日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2015年8月27日 参院厚生労働委員会 速記録

2015年08月27日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
私も、附則九条一項後段の「なお従前の例による。」、これは先ほど石橋議員も取り上げられましたけれども、このことを聞きたいと思います。
この労働者派遣法は派遣法の大原則を壊してしまう大改悪だと思っておりますが、しかし、今までの労働法制でも、さすがにその法案の施行日以前の契約についてはそれまでの法令が適用されるというのが常識的にこれはやられてきたし、この九条の「なお従前の例による。」ということに、そのとおりにやるとすれば、これは当然、先ほども部長も言ったように現行法令が適用されると。
それは法的安定性のため、労働者保護のためとおっしゃったわけで、私はそれは当然だと思うんですね。
ところが、十月一日以降になれば適用されるであろうみなし雇用、これは禁止業務の受入れや、無許可、無届けの派遣元からの受入れは、これはみなし雇用の制度の対象となるが、期間制限違反は適用にならないんだという驚くべき答弁があったわけですね。施行日が来ていないものは従前の例にならない。部長、この法案のどこを見て、どこに、この従前の例に施行日が来ていないものは含まれないと読めるんですか。どこにもそんなこと書いていないでしょう。どうやって読むんですか。

○政府参考人(坂口卓君) その点につきましては、先ほども午前中御答弁申し上げましたように、この第九条の一項、二項等で期間制限についての経過措置が設けられていると。
それで、特に今御質問の点は九条の一項であろうかと思いますけれども、新法四十条の二の規定は、施行日以降に締結される労働者派遣契約に基づき行われる労働者派遣に基づいて適用し、施行日前に締結された労働者派遣契約に基づき行われる労働者派遣については、「なお従前の例による。」ということでございますので、先ほども申し上げているとおり、四十条の二の規定でありましたり、先ほど大臣が御答弁しましたようなそれに付随する四十条の四というような規定につきましては、まさしくこの「なお従前の例による。」という規定により適用がされるということでございますが、労働契約申込みみなし制度というものにつきましては、まだこの法律、現在は、先ほど答弁ありましたけど、九月一日の施行で御提案しておりますけれども、その九月一日の時点ではこの労働契約みなし制度というのは施行がされていないということでございますので、なお従前によるという規定の対象にはならないということで申し上げているということでございます。

○小池晃君 だから、私が聞いているのは、何でそれが入らないと言えるんですか、そんなことは書いていないでしょうと。従前の例というのは施行日が来ていないものは入らないなんて一言も書いていないですよ。施行日が来ていないものを除くと書いてあるんだったら別ですよ。そんなことは書いていないじゃないですか。
大体、今までの法律、既存の法律の中で、「従前の例による。」という中には施行日が来ていない条項を除くなどとした先例がありますか。お答えいただきたい。

○政府参考人(坂口卓君) その点につきましては、御通告もいただいておりましたので調べましたけれども、厚生労働省設置日である十三年一月六日以降に施行された労働関係の法律のうちで、「なお従前の例による。」という文言が用いられている法律であって、従前の例に関連した、そもそも未施行規定を置いているものが存在しないということでございます。

○小池晃君 だから、先例はないわけですよ。勝手な解釈なんですよ、これは。こんなことが許されるのかと。
附則第九条には、繰り返すけれども、「従前の例による。」とあるだけで未施行の条項を含むなんて書いていないわけですから、これは、大臣、勝手にそんな解釈していいんですか。これだと法的安定性どころか、法律をめぐって二つの全く異なる解釈が生じることになりますよ。――いや、ちょっと、もう部長はいいから。大臣、これ法案の根幹に関わる問題だから大臣じゃないと駄目だ。
大臣、どう説明するんですか。これで法的安定性が保たれるんですか。部長はいいです、大臣、答えてください。大臣にお答えいただきたい。大臣、答えてください。

○委員長(丸川珠代君) 坂口部長。

○小池晃君 大臣ですよ。駄目ですよ、大臣、答えてくださいよ。

○政府参考人(坂口卓君) 先ほどの答弁、中途半端でございましたので申し上げますが、先ほど調べたように、そういう例は存在しないということでございますが、結果的に申しますと、それは、未施行の法律が含まれるものとしたものも含まれたものも存在しないということでございますが、先ほど私が申し上げたように、みなし制度の規定というのは平成二十四年の改正法の条文で、まだ十月一日を迎えていないということですから、まだそれは条文として効力は有していないということであります。
ですから、「なお従前の例による。」という規定は現に効力を有する条文が対象となる、これは当然の解釈として、それは法令の解釈として当然そういったものでございますので、ですから、未施行であるみなし制度に係る規定ということについては、今回の附則の九条の「なお従前の例による。」という対象には含まれないということで、これはもう「なお従前の例による。」と書いてある以上、もうそういうことだということで、当然の帰結ということでございます。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは私も、この「なお従前の例による。」ということの解釈について、特に、皆さん方も内閣法制局の解釈というのをよく言いますが、そこでの解釈はどうだったのかということを先ほどの石橋先生からの御質問の後にも確認をしましたけれども、今部長から答弁をしているように、現に効力を有する条文が対象となるものでございますので、改正法案の施行日において未施行である労働契約申込みみなし制度は対象とならないということで、従前の、今、現行法の法律が対象になるということになるわけでございまして、そういうことで私どもも内閣法制局の解釈としてそのようだと、そのように読むんだということを確認をしているところでございます。

○小池晃君 法律が効力を発揮していないというのは、私、おかしいと思いますよ。だって、この法律が、今回の、今議論しているものが成立しなければ、これはみなし雇用、発生するわけだし。
既に結ばれた雇用契約を結んだ人は、これは当然、そのことを期待して結んだはずですよ。そういう意味では、法の効力は、これ三年先送りしたからこうなっているけれども、もう既に制定されているわけですから、この法律の効力は発生しているわけですよ。
現行法で労働者派遣契約を締結した派遣先、派遣元、派遣労働者は、大臣、聞いてくださいよ、これは、この四十条六の一項三号の期間制限違反の場合の労働契約申込み義務があるということを期待して、それを想定して労働契約を結んでいるはずじゃないですか。そうでないとすれば、これは大変なことになりますよ。という意味では、この法律は既に効力を発揮しているんですよ。実施されていないだけなんですよ。今のは全く通用しない詭弁だと。
こんな形で、じゃ、大臣、ここで、この意思と期待に反するということになることは間違いないんじゃないですか、効力は云々と言うけれども。
この既に労働契約を結んだ派遣元、派遣先あるいは派遣労働者の意思と期待に反することをやろうとしている。これは間違いないじゃないですか。
どうですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおりでありまして、今回の特にみなし制度の対象となる期間制限の違反につきましては、今回の改正で業務単位から事業所単位に規定ぶりを修正をしているというところもございまして、従来の業務単位の期間制限違反はみなし制度の対象とならないことは条文上も明らかであるわけで、先ほど申し上げたとおり、期間制限については改正案附則第九条によって経過措置を設けることと今回したわけでございまして、それによって、なお従前によるということで、現に効力を有する条文が対象となるものであるから、改正案の施行日において未施行ではございます労働契約申込みみなし制度は対象とならないという解釈になるわけで、これは内閣法制局でも確認をしているところでございます。

○小池晃君 私が言ったことに答えていないじゃないですか。
要するに、既に結ばれた労働契約を結んだときには、みなし雇用制度が発動すると想定して、それを期待して結んでいるでしょうと。そのことは認めませんか。そうでしょう。だって、それを想定しないで結んでいたらその労働契約は無効になりますよ、法違反の労働契約ですよ。どうですか。

○委員長(丸川珠代君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(丸川珠代君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは、先ほど石橋先生のときにも申し上げましたが、今回のこの、先生のお尋ねもございました、違法行為の対象は何だということでございましたが、これは、先ほど申し上げたとおり、禁止業務派遣であり無許可派遣であり、そして二つの事業所単位と個人単位の期間制限違反、そしていわゆる偽装請負、これが十月一日からの労働契約申込みみなし制度が施行された場合の対象となる違反行為になるわけですね。
ですから、これらに関して今回の法律で「なお従前の例による。」ということで、先生、今、期待権が裏切られるじゃないかと、こういうことだと思うんですが、その分は、先ほど御答弁申し上げたように、この中で……

○小池晃君 駄目。違う。そんなこと言っていない。

○国務大臣(塩崎恭久君) いや、まだ答えているんですから、ちょっと待ってくださいよ。
その期間制限については、この現行の法第四十条の四というので、これは労働契約申込み義務というのが発生をすると。その他については、それは対象になるということでございますので、期待権を裏切るということは実効的にないということで答弁をしてきたところでございまして、この点について御理解を賜れればというふうに思います。

○小池晃君 全然駄目です。全く違う条文じゃないですか。
私が言っているのは、労働契約を結んだときにこの四十条の六の一項の三号のこの条文があったわけで、これを含めた労働契約を結んでいるでしょう、そのことについて、そのことを想定した労働契約ですねと。イエスかノーかで答えてください。私の言っていることをはぐらかさないでください。イエスかノーか。そのことを含めた労働契約を結んだんでしょうと。イエスかノーかで答えてください。

○委員長(丸川珠代君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(丸川珠代君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返して大変恐縮でございますけれども、私どもは、今先生がおっしゃった労働契約申込みみなし制度があるということを前提にして、この施行日前に結ばれた派遣契約の当事者の期待を裏切ってはいけないという先生のお考え、その点はよく理解をしているところでございまして、それに関して、先ほど来申し上げているのは、これは考え方が違うという意味においてはもちろんいろいろ異論があって結構なんでございますけれども、申し上げたように、この労働契約申込みみなし制度が施行された場合の対象となる違法行為については、何度も繰り返しますけれども、五つあって、この五つのうちの期間制限違反に関しては現行法の四十条の四で適用されるので、期待権を守るという意味においては実効的に変わらないのではないのかということを御提案を申し上げているわけでございます。

○小池晃君 期待権が発生していることを認めましたよ、期待して結んだことを認めましたよ。
ということは、この四十条の六の一項三号は、施行はされていないけど法律としての効力を発揮しているということじゃないですか。それを含めないというのはおかしいじゃないですか。矛盾している。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、四十条の六の三とおっしゃいましたね。

○小池晃君 三号です。

○国務大臣(塩崎恭久君) 三号ですね。
これについては、期間制限でありますけれども、これは今まだ法律は施行されてございませんので、これは発効していないということだと思います。
(発言する者あり)

○委員長(丸川珠代君) 速記を止めてください。
〔午後一時五十六分速記中止〕

〔午後二時四十九分速記開始〕
○委員長(丸川珠代君) 速記を起こしてください。
暫時休憩いたします。

午後二時四十九分休憩

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 午後三時開会

○委員長(丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
本日はこれにて散会いたします。

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