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小池 晃

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戦争法前提の自衛隊文書 首相も暴走是認/憲法をないがしろ 参院安保特 小池議員が批判/「軍」表現も当然視

2015年08月22日

「赤旗」2015年8月22日付

 日本共産党の小池晃議員は21日の参院安保法制特別委員会で、戦争法案の成立を前提に、自衛隊統合幕僚監部が詳細な部隊運用計画を記載した内部文書を作成していた問題について、安倍晋三首相を直接ただしました。 (関連記事)


写真

(写真)パネルを示して質問
する小池晃議員=21日、参院
安保法制特委

首相は「(法案を)具体化していくべき検討課題を整理すべく、分析や研究を行うのは当然だ」。「問題あるとは全く考えていない」と強弁しました。

小池氏は「一省庁の問題ではなく自衛隊という実力組織だ。軍隊を独走させてはいけないというのは戦前の教訓だ」と反論。「内容は国会で全く説明していないものばかりだ。国民と国会を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判しました。

また首相は「防衛大臣の指示のもと、その範囲内で行われたものだ」と述べ、文民統制は完遂していると発言。小池氏は、中谷元・防衛相が5月に作成された文書の内容を8月まで把握していなかった事実をあげ、「(自衛隊の)暴走以外の何物でもない」と強調しました。

同文書は、新ガイドラインで新たに設けるとした「同盟調整メカニズム」内に、軍軍間の調整所の設置を記しています。首相は「便宜的な表現であり、問題あるとは考えていない」と答え、自衛隊を「軍」と記すことを当然視しました。

小池氏は「軍を持たないという憲法を持つ国の首相が、『軍』と書くことを、便宜的な問題でかまわないと(いうことが)許されるのか」と指摘。首相が3月にも自衛隊を「我が軍」と発言したことにふれ、「(首相は)憲法をないがしろにし、自衛隊の中でも憲法も国民も無視した議論が行われていることを示すことに他ならない」と批判しました。

小池氏はさらに内部文書は、米軍等の「武器等防護」に関し、自衛隊の武器使用基準である「ROEの策定」と記述していることについて、「米軍と武器使用基準を共有することになる」と言及。「統幕内部文書から見えるのは、まさに自衛隊を米軍と肩を並べて海外で戦争する集団に変えようとするものだ」と強調しました。

このような文書を「問題ない」とする安倍首相と中谷防衛相。小池氏は「責任は極めて重大だ」と強調するとともに、自衛隊統合幕僚長の河野克俊氏の証人喚問を要求。改めて戦争法案の廃案を主張しました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
統合幕僚監部の内部文書について聞きます。
この文書は、五月十五日に大臣が指示して統合幕僚監部が作成をし、五月二十六日、衆議院本会議で総理が趣旨説明を行ったその日に三百五十人の自衛隊幹部を集めた会議で説明したことを防衛省は認めました。
ところが、それから三か月後、八月十一日、当委員会で私がこの文書を示すまで大臣は内容を把握していなかったと答えた。しかも、大臣はこの委員会で、当初は、安保法案については国会の審議が第一、法案が成立した後、これは検討を始めるべきものと言っていたのに、一週間後の委員会では、検討ではなく分析、研究だから問題はないと開き直ったわけです。
総理に聞きます。検討ならば駄目だが研究ならば許される、こんな中谷大臣のでたらめな言い逃れを総理は許すんですか、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 平和安全法制については、グレーゾーンから集団的自衛権に関わる事態まで、また国際平和協力に関するものなど広範な内容を含むものであります。部隊運用を担当する統合幕僚監部として、法案の内容や政府の方針について現場の部隊指揮官に対して丁寧に説明するとともに、今後具体化していくべき検討課題を整理すべく、必要な分析や研究を行うことは当然のことと考えております。ましてや、今回の資料の作成は、防衛大臣の指示の下、その範囲内で行われたものであり、また防衛政策局など法案担当部局とも調整の上作成されたものと承知をしております。
このようなことから、今回の資料の作成については、問題があるとは全く考えておりません。

○小池晃君 これに問題がないという発言は驚くべきですよ。一省庁の問題じゃないんですよ。自衛隊という実力組織ですよ。軍隊を独走させてはいけないというのは、戦前の教訓ですよ。しかも、単なる一法律ではない、従来の憲法解釈を大転換して出してきている重大法案。(資料提示)
しかも、丁寧にと言うけれども、国民にはこんな丁寧な説明していないですよ。自衛隊の中でこれだけ丁寧にやっているんですよ。国会にも国民にも一切示していないような中身を出しているじゃありませんか。今総理は、この経過について問題ないと全部認めた。私は、この文書と同じ立場に総理も立っていると、国民と国会を愚弄するものだというふうに言わざるを得ないと思います。
この文書、今言ったみたいに、例えば新ガイドラインにも、あるいは法案にも書かれていないような中身がたくさん盛り込まれている。例えば、この文書にある自衛隊の部隊行動基準、武器使用基準とも言います、ROE、これ六月の衆議院の審議で我が党の宮本徹議員がこの問題を取り上げました。先ほどは、自衛隊法第九十五条の問題、ここでも議論になりました。
ところが、米軍などの武器、武器といってもこれは何でもいいわけですよ、艦船でも航空機でも空母でも核兵器でもいいと、これを防護するようになるのであれば、自衛隊のROEも改定することになるんではないかという質問だったんです。防衛省は、国会では、お答えすることは控えるというふうに言った。ところが、五月に作られたこの文書にはちゃんと策定と書いてあるじゃないですか。別の部分には「ROE等の整備を行うこと
が必要」と書いてある。答弁と全く違う。
大臣、国会では一切説明していませんね。そのことを確認と、米軍の武器防護のためにROEを策定するということになれば、これは共有することになりますね。お答えいただきたい。

○国務大臣(中谷元君) まず、シビリアンコントロールにつきましては、これ法案が閣議決定されましたので、正しくこの内容を分析をし、研究をする、これは当然のことでもありますし、実施は自衛隊が行うわけです。
それで、この委員会でもいろいろ、リスクとかいろんな御指摘がございますが、やはりこういったものが任務を受けた場合にしっかり任務を果たすためには、事前によく問題点を整理をしたり、また研究、分析をしたり、そういうことをする必要もございますし、隊員にも周知徹底をする必要があるということで、これの説明する前は私に相談がありましたので、それはしっかりやってください、そしてその内容も見まして、私が指示をした範囲内であるということでございます。
そこで、今回のお尋ねでございますが、御指摘の記述は、統合幕僚監部において、武器使用に係る手続等に関しまして、この法案の成立後に検討していくべき課題を整理すべく分析、研究を行ったということでありまして、部隊行動基準の詳細については、これはROEでございますので、自衛隊の任務に支障を生じるおそれがあるから公表は差し控えさせていただきますが、この詳細につきまして、お尋ねの記述については、法律の施行に関して必要となる事項の分析、研究の一環として、自衛隊の武器使用に関して、細部事項について具体化し、また関連規則、ROEの策定等を行うことが必要ではないかと、統合幕僚監部として当然に有し得る課題の認識を示したものでございます。

○小池晃君 大臣、八月十一日まで三か月間知らなかったって言ったじゃないですか。それでシビリアンコントロールができているって、もう笑わせるんじゃないよという話ですよ。非常におかしい、無責任な答弁だと私は思う。
しかも、これ、ROEの策定、私、ROEの中身のことを言っているんじゃないんですよ、ROEを策定するんですか、改定するんですかと言ったときに答えられないと言ったのに、五月にはちゃんと書いているじゃないかと言っているんですよ。おかしいじゃないですか。しかも、これは検討するかどうかじゃないんですよ。整備を行うことが必要と書いてあるじゃないですか。全然今のは答弁になっていない。
結局、こんなことをやれば米軍と共有することになるんじゃないかということについても一切答えていない。私、これ結局、こんなことをやれば、米軍の武器防護のために武器使用基準作るわけですから、これは米軍と共有するのは明らかだと思いますよ、こんなことをやれば。
さらに、国会審議で明らかにしてこなかったこともう一つある。ほかにもたくさんあるんですが、時間の関係でいうと今日は絞って、新ガイドラインで、同盟調整メカニズム、ACMが新たに設けられることになったわけです。この内部文書では、それが常設になることが明記をされて、「ACM内には、運用面の調整を実施する軍軍間の調整所が設置される」とあるわけですね。
軍軍間の調整所について、中谷大臣は、軍軍というのは自衛隊と米軍だと認めた。総理、総理は自衛隊が軍を自認することをよしとするんですか、お答えいただきたい。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 軍軍間と、こう表現をされておりますが、これは自衛隊と米軍のことでありまして、まさにミリタリー・ツー・ミリタリー、ミリタリー・ツー・ミリタリーを日本語で軍軍間あるいは軍軍間の調整所と言うことがあります。
御指摘の記述は、新ガイドラインの下でも日米の制服中心で構成する組織の設置を検討していることから、そのような日米間の組織を便宜的に軍軍間の調整所と表現したものと認識しておりますが、これはあくまでも便宜的な表現であり、問題があるものとは考えておりません。

○小池晃君 憲法で軍を持たないと言っている憲法を持っている国の首相が、軍と書くことを便宜的な問題だから構わない、こんなことが許されるんですか。
しかも、ミリタリー・ツー・ミリタリーは、アメリカに向かって物を言っているから軍だと、国民に向かっては軍じゃないと、アメリカに向かっては軍だと、自衛隊の中では軍だと、こんなことが通用するんですか。総理は二月に我が軍と言った。結局、あなたは憲法もないがしろにしている、自衛隊の中でも憲法も国民も無視した議論が行われている、そういうことを示すものにほかならないんじゃないですか。
大体、軍軍間の調整と、調整というけれども、圧倒的な情報量を持っているのは米軍であります。すると、どうなるか。元防衛庁幹部の柳澤協二さんは衆議院の参考人質疑でこう言っています。米艦防護にしても、どこから脅威が来ている、どの船のどのミサイルで対応するのが適当か、それはアメリカの情報ネットワークの一環として動かざるを得ない、情報を持って主導権を持っている方が主従関係からいえば主に決まっている、言い方を換えればより従属を深めていくと。
総理、軍軍間の調整だと、調整というけれども、その実態は、柳澤さんが言うように、まさに米軍が主導権を持って、自衛隊が平時から共同司令部の下で米軍の指揮下に入る、そういうことをこれ示しているんじゃないですか。そうでないと言えるんですか。総理、総理、答えてください。

○国務大臣(中谷元君) まず、この軍軍という表現でございますが、これは現実的に今のガイドラインでも、BCCという、共同調整所、日米の、ユニホーム・ツー・ユニホーム、これの場がありまして、これはやはり内局と、局長同士の話合いとはまた別にユニホームとユニホームの協議もありまして、ミリタリー・ツー・ミリタリーという言葉はもう既に使われておりまして、この国会でも、以前、民主党政権のときに、前原外務大臣もミリタリー・ツー・ミリタリーの関係においてというようなことで、これはいわゆるそういう関係においてということで便宜的に部内において使っているところでございます。
それから、共同調整所というのは、あくまでもこれはそれぞれの国の指揮系統に基づいて調整をするという意味でありまして、ガイドラインの中におきましても、日米両国の部隊がそれぞれの異なる国内法令等に基づき行動する以上、それぞれの指揮に従って行動するんだということは明記をいたしておりますし、また、同盟として調整をする場合におきましても、適時の情報共有、自衛隊及び米軍の活動に関する政策面及び運用面の調整を強化をしていくというようなことで、これも、この前提は、それぞれの主体的な判断の下に国際法及び国内法を含む我が国の国内法令に従って行われるというようなことでございますので、あくまでも自衛隊が米軍の指揮下に入るということは考えられないし、全く私も責任大臣としてそのようなことがないように、これは、その運用については常に我が国の自衛隊の指揮をしっかりしていきたいと思っております。

○小池晃君 ミリタリー・ツー・ミリタリー、軍と軍ということが日常的に語られているということを認めているわけですよ。私、これは本当に重大だというふうに思うし、実際に中身、これはそれぞれの法律に従う、当たり前のことじゃないですか。しかし、その憲法解釈を変更して憲法違反の法案を強行しようとしているんですよ。それでこの実際の軍事行動を一緒にやっていくということだから、私は、今の説明では全く説明になっていない、結局、こんな仕組みをつくってしまえば、米軍の指揮下に入るということになるのは誰が見たってはっきりしているというふうに思います。
さらに、内部文書には、陸上自衛隊の南スーダンPKO、国連平和維持活動に関して、中部方面隊から出される第九次派遣隊は九月から準備訓練を実施し、年明けからは新法制に基づく運用を行うということが初めて書いてあるわけですよ、日程も含めて。これまで行わなかった宿営地の共同防衛及び駆け付け警護を法施行と同時に南スーダンでやるということが書かれているわけですね。
大臣は、これ、派遣部隊は順番に入れ替わるのが通例だから問題ないんだと、次に派遣される部隊がその準備を行うのは当然だと言っていますけれども、そんな簡単に言っていいんでしょうか。南スーダン政府軍と反乱軍の停戦協議は、米国などが期限としてきた今月十七日になっても最終合意に至っておりません。
国連PKOの専門家として世界各国の紛争解決に当たってきた伊勢崎賢治さんは、衆議院の参考人質疑で、自衛隊が今まで無事故で済んだのは奇跡だと、今回の安保法制で任務が拡大すれば奇跡で済む可能性は非常に薄くなると、こう言っているわけですよね。
順番に入れ替わるからなどと計画を立てれば、派遣される自衛隊員の命が危険にさらされることになる。総理、こんなことが自衛隊の中で具体的に、国会で一切説明されていませんよ。南スーダンのPKOに年明けから新法制の下で行くと、こんなことは説明されていないですよ。こんなことが自衛隊の中で準備をされているということを許していいんですか。総理、総理です。

○国務大臣(中谷元君) 事実関係から申し上げますが、そのようなことがないから私申し上げておりません。
今回、ローテーションに基づいて部隊は交代しなきゃいけないわけでありますので、現時点において、次の部隊に対して、この派遣を準備をし、そして命令を掛けるわけでございますので、そのスケジュールを書いたわけでございまして、当然、この法案の閣議決定がありましたのでその点については研究をいたしますが、これ、やるかやらないかにつきましては、まず法案が成立してからその決定をいたしまして、これに計画をやるわけでございます。
この点については、やはり隊員の安全に関わることでありますので、これは研究を行うわけでございますが、あくまでも、今回、事実、派遣命令を出しますけれども、現行の範囲内での任務として発出をするわけでございますし、また、せんだって官邸内でも、この期間、半年延長しました。これは、やはり現地の状況を見て、現地で平和が保たれているという前提で六か月延長したわけです、これは閣議、NSCで。それに基づいて部隊を派遣するということで、これは通常の任務を継続するという意味でございます。

○小池晃君 でたらめ言っちゃいけません。
この内部文書には、これは、新法制に基づく運用というふうにはっきり書いてあるじゃないですか。新法制に基づく運用ということは、今までと違うんですよ、これは。駆け付け警護もやる、そういうことになるわけですから、今の説明は全く事実に反する。そういったことが中で検討されているわけです。
これまで、国会と国民には丁寧に説明すると総理はおっしゃってきた。しかし、どれも一度もまともに丁寧に説明していないことばかりですよ。この文書で初めて出たんですよ。丁寧に説明したのは自衛隊の中だけですよ。
私は、統幕の内部文書から見えてくるものは、自衛隊と米軍が軍軍間の調整所を設置をして、武器使用基準も共通のものを作り、共同作戦計画の下で行動すると、まさに自衛隊が米軍と肩を並べて海外で戦争する集団に変えようとする中身が極めて分かりやすく示されているのがこの文書だと思う。
実力組織の暴走と受け取られることがあれば、平和国家の土台は崩れ去る、一点の曇りもあってはならない。東京新聞の社説です。総理はこの指摘をどう受け止めますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはまさにそのとおりであって、実力組織の暴走があってはならないわけでありまして、これは、まさにシビリアンコントロール、文民統制は完遂されているわけでありまして、中谷大臣の指示の下に分析、研究を行っているわけでありますし、ここに書いてあるのは、言わば法律ができたときに検討する項目が書いてあって、そして、その検討に向けて分析、研究するのは、これは至極当たり前のことではないかと、このように思うところでございます。

○小池晃君 今、総理が示された文書、その中身、国会で一度も説明していないんですよ。それが自衛隊の中では議論されているわけですよ。しかも、シビリアンコントロールだ、大臣の指示の下にと言うけれども、大臣は指示した結果を三か月間知らなかったと言っているじゃないですか。丸投げじゃないですか。こういうのは指示とは言わないんですよ。これを暴走と言わずして何を暴走と言うんですか。暴走以外の何物でもないというふうに思う。私、中谷大臣の責任は極めて重大だと、そして総理もこれを全面的に認めた、その責任、重大だと思います。
内部文書の作成に責任を持っている河野克俊統合幕僚長、当委員会に証人喚問を求めます。委員長、いかがですか。

○委員長(鴻池祥肇君) 今の件につきましては、後の理事会で諮ることといたします。

○小池晃君 改めて、この内部文書で今度の法案が憲法違反の戦争法案であるということが極めてはっきりしたというふうに思います。
廃案しかないということを申し上げて、質問を終わります。

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