○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
参考人の皆さん、ありがとうございました。
宇山参考人にまずお伺いしたいと思うんですが、昨日も夜も国会の中で集会をやって、派遣労働者の皆さんの声を聞かせていただいて、本当に今日もリアルなお話を聞かせていただきました。
先ほどからの議論の中で、派遣元に無期雇用になっていれば雇用が安定しているからよいのだという、そういうような議論があるわけですね。宇山参考人の場合も十五年間、しかし、三か月ごとの細切れの実際は派遣契約だったと。無期雇用の派遣だったら安定しているというふうにお考えでしょうか。
○参考人(宇山洋美君) 無期雇用という言葉は、有期雇用よりも派遣元会社と派遣労働者との結び付きが強いということになっているかと思いますが、少なくとも私の周りの派遣労働者でそういった形の安定した派遣労働で派遣を続けている人は一人もおりません。
それと、派遣元会社との結び付きが非常に希薄です。一回も私は派遣元会社に行ったことがありませんし、来いと言われたこともありませんし、営業に来る人間一名とだけしか接触を持つことができません。私の業務内容、経歴、資格、それからヒューマンスキル、そういったものを派遣元会社がどこまで把握しているのかというふうなこともあります。
そういう意味では、派遣元会社に対してのロイヤリティーも希薄です。私の場合、登録型ですから、私はそこしか登録していませんが、一般的に登録型というのは複数の派遣会社に登録しております。そうなりますと、帰属意識、ロイヤリティーというものも希薄になっておりますが、それは派遣労働者が悪いのではなく、間接雇用、登録型派遣というものの構造的な根本的な誤り、当然帰結する問題だと思っております。安定はないと思っております。
○小池晃君 ありがとうございました。
棗参考人にお伺いしたいんですが、労働者と向き合ってこられて、無期雇用と有期雇用ということで派遣労働者の地位に違いがあるというふうにお考えか。それと、今回の改正によって、無期雇用であれば、臨時的、一時的どころか、ずっともう派遣と。こういうことをやると、結局有期雇用の派遣労働者も今後、今回こういうことにすると、これからの次なる改正によって更にずっと派遣ということになっていくということが危惧されるんではないかと思うんですが、その辺、どのようにお考えでしょうか。
○参考人(棗一郎君) お答えします。
法制度上は、無期雇用であれば一見安定しているようには見えます。しかし、実際は派遣の三者構造がありますので、派遣元業者の収益構造というのは当然派遣料金をもらって、派遣先で仕事があるときに派遣料金をもらってもうけるわけですから、売上げ上げるわけですから、その派遣先がこければ派遣元もこけるんですよ。ですので、そうすると、整理解雇の場面、解雇の場面で極めてもう端的に首を切られてしまうことになります。
それが起こったのがリーマン・ショックの後の大量の派遣切りです。あのときは無期雇用も有期雇用も同じでした。法的に見てもなかなかそこは闘うことは難しいです、そういう収益構造ですから。
それから、先ほど二番目に小池議員がおっしゃった問題なんですが、今回、私が経営側の弁護士さんとも、それから派遣元業者の方ともいろいろ意見交換していますが、評判が悪いのが、有期の場合の三年ごとに人を替えろと。今まで専門二十六でずっと行けたのに、何でこうしなきゃいけないんだ、そんなもの、新しい人を次から次に用意できないよと、こういうことなんです。だからもう派遣使うのやめたという人が多いんですね。
ところが、であれば、今後どうなるかというと、おっしゃったように、じゃ、有期でもずっと使えるようにしよう、同じ人でと、そういう改正を求めるように必ずなります。僕はその前段だと思っていますので、ここは何としても止めないと、本当に全部派遣だらけの雇用社会になってしまうと思います。
○小池晃君 ありがとうございました。
中山参考人にお伺いしたいんですが、雇用安定措置のことなんですけれども、先ほど参考人は、これは派遣元にとって厳しい大きな負担になる措置だというふうにおっしゃられました。これは、結局やっぱり派遣先での直接雇用を実現するというのはなかなか現実には難しいというふうに参考人もお考えということでしょうか。
○参考人(中山慈夫君) 先ほど申し上げたのは、特に中小零細という例で引いたわけですが、安定措置の一つに、今御指摘の派遣先への直接雇用というのがありますが、それはそのときの派遣先の経営あるいは人事の施策なり採用計画の中でどう考えるかという問題ですから、それは依頼すればどんどんどんどん直接雇用してくれると、そうは私はもちろん考えておりません。したがって、派遣元事業主にとって、それが簡単に依頼だけすればオーケーならいいんですが、そうではなくて、それが駄目なら他の直用、無期直用、あるいは他の就職、派遣先を紹介すると、こういう選択肢をとにかく義務付けられるわけですから、それは非常に厳しいだろうと。しかし、それも承知の上でこの改正法はそういう措置をとったというところに派遣労働者保護の大きな観点があると、こういうふうに理解したわけですが。
○小池晃君 私は、今のお話を聞くとやっぱり、塩崎さんが言っているような正社員になれるんだというのは、実際はこの法律はそうなっていないんだなということがよく分かったような気もするんですが。
棗参考人にお伺いしたいんですが、この三十条の二項で正社員への道、これ実効性、私はほとんどないんじゃないかと。今の経営側の立場でもなかなか難しいんだという話もあったし、これはそういうことなのかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(棗一郎君) 直接雇用を派遣先に依頼するだけじゃどうにもならないわけで、それも派遣先が採用するかしないかは自由で、もう実態としては一・七%しかないわけですよね。だから、これはもうほとんど意味がない、実効性のない規定だと思いますので、制度上正社員になるということはほぼあり得ないというふうに思います。
○小池晃君 最後に棗参考人と宇山参考人に、派遣労働というのは本来どうあるべきなのか、労働者派遣法はどういう法律にするべきなのか、お考えがありましたら、それぞれお聞かせいただければというふうに思います。
○参考人(棗一郎君) 先ほども申し上げましたが、本当に外部労働市場を形成し得るような専門業務に絞り込んでいくべきだと思います。最終的には一般業務、自由化業務というのは、やっぱりどうしても常用雇用の代替になってしまうんですね、派遣労働で。そこは間接雇用と直接雇用を厳しく切り分けた上で、専門業務に絞って認めていくのであれば認めていくべきだと思います。
○参考人(宇山洋美君) まず、派遣であろうが正社員であろうが、同じ仕事をやっていれば同じ賃金を払うということが大前提であるかと思います。その上で、派遣の場合は臨時的、一時的ですから短期で使用すればいいのであって、企業の側は雇用のリスクが軽減されます。その分、単価は正社員より上げるべきです。そうやって、正社員よりも派遣の方が使いにくいというふうな、例えばEUで取り入れられているような方式が日本でもあるべきだと思っています。
それから、一旦派遣になったら、履歴書に派遣と書いたということで正社員になることが極めて難しいということがあります。雇用の流動化といいますけれども、派遣から正社員になるという流動化はないのですから、下方修正の流動化しかないというのが日本の現状ですから、こういったことも改めるべきだと思います。
○小池晃君 ありがとうございました。是非そういう方向での、本当に求められる派遣法を作るために頑張りたいというふうに思います。
ありがとうございました。
閉じる