○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
四人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
安永参考人にまずお伺いしたいんですが、先ほどの津田理事からもあった過半数労働組合の意見聴取問題なんですけれども、経営側の方は、組合が反対しているのに押し切るということはほとんどないからこれは歯止めになるんだということなんですが、こういうことが成り立つのかということを労働組合の立場で言っていただければと思うんですが。
○参考人(安永貴夫君) 労働組合と一口で言いますけれども、連合の中でもかなり労使紛争を抱えているようなところもありますし、経営側が全く労働組合を相手にしてくれないようなところも多くございます。恐らく、経団連の立場でいうとそういうところはないということだと思いますが、それとて様々な課題を抱えているところがある中で労使が意見対立しているところは当然ありますので、そういったことで常用代替防止の立場から反対することはあるというふうに思っております。
○小池晃君 実態としてはこれは成り立たない、歯止めとしては成り立たないんではないかというふうに私は思います。おっしゃるとおりではないかなと思うんです。
関口参考人にお伺いしたいんですが、今日お配りいただいた時給がダウンしているというグラフ、これ私も委員会の質疑で使わせていただいたんです。これ見ると本当に賃金の低下が著しいなと。
一方で、厚労省の資料を見ると余り変わっていないんですね。ただ、厚労省の資料というのは事業者側を通じた調査で、このユニオンの方の調査はこれは労働者に対する調査だと思うので、私はこの方がより実態をリアルに反映しているのではないかなと思うんですが、その点、御説明いただけますでしょうか。
○参考人(関口達矢君) 御質問ありがとうございます。
まさに今、小池先生がおっしゃったとおりだと思います。こちらは労働者調査ですので実際に手にしている時給を調査したもので、厚生労働省は事業報告などを基にした事業所調査なので、そこでの差というのは当然あり得るだろうなと思います。
○小池晃君 鎌田参考人にお伺いしたいと思います。
専門二十六業務の廃止問題なんですが、これは労政審では労使双方とも廃止を主張していない。
しかし、結論としては廃止が今回提案されております。専門業務分かりにくいということであれば、これは廃止ということではなくて、真に専門的業務に限定する道もあったんではないかなというふうに思うんですね。
公益委員としては、こういう道を提案することはお考えにならなかったんでしょうか。
○参考人(鎌田耕一君) 私が労働政策、需給部会の委員ということで御質問かと思いますが、私、細部についてはちょっと記憶が定かでないところもあるんですけれども、二十六業務を含めた業務限定の仕組みをどう取り扱うかということにつきましては、確かに当初は労働側の方は反対を終始されていたと思います。使用者側の御意見は、当初ははっきりした御意見ではなかったのでありますけれども、途中からこの業務限定の仕組みをなくす、区分をなくすという方向で使用者側の意見としてはまとまっていったのではないかというふうに思っております。途中で、これもはっきり、記憶としては定かではないんですが、二つの案を作ってほしいという、これは使用者側からの御依頼で二つの案を提示をしてもらいたいということで、一つは研究会報告を踏まえたような案、もう一つは、今先生がおっしゃったような、現状の業務を維持したような形での案ということで御依頼があって、それに沿った形で案を出して議論をしたという経緯であったというふうに記憶をしております。
以上です。
○小池晃君 私は、ちょっと労政審の記録見てもそういう印象は受けないんですが。経団連の方も、これは二十六業務については廃止に懸念を表明した経過も今後の労働者派遣制度のあり方についてという文書の中ではあったし、そういう経過ではなかったんではないかなというふうに思うんですが。
安永参考人に、今の経過も含めて御意見いただければと思うのと、あと、先ほどちょっと手続の問題で、最後時間なくなってしまったので、私もちょっと異常なんじゃないかなと、この労政審の運営は。オブザーバーというのを大体参加させることは、かつて、これはやっぱり派遣法のときにも一回あったみたいですけど、極めて例外的だったし、それから今度の与党修正も、これ結局、閣法なのに労政審でやっていない。
それから、今後の問題でいうと、これ省令事項が二十六項目、それ以外も含めて四十一項目もあるというんですが、九月一日なんてこれはあり得ないと思うし、一か月延期みたいな話もありますけど、私はそれだってまともな労政審の政令の審議が保障されないのではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○参考人(安永貴夫君) まず、二十六業務の論議経過ですけれども、私どもとしても、当初は使用者側の委員からも二十六業務の見直しについても論点とすべきだということが言われていましたし、途中でも、二十六業務全て撤廃というのは短絡的であって、慎重な議論が必要という意見も使用者側から出されていたというふうに認識をしております。私どもも、具体的に議論、時間を掛けて、安く買いたたかれるような業務は無期限にすべきではないというようなことで、現場の実態を十分踏まえた議論をもっと煮詰めるべきであったというふうに思っております。
それから、手続の問題については全く同感でございます。業界団体のホームページを見ますと、大臣に要請に行かれて、労政審に出席したい旨の要請がされたところが写真付きで出ておりまして、私も確認をしましたし、終始経営側の皆さんの発言の中でもオブザーバーの方が先ほど申しましたようにほとんどしゃべっておられるというような状況もありました。
それから、政令についても重要な中身、仮に通るとすれば重要な中身がたくさんございますので、その辺は議論も時間を掛けないといけないし、やはり何といっても周知期間が必要ではないか、これだけの大改革ですので、きちんと経営側の皆さんにも労働者にも周知をする、その時間が必要だというふうに思っております。
以上です。
○小池晃君 私も全く同感で、そういう点でいうと、もうこの国会でこれを通すなどということはやっぱりやってはいけないのではないかなと、やはり一旦これは廃案にして、もう一度考え直すということが必要なのではないかというふうに思っています。
最後、みなし雇用の問題。一言、関口参考人に、これ十月一日から施行される、これに対する期待感というのはやはり派遣労働者の中にはあるのではないかなと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
○参考人(関口達矢君) 御質問ありがとうございます。
まさに御指摘のとおり、今回、ちょっとこちらへ持ってこなかったんですけれども、非常に派遣労働者の中で強いというか、高い期待を持っています。やはり皆さん安定した雇用で働きたいという希望を持っていますから、このみなし雇用、何とかこれを使って、安定した雇用が得られるのであればそういう形で働き続けたいというような希望を持っている派遣労働者というのは極めて多くいるというふうに考えています。
○小池晃君 終わりますけれども、その点でも、やはり十月一日のみなしの前に施行しなければいけないなどということはやるべきではないということを申し上げたいと思います。
終わります。