○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
本法案への反対の声は日を追うごとに広がっております。数万人の市民が連日国会を取り囲んでおります。安保法制に反対する学者の会のアピールへの賛同者は一万二千四百六十一人。私も、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法などで国会論戦取り組んでまいりましたが、こんな経験は今までなかったですよ。
総理の地元からの声を一つ紹介したい。
山口県の日置、首相の祖父である安倍寛さんの出身地です。今は長門市の油谷・日置地区、そこの浄土真宗本願寺派山口教区大津西組の組長が総理宛てに、安全保障関連法案に反対し、廃案を求める要望書を出しております。そこにはこう書かれています。貴殿の祖父安倍寛氏は、戦争遂行の翼賛体制の中、理想を求め、反戦の立場より、翼賛体制に染まることなく批判し、無所属で立候補し見事に当選されました。御尊父晋太郎氏は、俺は安倍寛の息子だと父を誇りとされていたとのことです。なぜ貴殿が安倍家の誇りを大切にされず、受け継がず、日本を危険な方向に導かれるのでしょうか。
昨年七月のこの要望書、これは、地元事務所のあなたの秘書は、選挙区の皆さんの声として安倍に伝えますというふうに答えたそうですが、今度の要望書も届いているかと思います。
総理は、御自身の地元中の地元のこの批判の声、どう受け止めていらっしゃいますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今御紹介をいただきましたように、私の祖父の安倍寛は、翼賛会選挙の際に、非翼賛会、翼賛会の非推薦で当選を果たしたところでございます。言わば、日米の開戦につきましても、東条内閣に反対の立場であったわけでございます。しかし、それは、当然そのときの国際情勢を見ながら国際協調を進めるべきであると、そして、国の安全を守り、国民を守らなければいけないとの立場を一貫させたところでございますが、その立場は私も全く変わりがないわけでございます。
もちろん、私の地元にも様々な御意見がございます。そうした御意見に真摯に耳を傾けることは、地域の代表でもある国会議員としての役割でもあろうと思いますので、そうした様々な声に目を通しているところでございますが、今回の法制は、間違いなく国民の命を守り、平和な暮らしを守り抜くためのものであり、必要な自衛の措置とは何かをとことん考え抜いた上において今回の法制を行わなければならないと、こう決意したところでございます。
○小池晃君 国民はそう受け止めていないから、本当に立場の違いを超えて反対の声が広がっているんじゃないですか。これだけの世論調査の結果、憲法学者の反対、こういうことが起こっているわけであります。
しかも、丁寧に説明すると総理は言いながら、先日のテレビでの説明、あれは何ですか。まともな議論にこれは値しない。戦争と火事は本質的に異なるのに、これを説明したわけですね。私は、これは、総理が法案についてまともに国民に説明する能力も論理も持っていないことを自ら告白するようなものだというふうに言わざるを得ないと思うんです。
衆議院での強行採決の前後に一体何が起こったか。これは、陸上自衛隊幕僚監部によるイラク復興支援活動行動史であります。これは衆議院の審議中に墨塗りの形で提出をされました。委員会強行採決後に、ようやく墨塗りを外したものが出てきたわけであります。一体どこが墨塗りになっていたか。
第一次イラク復興支援隊が活動を開始した直後の平成十六年四月七日及び四月二十九日に宿営地近傍に迫撃砲弾が着弾する事案の発生。あるいは、平成十六年十月三十一日、発射されたロケット弾は、駐屯地内の地面に衝突した後、鉄製の荷物用コンテナを貫通して土壌に当たり宿営地外に抜けており、一つ間違えば甚大な被害に結び付いた可能性もあった。そのほかにも、自衛隊の車両に、IED、いわゆる即席爆発装置、路肩爆弾と言われるようなものが、その攻撃が二〇〇五年六月、翌年五月と続いたことも記録されているし、こうした緊張状態の中で、メンタルヘルス、ストレスチェックの結果において、約二割の隊員にストレス傾向が見られたということも書かれておる。
私は、この問題、昨年の予算委員会でも総理と、サマワの宿営地がいかに危険だったのか、非戦闘地域でこれだけのことが起こったではないかという議論もさせていただいた。そのとおりのことが起こっていたことを自衛隊が認めていた。自衛隊の海外での活動を大幅に拡大する議論に当たって、直近の活動についての情報は必要不可欠ですよ。何でこういう重要な問題を墨塗りにしたんですか。まともに国民に説明もしないでやり過ごそうとした、そう言われても、大臣、仕方がないじゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) その資料につきましては、陸上自衛隊のイラク復興支援活動行動史でございます。その内容等につきましては、活動をまとめたものでございますが、これまでその情報公開に際しましては、部隊の編成、運用、指揮系統等に関する情報につきましては一部不開示としたところでございます。
○小池晃君 部隊の編成と全く関係ない部分ですよ、これは。答えになっていないですよ。何で隠したんですか。
○国務大臣(中谷元君) その部分、私も先ほど拝見をいたしましたが、訓練を行った内容とか、また部隊の編成等に係る記述等もございまして、この点につきましては部隊の運用また指揮系統等に関する情報でございまして、一部不開示としたところでございます。
○小池晃君 先ほど見たということは、墨塗りにしたのは、じゃ、大臣は関与しないんですね。官僚が隠すわけですね。そんなことで議論ができるんですか。大問題ですよ。
防衛省は今でもこうやって墨塗りにする。しかも、今いろいろ言われたけど、墨塗りにしているのは、もうほとんど全ページ墨塗りだってあるわけですよ。部隊の編成何人か、そういったところだけじゃない、丸ごと墨塗りにしている、これが実態。しかも、中谷大臣は、存立危機事態の認定の前提となった事実に特定秘密が含まれる場合も考えられるというふうにおっしゃっている。特定秘密保護法の対象となれば、墨塗りでは済まないわけですよ。情報全体が秘匿されるわけです。政府は、政府が全ての情報を総合して、客観的、合理的に判断すると言うけれども、特定秘密にされたら、じゃ、誰が合理的に判断するんですか。国民は判断のしようがないじゃないですか。今でもこれだけ墨塗りにする。こんなことが許されてどうやってそれを合理的、客観的に判断できるんですか。
○国務大臣(中谷元君) その文書につきましては、平成二十六年の五月及び十月に情報公開法に基づく開示決定を行いまして、一部を不開示として開示を実施したわけでございます。
特定秘密におきましては、特別にやはりこういった情報の管理、これはしっかりしているわけでございますが、こういったものに対する情報公開等につきまして、やはり国民や皆様方にも御理解を得る必要がございます。特に、自衛隊の武力行使や海外派遣などについては国会による民主的統制が適切に確保されるということが必要でございまして、平和安全法制につきまして、自衛隊の活動に当たってはその必要性等について閣議決定により明らかにするとしておりまして、例えば存立危機事態の認定に当たりましては、事態の経緯、事態の認定の前提となった事実、武力行使が必要な理由などを記載した対処基本方針を閣議決定して、国会の承認を求めて、これに対して周知を図るということで、必要な情報が適切に公開をされるように努力をいたします。
そこで、特定秘密が含まれる場合も考えられますけれども、その場合には、情報のニュースソース、また具体的数値そのものは明示をしない形で情報を整理するなどして、特定秘密の漏えいとならない形で国会や国民の皆様に事実の認定の根拠をお示しすべきものと考えております。
○小池晃君 特定秘密の漏えいに関わらない形で出すって、特定秘密になっている部分が肝腎な部分でしょうが。それを出さないでどうやって国民は判断できるんですかということだと思うんですよ。
私は、この記録読んでみるとほかにも発見ありました。政府は今回の法案でも国会答弁でも後方支援という言葉を使っていますが、この行動史には後方支援という言葉は出てきません。全て兵たんと言っています。自衛隊内では後方支援ではなく兵たんという言葉なんですね。
○国務大臣(中谷元君) 法律としては後方支援でございます。これはロジスティックということでございまして、これを訳せば後方支援ということでございますが、兵たんにも当たるわけでございます。そういう意味で、部内の検討資料といたしましては兵たんという言葉を使うこともございます。
○小池晃君 国民向けには後方支援という言葉でごまかしておいて、今認めたように部内では兵たんという言葉を使っているわけですよ。だから、私もこれから全て兵たんという言葉で議論をさせていただきます。
政府提出法案には、武力行使をしている米軍への兵たんを定めた二つの法案があります。一つは重要影響事態法案、もう一つは国際平和支援法案。この二つの法案では、これまで政府が戦闘地域としていた場所まで自衛隊が行って兵たんを行うことになります。
衆議院の特別委員会では、我が党の志位和夫委員長の質問に対して総理は、戦闘地域にまで行けば自衛隊が攻撃対象となる危険性も認められた。さらに、攻撃された場合に武器を使用することも認めた。しかし、それは自己保存のための武器使用であって、これは武力行使ではないと弁解された。それに対して志位委員長は、国際法上、自己保存のための自然権的権利というべき武器の使用という特別な概念や定義があるわけではないという外務省の資料も示して厳しく批判しました、国際的には全く通用しないと。総理もこのやり取りを覚えていらっしゃると思うんです。(資料提示)
そこで、お示ししたのは、これは私どもが入手した海上自衛隊の幹部学校作戦法規研究室による平和安全法制案についてという内部資料であります。今年六月のものであります。この中に、武器使用と武力の行使との関係というページがあります。それをお示ししております。武器の使用と武力の行使について、我が国政府の考え方と外国の考え方を対比しているとても分かりやすい資料になっています。
これによれば、我が国の考え方は、武力攻撃発生までは武器の使用だが、それ以降が武力行使だと、そういうふうになっている。しかし、その下、他国の一例では、ユース・オブ・フォースとしか書かれておりません。
外務大臣、ちょっと一般的に、ユース・オブ・フォースって何ですか。
○国務大臣(岸田文雄君) ユース・オブ・フォース、そのまま訳せば武力の行使かと思います。
○小池晃君 他国の例には武器使用という言葉はありません。ユース・オブ・フォース、すなわち今言われたように武力の行使であります。
総理にお聞きしますが、あなた方が武器の使用というふうに呼んでいるものが、外国から見ればこれは武力の行使となる、これは当然だと思いますが、お認めになりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、国際法上、自然権的武器の使用という特別な概念や定義があるわけではありません。しかし、国際法上合法な活動を行っている自衛隊の部隊等が急迫不正の侵害にさらされている際に、生命や身体を防護するという言わば自己保存のための自然権的権利というべきものとして必要最小限の実力を行使したとしても、これは国際法上禁じられた武力の行使には当たりません。これは明確でございます。
そういう意味におきましては、このような自己保存のための自然的権利というべきものでありまして、このような自己保存のための自然的権利というべきものとしての武器使用権限は、PKO法に始まり、周辺事態安全確保法等の従来の法律においてこれは規定されてきたものでありまして、今般の平和安全法制においてもその考え方や位置付けにこれは何の変更もないということでございます。
○小池晃君 全く答えていないですよね。
禁止されている武力行使じゃないと言ったけど、これ、武力行使という概念に当たるということじゃないですか。これ、自衛隊自身が認めているじゃないですか。
大体、防衛大臣、これは海上自衛隊で使われている内部資料ですよ。しかも、法案の審議中にもかかわらず、国会では一回も使ったことのないような資料を使って内部で説明していると。
防衛省はこういうことを認めるんですか。
○国務大臣(中谷元君) まず、御提示の資料につきましては、少なくとも防衛省としてこれまで公表した資料にあるとは承知をいたしておりませんので、どういった経緯によって入手されたものか明らかでない限り、当資料の位置付けについてお答えすることはできません。
なお、もう一点、ユース・オブ・フォースにつきましては、外国においては武器の使用と武力の行使を区別せずに用いられているわけでございまして、我が国におきましては、自己保存のための武器使用ということで、武器の使用でございます。
○小池晃君 ユース・オブ・フォースが武器の使用だって、そんなことを世界で言ったら笑われますよ。もうめちゃくちゃな話ですよ、今のはね。
しかも、公表されていないと、実際の資料だと。こういうことを公表していないことが大問題じゃないですか。国会に一度も出さない資料で内部で検討している、大問題じゃないですか。これだけで法案審議止めてもいいぐらいの話ですよ。
委員長、これは実際に、この戦争法案、審議している法案が、これを運用するのは自衛隊ですよ。その中で、国会にも説明しない。当たり前だと元自衛隊の幹部の方は言っているけど、当たり前なんてとんでもないじゃないですか。
委員長、今日示されたこの海上自衛隊の内部資料、正式に提出させてください。陸上自衛隊、航空自衛隊も同じようなことをやっていると思います。全部出させてください。よろしくお願いします。
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの小池委員の発言につきましては、後の理事会において協議をいたします。
○小池晃君 自衛隊が、じゃ、どういう内容の兵たんを行うのか。その内容も今回の法案で大きく変わってまいります。
これまでの周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法では、補給に関して、弾薬、武器の提供を含まない、戦闘作戦行動に発進準備中の航空機への給油、整備は行わないとしておりました。
今回の重要影響事態法案と国際平和支援法案では、ここを変えて、武器の提供以外はできるようになった。それから、これまでできなかった戦闘作戦行動に発進準備中の航空機に対する給油や整備もできるようになる。しかし、可能になったのはそれだけではありません。
防衛省に聞きます。テロ特措法では、物品の輸送には、外国の領域における武器弾薬の陸上輸送は含まないとしていた。間違いないですね。
○国務大臣(中谷元君) 御指摘のとおりでございます。
○小池晃君 イラク特措法では、法律上の規定ではありませんが、実施要領において、物品の輸送に関しては、武器弾薬の輸送を行わないとされていました。間違いないですね。
○国務大臣(中谷元君) そのとおりでございます。
○小池晃君 しかし、実際には運んでいたわけであります。しかし、法律上は、したがって、これらの特措法と比べれば、陸上であれどこであれ、米軍など他国軍隊の武器を輸送できるようになる点も変わるわけであります。
今回の重要影響事態法案と国際平和支援法案で、法律上、こういう武器は運んではいけないというものはあるんでしょうか、大臣。
○国務大臣(中谷元君) 活動の支援内容、また種類等については法律に書いた限りでございます。
○小池晃君 いや、だから、運んじゃいけない武器はありますかと聞いているんですよ。イエスかノーか。
○国務大臣(中谷元君) 特別にはございませんが、弾薬に入れないような装備等も若干ございます。
○小池晃君 米軍のミサイル、米軍の戦車、運べますね。運べるでしょう。運べるでしょう、法律上だから、提供じゃないから。
○国務大臣(中谷元君) 法律では、除外をした規定はございません。
○小池晃君 今回の法案が通れば、どんな武器でも運べるわけですよ。
弾薬は新たに提供することもできるようになります。ロケット弾も戦車砲弾もりゅう弾砲弾も無反動砲も、運ぶだけではなく外国軍に提供できるんですね、大臣。
○国務大臣(中谷元君) 特に排除をしている規定はございません。
○小池晃君 もう本当に何でもできるようになるわけですよ。
そして、爆撃に向かおうとしている戦闘機や戦闘ヘリにも給油できる。その場合、空中給油も、海の上での艦上の、洋上の給油もできるようになる。間違いないですね。
○国務大臣(中谷元君) 現に戦闘行為が行われている現場では実施しないということになっております。
○小池晃君 資料をお示しをしております。先ほどの海上自衛隊資料の別のページであります。
これは重要影響事態と国際平和共同対処事態の際の実際の運用を踏まえたイメージ図であります。これを見ますと、米軍のヘリが敵潜水艦を探知する。で、追加部隊が投入をされる。で、敵潜水艦を攻撃した後、米軍ヘリが海上自衛隊のDDH、ヘリ空母に着艦して燃料補給を行う。
法律が成立して、発進準備中の航空機に対する給油活動が可能になったらば、大臣、こういう活動が可能になるという理解でよろしいですね。
○国務大臣(中谷元君) 掲示されている資料につきましては、日米共同による対潜水艦作戦における後方支援の一つをイメージとして表したものと考えられますが、この資料の中では、作戦行動のために発進準備中の米軍のヘリに対して給油、整備を行う海上自衛隊の護衛艦、これは魚雷等の攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことを示しておりまして、自衛隊が支援活動を行う際に安全な場所において行うということが大前提であること、魚雷の射程まで書いてあります、魚雷の射程という側面から示したものでございます。
○小池晃君 戦闘現場でやらないということは、魚雷の射程の外であればやっていいということですね。
○国務大臣(中谷元君) この図は、そういった意味におきまして、魚雷等の攻撃を受けない安全な場所で活動を行うということを示したものでございます。
○小池晃君 これ、重大じゃないですか。こんなことも今まで一切示されていないですよ、魚雷の射程外だったらこんなことまでやっていいんだと。
大臣、追加で聞きますが、それでは、この図に更に付け加えて、海上自衛隊が、これで着艦してDDHで燃料補給しますよね。この米軍ヘリがまた飛び立ってこの敵潜水艦に対する武力攻撃を行う、それも可能なんですね。
○国務大臣(中谷元君) これは、現に戦闘行為が行われているかどうか、そういった現場では実施をしないということでございます。
○小池晃君 いや、魚雷の射程の外だったら何でもできるんだと、米軍のヘリが、攻撃したヘリが給油で自衛隊のヘリ空母に戻ってくる、そこで給油をする、整備をする、それがまた飛び立って攻撃をする、また戻ってくる、これができるんですか。これはできるということですね。
もう一回確認します。それが魚雷の射程の外であれば可能だというのが今度の法案だということですね。はっきり答えて。
○国務大臣(中谷元君) 現実には、法律で、防衛大臣が円滑かつ安全に活動を実施する区域を示すということでございまして、そこの範囲等につきましては、現に戦闘行為が行われている現場に加えまして、期間中において戦闘行為が起こる見込みがない現場、こういうことを指定をして安全を確保するということでございます。
○小池晃君 今度の法律ではそれができるんですねということをイエスかノーかで答えていただきたい。今の前提で、できるということですよねということで確認します。
○国務大臣(中谷元君) 先ほどお話をした安全を確保できる地域においてしか実施ができないということでございます。
○小池晃君 できるということですよ。安全を確保する地域というのは、魚雷の射程の外だったらいいということですよ。こんな状況でもう一切やると。自衛隊のヘリ空母で給油、整備された戦闘ヘリがヘリ空母から飛び立って攻撃を行って、また戻ってきて給油すると。
総理、今のやり取り聞いていただいたと思うけど、これ、誰がどう見たって完全に米軍と一体になった武力行使じゃないですか。これが世界から見て、これが世界から見て別のものだってなりますか。もう外国から見て、これは一緒になって、米軍と一緒になって自衛隊が戦争をやっているというふうにしか見えない。これは世界中の誰が見たって、日本国民が見たって、この構図の中で自衛隊がやれば、これは一緒に戦争している、そういうことになるじゃないですか。一体となって、まさに一体となって武力行使をしているというふうになるじゃないですか。どうですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず前提として、重要影響事態、我が国に極めて重要影響な事態が発生したと、そのままではまさに我が国に対して大変大きな重大、深刻な影響があるという、そういう事態、そしてまた、あるいは国際平和協力法において国連決議等々がある場合に後方支援をするわけでございます。そういう前提の下に、そういう前提の下に、我が国の平和を守る、あるいは世界の平和を構築をしていく、守っていくために行う活動に対して自衛隊が後方支援を行う。
そして、一体化しないというのは、まさにこれは憲法の要請でありますが、この一体化しないという中においての後方支援でございますが、実際に実施していく上においては、まさに戦闘現場とならない地域を実施区域に厳格に指定をしていくということになるわけでございます。
○小池晃君 いや、これね、自衛隊がこういうことをやると、イメージだと出してきているもの。それで、しかも、今総理はそういう活動を否定されませんでした。結局、魚雷の射程の外であればやれるということですよ。
で、私が聞いていることに全く答えていない。こういうことをやれば、これは米軍の武力行使と一体だと誰が見たって思うでしょうと私聞いているんです。イエスかノーかで答えてください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、魚雷の射程の外であればできるということではなくて、魚雷の射程の外ではなく、魚雷の射程の外で、魚雷の射程の外で、魚雷の射程の外であればどこでもできるということではなくて、実際に戦闘現場でないところで行うということを私は先ほどから申し上げているとおりでございます。そこで実施区域を定めるわけでございます。そこで、まさに我々は、一体化しないという考え方の下に、一体化しないという考え方の下にこの後方支援活動を行うわけでございます。
○小池晃君 我々がどう考えているかというあなた方の理屈を聞いているんじゃない。あなた方が、これは一体化していないと言うんでしょう。世界の誰が見たって、これ一体じゃないですか。そういうふうに見られるでしょうと私は率直にそう聞いているんですよ。世界はそう見るでしょう、どう考えたってこれは米国と……ちょっと、いろいろ耳打ちしないでくださいよ、私は、当たり前の総理の感覚を聞いているんですよ。これは、世界中の誰が見たって一体としてやっているということになるじゃないですかと聞いている。答えてください。はっきり答えていただきたい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) だから、先ほど答弁しているように、これは、我が国としてはまさにこれは一体化しないと判断をしているわけでございますし、我々も、国際社会に対しましては、国際社会に対しましては、我々が行い得る活動は後方支援に限られ、そしてそれは武力行使と一体化しないものに限られると、これは憲法上の要請であるということは、これは説明をしているわけでございます。
○小池晃君 これ全く駄目ですね。これ駄目ですよ。こんな、米軍のヘリが敵潜水艦を攻撃して、それが海上自衛隊のヘリ空母に戻って着艦して給油して、そしてそれが戻ってまた攻撃をする、これを繰り返す。これ、世界がどう見るか。もう誰が見たって、これは一体としての行動ですよ。敵国からすれば、これは明らかに交戦国ですよ、日本は。そういうことになりますよ、これは。そういうことも認めようとしない。
私は、これ本当に危険だということが今日の議論を通じてはっきりしてきたというふうに思います。戦闘地域での兵たんは、武器の輸送、弾薬の提供、戦闘作戦行動への発進準備中の航空機の給油、整備、これはもう明らかに他国の武力行使と一体の活動、若しくは武力行使そのものであるということがはっきりしたというふうに思います。それを地理的限定なく地球の裏側まで行って行う、明白な憲法違反であるということを申し上げたい。
ちょっと切りのいいところで、午後は兵たんの危険性について議論させていただきたいというふうに思います。
○委員長(鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度でとどめます。
午後一時まで休憩といたします。
午前十一時五十二分休憩
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午後一時開会
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告をいたします。
本日、大塚耕平君及び西田実仁君が委員を辞任され、その補欠として加藤敏幸君及び矢倉克夫君が選任されました。
――――――――――――
○委員長(鴻池祥肇君) 休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
午前中に引き続いて質疑をさせていただきます。
午前中の質疑では、戦闘地域で行われる自衛隊の兵たんが米軍などの武力行使と一体不可分の活動である、あるいは武力の行使そのものに当たると、憲法違反であるということを指摘をいたしました。
午後は、こうした兵たんがいかに危険な実態を伴うものであるか、このことに絞って議論をしたいと思います。
アメリカ海兵隊の海兵隊教本、この兵たんの部分には、なぜ兵たんが危険なのか、その理由が詳しく書かれております。ちょっと読み上げますが、兵たんは大量の物資、巨大な距離、短い対応時間に対応しなければならず、兵たんはほかの機能以上に、常套手段、計算さらに予測を用いる。これらの活動の全ては、予想外の出来事、我々の間違いあるいは敵の行動によって容易に影響され妨害される。その結論として、兵たんの部隊、設備、施設は、単なる攻撃対象ではなく、軍事行動の格好の標的であることを認識することが重要であると、こう書かれているんですね。
つまり、兵たんというのは、これは大量の物資を計画的に届けるわけですよ、計画的に前もって、事前に周到に計画を立てて。そうしなけりゃいけないから、もう事前に綿密な計画を立てなければいけない。だから、今の対テロ戦争のような突然の攻撃に大変弱いんだということなんですね。これは最近の、アメリカ海兵隊が二〇一〇年に発表したエネルギー戦略と実施計画、この中にも、コンボイ、輸送車隊は伝統的戦闘や非対称の攻撃、いわゆるテロ攻撃ですよ、脆弱で攻撃目標になるとしております。
総理は、この兵たん問題、この間、国会での答弁で兵たんは重要であるというふうに繰り返されています。重要であるからこそ安全確保しなければいけないんだと答弁されています。しかし、アメリカのこの海兵隊の文書を見ても、兵たんは軍事行動の格好の標的であるし、特に昨今の対テロ戦争のような相手が無秩序に突然の攻撃を仕掛けてくる、こういう攻撃には最も弱いものだと。そういう認識は総理はお持ちですか。率直にお答えいただきたい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般も答弁をしたことがございますが、軍事技術が発達した今日においては、部隊は食料や物資の供給がなければ、いや、今日においてもですね、今日においても、部隊は食料や物資の供給がなければ活動はできず、後方支援は不可欠であります。また、補給を受けている間は攻撃に対して極めて脆弱な状態にある
ため、現に戦闘行為が行われているような状況の下では有効な後方支援を行うことは困難であります。
このため、軍事技術の発達した現代においても、後方支援に際しては、危険を回避して安全を確保することは当然であり、合理性のあることであります。これは同時に、後方支援を十全に行うためにも必要なことでございます。今日においても実際このような形で後方支援が行われておりますし、十分な情報収集を行うことによって、安全を確保した上で後方支援を行うことは可能であります。
そして、今、小池委員が指摘をされました米海兵隊ドクトリンにおいては、兵たんの脆弱性及び兵たんに対する攻撃の危険性について指摘した記述は確かにございます。他方で、同じ米海兵隊ドクトリンにおいては、兵たんの拠点、すなわち、実施場所を考えるに当たって安全確保は主要な要素の一つであるとされており、また、同様に兵たんの実施場所は敵の行動から合理的な安全性が確保されなければならないとされているわけでございます。
○小池晃君 いや、安全確保するのは当然でしょうが。それ書いてあるからといって大丈夫だという議論というのは成り立たないですよ。私が言っていることに全く答えていないじゃないですか。一般的な攻撃じゃなくて、今の対テロ戦争というのは、いつ何どき、もう本当に攻撃が起こるか分からないような実態の中でやっている。だから、最も弱いんだと、脆弱なんだと言っているわけですよ。
今日、しんぶん赤旗の、今朝、スクープ記事で、陸上自衛隊の幕僚監部が監修した最新版の陸自教範「兵站」、これも記事にいたしました。この中でも書いてあります。兵たん部隊及び施設は、攻撃の開始に先立って、できるだけ前方で、かつ、主攻撃の支援に便利なように配置するとともに、攻撃の進展に応じて、これを更に前方に推進していく。これが兵たんの実態でしょう。
その中で、私が言っているのは、今のこのテロ攻撃に対して総理が言ったことは、本当に古典的な、何か一定計画ができて、ここは危ないと予測できている、そんなものじゃないでしょうと、今の実態は。そういう中で、危険性があるということを、総理はそういう認識を持っていないんですか。総理は最高責任者なんですよ。その認識を持たずに、自衛隊員に命令できるんですか。私は、はっきり、そういう危険があるということをはっきり認めていただきたいと思う。
総理に、総理に聞いているんです。総理の答弁なんだから、総理に答えてもらいたい。
○国務大臣(中谷元君) いや、その前に、陸上自衛隊の教範のお話がありましたが、これは基本的な事項を記述した、各部隊の指揮官のために、教育訓練の一般基準を与えることを目的として作成しているものでございます。その上で、この御指摘の兵たんというのは、陸上自衛隊の兵たんの運用について、武力攻撃事態への対処に際しての陸上自衛隊の戦闘部隊への支援要領を中心として記述していますので、重要影響事態、また国際平和協力事態における他国の軍隊に対する支援については、記述はしていないということでございます。
○委員長(鴻池祥肇君) 答弁されますか、安倍総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、小池委員の御質問に答えますが、確かにこれ軍事技術は発達をしておりますが、同時に、同時に、これは攻撃能力だけではなくて、これ情報収集能力も大幅に向上しているのも事実でありまして、情報部の分析や評価の技術も発展しております。衛星等からの情報を収集し、それを分析をしていく、シジント等のまた別途能力も向上しているわけでありまして、したがって、十分な情報収集を行うことによって安全を確保した上で後方支援を行うことは可能であると。他方、安全が確保されない限り、自衛隊による後方支援を行うことはないわけであります。
○小池晃君 あのね、中谷大臣、陸自教範に今議論している法案に基づくものが書いてあったら大問題じゃないですか。書いてあるわけがないんですよ。何を言っているんですか。ばかな答弁しないでいただきたい。それから、総理の答弁はやっぱり実態を全く私は分かっていないというか、対テロ戦争の現場の実態に目を背けた議論だという
ふうに言わざるを得ないと思うんですね。私は、今日は実態に即して議論をしたいというふうに思うんです。
アメリカの陸軍の環境政策研究所がまとめたレポートがございます。これによりますと、これは二〇〇三年から二〇〇七年までの間にイラクとアフガニスタンでの補給任務での死傷者数、これ見ますと陸軍だけで、イラクで二千八百五十八人、アフガンで百八十八人に達しております。補給物資の五〇%は燃料、二〇%が水、その他三〇%。アフガンで、パネルにしましたが、〇七年度だけですが、輸送回数、燃料は八百九十七回、水は四百三十八回です。その八百九十七回の輸送のうち死傷者が三十八人出ています。実に二十四回に一人の割合であると。それから、水の輸送でいうと、四百三十八回のうち十五人ですから、二十九回に一人の割合で死傷者が出ているわけです。水と燃料の輸送でこれだけの被害が出ている、これが戦場の実態なんですよ。
大臣、このレポートでは、イラクとアフガンにおける補給任務での死傷者数は深刻であると、米陸軍の死傷者の一〇%から一二%であると、その大多数は燃料と水の輸送に関係しているというわけですよ。
総理、これが実態なんです。このレポートの書き出し、最初の一文は何と書いてあるかというと、戦場での燃料、水の補給は命懸け。兵たんがどれほど危険かを示すレポートだと私は思うんですね。対テロ戦争の現場では兵たんほど狙われやすい、こういう実態があるということを総理はお認めにならないんですか。
私が聞いているのは、いや大丈夫です大丈夫ですといって、こういう危険があるということを、これは当のやっぱりアメリカの陸軍あるいは海兵隊、そこがはっきり言っている。それなのに、そのことをお答えにならないのは極めて不誠実ですよ。それを自衛隊員にやらせようとしているときに、そのことを明白に言わない。こんな無責任な態度ないですよ。はっきり答えていただきたい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) アフガンにおける、今、活動についてのお話でございますが、我が国はアフガンに部隊を送っているわけではございませんので、諸外国が実施したですね、実施した諸活動や派遣に係る制度の詳細について我が国として把握をすることは困難ではありますが、我が国はですね、我が国は、憲法第九条の制約や法律上の規定を受けて、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定した上で後方支援を行うこととしているわけでございまして、最初把握していないと言ったのは、今、他の部隊がどのような行動の基準を持っているかということについては把握をしておりませんから直ちに比較をすることはできないわけでありますが、我が国は明確に憲法九条の制約がある上においての法律にのっとって活動するということは申し上げておきたいと思いますので、よって、一くくりに後方支援という切り口で日本と諸外国を比較することはできないと思います。
○小池晃君 イラクとアフガンの兵たんの実態を把握していない、そんな中でそれを実際に可能にする法案を出す、こんな無責任な話ないですよ。
しかも、今、兵たんについて、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を実施区域に指定すると、そうおっしゃいました。条文のどこに書いてあるんですか。言ってください。
何で、総理が言ったことですよ、総理が言ったことですから、総理、答えてください。
○国務大臣(中谷元君) 条文につきましては、実施区域を指定する際に、防衛大臣は、現に戦闘行為が行われておらず、活動の期間に戦闘行為が行われる見込みがないということで、円滑かつ安全に実施できる区域を指定するというふうに記述をされております。
○小池晃君 法律の何条に書いてあるんですか。今言ったことは何条に書いてあるんですか。
○国務大臣(中谷元君) 法案の中に、防衛大臣は、実施区域の指定が書かれておりまして、活動期間を通じて円滑かつ安全に実施する区域を指定すると書いております。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(中谷元君) 国際平和支援法第七条三によりまして、防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該協力支援活動を実施する区域、これを指定するものといたしております。
これは、法律上、防衛大臣に対して安全に活動できる場所を指定することを義務付けるということでございまして、これは今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、部隊等が現実に活動を終えるまでの間、戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定することは、円滑かつ安全に活動を実施する上で当然のことでございます。
○小池晃君 私が聞いたのは、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘がないと見込まれる場所という言葉がどこに書いてあるのかと聞いたんですよ。法律にはそんなことは一言も書いていないじゃないですか。書いていないということを認めてください。イエスかノーか。
○国務大臣(中谷元君) この点の記述は、先ほどお話ししました七章の三、防衛大臣は、円滑かつ安全に実施することができるように協力支援活動を実施する区域を指定するものとするということで、安全な地域ということでございます。(発言する者あり)
○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めて。
〔速記中止〕
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こして。
○国務大臣(中谷元君) 七条三におきまして、防衛大臣は、部隊による活動が円滑かつ安全に実施することができるように実施区域をしていると規定をいたしております。
その他の安全規定については法案の記述はございません。
○小池晃君 書いていないんですよ。さっきから、内容はそうなんだとか与党席からあるけど、国会というのは法案の条文に即して議論しなきゃいけないんですよ。条文にないことを、それがあるかのように発言する、こういう態度が国民の私は不信を招くんだということを申し上げておきたいと思います。
対テロ戦争の現場は、先ほどから議論しているように、アフガンでもイラクでもIEDが道路の路肩に仕掛けられていて、それが最も多くの死傷者を出している、これが実態です。IED、これは即席爆発装置というふうに、直訳すればそうなるのかもしれない、路肩爆弾とも言いますが、突然爆発するわけですよ。
ちょっと総理、ちょっと聞きます。IEDって御存じですか。
○国務大臣(中谷元君) このIEDというのは、道路の横に仕掛けられた爆薬等でありまして、こういったIED、また自爆のテロ、こういうことはイラクに自衛隊が派遣された当時もこういった施設は目撃をされたわけでございますが、自衛隊は、非戦闘地域、すなわち戦闘行為が行われておらず、活動の期間を通じて戦闘行為が行われていることがないと認められる地域で安全に細心の注意を払いつつ活動を行いまして、一人の犠牲者、これも出ていないということでございます。
○小池晃君 聞いていないことを答えないでくださいよ。
外務省にアフガニスタン戦争に派遣された米軍以外の、米軍以外の犠牲者の死因を質問したらば、独立系ウエブサイト、アイカジュアリティーズによる報告を持ってきました。それを分析したのがこのパネルであります。アフガン戦争では、カナダ軍の犠牲者は百五十八人、そこから、事故や自殺などいわゆる非敵対的な理由による死亡を除くと百三十一名、そのうち、IEDそれから自爆による死者が百五人で八〇%です。五十四人が死亡したドイツでも、事故などを除く三十六人のうち、IEDや自爆攻撃などによる死者が二十二人で六一%です。四十三人が死亡したデンマーク軍でも同様にIEDなどによる死者が六八%、四十八人が亡くなったイタリア軍では七五%に上ります。対テロ戦争の現場というのは、銃撃戦などによる戦闘による犠牲者はもちろんいらっしゃいます。しかし、IEDなどによる犠牲者が圧倒的に多いというのが実態なだけに、六割から八割だというのが実態なんですね。今もおっしゃいました、現にサマワでもIEDを見たという話ですよ。あのイラク復興支援活動行動史の墨塗り部分にも、IED攻撃があったことが書かれているわけです。だから、そういうことは、非戦闘地域であってもそういったことはあったわけですよ。
まさに、戦闘が今まさに行われている現場でなくても、例えばトラックで物資を運んでいるときに突然IEDで吹き飛ばされると。あらゆる場所が一瞬にして戦闘現場になる、これが今の対テロ戦争の現場の実態じゃないですか。総理はそういう認識はないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、先ほど大臣からも答弁をいたしましたように、イラクにおいても、IED、これは簡易爆発物でありますが、この簡易爆発物や自爆テロによって諸外国には犠牲者が出ていたものと承知をしておりますが、我が国はこれは一人の犠牲者も出ておらず、これは我が国による安全確保の仕組みは十分に有効であったと、こう考えているわけでありますが。そして、先ほど大臣が答弁をいたしましたように、この法案の中には、円滑かつ安全に活動できるという要件が書かれているわけでありますが、これを政府として、この安全かつ円滑にということについての、これは政府として解釈する中において、部隊が現実に活動を終えるまでの間、戦闘行為を発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定するということを申し上げているわけでありまして、それが円滑かつ安全に活動を実施する上において当然と、これは答弁をしているわけでありますが、当然そのように運営をしていくわけであります。
○小池晃君 だから、法律に、じゃ何で書かなかったんですか。法律に書いていないことをここで幾ら言われても、これは国会の議論に堪え得るものではありません。しかも、今あったように、これは実態としては、だからイラクではそれはなかったと、自衛隊員の犠牲者は出なかったとおっしゃる。それを変えようとしているんじゃないですか、今。非戦闘地域ということに限っていたものを、戦闘現場でなければということで拡大するわけでしょう。だから、危険性がないのかと。
重要影響事態法案、国際平和支援法案は、地理的な限定なく地球の裏側でも自衛隊員を兵たんに参加させるわけですよ。しかし、こういう実態、一瞬にして戦闘現場になってしまうような対テロ戦争の兵たんで、安全な場所で行うから大丈夫だという議論など成り立つはずがないではありませんか。イラクでは犠牲者は出なかった。それで今度は大丈夫だと何で言えるんですか。それを拡大しようというのが今度の法案じゃないですか。こういう認識は総理にはないんですか。そういう危険性を自衛隊員に与えることになると、今度の法案は。イラクのサマワではなく更に拡大する。その危険性の認識はないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、小池委員も、イラクにおいては自衛隊においてIED、簡易爆発物やこの自爆テロ等について犠牲者が出なかったということをお認めになった。それは非戦闘地域という区分を切っていたわけでございますが、非戦闘地域については、これはまさに、例えば半年間の間、サマワを非戦闘地域としたわけでございますが、今度は、実際に自衛隊が例えば二週間活動するよということについて、そこは言わば戦闘現場にならない、そして戦闘現場にはならないと見込まれる、十分に見込まれる地域に指定をするということでございますが、それはまさにサマワで活動してきたこと、昨日、実際に活動をした佐藤筆頭理事からも質問の際に説明をされたのでございますが、そうした実態の経験を基に、実際に活動する期間と場所について、そのように指定した方がこれは現実的だという観点から今回は整理をし直したということでございます。実際に安全の確保ということについては、委員もお認めになったイラクで実際に一人の死傷者も出なかったと同じような安全確保が行われるわけでございます。
○小池晃君 安全確保がされていますか。だって、この活動が行われると見込まれる期間において戦闘が発生しない、そういうことを置いたことがやはり自衛隊員の安全性を守る一定の担保になったと、これ当然じゃないですか。それをやめてしまうということになるわけですよ。だから私どもはこれは危険だというふうに言っているけど、全く今の答弁では、私、答えていないというふうに思うんです。やっぱり、現実に起こっている戦争、それが一体どういう実態なのかということにしっかり目を向けるべきですよ。そこに実際に活動を拡大しようというのが今度の法案なわけです。
その点で、日本がインド洋での給油という戦後初めての海外での兵たん、これを行った戦争がアフガン報復戦争であります。このアフガン報復戦争によって一体何がもたらされたのか。
第一に、無辜の市民の甚大な犠牲であります。
私は、あのアフガンの空爆が始まった二〇〇一年の十一月にアフガンの国境近くのクエッタ、パキスタンのクエッタの病院まで行って、クラスター爆弾によって非常に被害を受けたたくさんの負傷者を見てまいりました。体中に爆弾の破片が刺さった母親、頭蓋内に爆弾の破片が飛び込んでいる乳児、もう本当に痛ましい光景で、今も忘れられません。
国連がアフガニスタンの戦争で犠牲になった民間人の数を発表するようになったのは二〇〇七年以降であります。この二〇〇七年以降、二〇一四年の末までで二万一千四百十五人、今年に入って四か月でも九百七十八人、今でも市民の犠牲は続いています。
それから第二に、報復戦争が憎しみを呼んで新たなテロを世界中に拡散したわけですよ。外務省にお聞きをしますが、世界でのテロ戦争による死者数を二〇〇〇年と直近の二〇一四年でお示しをいただきたい。お願いします。
○政府参考人(平松賢司君) お答えいたします。
アメリカ国務省が国別のテロリズム報告書において引用しておりますメリーランド大学のテロ及びテロ対応研究コンソーシアムというものが作成した資料がございます。そのデータベースによりますと、二〇〇〇年の全世界のテロ事件における死者数は四千四百二十二名でございます。二〇一四年の全世界のテロ事件による死者数は四万三千五百十二名でございます。
○小池晃君 テロによる死者数はアフガン報復戦争以来十倍になっているわけですよ。発生件数も見てみますと、千八百十四件から一万六千八百十八件、激増しているわけです。その多くがアフガン、パキスタン、イラク、ナイジェリア、そしてシリア。
総理、テロに対して報復戦争、対テロ戦争、これ世界に何をもたらしたのか。報復戦争は憎しみを生んで更なるテロを生む。まさにテロの拡大再生産という、そういう状況を生み出したんじゃないでしょうか。それが私はアフガン報復戦争の総括として必要だと思う。総理はそういう認識ないですか。報復戦争がテロを世界中に広げた、そういう認識はありませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テロというのはまさに過激主義の中から発生してきている、近年のテロについては過激主義の中から発生をしてきているわけでございます。こうしたテロに対して国際社会は協力して闘っていこうという決意をテロ発生以来我々は示しているわけでございますが、しかし、その中において、同時に、アフガニスタンをテロリストがばっこする地域からしっかりと成功した国にするために国際社会は協力をしてきたわけでございます。
日本も、その意味におきまして、そういう観点からテロと闘うと同時に、アフガニスタンをテロリストがばっこする国から平和で繁栄する国に変えていこうという意思を持ちながら、そういう同志とともに貢献をしてきたと、このように考えております。
○小池晃君 アフガニスタンをテロリストがばっこする国から変えようとした、その結果どうですか。まさにテロがアフガンでも更に増えているじゃないですか。私はその認識を聞いているんですよ。対テロ戦争がテロを更に拡大したと。これ、客観的に見ればそういう実態があるじゃないですか。そういう認識はあなたにはないのかと、このことをお聞きしているんですよ。どうですか。こういったことにちゃんと誠実に答えてほしいんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、まさに九・一一のテロがございました、それに端を発するものでございますが、こうした過激主義に対抗していこうということは、これは国際社会のかなり共通した認識であり、累次これは国連の決議もあるわけでございます。そうした中において、言わばテロに対抗しなければならない、様々な国々がそれぞれの国々の貢献策を行ってきているわけでございますし、日本も日本としての活動を展開をしてきているわけでございます。
そこで、例えばアフガニスタンが、あの段階でタリバンが支配するアフガニスタンがアルカイダとともに世界に対してテロリストを輩出させる地となっていたら、これは相当大きな被害を多くの国々が被ったのは間違いないわけでございまして、単純に、今の小池委員がお示しになっている死者数について、我々が例えば行っている給油活動がその死者数に関与しているかのごときのお話でございましたが、そうではなくて、これはやはりテロリストを封じ込めていくために多くの国々が協力をしているということでございます。
○小池晃君 あのね、ひどいですよ。これが関与していないんですか。私は、ISだって、結局アフガンでの報復戦争が怒りを呼んで、もちろん私はISを擁護する気持ちは全くありませんよ。断固として許されない集団ですよ。しかし、やはりアメリカの軍事攻撃があの地域にテロを拡散したというのは、これは誰だって認める事実じゃないですか。世界中の人が認めているじゃないですか。
私ははっきりそのことは認めるべきだと思う。総理、どうですか。やっぱりそういう認識を持つ、それが出発点ではないですか。私は、繰り返し言いますが、テロリストを擁護する気持ちは全くないし、テロと闘う、それは当然だと思います。しかし、報復戦争という手段がテロをなくす上で本当に役に立ったのか、むしろ逆に拡散させたのではないか、これが世界の共通の認識ではないですかというふうにお聞きをしている。そういう認識を総理はお持ちでないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 九・一一に対応して、世界はテロと闘うという決意において様々な試みを行っているわけでございます。それは例えば、先ほど申し上げましたように、アフガニスタンをしっかりと平和で安定した国にしていくための努力を我々もしております。言わばテロリストだった人々を正業に就けるための教育、職業訓
練等への支援等も行っているわけでございますし、医療の支援等も、人道支援も行っているわけでございます。その中におきまして、我々は、過激主義を排するために中庸が最善という認識についてカイロで演説をしたところでございます。
また、言わば経済的に発展をしていくことによってそうした過激主義を排する方向に進んでいくわけでございますので、それぞれの地域が国として自立する、あるいは地域として自立する、それぞれの人々が自立するような支援も行っていきたい、そうした総合的な観点から、テロとの闘い、テロの根絶を図っていかなければならないと、こう考えているわけでございます。
○小池晃君 そういうことを否定していないですよ。医療・人道支援、そういったことはやっぱり徹底的にやっていくべきなんですよ。しかし、報復戦争が一体何を生み出したのか。
平和な国にするというふうにおっしゃった、総理は、平和な国にすると。実態どうですか。アフガン戦争、戦渦は今なお広がり続けています。ベトナム戦争を超えて米国史上最長の戦争になっている、これはオバマ大統領がそう語っているわけですよ。今も戦乱の中ですよ。平和な国になどなっていないではないですか。アメリカ、イギリスを中心としたOEF、不朽の自由作戦は、昨年十二月三十一日、OFS、自由の番人作戦、名称を変更しましたが、約一万人の米軍がいまだにアフガンには駐留をしています。出口の見えない泥沼化した戦争が依然として続いているわけですよ。
ペルシャ湾、アラビア海、インド洋、紅海、こういった地域に囲まれた中央軍第五艦隊の作戦地域、この海域には、空母を中心とした艦隊である空母打撃群、そして強襲揚陸艦を中心とした部隊である遠征打撃群が、これパネルに示しました、ちょっと、誠に申し訳ない、字が物すごく小さいですが、本当にこの十五年間延々とこの海域に米軍は派遣をしています。
二〇〇一年以来、今年六月までに、空母打撃群は五十三回、遠征打撃群を含めると八十七回、空母や強襲揚陸艦から攻撃機がアフガンやイラクの基地に派遣され空爆を繰り返しています。ごく最近の例でも、ブッシュ空母打撃群は昨年三月から十月までに一万二千五百四十八回攻撃飛行を行った。一番最近のカール・ビンソン空母打撃群は昨年十月から今年四月までに、一万二千回以上の攻撃飛行を実施しています。五十万ポンド以上ですよ、大量の爆弾を投下したと海軍ニュースに書かれている。これによってまさに民間人が次々殺されるという事態も起こっているわけです、続いて
いるわけですよ。
これが集団的自衛権の名によって行われた直近の戦争です。総理は、このアフガン戦争、この実態を見て、これが正しい戦争だったと言えるんですか。テロを広げ、いまだに戦乱が収まらない。この戦争を私は肯定するような態度だったら本当に恐ろしいことだというふうに言わざるを得ないと思うんですよ。
これが集団的自衛権。アメリカは個別的自衛権の発動としてこの戦争に、そしてNATOは集団的自衛権を、そしてこの戦争を始めたわけですよ。集団的自衛権の名の下に行われた直近の戦争、これがアフガン報復戦争ですよ。そして、日本はテロ特措法を作ってこの戦争で初めての海外での兵たん活動、洋上給油活動をやったわけです。
中谷大臣にお聞きしますが、衆議院の審議で我が党の赤嶺政賢議員の質問で大臣はこう答弁しています。仮に、我が国がテロ特措法に基づく対応措置や補給支援特措法に基づく補給支援活動を実施していたと全く同じ状況が生起する場合には、今回は国際平和支援法に基づいて活動する。この答弁、間違いないですね。
○国務大臣(中谷元君) はい。そう答弁をいたしました。
実は、この二〇〇一年の同時多発テロ事件が発生したとき、私は防衛庁長官でありました。このテロというのは、ニューヨークの貿易センタービルで三千人近くの方が犠牲になりました。日本人も数十名犠牲になりました。やはりこういったテロ行為に対して、当時国連で、これは国際平和の安全に対する脅威であると認め、国際社会に対してテロ行為を防止し抑止するための一層の努力を求めた安保理決議の一三六八、これがございました。
当時は、我が国といたしましてインド洋における燃料給油活動等をするためにテロ特措法を成立をさせましたけれども、やはりこういった国際社会としてテロ行為、これに屈するわけにはいきません。やはり平和で安定した社会を築こうというのは、各国なし得るだけの努力をするわけでございまして、仮に同じような事態が発生するということはあり得ないわけでございますが、このようなテロが発生をして国連がそのような決議をした際には、我が国はそれなりの対応をしなければならないと私は思っております。
○小池晃君 私は九・一一のときにカナダにおりまして、九・一一の日にカナダから日本に帰国する途中だったんです。飛行機がダイバートしたんです。本当に恐ろしい思いをしましたよ。
テロは許さない、それは当然ですよ。しかし、この報復戦争、今いろいろとおっしゃったけれども、国連安保理決議は武力行使を容認しておりません。
最初の答弁あったように、今回は国際平和支援法に基づいて活動するんだと、同じような事態になれば。しかも、今回の法案では、洋上の補給活動にとどまらず、戦闘作戦行動に発進準備中の米軍戦闘機に対する給油も整備もできるようになる、それは午前中に議論しました。それらに加えて、PKO法の改定によって危険な治安維持活動にも参加できるようになるわけです。武器使用権限も大幅に拡大するわけです。
アフガンのRS任務への参加について参議院本会議で総理は、検討していないと答えたのみで将来の参加について否定していない。今度の法案が成立すれば、アメリカは現在も続いているこのアフガン戦争に支援を求めてくることは間違いないだろうと。それに対してこの法案は、まさにそうした要求に切れ目なく応えることができるものになっている。集団的自衛権行使容認によって、今まで辛うじて存在していた歯止めをことごとく取り去ったからであります。現実に今も続いている戦場に、従来よりも格段に危険な形で日本の自衛隊の若者が入っていく。これが本法案によってもたらされる当面の最大の現実的な可能性であり、危険性だと。
総理は、イラク戦争、アフガン、湾岸戦争のような戦争に武力行使を目的として参加することはないと言うが、一たびこんな活動に自衛隊が入っていけば海外での武力行使に道を開いていくことは明白であります。明らかな憲法違反だ。憲法違反の戦争法案は廃案にするしかない。断固廃案だ。そのことを申し上げて、質問を終わります。