えていないわけでございます。

○小池晃君 というふうにおっしゃるんだけど、実際に、この数字が出た三日後に、医政局の地域医療計画課から各県に事務連絡が出ているわけですよ。これによると、その事務連絡を見ると、今回の推計値はガイドラインの計算方法を機械的に代入した参考値であって、都道府県に稼働している病床を削減させるような権限はない、我が県は○○床削減といった誤った理解にならないようお願いする。
私、確かにそのとおりだとは思うけど、でも、この第一次報告の内閣官房の推計というのはガイドラインに基づいて推計したわけですよ。だとすれば、誤った理解を広げたのはガイドラインじゃないですか。やっぱりこのガイドラインの方向性自体が間違っているんじゃないかと私は思う。
局長、この答えをはじき出した途端に、この答えは誤解を生みますというふうに厚生労働省が事務連絡を出さなきゃいけないようなものは、これは見直すべきじゃないですか。このガイドラインそのものを私は見直す必要があると。今の大臣に照らしたって、大臣はこのとおりにやらないと言っているんだから。だったら、ガイドラインどおりにやったらこうなるんだから、ガイドラインを見直さなきゃ駄目でしょう。どうですか、局長。

○政府参考人(二川一男君) このガイドラインは、地域医療構想、今年度から都道府県が策定をしておるわけでございますが、その策定をする前に、私どもとして策定についてのガイドラインということでお示しをしたものでございまして、それぞれの病床機能、高度急性期、急性期、回復期、慢性期という機能別ごとに、将来の医療需要の必要量の推計の仕方、病床数の必要な推計の仕方、そういったものをお示しをしたものでありまして、病床削減を目的としたものではございません。また、内閣官房における推計につきましても、私どもが取りまとめたガイドラインに基づきまして一定の仮定を置いてマクロな形での推計が行われたものでございまして、これもまた、病床削減を目的としたものではないといったことでございます。
しかしながら、一部の報道におきましては、病床削減するということを過度に強調した報道がありましたので、誤った理解が広まらないよう、改めてガイドラインの内容につきまして各都道府県の方に周知をお願いをしたものでございます。

○小池晃君 だから、私、局長が言ったことは否定しませんよ。そのとおりだと思うけど、だったらガイドラインを見直さなきゃ駄目なんじゃないですかと言っているんですよ。だって、ガイドラインのとおりにやったらこうなったわけだから。そう思いませんか。

○政府参考人(二川一男君) ガイドラインに沿った形でマクロな形の推計をされたものでございますけれども、都道府県におきましては、更にきめ細かく地域の実情に応じた形で今後必要量を推計し必要病床数というものを推計していく、それを前提に、地域医療構想に向かってどういった医療機能に分化、連携をしていくかというのは、地域医療構想調整会議の方で具体的に協議をし、議論をしていただくものでございます。
そういった中におきまして具体的に進めるというものでございますので、このガイドラインに沿いながら、各地域で御議論いただきたいと考えているところでございます。

○小池晃君 僕は、やっぱりこういう誤解を生み出すような数字を出すんだったらガイドラインを見直すべきだというふうに重ねて申し上げたい。病床数を減らして在宅に戻しても大丈夫だというふうに言うんですが、厚生労働省の補助事業で、今日お配りしている一枚目の資料、二〇一三年に地域包括ケア研究会がまとめた報告書、この中の、本人と家族の選択と心構えというところを抜粋しました。何と書いてあるか。
二〇二五年には、単身又は高齢者のみ世帯が主流になることを踏まえると、中略ですが、従来のような、常に誰かが家の中にいて急変時には救急車で病院に搬送され、病院で亡くなるといった最期ばかりではなくなる。むしろ、毎日、誰かが訪問してきて様子を見ているが、翌日になったら一人で亡くなっていたという最期も珍しいことではなくなるだろう。常に家族に見守られながら自宅で亡くなるわけでないことを、それぞれの住民が理解した上で在宅生活を選択する必要がある。
大臣、これが厚労省の方針ですか。孤独死を容認するような方針、これは断じて取るべきじゃないと私は思いますが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生から御指摘のございました地域包括ケアシステムの構築における今後の検討のための論点の中の一部引用がございましたけれども、いわゆる孤独死と言われるような、高齢者が社会から孤立をした結果、誰にもみとられることなく息を引き取り、その後、相当期間放置させるような状態は起こらないようにしなければならないということを厚労省としては当然考えているわけでございます。
一方で、御指摘の地域包括ケア研究会報告書は、単身で生活をする高齢者世帯が増加することを踏まえて、毎日誰かが訪問してきて様子を見ており、また、自宅で亡くなるその瞬間には必ずしも誰かがそばにいるわけではないが、翌日亡くなっていることが分かったという事例も珍しくなくなるだろうことを述べたものでございまして、いわゆる
孤独死を容認をするといった趣旨ではないというふうに考えているところでございます。

○小池晃君 時間ですので終わりますけど、そうじゃないですよ、この報告書は。それを心構えにしろと言っているんですよ。
やっぱりこれは私は間違っていると思うし、こんなことは厚労省としては絶対認めるべきではない。
終わります。

速記録(反対討論)
○小池晃君 私は、医療法の一部改正案に反対の立場で討論を行います。
以下、反対理由を申し述べます。
本法案は、昨年成立した医療・介護総合確保推進法を受け、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築に向けたその一環としての法整備であります。本法案によって新設される地域医療連携推進法人の下で、地域医療構想実現のために病床数や診療科の再編、縮小、医師、看護師等の人材移動を進めていくことによって、地域医療、とりわけ医療過疎地域の医療崩壊状態を一層加速させる危険性があります。また、地域包括ケアシステム推進のためとして社会福祉法人の参加を予定していますが、意思決定の独立性や非営利性の担保についても疑念があります。
なお、地域医療連携推進法人は、参加法人の運営に大きな影響を持つにもかかわらず、法律上は理事長が医師、歯科医師でなくてよいとされていること、関連事業であれば株式会社への出資が可能であること、議決権について定款で定めれば差を付けることも可能であり、一部大規模法人による実効支配が排除されないことなどは、医療の営利産業化への今後の火種となるものと言わねばなりません。
本日の審議を経ても、残念ながら、なお懸念を払拭するに至りませんでしたので、本法案には反対いたします。
以上です。

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