「赤旗」2015年5月28日付
医療保険制度改悪法案が27日の参院本会議で可決が強行され、自民、公明、維新、新党改革、次世代などの賛成多数で成立しました。日本共産党、民主、生活、無所属クラブ、社民などが反対しました。
反対討論で日本共産党の小池晃参院議員は、国民健康保険の財政管理を都道府県に移行することについて、「市町村を保険料引き上げに駆り立て、取り立て強化につながりかねない」と批判。「医療費適正化計画」「地域医療構想」などと合わせて、「都道府県を司令塔にした強力な医療費削減の仕組みづくりだ」と強調しました。
協会けんぽの国庫補助削減は「国の責任を後退させ、経営難に苦しむ中小企業の労働者・事業者に打撃を与えるものだ」と指摘。入院食費引き上げなどの患者負担増の論拠が成り立たないことを厚生労働省も認めざるをえなかったと述べ、「患者の困難に追い打ちをかけ、国民皆保険の基盤を危うくする」と主張しました。
小池氏は、保険のきかない医療を広げる「患者申し出療養制度」について、原則禁止されている「混合診療の全面解禁に道をひらくことになる」と指摘。「実験的な先進医療」も対象としながら、これまで6カ月の審査期間が6週間に短縮され、施設基準もない医療機関で実施するのに、安全性の確保についても示されず、保険収載についても何の見込みも示されなかったと述べ、「保険収載(適用)というゴールに至らない医療技術がどんどん増えて、保険のきかない医療が滞留していく」と批判しました。
小池氏は、安倍首相が小泉政権時を上回る社会保障自然増抑制路線を完全復活させる一方で消費税増税を強行したことについて「国民へのだまし討ちのようなやり方を断じて許すわけにいかない」と強調しました。
医療保険改悪法案の主な中身
・国民健康保険
都道府県が財政運営(保険料値上げ、徴収強化など)
・医療費適正化計画
地域医療構想(病床削減など)に合わせた目標設定
・後期高齢者医療
保険料「軽減特例」の廃止(政令で)
・入院給食
1食260円⇒460円に値上げ
・紹介状なしの大病院受診
定額負担5千円~1万円
・「患者申し出療養制度」創設
安全・有効性が不確かな保険外診療を拡大
・協会けんぽ
国庫補助率下限の引き下げ(16・4%⇒13%)
・国保組合
国庫補助見直し(32%⇒13~32%)